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船の世界で生きてみる

海を見ると、なんだかわくわくする。

海なし県で育った自分にとって、海は非日常を感じさせてくれる存在です。

海が身近な人だとしても、「海の上」は非日常なことが多いのではないでしょうか。

ドクタープラネットは、クルーザーをはじめとするプレジャーボートの清掃や保守メンテナンス、クルージングの手伝いや接客などを行う会社。

船のオーナーさんたちが過ごす船上の時間を、心地よく快適にするため、裏方として支えています。

今回は、清掃、メンテナンス、クルージングの手伝いを担うスタッフをそれぞれ募集します。

高級品であるクルーザーは、市場としてニッチなもの。スタッフは、入社してからメンテナンスの技術を身につけたり、船舶免許を取得したり。多くの人が同じスタートラインからはじめる仕事です。

機械いじりや車・バイクが好きな人は、興味を持ちやすいと思います。釣りが好きな人も、より趣味を深めることができるはず。

まずは、船の世界を覗いてみてください。

 

ドクタープラネットが拠点を置くのは、東京湾にある京浜島。モノレールの昭和島駅から歩くこともできるし、いくつかの駅からバスも出ている。

今回は、平和島駅からバスで向かう。橋の上からは、船がたくさん並ぶ桟橋が見えた。

バス停から、工場に囲まれた道を歩いて5分ほど。さっき窓から見えた場所が、やっぱり今日の目的地だったみたい。

出迎えてくれたのはドクタープラネット代表の小山さん。

「まずは船のことを知ってもらわないと。なんでも、質問してくださいね」

敷地を案内してもらうと、海沿いにボートがずらり。30艇以上はありそうだ。

「ここに並んでいるのはオーナーさんから預かっている船や、これから販売される中古艇です」

「オーナーさんとは基本的には年間契約で、うちは日頃のメンテナンスと、出航時のお手伝いをしています」

オーナーは経営者の方がほとんどだそう。

色や大きさ、形もさまざまで、個性があっておもしろい。

歩いていると、上にせり出すように椅子がある船が気になった。あれはなんですか?

「あれはツナタワーって言って、カジキ釣りの際に使うんです。上に登って魚を見つけるんですよ。実は僕もカジキ釣りが好きで、下田のJIBTという国際大会で3回優勝しているんですよ」

へえ!すごい!

桟橋を歩きながら、小山さんはいろんなことを教えてくれる。

船には必ず名前をつけて、船体に船名を貼る決まりがあること。海の上では右側通行すること。輸入の際は、大きな船に丸ごと積まれて運ばれてくること…。

馴染みのない人間には、すべてが新鮮でおもしろい。

ドクタープラネットは、取引先であり、船舶の輸入販売を行う「安田造船所」内に事務所を置いている。

清掃技術のノウハウを提供したり、安田造船所のPRイベントに参加したりと、協力関係を結んで仕事をしている。

ドクタープラネットは、小山さんを入れて6人の会社。それに加えて、下請けで依頼している会社のメンバーも日々の清掃業務に当たっている。

船体を洗う清掃は、月に2〜3回。結構頻繁なんですね。

「そうしないと、綺麗に保てないんです」

「うち、すっごい作業細かいんですよ。僕が綺麗バカって言われるくらいで。同業他社と比較しても、明らかにうるさいと思います」

船の中に入らせてもらうと、高級ホテルのような室内が広がっている。

「このカーペットは、あとで毛並みを整えます。ほこりひとつも許さないし、トイレに水の汚れがついていたらダメ。ここは船という特別な場所だから、一流ホテルよりも上であるべきなんだよって教えています」

船内にはサロンのほかに寝室が3〜4部屋あることが多く、ゲストとともにクルージングを楽しめるようになっている。

「気をつけていても、海に出てトラブルが起きることもあって。そういうときにその場で修理したり、安全に帰航できるようにするのも僕たちの仕事です」

物心ついたときから、船が身近だったという小山さん。カジキ釣りは、もともと父親の趣味で、よく一緒に海に出ていた。

「子どものころ、船に乗ったら水は使うなって言われてね。船って積載できる水の量が限られているから。でも夏は暑くてしょうがなくて、頭からスプライト被って、今度はそれが乾燥してベトベトになってね(笑)。そんな記憶がありますよ」

材木屋さんやガソリンスタンドなど、ほかの仕事をしながら、父親や知り合いの船のメンテナンスをしていたのが会社のはじまり。その後、法人化し、少しずつ会社が大きくなって今に至る。

「1人の期間が長かったから、僕は全部できるんですよ。清掃も操船もできるし、食事もつくれて、釣りもできる。けれど、それってむずかしいことだから、スタッフは数人合わせて一通りの仕事ができたらいいかなって」

船舶免許の取得も強制ではない。メンテナンスに特化する人がいてもいいし、洗いのプロフェッショナルがいてもいい。

「ちょっと言い方が変ですけど、普通に毎日来て仕事して、普通にお昼ご飯食べて、仕事して帰ってくれる人だったら全然いいんですよ。普通でいいんです」

普通でいい。

「もちろん向上心があれば全部教えます。でもモチベーションは人それぞれだから、自分に合った仕事のやり方をしてもらうのがいいかなって」

なにか大きな動機はなくていい。日々の仕事として、たまたま出会った船の世界を選んでみる。そんな感覚でいいのかもしれない。

この仕事のおもしろさって、改めてどんなところでしょう。

「やっぱり非日常感というかね。まあ、僕らはもう日常になっちゃってるんですけど。たとえば出港するときの朝日とか、帰港するときのサンセットとか、プライスレスですよね。カジキ釣りだったら、釣り上げたときのチームワークに喜びを感じます」

