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誰に、どう届けるか
モノやサービスの手前
町工場の“技術”をつなぐ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

平面も立体も、発泡スチロールを使って自由自在に造形する技術。

1cmにも満たない、小さくて精巧なバネ部品。100分の1mmレベルの超精密な金属加工。

日本の町工場には、すごい技術がたくさんある。

とはいえ、技術はそれ単体では生かされない。製品やサービスの形になって、はじめて私たちの生活を豊かにしてくれるものです。

今回紹介するのは、ものづくりの現場と私たち「ユーザー」とを結びつける仕事。

テクノポート株式会社で、Webマーケティングの仕事に携わる人を募集します。製造業向けにWebサイト制作や運用についてのコンサルティングを担当する人を求めています。

Webの仕事の経験はなくても大丈夫。町工場の経営者と二人三脚で市場を見つけていく仕事なので、どちらかというと経営やマーケティング、ものづくりの世界に関心がある人に向いているように思います。

もうひとつ言うと、「いつか起業してみたい」という人にもチャンスが多い環境かもしれません。気になったら、ぜひ読んでみてください。


ゆりかもめに乗って、東京湾岸へ。テクノポート株式会社の事務所は東京湾岸警察署の隣、the SOHOというビルの中にある。
このビルは、いくつもの企業が同居するレンタルオフィス。エントランスにはレセプショニストがいて、ロビーも広々としている。

2階の共用スペースで代表の徳山さんに話を聞く。「きれいなオフィスで、いいですね」と伝えると、意外な答えが返ってきた。

「実は僕たち、週に1回しかここに出勤しないんですよ。客先に行ったり、一人で作業したりする時間が長い仕事なので、どこで仕事をしてもいいことになっています」

徳山さん自身も子育て中なので、デスクワークは自宅でしている。

「決まった時間に会社に行くよりも、自由で効率のいい働き方をしたい。そういうワークスタイルがいいなと思って、学生時代からいつか起業しようと思っていました。だからこの会社ではスタッフにもそういう働き方を推奨しています」

テクノポートを立ち上げたのは10年前。前職で企画から携わっていた「製造業向けWebソリューション」の事業を独立させる形で起業した。

主な事業は、ものづくりをしている人たちにWebサイトを使ったマーケティングやその運用についてのコンサルティングをすること。

ものづくりと言っても、伝統工芸などの表現の世界ではなく、いわゆる「町工場」のエンジニアに光をあてる仕事だ。

「町工場の多くは、長くメーカーの下請けとしてものづくりをしてきたので、ほとんど営業活動をしていませんでした。ただ、近年は海外の市場に押され、下請けの仕事も少なくなってきて。Webを使って、自分たちで仕事を取ってこようという中小企業が増えています」

営業活動で大切なのは、自分たちの強みを知ること。

徳山さんたちは、ものづくりの現場に出向いてヒアリングをし、誰に何を伝えるか、戦略を考えながらWebでの発信の仕方を組み立てていく。

「たとえば、あるクリーニングの加工場。革製品に関しては多くの実績があるんですが、ずっと下請けだったので名前が知られていなかった。エンドユーザーから直接受注できるよう、Webサイトをリニューアルしたいという依頼を受けて」

まず、「クリーニング」というキーワードでの検索傾向を調べていくと、革製品ではバッグなどブランド品の需要が高いことがわかった。

そこで徳山さんは、主要なブランドを徹底的に洗い出し、サイト内にブランド別のページをつくることに。

集めたブランドはなんと70近く。しかも個々のページには、それぞれのブランドの代表的なアイテムの特徴や、素材や柄に合わせたクリーニングの事例が掲載されている。なんと地道な…。

「むちゃくちゃ大変だったんですよ。これで、ほとんどのブランド名と『クリーニング』というキーワードを組み合わせて検索したときに、一番トップに来ます」

「布団や着物のクリーニングもやっている会社なんですが、エンドユーザーに直接打ち出すには高級革製品がいいと思って、この戦略を立てました」

会社が持っている技術の、どこを切り取って発信するかによって、その後のビジネス展開は変わってくる。

徳山さんたちがつくっているのはWebサイトだけど、実際には町工場の経営者と一緒に、これからの会社のあり方を考えていくような仕事なのかもしれない。

最初は「起業するため」に、自身の経験のなかから選んだこの分野。今はこの仕事ならではの楽しさを見出しているという。

「僕たちが扱うのは、完成品ではなくて“技術”なんですよね。ターゲットが決まってないぶん、可能性も大きい。ある業界では安く買い叩かれてしまったとしても、違う分野にアプローチしてみると、その技術を高く買ってもらえることもあるんです」

「新しい技術だと用途が決まっていなかったりして、『なんかすごいものができたけど、何に使えるかわかんない』みたいなこともあって。どう生かすか、一緒に考えていける。それがおもしろいんですよ」


テクノポートでは、4人いる社員がそれぞれ自分の担当を持って仕事をしている。

徳山さんとは前職でも同僚だったという、井上さんに話を聞かせてもらった。

「20代のころはゴリゴリの営業で、新規顧客獲得のために頑張っていました。最近は、それよりも一人ひとりのお客さんとの関係性を長く大事にしたいなと思うようになって。テクノポートで働いているのは、そのスタンスで仕事ができるからだと思います」

