※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
「環境を守る」ことが大切なのはよく分かるけれど、それを自分ごとにするのはなかなか難しい。南極の氷が溶けている、というニュースを聞いても、自分にはどうすることもできないのではないか、と思ってしまったりする。
だけど本当は、「美味しい魚が好き」「海が好き」「あの花が好き」そんな自分ごとの「好き」を辿ってみると、ひとつひとつ環境問題に繋がっていることがわかります。
そういう小さな自分ごとの視点を持って、地球の環境を守っている人の話を聞いてきました。沢山の気付きがあったので、ぜひ読んでみてほしいです。
今回は、国際環境NGOグリーンピースで「海洋生態系コーポレート・キャンペーナー」として海の生態系を守る人の募集です。
グリーンピース・ジャパン 西新宿のオフィス。FSC 認証を受けた木材が室内や机で使われている
新宿の住宅街にあるオフィスを訪ね、キャンペーン・マネージャーの花岡さんにお話を伺いました。
どんな仕事なんですか?
「キャンペーンと聞くと販売促進というイメージが浮かぶかもしれませんが、ここでは色々な環境問題に取り組むことをキャンペーンと呼んでいます。海洋生態系や水産業に関する放射能汚染や過剰漁業などの問題に対して、解決方法を考えそれを実践することが主な仕事になります。」
現在、キャンペーナーを統括するマネージャーの立場の花岡さんが、自ら海洋生態系コーポレート・キャンペーナーを兼任している。
それじゃあ体が2つあっても足りないから、花岡さんの代わりに海洋生態系の担当になってくれる人を探している。
花岡さんは5年前、「海を守りたい」という想いからグリーンピースに入ったそうだ。
その想いはどこから生まれたのだろう。
「僕、出身は日本なんですけど、父の仕事の都合で東南アジアのマレーシアで育ったんです。そこには綺麗な海が沢山あって、平日は学校に行き金曜の夜中から日曜の夜中までダイビングをやる、という生活を繰り返していました。」
ダイビング三昧の生活のなかで、花岡さんが何よりも心を打たれたのは、珊瑚礁の美しさだった。魚たちが卵を生んだり子育てをしていたり、小さいけれど豊かな生態系がそこにはあった。
同時に、大好きな海と美しい珊瑚礁が、リゾート開発や漁獲など人間の手によって壊されていく様子も間近に見ていた。次第に、将来は海を守る生き方がしたい、と思うようになった。
花岡さんの机には、ダイビングの写真や5歳の息子さんとの海での写真が飾られる
海洋について学ぶため、アメリカの大学に進学。卒業後はマレーシアに戻り、「エビの養殖」をはじめた。
「エビの養殖は、マングローブの木を切って行うのが通常の手法なのですが、そうすると土砂が全部海に流れて珊瑚が死んでしまうんです。だから、マングローブを切らずに済むエビの養殖を漁師さんたちに提案しようと、現地のパートナーと一緒に取り組んでいたんです。」
現地の人々に対して教育普及を行うなかで、あるときそのエビが全て日本で食べられていることを知った。日本はエビの消費が世界一だということも分かった。
花岡さんは、日本人の自分が「明日生きるためなら何でもする」とマングローブを切っている現地の漁師に対して「切らないでくれ」と言える立場なのだろうか、と悩んでしまった。
そして、日本人の意識を変えなければいけない!と思い、日本に帰国してグリーンピースで働き始めた。
帰ってきてみたら、日本には沢山の使命があった。
「僕はお寿司が大好きなのですが、このままだと日本のお寿司のネタがどんどん野菜になってしまうんですよ。今は獲れるだけ獲って、売れるだけ売ってあとは捨てていくような、乱暴な漁業が多く行われているんです。だけど、消費者はそこまで知らない。乱暴な消費や流通によって海が空っぽになりそうな現状があるんです。」
「日本は世界有数の魚のマーケットだし、寿司文化を世界に発信した国です。そんな日本に、魚を大事にしよう、とリーダーシップをとってほしいと思います。日本人が乱暴に食べて世界の魚がなくなった、って海外に言われるのは、いち日本人として嫌なんです。」
ジュゴンが泳ぐ沖縄の海を米軍の埋め立て計画から守る活動 ©Greenpeace
魚を獲っているのは日本人ではなかったとしても、結果的にそこで獲られているものは日本人の食卓にも繋がっている。たとえば、マレーシアのエビの話のように。
話を伺っていて、あるエピソードを思い出した。
以前居酒屋で友人と飲んでいたら、テレビで過剰漁業についてのニュースが流れた。後ろで酔っぱらったおじさんが、「そうはいっても美味いんだよな〜」と言った。サバの味噌煮を食べながら、その言葉に共感してしまっている自分がいた。そんな話。
「そこなんですよ。『守りたい。だけどおいしい』ではなく、『おいしいから守りたい』なんです。僕たちは魚を獲るな、食べるなって言っているわけではありません。これからも獲って食べ続けるために何ができるかを考えたいんです。今みたいなやり方をしていると、将来食べられなくなるということが問題なんです。」
