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わがままに寄り添う
特注家具の世界

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

わたしたちが日頃触れている家具には、たくさんの人たちが関わっている。

0からイメージを生み出すデザイナー、それを形にして出荷する工場。ほかにも材料を供給する人や、目的地まで安全に納品する人。

その一連の流れをトータルでマネジメントし、デザイナーが思い描いた家具を形にしているのが、seventh-code(セブンスコード)株式会社。

デザイン・製造・物流管理に一気通貫で関わる、特注家具専門の家具屋さんです。

ここの一員として、一連の仕事に関わるプロジェクトマネージャーと、現場での施工管理を中心に担うスタッフを募集します。

幅広い領域に横断的に関わるので、最初からすべてできる人はいません。経験者ならできる仕事からほかの範囲に広げていけるし、未経験でも家具やインテリアに関わりたい人は、日々成長できる環境だと思います。



セブンスコードのオフィスがあるのは、東京・代々木。

JR代々木駅の西口から、明治神宮方面に歩いて5分ほど。坂道の途中、静かな住宅街にあるビルの2階と3階にオフィスが入っている。

応接スペースで最初に話を聞いたのは、代表の石橋さん。ユーモアを交えながら、丁寧に説明をしてくれる方。

写真は苦手とのことで、今回はお話だけ聞かせてもらう。

「これが、家具のアドバイザーとして初めて関わった京都のホテルです。当時は僕ひとりの会社で、しばらくクライアントのオフィスに間借りしていたんですよ」

もともと家具メーカーで営業として働いていた石橋さん。独立し、セブンスコードを立ち上げて、今年で16年目。

扱うのは、ホテルやオフィスなどに向けた、商業用家具が中心。自社商品やブランドは持たず、オーダーメイド家具の製造・販売に特化している。

「最初はなんでも仕事にしなきゃ、という気持ちでいろんなことにチャレンジして。どんどん知識がついてきて、できることの幅が広がっていきました」

家具・什器・備品、通称「FF&E」の製造と供給に一気通貫で関わるセブンスコード。

案件は、デザイナーとの打ち合わせを経て、工場で製造するための図面に落とし込むところからはじまる。

国内もしくは中国の工場に製造を手配し、納品までのスケジュールとクオリティを管理。輸入や国内物流も手配し、間違いなく現地に納品するまでが一連のパッケージ。どの案件も基本的な流れは変わらない。

ただ、デザイナーのアイデアをそのまま工場に渡しても、うまくいかないケースが多いという。

「ソフトとハード、つまりデザインと製造の間って結構ギャップが大きいんですよ」

コストが合わずに素材を再選定する必要があったり、強度に問題があり仕様を変える必要があったり。

製造側からの代替案によって、もとのデザインバリューを壊してしまうケースも多いという。

「たとえば座面の青い生地をコストダウンしたいとき、より安価な青を提案するというよりは、コンセプトに合うほかの色の可能性も探ってみる。強度的に問題がある場合も、細い支柱を単に太くするんじゃなくて、それが表に出ないようなデザインに変えられないか考える」

「僕らは、デザイナーさんが何を大事にしているのか、しっかり考えたうえで提案をしていきます。お客さまから預かったデザインを一番大事に扱って、そのバリューを損なわない、最適な製造・調達での供給を目指していく」

現在、正社員から業務委託まで、関わるメンバーは計11名。

設計から製造、物流まで。本来は分業される領域を、一人の担当が横断的にマネジメントしていくのが特徴。

そうすることで、おおよその納期やコストなど、一連の流れを瞬時に見通して顧客の質問に答えたり、最適な提案をすることができる。

「お客さまの温度感や熱量、デザインに込められた想いをアウトプットに反映していかなきゃいけない。ひとつ間違うとすべてに影響するので、横断的に見られるほうがいいんです。特注家具って、人間のわがままの塊みたいなものですから」

わがままの塊。

「似たようなものがあっても新しくつくりたい、前とは違うものにしたい、そういう気持ちが湧き出てくるのが人間じゃないですか。それに応え続けていくこの仕事って、結構価値があるのかなって。将来、AIが取って代わることはきっとできない仕事だと思います」

わがままを形にする仕事。だからこそ、その源にある熱量にしっかり寄り添わないと、クライアントが納得のいくものを仕上げることはむずかしい。

どんなに突飛なアイデアだとしても、それを実現可能な範囲に落とし込み、最適な形にしていくのがセブンスコードの役割。

「入社してすぐに役に立てるほど甘い世界じゃないと思います。逆に、じっくり成長していって、気づいたらスーパーサイヤ人みたいにいろんなものをやっつけられる。そんな感じになってほしいですね」

 

デザイナーの気持ちがわかる製造者でありたい。そんな想いが強いからこそ、自分たちもデザインに取り組む。

設計全般を担当しているのが南部さん。入社11年目で、今は執行役員でもある。

「年に1件くらい、インテリアデザインから担う案件があります。やっぱり一番大変なのは、アイデアをひねり出すこと。自分が生み出した世界観が評価されるかどうかって、結構きつい世界ですよね」

「その気持ちが身をもってわかるから、デザイナーのつくりたいものを実現するためにどうするか、真剣に考えます。ここを変えたら全体のデザインが崩れちゃうなっていうのもなんとなくわかりますし」