船の上での体験は、多くの人にとっては特別なはず。

その時間をつつがなく過ごすために、ドクタープラネットの仕事はある。

スタッフには「普通でいい」と言う、小山さん自身のモチベーションはなんなのだろう。

「クルーズの後、オーナーやゲストからいただく『ありがとうございました』の一言には、喜びを感じますね」

「あとは、みんながいるからがんばれる。スタッフもだし、自分にも家族がいるし。一生懸命やってくれる、彼らのためにがんばりたいかな」

 

普段は、横浜や横須賀のマリーナに個々で出向いての清掃作業も多い。

今日はめずらしく全員が一つの船に集合し、大掛かりなメンテナンスを行う日。

特別な機械で水垢を取ったり、水洗いでは落ちない汚れを徹底的に綺麗にする、ポリッシャーという作業だそう。

アップテンポな音楽を流しながら、集中して作業に取り組んでいるみなさん。

「全然船のこと知らないで入ってきて、今は誰よりも知ってます」と小山さんが話すのが、酒井さん。入社6年目で、一番のベテランスタッフ。

メカ好きだそうで、カメラの話でまずひとしきり盛り上がる。

美容師、引っ越し屋さん、システムエンジニアなど、いろんな仕事を経験した酒井さん。

「工業高校出身なので、電気や機械関係、車やバイクも好きな分野ではありました。逗子出身で海も身近だったんですけど、この仕事の存在は知りませんでした」

「たまたま求人情報で見つけて。自分の興味に合っておもしろそうだなと思って応募しました」

仕事は、日常的な清掃・メンテナンスと、出港時にクルージングの手伝いとして同乗すること、大きく二つにわけられる。

まずはみんな清掃の仕事から覚え、メンテナンス、乗船と徐々にスキルアップしていく。

「出港時は接客業でもあるけれど、人目につかない作業のほうが多いです。ただ、それも結局は、オーナーさんに喜んでもらうための仕事なので、クルージングの下準備という感じ。全部地続きだと思ってもらえるといいのかな」

「自分らって、売る商品はなくて、お金になるものは技術だけなんです」と酒井さん。

「ただでさえ普通は操船なんてしないのに、この仕事じゃなかったら、たぶん一生乗ることのないような船に携わっている。なかなかできないことかなって。自己満足かもしれないですけど、モチベーションにはなっています」

高級なものを日々扱うことにプレッシャーはないのでしょうか。

「正直常に感じています。責任感と緊張感は常に持ってやれ、っていうのは自分も含めてみんなに言っています。だから、どんな些細なことでもホウレンソウは絶対するようにって」

お客さんの高級な持ちものだから、というだけでなく、オーナーとゲスト、自分たちの安全を守るためという大切な意味もある。

「ただ、ハードルが高い仕事じゃない。うちって、みんな未経験で入ってくるんです。責任をしっかり持ったうえで、『やったことない仕事をやってみたい』くらいの気軽さでもいいのかなと思います」

もちろん、肉体仕事でとくに真夏はハードな仕事。一方で、これまで女性スタッフがいたこともあり、重労働は意外と少ない。

「実際に見ないとわからない仕事だと思います。よくわからないからやめておこうと思うくらいだったら、ぜひ一度見に来てほしいですね」

 

続いて話を聞いた大城さんは、沖縄出身で入社3年目。

水産高校を卒業後、前職ではブリの養殖に携わっていた。生きものとは別の角度から海に関わる仕事を探して、ドクタープラネットを見つけた。

「漁船には携わっていましたが、同じ海に関する仕事でも、高級船のクルーザーを取り扱うのは、まったく違うやりがいと緊張感があります。日頃から自社の船を使用して研修を行なっています」

会社で所有する船は、社員は自由に使用できるそう。研修を兼ねてみんなで釣りに行くこともある。

日々のやりがいはどんなことですか?

「報告書のためにいつも作業画像を取るんですけど、花粉の時期とかで汚れがすごいと、逆にこれはいい素材になるなって。とくに中古の船を綺麗にする作業は、腕がなるというか。ピカピカにするのはやっぱり気持ちいいです」

運航時にオーナーさんから、「こんなに綺麗になったんだ、ありがとう」と言葉をもらうことも。

最初から最後まで、仕事が切り離されていないから、直接お客さんの反応がわかることもやりがいになる。

「清掃と言っても、部分ごとに使う道具が違うので、最初はそれを覚えるところからスタートします」

「たとえばデッキの木材部分は、強力な洗剤で洗って、一回脱色して、また色をつけてっていう作業があるとか。段階的に覚えて、できることを増やしていく感じです」

その話を横で聞いていて、「成長したなあ」と酒井さん。

同じことを話すにも、いつもは専門用語を使う自分たち。それを誰にでもわかるように噛み砕いて説明できることも、クルージング時のいい接客につながっている。

 

飲み会はあまりないけど、おいしいラーメン屋にはわざわざ集まっていくような仲、と取材の最後に二人が教えてくれました。

偶然出会って働きはじめたこの会社が、きっと肌感覚に合っているのだと思います。

船の世界になにか引っかかるものがあったなら、まずは話を聞きに行ってみてください。

海の上という、非日常を支える日常の仕事です。

(2024/05/14取材 増田早紀)

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