自分たちも、次の世代も、魚料理を食べ続けるためにはどうしたらいいか。それを考えることは、過剰漁業の問題を考えることに繋がる。
今、グリーンピースでは、『海洋保護区(マリーンリザーブ)』をつくる活動に取り組んでいる。
海洋保護区は、人間が一切立ち入ることのできないエリアのこと。
「豊富な珊瑚礁のある場所を海洋保護区にし、魚たちが卵から孵って育つ環境をつくる。その魚たちが大きくなり、保護区から出てきたところを人間が獲る。その循環をつくることが目的です。」
どこでも好き勝手獲るのではなく、守る部分は守って持続可能なものにしていく。
「公海」というどこの国でもないエリアでは、マグロやカツオなど日本でも食されている魚が大量に漁獲されている。公海を所有する国連に交渉しながら、ここを海洋保護区にしていこうという計画も進む。
公海の一部を海洋保護区とすることで、漁業と魚食が持続可能なものになる ©Greenpeace
こういう活動は、世界中にオフィスがあるグリーンピースだからこそできること。
「やっぱり海は国境を越えて繋がっているので、一国で解決できる問題なんてそんなにありません。グリーンピースは世界40カ国に支社があり、国際規模で起きている環境破壊を解決できるというのが特徴ですね。」
入ってから気付いたことだけれど、グリーンピースにしかできないことは他にも沢山あるそうだ。
「グリーンピースのようにバシッといけないことはいけないと言える団体が、日本にはあまりないことです。ことなかれ主義の日本だからこそ、そういう部分が大事だと感じています。」
グリーンピースは、一般のサポーターからの寄付で事業が成り立っているため、企業や政府から一切お金をもらっていない。だから、企業や政府に対しても、はっきり自分たちの意見を伝えられる。
魚介類商品の放射能汚染問題に対する各社の取り組みを、グリーンピースが独自調査を実施してランキングを作成した(2011年11月発表) ©Greenpeace
昨年の福島第一原発の事故後も、その特殊な立場を生かしてさまざまな活動をしている。
昨年花岡さんたちが行ったのは、スーパーマーケットの「競争」。
「魚介類商品の放射能汚染に対する取り組みについて、イオン・イトーヨーカドー・ダイエー・ユニー・西友の国内大手スーパーマーケット5社を対象に、アンケート調査を行い、ランキングを作成しました。」
評価基準は、仕入れ、放射能測定、消費者への情報提供など5項目。順位をつけて発表すると、企業の意識も変わった。
1位になったイオンは、放射性物質の自主検査を開始し、なかなか真剣に取り組まなかった企業も「これからは会社をあげて真面目に取り組んでいきます」と約束してくれた。
「なぜスーパーを変えたかったかというと、僕たち消費者が魚を買う場所の7割がスーパーなんです。スーパーの意識が変われば、消費者の健康も守られる。ここが大きなセクターなんですよね。」
いちばん消費者に近いところに働きかけるために生まれたこのプロジェクトは、企画から実行まで全てキャンペーナーの仕事だった。
5名ほどのメンバーで手がけたにも関わらず、社会的に大きな影響を与える結果になった。
長い目で、広い視野で環境問題を見つめながら、今すべきことを探して実行していく。
定期的に開催されるミーティングでは、アジアを始め世界中のキャンペーナーが集まってディスカッション ©Greenpeace
ここで働くのは、どんな人がいいだろうか。
「熱意はあればあるほどいいと思います。企業や海外とコミュニケーションをとることが多いので、それが嫌ではない明るい人。気持ちを伝えていける人がいいですね。」
海外とやりとりする場合は、時差があるため、ときには早朝や深夜に連絡が来たりすることもある。英語の能力だけではなく、体力も必要だと思う。プロジェクトのピークには、定時に帰れないことだってあるかもしれない。
もちろん、大変なぶんだけ、ここでしか味わえないやりがいも沢山ある。
「たとえば、海洋生物の国際会議には、NGO枠があって、グリーンピースも代表団として出席するんです。国際会議で発言する機会なんて普通経験できないじゃないですか。国を動かしている、海を守っている実感が直に味わえるんです。だからよく仲間と話してるんですよ。『グリーンピースの次の仕事ってなかなか見つけにくいよね』って。」
2010年10月に愛知県名古屋市で開催された「生物多様性条約第10回締約国会議」(通称COP10)にて ©Greenpeace
グリーンピースで働く世界中の人と話せるのも魅力的だ。
「色々な国の人と会うとインスパイアされます。みんな短期的な利益に惑わされず、『こうあるべきだ!』という軸を持っていて。そんな人たちと働けるのは幸せだなと思いますよね。海や環境の話でお酒を飲んでしまうと、夜は終わらないですね。」
最後に、将来の夢を聞いてみた。
「僕には息子がいるのですが、まだ5歳だからダイビングはできないんです。でも、彼が大きくなってダイビングをしたときに、僕が初めて珊瑚を見たときと同じ気持ちを味わわせてあげたいと思います。今のこの風景を残すことが僕の夢ですね。」
©Greenpeace