製造工場にも必ず足を運び、自分たちの目で見て検品するという。コストはかかるものの、効率以上に、自信を持ってお客さんに届けられるものをつくることを優先する。

「家具って、工場からものを出したら形を変えることはできない。だからそこが最後のゴールだと思って、検品は大事にしています」

「サポートじゃなくて、一緒につくっていくっていう感覚ですね。デザイナーと対等な立場でいられるように、自分たちも日々新しい知識を身につけたり、いろんなものを見て感性を磨くのは、今でも大事にしています」

南部さんが以前取り組んだのは、大規模ホテルのうちの9室をアーティストとつくり上げていくというプロジェクト。

本来、インテリアを扱うことはないアーティストたち。彼らのアイデアを具体的なホテルの部屋に落とし込む段階で、依頼をもらったという。

「アーティストには自由につくってほしい、でもホテルの客室としての機能は担保しなければいけない。これまでデザイナーのつくりたいものを形にしてきた経験を活かして、短い納期のなかでも形にすることができました」

勝手なイメージではあるものの、インテリア業界を希望する人は、家具会社よりもデザイナーとして働くことに憧れる人が多いような気がする。

南部さんは、デザイナーになりたいと思ったことはなかったんですか?

「学生時代はありましたけど、今もそれが強かったら、きっと設計事務所に行っていると思います」

「肩書きこそ違いますけど、インテリアの仕事をやれているっていう実感は、この仕事でも強くあって。僕らからの提案が通ることも多いし、家具屋という立場から日本のインテリアに貢献しているってやっぱり思えるんで」

前職は、石橋さんがもともといた会社の設計部に勤めていたという南部さん。

「新卒で、偶然配属されたのが特注家具の部署で。図面を描いて、形がないところからつくっていくのがなんか楽しかったんですよね。ただ、図面を描く以外の仕事はやる機会がなかったんです」

もっと幅広い仕事に関わりたいと思い、転職を決めた。

「自分が2人目の社員でしたけど、とくに不安はなかったですね。当時はまだ20代だし、どうにでもなるかなって」

仕事を覚えることに、苦労はありませんでしたか。

「見積書のつくり方とかお客さまとのやりとり、どうやって輸入して配送するかとか。設計以外のことはからきしわからなくて」

「ひとつの案件を通して一気に経験できるのは、最初はしんどかったですけど、やっぱり成長できます。結局、11年間楽しく続けてきましたね」

セブンスコードの仕事すべてを、同じように経験してきた人はきっといないはず。

最初はわからないことは多いと思うけれど、柔軟な姿勢で吸収していけるといい。



「これだけやればいいっていう範囲が決まっていないので、すごく大変でした。最初は知識もないし、構造とか強度とか、お客さまからの質問に答えられなくて。まだ覚えきれていない部分もあるので、その都度調べたり先輩に聞きながら学んでいます」

そう話すのは、髙田さん。新卒で入社して3年目で、新しく入る人にとって身近な先輩になると思う。

「建築とインテリアの両方を学べる学部にいました。セブンスコードと仕事をしたことがある大学の先生がいて、新入社員募集のお知らせがあったんです」

「ホームページを見たら、自分が泊まったことのあるホテルをいくつも手がけていて、すごく気になりました。でも採用のことは何も書いていなくて(笑)。不安ではあったけれど、思い切ってメールをして、いまに至ります」

新卒での入社は、髙田さんが初めて。

進行中のプロジェクトにアシスタントとして入りながら、OJT形式で仕事を学んでいった。

今は、自身がメインで進める案件も進行中。日光のホテルの改修工事で、客室とレストランに入れる家具を担当している。

「ほかの案件だと、特注家具のほかに『このメーカーの既製品も一緒に入れてほしい』とリクエストを受けて手配することも多いんです。でも、ここはほぼすべてが特注家具。洗面台まで特注で入れました」

「設計者さんと何度も打ち合わせをして、図面を描いて見てもらって。製造したものを、指定の日までに全部納められるようにスケジュールを調整して。中国の工場でつくり終わったものが、ちょうど出荷されたところです」

実際に中国の工場にも出向き、検品も担当。サイズが合っているか、傷はないか、角は丸くなっているか。一つひとつ完成品を見て、気になるところがあれば直してもらう。

経験豊富なスタッフと同行したとはいえ、新卒3年目では、なかなかできない経験だと思う。

「就活では、住宅の設計会社からも内定はもらっていたんです。でも、自分がどんな仕事をしたいか考えたときに、ひとつのことだけじゃなくて、1から全部できたほうがスキルも上がるだろうなって」

「実際に、見たことがない家具のアイデアともたくさん出会えるので、それをどう形にできるか考えたり。学んでいっても、絶対その先にまた学ぶべきことが出てくるから、ずっと成長し続けられる場所なんじゃないかなと思っています」

 

デザイナーのアイデアを、現実の制約のなかで、ベストな形に仕上げていく。セブンスコードのみなさんの話からは、そこにクリエイティビティを発揮する、仕事への自負を感じられました。

ここで経験するすべてのことが、きっと自分自身の成長につながっていくと思います。

(2024/6/4取材 増田早紀)

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