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お風呂でどんなふうに過ごしますか?
じっくり湯船に浸かったり、さっとシャワーを浴びるだけだったり。さまざまな過ごし方がありますが、お風呂を通じてリフレッシュし、心身ともに健やかになる感覚は、多くの人がわかるはず。
お風呂とそのまわりの空間、お風呂に入る前後の時間を豊かにしたい。
そんな想いで展開しているブランドが「BAINCOUTURE(バンクチュール)」。オーダーメイドの高級システムバスルームを提案・販売しています。
運営しているのは、石川県白山市で116年の歴史をもつニッコー株式会社。
今回は、東京に拠点を置き、バンクチュールのブランディング全般に関わるメンバーを募集します。
Webコンテンツを企画・制作したり、商品開発やSNS運用に関わったり。お客さんとの商談にも参加します。
一定の経験値がある人には、将来的にマネージャーとしてブランドの方針決定も任せていきたいとのこと。
ブランドを大きくしていく経験は、きっとおもしろいものになると思います。
バンクチュールの東京ショールームがあるのは、地下鉄神保町駅から歩いて5分ほどのオフィスビルの1階。
リビングやダイニング、洗面所など、生活のさまざまな場面が再現されていて、お風呂というよりモデルルームのよう。
「長期滞在のホテルのようなイメージだったり、フィットネスを隣接させたり。お風呂単体ではなく空間全体で、バンクチュールが提案したい過ごし方を体験していただけるつくりになっています」
そう説明してくれたのは、専務取締役でバンクチュール事業部長の三谷さん。
1908年に陶磁器メーカーとしてはじまったニッコー。その後、繊維強化プラスチック(FRP)の加工技術を開発し、浴槽や浄化槽などへと事業の範囲を広げていった。
自社製造の浴槽とタイルを組み合わせ、1989年にシステムバスルーム事業にも参入。
「その後しばらくすると、規格サイズのシステムバスルームは、大手企業が多数参入し価格競争になっていきました。そことは違う路線に進もうと、だんだんとオーダーメイドに特化していったんです」
2015年に、「バンクチュール」としてリブランディング。
高級な仕立て服を指す「オートクチュール」から着想し、フランス語でお風呂を意味する「バン」を組み合わせたブランド名に決めた。
ライフスタイルや家族構成など、ヒアリングを通じて一点ものを仕立てるように形にしていくバンクチュールの商談。
お客さんからもらういろんな情報を汲み取ったうえで、最適なお風呂空間を提案していく。
「オーダーに対して、単にいくらでできますって返すだけの存在にはなりたくない。お施主さんにも建築会社さんにも、『お風呂周辺のことはバンクチュールに聞こう』と思ってもらえるような、プロフェッショナルでありたいですね」
「お風呂をつくるプロセスも商品だと思っています。建築会社さんの感性、我々の感性、そして住む方の感性を吹き込むことで、いいものができる。そんな想いで『お風呂に感性を吹き込む』というミッションを掲げています」
お風呂に感性を吹き込む。
その考え方を広めていくため、取り組んでいることの一つが、「BAINCOUTURE Magazine」。
購入を検討する段階より手前の、ライト層にアプローチすることを目的に、さまざまな業界の人とコラボレーションしたWebコンテンツを発信している。
「制約のないなかでアイデアを出しながら、お風呂の可能性を広げる取り組みをしています。『お風呂に感性を吹き込む』とはどういうことなのか、概念的なところから一回追求してみようと」
企画のひとつが、「理想のお風呂をつくる」というもの。
ホテルプロデューサーの龍崎翔子さんや、「Soup Stock Tokyo」などを展開するスマイルズ創業者の遠山正道さんなどに話を聞き、イメージを3Dパース化。
バンクチュールのプロセスを擬似体験してもらうことで、読者がお風呂づくりに興味を持つきっかけを生んでいる。
「いつかお風呂をつくるとき、記事を読んだ方がバンクチュールを思い出してくれたらいいなと思ってやっています」
ただ、これは実験のひとつ、と三谷さんは話す。
固定概念にとらわれることなく、そんな実験を繰り返していくのが、今回募集する「ブランドマネジメント」の仕事。
バンクチュールのブランド価値を高め、社内外に発信していくための部署。今回は、主にコンテンツ制作に取り組むスタッフと、そのとりまとめをするマネージャー候補者を募集する。
スタッフには、Webコンテンツの企画制作やSNS運用などに、どんどんアイデアを出して取り組んでいってもらいたい。マネージャーは、三谷さんと二人三脚でブランド全体の方針を決めるところにも関わっていく。
「注意したいのは、クリエイティブにコンテンツ制作もやりつつ、ビジネスに結びつける必要もあること。営業に同行してプレゼンする機会もありますし、PRをしながら新しいビジネスの可能性を探っているようなイメージです」
コンテンツを通じて出会った人とコラボレーションして、バンクチュールを体験できるような施設をつくれるかもしれない。過去にはショールームでアートの展示会を行ったこともあり、そういう機会もどんどん増やしていきたい。
お風呂という枠すら飛び越えて、柔軟に発想していってほしい。
「自分の仕事でブランドの価値を左右できるところが、一番の醍醐味かなと思います。ブランドが多くの人に知られるようになったとき、自分が育てたんだと思えたら、すごくおもしろいじゃないですか」
