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まちの姿を変えるのは

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「まちづくり」って一体何なんだろう。

よく耳にするようになった言葉だからこそ、不思議に思うことがあります。

まちという単位も目指していることも、個人で捉えるには少し大きすぎて、イメージしにくいところがある。

そんなことを考えていたら、株式会社花咲爺さんズ代表の加藤さんは、こんなふうに答えてくれました。

「たとえば、僕らが関わるプロジェクトで出会った人たちが、新しい仕事をはじめたり朝一緒に走ったり。新しい交流が生まれているときに、確かにまちが変化していると感じます。だからやっていることは小さな一歩でも、この仕事って楽しいなと思うんです」

株式会社花咲爺さんズは、イベントの企画運営を中心にまちづくりに取り組んでいる会社です。

イベントの企画から関係者との調整、当日の設営・運営まで携わる仕事は様々ですが、その背景には大きな愛情が流れています。

関わる人のことを真剣に考え、関係者同士を繋ぎ、全員にとって良い方向を考える。

今回は、ビジネスニュースを専門に扱うメディアと共同で行うイベントの企画運営を担当する人と、地域コミュニティの醸成など総合的にまちづくりに関わるプランナーを募集します。



東京・品川。

駅前の喧騒を抜けて15分ほど歩くと、倉庫をリノベーションした建物が見えてくる。エレベーターで4階に上がり、奥にある花咲爺さんズのオフィスへ。

前回伺ったときは、まだ設立して間もなく社員も少なかった。

今回は、扉を開けると賑やかな話し声。前回の日本仕事百貨での募集を経て、現在は10名ほどが働く会社へと成長した。

加藤さん、だいぶ賑やかな雰囲気になりましたね。

「そうですね。それぞれがいろんな役割で動いていて、会社っぽくなってきたなぁと感じています」

加藤さんがイベント制作会社やまちづくりのコンサルティングを行う会社での勤務を経て、独立したのは3年前。

それから現在まで、変わらず手がけているのが品川シーズンテラスのエリアマネジメント事業。

品川シーズンテラスは複合施設で、広大な芝生の広場と約1万4000人が働くオフィスが入り、近隣にはおよそ5万人が暮らすタワーマンションが立ち並ぶ。

花咲爺さんズでは、季節やニーズに合わせて、この場所で行われるエリアマネジメント活動を事業者・関係者と話し合う。計画が決まると、具体的にイベントの企画・提案を行い、合意を得たら実際の制作に入っていくそうだ。

「品川にはソニーやマイクロソフトなど名だたる企業も集結しているのに、その資源を活かしきれていない。朝の通勤ラッシュのときには、人の行き来が多く、周辺に住む住民との関係もぎくしゃくしてしまっていました」

そこで加藤さんが担当したのが、住民と周辺企業のワーカーが一緒になって楽しめるハロウィンイベント。企業や地域に住んでいる人たちを巻き込んで、何が必要か夜な夜な打ち合わせをしたという。

当日は企業で働く人がバンド演奏をしたり、仮装した子どもたちがパレードをしたり。夜には、広場に設置した巨大スクリーンで映画を上映する企画も行った。

個人同士のつながりはもちろん、企業同士が出会って新しいビジネスがはじまることも。今では行政や地域にある企業、小学校などを巻き込み、実行委員会のメンバーも増えた。

イベントに参加することで、まちのファンになる。ファンが増えて地域の魅力が高まれば、訪れる人や、住みたい・働きたいという人も増えていく。

結果、クライアントであるデベロッパーやオフィスを構える企業など、関わる人全員が価値を感じられる循環をつくることで、品川エリアのまちづくりが進んでいく。

こうして言葉にすると簡単に聞こえるかもしれないけれど、目の前の相手の気持ちや地域のこと、その先にいる人々のことまで想像しながら、地道で丁寧な関わり方が求められる。

「いろんな人の思いが交差するので、まとめるのは大変ですよ。ダメになった企画もたくさんあります(笑)でもいろんな関わりが生まれるし、密な関係で一緒に場を盛り上げていけるのは、この仕事のやりがいだと思います」

まちは人の活動でできている。そんなことを体感できる仕事だと思う。

最近では、品川以外にも各地で声をかけられることが多くなったという。たとえば虎ノ門や紀尾井町、渋谷など。

プランナーとして新しく入る人には、加藤さんと同じように、その地域ならではのイベント企画やコミュニティづくりから、まちをどんなふうに変えていくか考えてほしい。

さらに今回は、ビジネスニュースメディアから依頼されるイベントの企画運営を担当する人も募集する。

「現在、ビジネスニュースメディアはWebの活動だけでなく、他企業とタイアップしながら数多くのイベントを開催しています。イベントを通して、ビジネスのきっかけにもなるコミュニティをつくることが目的です」

ビジネスにつながるコミュニティ。具体的に、どんなイベントが開催されるのでしょうか。

「ワークショップなどを開催することもありますが、基本的には、ゲストとメディアの読者を招いたトークセッションと懇親会がセットになったものが多いですね」

「先日は、経理や人事などバックオフィス部門で働く方々が集まるイベントを開催しました。バックオフィスが会社経営に貢献している事例を紹介することで、裏方と思われがちなイメージを変えていければと考えました」

さらに懇親会では参加者同士が悩みを共有したり、同じ仕事をしている知り合いができるきっかけにもなったそう。

ビジネスパーソン同士、企業同士のコミュニティがイベントを介して生まれている。

とはいえ、ビジネスニュースメディアがイベントでタイアップする企業は、カード会社から自動車メーカーまで実に幅広い。ときには、抽象的な要望からイベントを形作っていくこともある。

イベント制作の経験がない人でも大丈夫ですか?

