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「私は、器用貧乏で何かを極めるのが得意ではないんです。でも鯖江には、プロフェッショナルがたくさんいる。そんなプロたちの技術や魅力を最大化する役割にはなれるのかなって思っています」
そう話すのは、TSUGIでプロジェクトマネージャーを務める草葉さん。
合同会社ツギは、ものづくりのまち福井・鯖江を拠点にし、地域に深く入り込み、ともに考えながらデザインする会社。
地域の職人や事業者と伴走しながら、企画から商品化、販売の場づくりまでをデザイン。鯖江が全国の産地のモデルとなることを目指し、前向きな変化を生み出しています。

今回は、そんなデザインの周りを支えるプロジェクトマネージャーを募集します。
そもそもどうしてつくるのか。常に本質を見つめて、デザイナーがデザインに集中できるように導く存在です。
経験は問いません。地域に深く入り込み、デザインの根っこから一緒につくっていきたい、そんな仕事にピンときたらぜひ知ってほしいです。
東京駅から福井・鯖江駅までは、乗り換え1回で済む。
まず北陸新幹線で福井駅へ向かい、電車に乗り換えて15分ほどで到着する。
鯖江市は、眼鏡をはじめ漆器や繊維など、多種多様なものづくり産業のまち。改札では赤いメガネのマークが迎えてくれた。

ここからは、スタッフさんに送迎してもらい、漆器の工房が集う河和田エリアへ向かう。
15分ほどでTSUGIのオフィスに到着。1階には、自社で運営するショップ「SAVA!STORE」も入っている。

3階のオフィスで迎えてくれたのは、代表でクリエイティブディレクターの新山さん。
日本仕事百貨で、何度も取材している新山さん。毎回軽快に答えてくれるので、テンポよく話が進む。

今年で設立10年目になるTSUGI。
大きな特徴は、地域に特化して幅広い分野のデザインをすること。そして販売、流通まで手がけていること。
「インタウンデザイナーと名乗っていて、逃げも隠れもせずに、福井県や鯖江のまちにコミットするデザイン事務所なんです」
大学生のころ鯖江に出会い、鯖江市役所での勤務を経て、TSUGIを設立した新山さん。
「はじめは、まちづくりがしたくて鯖江に来たんです。でも産地の職人さんに、『まずはものづくりを元気にしないと、まちづくりにはならん』と言われて、たしかにって」
職人がつくるもの自体には技術も価値もある。けれど、それだけでは届かないし、伝わらない。そこには、デザインの視点が必要だと感じた。
「ものづくりを元気にするには、つくるだけでなく、流通まで考えられるデザインが必要なんだなと。それがTSUGIの取り組みにつながっています」
いわゆるデザイン業務に加え、商品の届け方や広め方まで見据えた活動も積極的に手がけている。
たとえば、毎年100以上の工房を一斉に開放する体験型イベント「RENEW」や、産地のものづくりを直に伝え、福井の産品を販売している「SAVA!STORE」。
「Sur(サー)」という眼鏡の端材を活用したアクセサリーや、福井県にあるカーテンメーカーと一緒に製作した、特殊生地を使ったトートバックなど、オリジナルブランドにも力を入れている。

デザイン事務所と一括りにできないほど、手がけるもの・ことは幅広い。行政からの依頼も増え、長期的に伴走するプロジェクトも多くなっているという。
まちとしてのポテンシャルをTSUGIが掬い上げ、発信しているから、さまざまな方面から依頼が来るんだと思う。
その一つが、「フクション!」という福井県の福祉プロジェクト。
福祉に新たなアクションを起こすプロジェクトとして2020年にスタートし、商品開発の支援や、仕事のマッチング、イベントなどで情報発信をしている。

TSUGIは、プロジェクトの立ち上げから、WEB記事の制作、イベント企画など、多岐に関わってきた。
「これまではTSUGIのビジョンに、福井を創造的な地域にすることを掲げてきました。それを今年の6月から『福井を、変化と創発の地域モデルへ』と変えたんです」
どうして変えたんでしょう?
「福井って、時代に合わせたものづくりをずっと続けてきた場所。だから常に変化し続けている。その変化を、僕ら自身も担っていきたいと思っていて」
「ただ僕らだけでなく、事業者さんや行政、地域の人たちも一緒に考えていきたくて。将来的には全国の地域のモデルになりたいと思っています」
そんな想いに惹かれ、一緒に働く仲間も増えてきた。現在は23名のスタッフが働いている。
「TSUGIのプロマネには、財務出身の子もいれば、マーケティング出身の子もいる。いろいろな人がいていい会社にしたくて。お互いを補完し合えて、クリエーションの視点を持ち寄れたら、きっとTSUGIという集合体として、もっと面白くなると思うんです」
現在、プロジェクトマネージャーは2名。未経験からプロマネを務めているそう。
どんな人たちが働いているんだろう。
次に話を聞いたのは、入社2年目の草葉さん。
前職では、千葉県で地域創生の仕事や、東京のインフルエンサーマーケティングの会社で働いていた。

