※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
「学生のころ、旅行や留学で海外に行くと『日本のものづくりってすごいよね、技術が高い国だよね』ってよく言われました。当時はまだものづくりについて何も知らなかったけれど、誇らしくて。それで製造業の支援につながる仕事に就きたいと思うようになりました」
そう話すのは、テクノポートで働きはじめて3年になる廣常(ひろつね)さん。
テクノポートはWebでの情報発信を通じて、製造業の“技術”に新しい可能性を見出すことをミッションとする会社です。
たとえば特定の電化製品生産のために開発された金属加工技術が、実はほかの製品や分野でも役に立つことがあるかもしれない。新しい市場や用途を探るためにはまず、その技術の存在を広く知ってもらう必要がある。
テクノポートはそんな発想で、Webサイトの制作や運用のサポートを行っています。
今回はここでWebマーケターとして働く人を募集します。製造業に対する興味関心があることが前提ですが、ひとつの分野を専門的に深めていくより、幅広く技術やものづくりの世界に携わりたい、製造業全体を盛り上げたいという人に向いている仕事だと思います。
またテクノポートは現在、フルリモートで業務を行なっているため、自分で学びにいく姿勢のある、セルフマネジメントが得意な人のほうが向いている仕事です。
一人ひとりが独立して案件を進めるので、自由な環境で、自分の思うスピード感で成長できる。
日々の働き方はフリーランスに近いですが、困ったときに助け合える仲間もいます。
今回は、大阪・梅田駅近くのコワーキングスペースから、各拠点とオンラインでつなぎながら話を聞かせてもらうことに。
まず代表の徳山さんは東京在住。
「うちはコロナ禍以前からリモートワークがメインでしたが、現在は完全にリモートで、北は北海道、南は福岡まで全部で10人のメンバーがいろんな地域で働いています。拠点は東京、名古屋、大阪の3ヶ所にありますが、必ずしもそれらの都市近郊に住んでいなくても大丈夫です」
就業時間は決まっているものの、合間で子どもの送り迎えや家事をするメンバーも多いという。徳山さん自身も双子を含む3人のお子さんの子育て中。
学生のころから自由な働き方を志向してきた徳山さんが、テクノポートを立ち上げたのは14年前。
当初のクライアントはほとんどが中小企業。長年、特定のメーカーの下請け生産に売り上げを依存してきたため、ニッチで高い技術はあるものの、自分たちで新しい顧客を開拓するノウハウがないケースが多かった。
「営業活動自体が初めてで、そもそも自分たちの強みが何かわからないという場合もあります。まずは、その企業が持っている技術を要素分解しながら、情報発信のあり方を一緒に考えていくようなイメージですね」
中小企業の場合は、潜在的なニーズをうまく捉えればWebマーケティングが企業経営に与えるインパクトが大きい。
近年はコロナ禍で展示会の中止が相次いだことをきっかけに、あらためてWebマーケティングに力を入れたいという大手企業からの相談も増えてきた。
すでに特定の分野で大きなシェアを持っている企業でも、その技術を転用することで新しい事業を開拓できる可能性を秘めている。
「たとえば最近は、自動車部品として開発されたセンサー技術を扱っていて。Webで情報発信をしてみたところ、それがロボットハンドの把持制御にも活用できそうだという可能性が見えてきました。大手企業の場合はそういう最先端の技術の使い道を一緒に考えていけるような刺激もありますね」
「今後、製造業のマーケティングに必要になるのは、どうやって海外に売っていくかという発想だと思います。弊社でも英語でのSEOや広告にも力を入れていきたいので、そういうグローバルな感覚で製造業に興味を持てる人が加わってくれたらいいですね」
テクノポートは、創業以来“製造業”に特化して実績を重ねてきたので、現場に寄り添う視点で提案ができることが強みでもある。
メンバーのなかには、製造業出身のスタッフもいる。
名古屋で働く永井さんは、もともと自動車部品の大手メーカーで設計の仕事をしていたそう。
「企業に所属するマーケターの場合は、自社の技術を専門に扱うことになるけれど、テクノポートではいろんな技術の情報発信に携われて、業界の横のつながりも知ることができる。そこが楽しいですね」
もともと、日本の技術研究を活性化させるための事業を起こしたいと考えていた永井さん。
自分自身でリサーチする時間を自由に組み立てられる今の働き方が、性に合っているという。
「弊社で必要なのは、技術に対する知識量というより、興味を持って好きになれる強い好奇心だと思います。この技術が気になっちゃってしょうがないので、ちょっと図書館に行ってきます! みたいに、自分でどんどん探求する姿勢のある人のほうが面白さを感じてもらえると思います」
「担当する客先の技術について、企業のWebサイトだけを見るのと、自分でも調べてほかと比較してみようと思うのでは、提案の質や成果がまったく変わってきますから」