「最初からすべてできなくてもいいんです。でもまずは相手が何をやっている会社なのかを把握して、事例を探すとか、とにかくアイディアを出す。その上で相手の反応を見ながら『それいいかも!』と言ってもらえるものを探っていきます」

3ヶ月じっくりと準備できるイベントもあれば、1ヶ月程度で駆け抜けるイベントもある。毎日、めまぐるしく過ぎていきそうだ。

単体で捉えると、単なるイベント制作が続き、まちづくりとの関連が見いだせないかもしれない。だけど加藤さんはその先に目指すものがあると言います。

「イベント運営にはいろんな企業や団体が参加していて。町会はもちろん、学校や美術館が参加することもあります」

「僕らはオープンイノベーションのような形で、関わる人同士がお互いに知識や技術、資源を提供しあってみんなでまちをつくっていこうと考えていて。それを実現するには、ビジネスコミュニティと関わりを持ったり、新たなテクノロジーの動向がわかるビジネスメディアのイベントはとても大きな糧になると思います」

だからビジネスの世界もまちづくりも、両方をまたにかけて関わってみたいという人ならきっと楽しめると思う。



一緒に働いている人にもお話を聞いてみたい。

「よろしくお願いします」とおだやかな笑顔で迎えてくれたのは、前回の募集で入社した石山さんです。

前職では企業のブランディングをする会社でグラフィックデザイナーとして働いていた。

「働くうちに、自分はデザインよりも、関わる人が楽しくなる環境をつくりたいと思って。まちづくりなら、関わる人のモチベーションも上げていけるかもしれないと思ったんです」

現在は、品川からも程近い高級住宅地、御殿山のエリアマネジメント事業に関わっている。先日行われた「御殿山さくらまつり」の話をしてくれた。

御殿山は江戸時代、桜の名所として多くの人で賑わった場所。今は原美術館があり、ソニーが戦後大きく成長していった土地でもある。

そんな背景から、アート&テクノロジーをテーマに江戸から現代までの御殿山を体験できるイベントを開催することに。

ホテルやオフィス、庭園などからなる複合施設「御殿山トラストシティ」が舞台となった。

桜のライトアップに加え、当日はトイドローンカメラを使った撮影体験ができたり、盆栽のワークショップが開催されたり。近隣の学校の生徒たちがキッチンカーのメニューを企画したりと盛りだくさんの内容だったという。

石山さんは、培ってきたデザインの力を活かしてポスター制作などを担当。イベント当日の設営にも初めて参加した。

「3日間の会期中、各コンテンツを設営するにあたって御殿山は風が強いということは事前に把握していました。様々なケースを想定して、晴れている日と雨の日、風が強い日と3つの配置プランを考えていたんです」

入念な準備をしていても、想定外の事態は起きるもの。

実際に開催してみると、予定以上に配置に時間がかかったり、少し離れた場所で開催するコンテンツへの誘導を調整する必要があったりと多くの課題が出てきた。

「1日目の夜にすぐ話し合いをして、2日目からは集客の難しかったコンテンツの場所を移動するなど、臨機応変に対応しました。そのぶん大変でしたが、いい経験になりましたね」

柔軟な対応は、チームワークが取れているからこそできること。花咲爺さんズは、社歴などに関係なく、互いの意見を尊重してくれる場所だと石山さん。

「加藤さんはいつも『どう思う?』って意見を聞いてくれるし、伝わりにくいと思う、というような率直な意見も受け止めてくれるので働きやすいです」



続いてお話を伺ったのは、社内最年少の青柳さん。社内ではみんなの妹分として愛されているそう。

「最初から決まったやり方がなくても、まずはやってみることが必要だと思います。私も今はそういう感じです」

青柳さんは、御殿山さくらまつりに出店してくれるお菓子屋さんの選定を加藤さんに任された。

もらったのは「アートとテクノロジーを感じられて、商品の見た目もきれいなお店を探して」というざっくりとした指示だけだったという。

「とにかく20軒くらい、電話をかけまくりました。たくさん断られたけど、結果として3軒見つかって。小さなことでもおろそかにしないことが、イベントの運営には大事だと思います。その過程を自分で考えていけるのが面白いですね」



最後に、印象的だった石山さんの言葉を。

「私は、関わる人みんなが一緒に同じ方向を向いて、イベントをつくりあげていきたいんです。それが結果的にすごくかっこいいものじゃなくても、みんなが納得してつくりあげたものなら、長く続いていくと思うから」

こうやって地域に根付いていくものが、まちの姿を変えるのかもしれません。

いつかは自分でゼロからはじめたい人も、縁の下の力持ちになりたい人も。まずはここで力をつけてみませんか。

(2018/4/17 取材 並木仁美)
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