「地域創生の仕事をしていると、全国どこでも、ご飯が美味しい、人が優しいとかPRは大体同じ。印象に残らないものが多いなと感じていました」
「そんななかで、『SAVA!STORE』に来る機会があったんです。福井のものだけを扱って、デザインを通して地域の魅力をしっかり伝えているのを見て、これがデザインの力か!と驚きました」
マーケティングの仕事にもやりがいを感じていたけれど、流行に合わせてコンテンツをつくり、消費されていくことに違和感を持つように。
「そのときに、TSUGIを思い出して。ここでなら自分の興味や想いを活かせると思ったので、新山さんに『働かせてください!』って直談判したんです(笑)」
直談判! 実際に働いてみて、いかがでしょう?
「毎回わからないことだらけ、一つとして同じ案件はないですね。日々手探りなので、新しいことや知らないことに興味を持てる人は向いていると思いますよ」
年間で受ける案件は90から100件ほど。単発の小さなデザイン依頼から、数年単位の大きなプロジェクトまで、常に20件ほどが走っている。
プロジェクトマネージャーは、主に関わる人数が多い案件に携わり、社内のデザイナーとチームを組んで進めていく。
新しく入る人は、まずは先輩のプロマネにつきながら、会議の議事録を取ったり、TODOリストを作成したりして、プロジェクトの流れを覚えていく。慣れてきたら、興味のあるプロジェクトを任せてもらえるそう。

印象に残っているものとして紹介してくれたのは、ショッピングセンターのLUMINEと福井県のコラボレーション企画。
当初は、シンガポールにあるLUMINEでSAVA!STOREのポップアップをするという依頼だった。
「担当者の方が『福井の伝統工芸とほかの産地は何が違うんですか?』って真っ直ぐ質問してくれて。まずは知ってもらうことから始めました」
紹介していくうちに、SAVA!STOREのみならず、福井県のさまざまな工芸品を扱うことになり、ブースのディスプレイをTSUGIが担当することに。
「企画の方向性が決まったら、次はどんな商品をどう配置するか。デザイナーに空間をデザインしてもらうために、フロアにあるテナントや客層を事前に調べて、お客さんが興味を持ってくれそうな商品を考えたり。海外への出展なので関税の書類とかも確認しました」
地道な調整の積み重ねが、最終的には展示そのものの完成度を左右する。表には出にくいけれど、プロマネの存在が欠かせないことが伝わってくる。

「後日、プレスリリースの写真でお客さんの様子を見て、自分が動かしたものが、海の向こうの人にも喜ばれているのを知って。実際に商品の売上も好調だったので、すごくうれしかったですね」
いまだにLUMINE担当者の方とも関係性が続いていて、福井県に出張があるときは会いに来てくれるんだそう。
「TSUGIのクライアントさんは、みなさんリスペクトをもって依頼をしてくれる。こちらも困っていたら、素直にわからないですって聞くと教えてくれることが多いんです。いい関係づくりを心がけているので、仕事がしやすいと思います」
「鯖江にいると、何でもつくれるじゃんって思えるんです。デザインはできないけれど、自分も何かつくってみたい気持ちが湧いてくる。最近は、近所にある昔から続いている酒屋さんと一緒に角打ちが企画できないかなって考えるようになりました」
鯖江には、若者の移住者も多く、シェアハウスが5棟ある。TSUGIのメンバーはそこに住んでいる人もいれば、福井市内から通勤している人もいる。
それぞれが心地よい距離感で関わり合って、何かが生まれていく。鯖江のまちにはそんな文化がすでにある。
最後に話を聞いたのは、入社4年目の常松さん。
出身は福島県で、以前は東京の会計事務所でクライアントの決算申告やシステムの導入支援などに携わっていた。

「プロマネの仕事は、ただの調整マンというよりは、デザイナーを導いて、プロジェクト全体を動かす役割だと思うんです」
大きな方針は代表の新山さんとアートディレクターが決める。その下でのプロジェクト進行は、プロマネに裁量がゆだねられている。
現在、常松さんが進行している案件は6つ。
「毎年依頼が来るプロジェクトも多いのですが、ルーティン化しすぎるのではなく、ちゃんと本質を見続けないといけないと思っていて。目的は何か、都度立ち返ることを意識しています」
常松さんが入社してから毎年担当しているのが、「F-TRAD(エフトラッド)」。
福井県の伝統工芸品を現代のライフスタイルに合わせてアップデートすることを目指したプロジェクト。TSUGIが全体のディレクションやコーディネートを担当している。

4年前から始まり、福井の伝統工芸の職人たちと、県外のデザイナーがコラボして新たな工芸品が毎年生まれている。
「順調そうに見えても、職人さんもデザイナーさんもお互いにうまく意見を言えなくて、相談を受けることもあって」
いいものをつくりたい、その想いは共通しているからこそ、まずはいい関係を築くサポートをしていく。
「県外のデザイナーさんには、まず福井に来てもらうんです。担当の現場だけじゃなく、1泊2日かけて漆器や箪笥、和紙など、福井の伝統工芸を知ってもらう。背景を理解してもらったうえで関わってもらうことを大事にしています」
夜には、ざっくばらんに話ができる飲み会を設けたり、月に1度は共有会を開いたり。この場でぐっと距離が近くなって、プライベートでも飲みにいく関係になった職人とデザイナーもいるそう。

「さまざまな人の意見を聞いて、板挟みになることもあって、大変だと感じることもあります。でもいやではなくて。ちゃんとお互い納得感を持って進めていくと、関わっている人たちが幸せになっていく、それがうれしいんです」
TSUGIに依頼が来るものは、産地の持続可能性を高めるものばかり。そんなプロジェクトに伴走できるやりがいは大きいと思う。
関わったものが形になり、まちのなかに息づいていく。その変化を間近で感じられるからこそ、この土地で働き、暮らすことがより楽しくなる。
思い切って飛び込んで、このまちのデザインの根っこを支える存在になってみてください。
(2025/08/20 取材 大津恵理子)