次に話を聞いたのは、ブランドマネジメント係で一緒に働くことになる佐藤さん。
もともと派遣社員として2017年から勤務。数年後に声がかかり、正社員となった。
「温泉やスパがすごく好きで、お風呂での過ごし方には興味がありました。家のお風呂って長くは入らないし、いかに汚さないか、効率を考えてしまいがちだけど、そこがいい場所になったら生活のクオリティが上がるはず。それがビジネスになるって、すごくおもしろいなと思いました」
最初のころは、やることの幅広さに苦労することが多かった。
外部のクリエイターと企画を練ることもあれば、自らコラムを書いたり、施工事例の写真を撮影したり。お客さん向けのプレゼン資料も作成する。
「デザインもライティングも企画も、商談で話ができることも必要。どこから手をつけていいか、どういうスキルを自分が身につけたらいいか、わからなくなってしまいました」
佐藤さんがとった解決策は、インテリアコーディネーターとインテリアプランナーの資格を取ること。
未経験から勉強し、資格を得たことで、お客さんへのトータルな提案に役立っている。営業担当のスタッフとも、対等に話ができるようになった。
資格取得の際にパースの描き方を学んだことで、バンクチュール・マガジンにはスケッチも採用。
「理想のお風呂の話って、なかなか上手く引き出すのがむずかしくて。あるとき、一度描いてみましょうか? と提案しました。スケッチを見せることで想像しやすくなって、話を引き出す材料になるんですよね。打ち合わせもスムーズに進むようになりました」
自ら必要なことを見つけて学び、着々とスキルを伸ばしてきた佐藤さん。
これから入る人も、すでに得意分野があればそこから広げられるし、経験は浅くても能動的に学ぶ姿勢があれば、いろんなことを吸収していけると思う。
「わたし、結構口下手なほうなんですけど。伝えるのがあまり得意ではなくても、ちゃんとその背景から話をすると、自分のアイデアをきちんと聞いてもらうことができる。それぞれの『こういうのはどうかな』っていうアイデアを重ねてものづくりができるのは、やりがいがあるなと思います」
「その話でいうと、印象に残っている出来事があって」
そう続けるのは、鶴見さん。石川の本社からリモートで参加してくれた。
所属は、本社のコミュニケーション戦略室。広報のほか、Webコンテンツや商品企画など、全5事業部のクリエイティブに横断的に関わっている。
「バンクチュール事業部の企画では、『Maison de Baincouture(メゾン・ド・バンクチュール)』というプロダクトブランドの立ち上げから関わりました」
余剰タイルを再利用したソープディッシュやフラワーベース、お風呂でのメディテーションに使用できる和蝋燭など、オリジナル商品を販売しているブランド。
「リリース直前で、パッケージに使う予定の厚紙を仕入れるのが難しいとわかって。三谷や佐藤も一緒に、メンバーみんなで意見を出し合いました」
都内の紙のショールームにすぐに集まって検討し、スピード感を持って決定することができたそう。
「ピンチのときにそういう連携ができるチームで良かったなと。みんなで一緒につくっているっていう意識がしっかりあるのを感じられました」
鶴見さんとブランドマネジメント係は、どんなふうに関わっているんですか?
「うちの部署は社内代理店のような立ち位置なんです。『まず事業部としてどうありたいか』を尊重して、それを実現する方法を一緒に考えます。それがあまりにも、母体のニッコーから逸脱するときには意見するかもしれませんが、基本は事業部の意思を優先したいですね」
「お風呂に限らず、陶磁器事業部と連携してお皿から食に関わるとか、寝るときのウェアの開発とか、広く生活に展開していくこともできると思うので。そういう広がりにおもしろさを感じられる人だといいなと思います」
まだ発展途上のブランド。だからこそ、形が決まりきっていない柔軟さを楽しめる人が向いていると思う。
最後に、三谷さんはこんなふうに話していました。
「プールサイドっていう言葉があるじゃないですか。そこでの過ごし方もイメージしやすい」
「でも、『バスサイド』っていう言葉はないんです。だから自分たちでつくったらいいんじゃないかって」
家をつくるとき、まだまだお風呂の優先度は高くないのが現状。ほかの間取りが決まってから設計するとなると、クリエイティブなものは生まれにくい。
バンクチュールが提案するのは、『bath side living』という新しい考え方。お風呂での過ごし方を充実させたいと思う人が増えれば、家のつくりから変わっていく。
「たとえばアイランドキッチンが広がって、そこが中心のコミュニケーションが生まれたように。バスサイドリビングとしてお風呂まわりの価値が上がることで、新たな暮らし方が生まれるかもしれません」
「ブランドを大きくすることに加えて、そういう文化をつくりながら、社会の価値観を変えていける可能性がある事業だと思っています」
記事を読んだだけでは、バンクチュールが提案するお風呂をイメージしきれない人もいると思います。
今はまだ浸透していない、新しい価値観を発信していく仕事だから、当然のこと。
でも、なんだかおもしろそう、と可能性を感じられたら、ぜひサイトやショールームを覗いてみてください。
バンクチュールの雰囲気をいいなと思えたら、きっとやりがいのある仕事ができるはずです。
(2024/5/27 取材 増田早紀)