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同じものを買うなら
上機嫌なあなたから

「山崎文栄堂さんは何屋さんですか?」

山崎文栄堂のみなさんは、お客さまからよくそう聞かれるそうです。

渋谷で創業して104年、誰もが知るオフィス用品通販「アスクル」の代理店でもある山崎文栄堂。でも、文房具だけに興味がある人だと、ちょっと合わないかもしれません。

営業のみなさんの肩書きは「お役立ち営業」。

オフィスで必要な“モノ”に限らず、組織づくりや書類整理、SNS発信など、“コト”のサポートも積極的に行います。

たとえ直接自社の利益にならないことでも、親身にお客さまの相談に乗り、解決の手伝いをしていきます。

それに加えて最近は、社会貢献活動で農家さんと手を取り合い、食と健康の新規事業にも挑戦中。

目の前の人の役に立ちたい。その気持ちを持って丁寧に関係性を築いていれば、いつか自社の利益としてかえってくる。そんな考え方をベースに動く会社です。

物や情報があふれている今の時代、どこから買っても届く商品は同じ。だからこそ、人としての魅力で選ばれる会社に。

純粋な気持ちで「人の役に立つ」ことに向き合い、お客さまの「こうありたい」を実現していくことができる環境です。

 

渋谷駅から徒歩3分。

多くの人や車で賑わう明治通り沿いに、山崎文栄堂のオフィスがある。

ビルのエレベーターに乗り込むと、隣にいる方の顔に見覚えが。山崎文栄堂の代表、山崎さんだ。

とても気さくな方で、お話ししながら7階へ。

到着すると、すぐにオフィスの入り口。山崎社長が、スタッフのみなさんを呼びに行ってくれた。

オフィスの一角にあるテーブルで、最初に話を聞くのは、本部長の櫻井さん。

新卒で入社して22年。大学は造園学科で学んだものの、まったく異なる分野の山崎文栄堂に就職した。

「就職活動で魅力的な会社が見つからなくて、社会に出ていく希望がもてなくなっていたときにこの会社を知りました。『おしごとたのしく』っていう当時のテーマになんだかわくわくして、連絡してみたことが入社のきっかけです」

山崎文栄堂は、1920年創業の老舗企業。

もともとは渋谷にお店を構え、長年文具・事務用品を販売していた。しかし時代の流れとともに経営状況が悪化。1990年代、藁にもすがる思いで飛び込んだのが、アスクルの代理店事業だった。

熱心な売り込み営業の結果、20年間で売上はなんと50倍に。でも、社員は疲弊し、離職率も高い状況だったという。

櫻井さんは、そんな時代から会社を見てきた。

「昔は新規開拓しかやっていなかったですし。どうすれば目標を達成できるのか、自分のことだけを考えているような毎日でした」

「そこを越えて、今は、チームで助け合って業績を上げながら、同時に社会貢献活動を行うという、まったく考えの違う会社になりました」

いただいた名刺の肩書きには、「お役立ち営業」と書いてある。

「お役立ち」って、わかるような、わからないような…。

「そうですよね(笑)」と、櫻井さん。

「日本の商売の原点にあるのって、近江商人の『三方よし』の考え方なんですよね。さらに大切にしているのは、相手に先に喜んでいただくことです。結果として後から利益につながって、商売が成り立っていく。そういう循環を私たちは仕事のなかで体験していて」

山崎文栄堂は全国に1400社あるアスクル販売代理店の中で、売上10位に入るトップエージェント。大企業から中小企業、個人事業主まで、法人取引は3万8千社にも及ぶという。

「商品の売買差益で利益をいただくのではなくて、私たちは経営層から現場の方まで、『会社を良くしたい』というそれぞれの思いを実現するお手伝いをしています」

オフィスのレイアウトを変えたい、整理整頓に困っている、会社HPのリニューアルをどこに相談したらよいかわからない。

アスクルの事業と関連性のある要望もあれば、そうでないものもある。

お客さまの役に立つなら、どうしたら実現できるか考え、行動する。それが、山崎文栄堂のやり方。

「最初は、お客さまと仲良くなることを何より大事にしていて。この人にまた会いたい、また相談したいと思っていただき、名前を呼んでもらえる関係になっていく。そういうステップを大事にしています」

お客さまが新たなお客さまに山崎文栄堂を紹介してくれたり、転職した先からまた問い合わせをくれたり。営業スタイルは変わっても、新規の取引が増え続けているという。

年末に新たなサービスとして立ち上げたのが、「オフィス顧問」。

会社の顧問弁護士や社労士がいるように、オフィスに関する困りごとを気軽に相談できる、契約型のサービス。

ファイリングや在庫管理の仕組みの構築、SNSやブログなど情報発信代行など。やりたいけど手が回らない、という中小企業の細々とした業務を継続的にサポートしている。

「『会社を良くしたい』という想いを実現していくことが、私たちのお役目であり、やりがいでもあります。おかげさまで多くの法人企業さまとつながりがあるので、1社1社が元気になっていくことは日本の元気につながっていくんだと、より大きな志をもって取り組んでいます」

「うちは、会社にいるときだけ頑張るっていう価値観の人だと合わないかもしれません。もちろん定時はあるんですけど、『こうしたらあのお客さま喜んでくれそうだな』『どうしたら希望を実現できるかな』と、自然と考えてしまったり、勉強や情報収集するメンバーが多いですね」

 