相手のことを知ろうとする気持ちが、仕事の成果に直結する。
永井さん自身、そのことを実感する経験があったそう。
「入社当時は営業を担当していて、長い間成果が出ずにいました。あるときとうとう全く売り上げの見込みがないまま月末を迎えることになって。もう今月はゼロだ! って半分諦めた気持ちで、客先で提案もせず、ただただ話を聞いていたら急に契約がとれたんです」
「そのとき初めて、『これが営業か』っていうのを体感しましたね。こちらがちゃんと聞く姿勢でいれば、お客さんから積極的に課題を話してくれることがよくわかりました」
課題も、ヒントも、相手のなかにある。
それを引き出して、新しい分野に結びつける手伝いをするのがマーケターの役割なのかもしれない。
「基本的に、お客さんとの関係性さえ守っていれば、この仕事に致命的な失敗は存在しなくて。Webという媒体の特性上、低コストで実験や修正が可能だし、好奇心を持って自由にアイデアを試せる環境だと思います」
現在テクノポートでは、新規開拓の積極的な営業はしておらず、ほとんどが顧客からの紹介か、ウェビナーを通した問い合わせから案件がスタートする。
長期にわたって伴走していくことも多いため、新しい案件は若手のチャンスになりやすい。
入社して3年目の廣常さんも、20社ほどを並行して担当しているそう。
廣常さんは新卒で入社していて、入社当初から基本リモートワーク。関西在住でありながら、最も近い地域の先輩は名古屋の永井さんという環境だった。
最初から一人、という働き方はどうでしたか。
「永井は『いつでも教えるよ』っていうスタンスで接してくれて、いつも助けられているんですけど、最初は『こんな初歩的な質問をしていいのかな』って、チャットを送るのにも躊躇して時間がかかっていました。慣れるまでは正直ちょっと大変でしたね」
廣常さんは、大学では外国語専攻の文系出身。製造業は未知の分野でもあった。
金属や樹脂、ゴムなど素材や技術もさまざま。はじめは知識を早く覚えなければという焦りもあったそう。
「最初は本当にいろんなことを詰め込もうとしていたんですけど、やっぱり短期間で覚えた情報だけでは通用しないことも多くて。今は、お客さまと話しながら勉強させてもらう時間も大事にしようと思えるようになりました」
「お客さまから見れば私たちは外部の人間ですし、普段から一緒に汗を流しているわけでもありません。だからこそ、時間をかけてヒアリングをしながら丁寧に強みを探っていくようにしたいと思っています」
1年ほど前から廣常さんが担当しているクライアントのひとつが、大阪府守口市にある三興工業株式会社。
創業89年の金属加工の会社で、特に電池の部品加工で実績を重ねてきた。近年は「精密抵抗溶接」という技術を前面に出し、幅広い市場にアプローチしている。
その施策としてWebサイトのリニューアルをテクノポートで請け負うことになった。
廣常さんたちが注目したのは、三興工業で扱える素材のサイズや形状の幅広さ。それが視覚的にわかりやすいよう、サイト内では製品別に撮った写真を掲載することに。
また三興工業では、以前から自社の技術について発信したブログ記事が多くあったため、その技術を求める人にコンテンツが届きやすいようキーワードを抽出し、検索の条件設定などを見直した。
同じ業種、同じ技術であっても、企業が違えば強みも違う。保有設備や加工技術だけでなく、納期や検査設備など、その会社ならではの良さが伝わるように工夫していく必要がある。
実際に、テクノポートのサービスを利用している三興工業の代表保倉(やすくら)さんにも話を聞かせてもらった。
「やっぱり僕らのようなB to Bの製造業だと、取引先の情報セキュリティの関係で表に出せない実績も多くあって。B to Cとは違う視点でサイトをつくる必要があるんですよね。その点テクノポートは製造業に特化しているから、その説明が不要で話が早いという実感はありましたね」
サイトのリニューアルに着手したのが1年前。現在は新しいサイトが完成し、アクセス状況などを分析しながら、継続的に今後の施策を検討している。
もともと専門としていた電池の分野以外にも、医療部品やセンサーの分野から新たに問い合わせが来るようになったそう。
最近は売り先の開拓だけでなく、求人もWebを通して強化できるように採用ページを新しくしたところ。
Webのことならまずは相談してみようという関係性があるんですね。
「廣常さんは、なんせレスポンスがめちゃくちゃ早いんですよ。わからないことがあって問い合わせたら、すぐリアクションをくれる。誠実に対応してくれるから信頼もしていますし、経営に関わる社外秘の情報も共有しているくらいです」
保倉さんからの言葉に、廣常さんもホッとした表情。
「○○さんだから任せられる」と、会社だけでなく個人を評価してもらえる機会は、きっと次に進むエネルギーになるはず。
一人ひとりが会社の顔として案件に携わる働き方は、責任も大きいぶんやりがいもある。
主体的に考えて相手を思いやれる人なら、一緒に製造業の未来を描いていける仕事だと思います。
(2024/3/22 取材 高橋佑香子)