好きだから守りたい。「好き」と「守りたい」という感情は隣同士にある。そこに橋をかけるのがグリーンピースの仕事。
守りたいものがあるならば、まずは想いを伝えてみてください。(2012/8/9up ナナコ)
国際環境NGOグリーンピース | |
募集職種 | 海洋生態系コーポレート・キャンペーナー |
給与 | 25~35万円/月(経験に応じて優遇) |
仕事内容 | 《職務の目的》 海洋生態系コーポレート・キャンペーナーは、キャンペーンチームの一員として、海洋生態系、水産業および魚食の持続性を脅かす放射能汚染や過剰漁業などの問題解決のため、グリーンピースのサステナブル・シーフード・プロジェクトの目標達成に向け、グリーンピース・ジャパンおよびグローバル組織のキャンペーンを展開します。《期待される成果》 ■海洋生態系、水産業および魚食の持続性を脅かす放射能汚染や過剰漁業などの問題解決のため、市民や消費者を効果的に巻き込み、水産や流通の企業を動かす戦略を開発し実行すること。 ■グリーンピース・ジャパンの活動において、そのプロファイルと効率性を持続的に向上させること。《主な責務》 ■パブリック・エンゲージメント 市民や消費者を効果的に巻き込む戦略を開発、実行し、適したタイミングで水産や流通企業への要求を形成すること。 ■企業との交渉 グリーンピース・ジャパンを代表して、企業との交渉を行うこと。プロジェクトの目標について支持を得られるよう、外部の団体との関係を発展し、広げること。 ■調査活動 目標達成のため、企業を動かす外部要因を敏速に察知し、環境破壊の現場をおさえ世に伝えること。 ■チームワーク プロジェクトのコアメンバーとして、戦略が効果的に実行、発展されるよう、チームと情報を共有し共に取り組むこと。 ■その他 キャンペーン・マネジャーより依頼される、当該ポジションに相応するその他の職務。 |
勤務地 | 東京都新宿区 グリーンピース・ジャパン事務所内 |
勤務時間 | (原則)10:00~19:00 |
休日休暇 | 土・日・祝日休み(フレックスタイム制) |
求める人材像 | ■持続可能で平和な未来に対する情熱 ■水産業や海洋環境に関する教育または実務の経験 ■消費者や市場に関するキャンペーンの経験と技術 ■戦略的、創造的に思考できる能力 ■急激に変化する環境に即して効果的に計画を変更できる柔軟性 ■科学、政治、経済、産業、メディアと社会変化が、キャンペーンにおいて演じる役割についての理解 ■日英のメディアに対してスポークスパーソンとして行動できる対応力 ■読み、書き、会話における高度な英語力 ■PC、Web、AV技術を駆使する能力 ■必要に応じて出張し勤務時間を調整できる対応力 |
選考プロセス | ウェブエントリー → 書類選考 → 面接 → 採用 |
募集期間 | 8/9(木)~9/20(木) |
その他 | 期間:2013年12月末まで(プロジェクトの成功如何で延長の可能性あり) |
募集職種 | テレファンドレージング・オフィサー |
給与 | 25万~32万円/月(税込、経験に応じて優遇、通勤交通費別途) |
仕事内容 | 《職務の目的》 テレファンドレージング・オフィサーは、電話でグリーンピースの活動を伝え、継続的な財政支援に対するサポーターとしての参加や、既にサポートをして下さっている方がたなどに、ご支援の増額などのご協力をお願いします。政府や企業からの資金援助を受けず、個人のみなさまからのご支援で活動をしているグリーンピースの資金拡大を担います。 テレファンドレージングを通して、サポーターのみなさんと強い絆が生まれるため、この役職はグリーンピースの価値観や活動を深く理解し、メッセージを効果的に発信することが求められます。 |
勤務地 | 東京都新宿区 グリーンピース・ジャパン事務所内 |
勤務時間 | 週5日、1日実働8時間(休憩1時間別途)土日、祝日勤務有 |
休日休暇 | シフトに応じて、平日、土日、祝日内で調整 |
求める人材像 | ■テレファンドレージング/テレマーケティングにおいて、寄付者または顧客との関係構築に1年以上の経験がある ■高度な文章作成および口頭でのコミュニケーション能力(日・英)がある ■対面での寄付依頼を通して目標達成できるような経験と実証がある ■機転が利き、思慮深く、社交的である ■積極的で結果主義である ■基本的なPCスキルがある(ワード、エクセル) ■交渉能力がある ■チームの一員として貢献できる ■勤務時間の変更ができ、出張が可能 (海外を含む) ■環境や平和問題に取り組むことができる ■グリーンピースの価値観とビジョンを支持している |
選考プロセス | ウェブエントリー → 書類選考 → 面接 → 採用 |
募集期間 | 8/9(木)~9/20(木) |
グリーンピースは、1971年に設立された国際環境NGOです。オランダに本部を置き、日本を含めた世界40カ国以上の国と地域に事務所があります。
環境保護を願う市民の立場で利害関係に左右されない活動をするため、政府や企業から資金援助を受けず、世界280万人、日本5000人の個人会員の寄付で支えられています。