前回の日本仕事百貨の記事をきっかけに入社したのが、入社2年目の成松さん。地元の熊本から上京してきた。

「もともと売上重視だったところから、会社が本当に変わっているんだって記事から伝わってきて。わたしも、競いたいわけはなくて、みんなで助け合いながら全体が良くなっていくことを大事にしたいと思っているので。自分にヒットして、ここで働きたいなと思いました」

「お仕事を探している方々に、あたたかい情報を届けられたら」と続ける成松さん。自然とそんな言葉選びができるところに人柄を感じる。

山崎文栄堂は、基本的には二人一組でお客さまを訪問する。仕事が属人的にならないためであり、社員教育のためでもある。

お客さまとの面談時間も、その後のフィードバックも教育の一環と捉えていて、新入社員が社長と同行することもあるという。

入社1年目に、先輩と一緒にお客さまのオフィスのレイアウト変更をサポートした成松さん。現場で採寸をしたり、購入する家具の選定を手伝ったり。

でも、社内でのコミュニケーション不足が原因で失敗をしてしまったという。

「そのとき一番覚えているのが、『失敗はない、フィードバックがあるだけ』っていう先輩からの言葉。たとえ失敗しても、挑戦してフィードバックをもらうことで、自分のいいところにも、もっと成長できるところにも、気づけるんだなとわかりました」

「あと、上機嫌でいることの大切さを実感しました。入社して最初に、大事にしてほしいって教わったことなんですけど」

上機嫌?

「失敗したときって、世界の終わりみたいに感じるんです(笑)。そんなときでも、上機嫌でいること。失敗してしまったことはしょうがないから、そこから前向きにどうしていくかが大事なんだって、気づかせていただいて」

「自分で自分の機嫌をとるって、余裕がないと思っている以上にむずかしいんですよね。そのためには、自分自身が心身ともに健やかでないといけない。社会人として、人として、それってすごく大事なことだなって感じています」

 

続けて話を聞いた宮地さんは、2013年に入社して11年目。営業のほか、SNSやYouTubeの発信、採用活動チームに入るなど、幅広く活躍している。

「最近は、長くお取引のあるお客さまを改めて訪問しているところです。もう一度お会いして感謝を伝えたり、私たちのこの数年の考え方や取り組みをお話したり、お困りごとを聞いてお役に立っていこうという期間です」

お役立ち営業を通じて最近相談をもらったのは、”ナレッジブック”という会社文化のルールブックの作成。

中途採用が多い外資系メーカーのお客さまが、なかなか企業文化が根付かないという課題を感じていた。

「礼儀礼節や会社のアイデンティティを社内にあらためて浸透させたい」という話を聞き、宮地さんが紹介したのが、山崎文栄堂の社内教育用のナレッジブック。

会社の文化や教育の土台になるものとして必要性を感じたお客さまに伴走し、内容の制作から印刷まで携わって形にした。

「仕組みや枠組みの中にはないサービスでも、信頼関係を築いてその人のお困りごとにお役に立ち、喜んでもらう。その実績があると、何か困ったときにまた顔を思い出してもらえたり、山崎文栄堂さんから購入しようって思ってもらえるんです」

そんな本業のかたわら、仕事として社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。

オフィスで事務作業をしている日もあれば、農業の活動をしている日、ときには海外での自然から学ぶ体験やフィールドワークに行くことも。

「実はもともと農業に関心があったわけではなかったんですけど、活動を通じて日本の農業や地域の課題に興味を持ち、自分ごととして捉えられるようになりました」

「食がはたらく大人たちにものすごく影響していること、そして子どもたちへの食育の大切さを実感して。農業から私たちが学ばせてもらえること、農業に対してもできることがあるとわかり、連携して一緒によくしていきたいと思いました」

屋久島の耕作放棄地で、ほかの中小企業の社員とともに農業をしたり、地域の農家さんの販路をつくる手伝いをしたり。最近は新規事業として、農薬化学肥料を一切使わない、安心安全なお米を法人企業に提供する取り組みもはじめている。

訪問のときにそういった話をすると、興味を持ってくれるお客さまも多いという。

「社会貢献って一般的には”会社がやっている”イメージがあるかもしれませんが、山崎文栄堂では社員一人ひとりが地域や社会課題を自分ごととして捉えて、行動しているんです」

「一社員からそういう視点の話が出ることに驚かれる経営者の方もいて。自分の会社でもそういう人材を育てるためにどうするか、みたいなやりとりが生まれることもあります」

社会貢献活動から得たものが、回り回って本業にもつながっている。

さまざまな経験を通じて、視野が広がっている感覚があると話す、宮地さん。

「最初は自分視点で考えていたところから、お客さまに喜んでもらえてうれしいって気持ちが生まれて、今では地域社会、日本のことも身近に感じられるようになって。一歩一歩積み上げてきたなかで、自分ごとに感じられる幅が広がってきているのが、すごくおもしろいです」

「人生で語れることが多いのは、豊かだなって思います。おしごとと社会貢献、両輪での経験を通じて話せることがある。自分は子どもがいるのですが、大人になったらこんなに楽しいよ!って背中を見せることで、希望にもなると思っています」

 

相手のために心から役に立ちたいと思っているのか。思っているだけではなく、形にするために一緒に行動してくれているのか。きっと相手には、すぐに伝わること。

根本となる人としての魅力を高めるために、山崎文栄堂ではいろんな経験や教育に力を注いでいるのだと、話を深堀っていくなかでよくわかりました。

自分の価値観に近いと感じたら、まずはぜひ話をしに行ってみてください。きっと温かく迎え入れてくれると思います。

(2024/02/27 取材 増田早紀)

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