Webマーケティングで大切なのは、最初にどんなサイトをつくるかということだけでなく、継続的に効果をはかり、ブラッシュアップしつづけること。

「すぐに成果が出ることもあれば、1年かかることもある。成果が出てない時期の客先訪問は、辛い部分もありますが、根気よく取り組んでいって『あのとき、お願いしてなかったら、うちの工場潰れてたよ』って言っていただけることもあるんです」

何年も仕事をしているお客さんからは、結婚式に招かれるなど、プライベートでも付き合いが生まれる。

家族経営の会社では、ヒアリングをしているうちに家族の歴史に触れることも。

「僕が担当しているクライアントのひとつに、葛飾区の鋼材屋さんがあるんです。そこは20年くらい前に先代の社長さんが亡くなって、奥さまが社長となり後継者候補の常務とともに会社を切り盛りしています」

50年以上にわたって“鋼材”の販売をしてきた、いわば材料屋さん。

市場は相場が決まっていて、このままの業態で続けていても大幅な売り上げ増は見込めない。

そこで、新しいサービスとして鋼材の製作金物事業部をスタートすることに。

「たとえば、真鍮のテーブルをつくるとか、小さいものだとジュエリーとか。インテリアや建築業界など、今まで取引のなかったクライアントに向けて発信できるように、Webサイトをリニューアルすることにしたんです」

新しいサイトでは、ものづくりのことをよく知らない人でも気軽に相談できるよう、スタイリッシュさよりも「親しみやすさ」を前面に出した。

デザインや撮影は、プロの手を借りながら。トップページにはスタッフのみなさんの、少しはにかんだ笑顔が並ぶ。

「材料屋さんなので素材には詳しいし、ほかの加工場とのつながりもある。仕入れから加工までトータルでプロデュースできるようになりました。はじめて発注する人には特に親身に相談に乗る姿勢で、新しいお客さんとの出会いにもつながっているみたいです」

井上さんが手がけたサイトには、今の社長さんが、亡くなったご主人と歩んできた会社の歴史も少しだけ紹介されている。

新しい挑戦だけでなく、これまでの仕事にも敬意を持って接することがきっと大切なんだと思う。


「お客さんの仕事に対して、興味を持つって大切なんですよね」と話してくれたのは、2013年に入社した渡部さん。

「お客さんがつくっている製品とか技術に対して、『へえ』で終わらせずに、これ何に使うんですか?って、興味を持って聞いていく。仕事と割り切らずに向き合えるような、ものづくりが好きな人が来てくれるといいですね」

テクノポートのクライアントは、アパレル製品やインテリア素材のメーカー、端子部品をつくる工場など、さまざま。

なかにはすごくニッチな分野もあって、すべての業界に精通するのは難しいですよね。どんなふうにマーケティングのアイデアを出しているんですか?

「我々の強みは、いろんな業界を広く浅く知っていること。その業界のプロであるお客さまからすると普通のことでも、『それができるところ、ほかに知らない!』っていうことはよくあって。だからこそ、それぞれの会社の強みが見えやすいんです」

普段は担当ごとに独立して仕事をしているけれど、週に一度のミーティングでは、進捗を共有してフィードバックしあう。

それぞれが経験した事例に照らしていくことで、さらに広い視野でマーケティング戦略を考えていける。

「基本的にうちの会社はみんな独立して働いているので、普段はあまり干渉し合わないんです。最初は先輩の現場に同行しながら、だんだん一人で仕事ができるように覚えていってほしい。自分で戦略を立てて、工夫して、うまくいく。そのプロセスを楽しめる人なら大丈夫だと思います」

今から6年前、渡部さんがテクノポートに入社したのは、「起業家を目指す人を応援する」という代表の徳山さんのスタンスに惹かれたからだという。

経営者のパートナーとして、相談に乗りながらWebマーケティングを進めていく仕事。その一連の流れを一人で担当できるようになれば、たしかに、自分自身も独立する力がつきそう。

過去10年間で、10名ほどのスタッフが起業して独立していったという。


それにしても、代表の徳山さんはなぜそんなスタンスで採用を考えてきたんだろう。あらためて話を聞かせてもらう。

「もちろん、全員が独立していなくなったら困るので、起業を目指していない人も歓迎しますよ(笑)。ただ、起業を目指している人には独特のパフォーマンスの高さがあると思っていて」

「製造業には、Webマーケティングにとどまらずセールスとか人材とか、まだいろんな領域でサポートを必要としていることがあって。うちの会社でスキルを身につけて起業していく人が、そういう近い分野でも挑戦してくれるとうれしいですね」

もともとは徳山さん自身の「自由に働きたい」という意志がモチベーションになってスタートした事業。

自分の理想の生き方を実現するプロセスと、町工場の未来のために戦略を立てるWebマーケティング。実はよく似ている気がする。

ひとつだけ違うのは後者のほうが、達成する喜びを誰かと一緒に、何度も味わえることかもしれません。

(2019/9/17 取材 高橋佑香子)
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