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自由がある

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

結果さえ出せばあとは自由。

そんな職場があったら、なかには戸惑う人もいると思う。細かい指示を出された方が力を発揮できるタイプだっている。でも、今回の募集には、そうではない人が向いていると思います。

こうあるべきだ、とか、こうしなければいけないとか、そういう定義やルールに縛られない環境に、ワクワクできるような人に読んでほしいです。

ネイチャリング・プロジェクトは、社会起業やソーシャルビジネス・コミュニティビジネスを担う起業家の育成事業を展開するNPO法人。鹿児島をはじめ、熊本、福岡など、主な拠点は九州だけど、東京や海外でも事業を展開しています。

過去に何度か仕事百貨でも募集していますが、今回、新たな新規事業の立ち上げにあたり、鹿児島、熊本、東京の3拠点で活動してくれる4名のスタッフを募集します。

出張で今は東アフリカ、ウガンダ共和国にいる代表理事の松村さんに、スカイプでお話を伺いました。

なぜウガンダに?

そう質問しようとしたら、先に釘をさされてしまいました。

「よく聞かれるのですが、なぜウガンダなの?という質問は馬鹿げているのではないかと思うんです。わたしは場所を選んだのではなく、人と人の繋がりのなかでウガンダに辿り着いただけなんですよ。」

たまたま会ったイギリスの友人が、ウガンダの集落で安全な水を提供するため、「ウォータープロジェクト」という事業を立ち上げた。だけど、せっかく設置したポンプが全部壊れてしまった。原因は分からない。

「じゃあ一緒に行こうか」という話になり、実際に行って見てみた。すると、「なるほどな〜」と課題が見えてきた。

これが事業の『種』なのだ、と松村さん。人の縁で課題に辿り着き、その結果アフリカやロンドンまで事業が広がった。最初から『世界を舞台にソーシャルビジネスをやろう』と考えていたわけではなく、種を見つけて水をやっただけ。

はじめに場所ありきで動いているのではなく、人ありき。だから、場所自体には動機がない。

『なぜここで事業をやっているのか』という質問が、なぜ松村さんにとって意味がないのかが、だんだん理解できてきた。

「世にいうソーシャルビジネスとかコミュニティビジネス、社会起業って、元を辿れば身の回りの課題やリクエストから生まれているものだと思います。それなのに、定義に囚われて形から入ろうとする人が多い。でも、定義のなかで何かをするのは本当の経営者ではないと思うんです。自分の足でリソースハンティングをし、新しい仕事の種をつくらないと、本当のアントレプレナーではないんですよ。」

松村さんは、今まさにリソースハンティング中。

今年度からウガンダで農業経営者の育成をはじめることになった。ウガンダで農薬に頼らない自然循環型農業は可能なのかどうかを確かめるため、そして首都カンパラで人材育成の環境づくりをするため、今は事前調査を行っている。

もともと、ネイチャリング・プロジェクトは、松村さんが自然循環型農業を実践するために、Iターンで鹿児島にやって来たことからはじまった。入来町の山奥に、自然農法を中心とした農場「ネイチャリング・ファーム」を開設し、自給自足の生活をはじめた。

地元の農家の方々とも少しずつ打ち解けて、野菜を共同販売するなど共生できはじめた頃。この暮らしをひとつの経営の在り方として広め、農業経営者を育成するために、NPOとして法人化した。

そこから、農業だけではなく、ソーシャルビジネスやコミュニティビジネスなど広く社会や公益に寄りそった起業家の育成を行ってきた。

設立から12年目の今年は、原点回帰。ふたたび「ネイチャリング・ファーム」のような自然循環型農業の普及をひとつの事業の柱にしたいと思っている。

法人名「ネイチャリング・プロジェクト」には、創業当時からの松村さんの思想が表れている。

「『ネイチャリング』はネイチャー+ingの造語です。自然との共生関係のなかで、いかに生きるか。どう生きたら幸せなのか。どうやったら気持ちいい呼吸ができるのか、周りの人といい付き合いができるのか。社会的意義の前にまず、自分の人生に対して課題をセットして考えていこう、という想いが根底にあります。」

今年度からは、「社会起業家・教習所」も開校した。

幅広く活躍することのできる自律的な人材を育成する取り組みを、「福岡アジト」、「熊本センター」、「鹿児島ベース」の九州3拠点で行っていく。

それぞれの地域性に応じた多様なカリキュラムがあり、ゲストを招きながら講義を行うスタイル。ときには松村さんが登壇することもある。

経営論をひたすら勉強し、難しい言葉で定義固めしていくのではなく、そもそもなぜ起業したいのか、何を大切にしたいのか、という根本から問い直す。

「起業家は価値をつくる人でしょう。固定的な概念のなかでやろうとしても新しい価値は生まれません。『良き事例に先行事例なし』とよく言うのですが、既にある事例を参考にしても、社会を変えられるわけがないんですよ。」

直接お会いすることはできなかったけれど、様々な人に出会いながら前例のない道を進んでいく松村さんの勢いが伝わってきた。

松村さんとのやりとりから数日後。こんどは事務局長の西山さんにお話を伺った。

まず、松村さんとお話した感想を伝えてみると、西山さんはこんな話をしてくれた。

「勢いがあり、ノリが良い性格だと感じたでしょう。でも、実は松村は冷静にものごとを見ているんです。事業に関しても、人の縁がきっかけだからといって、縁は大切にしながら、情に流されるわけではなく、冷静に判断している。経営として進めるか進めないかの判断は、間違えないタイプです。」

その判断は、西山さんが見る限り、一寸も狂っていない。進めるとなったら絶対成立させるし、進めないとなったものは、あとから考えるとどう捻ってもうまくいかないようなものだったりする。

自由に動き回っているように見えるけれど、全ての判断に責任を持ち、慎重に先を見ながら進めている。

西山さんは、そんな松村さんの取り組みそのものに興味を持ち、1年前に入社した。

もともとNPOを経営していた経験のある西山さんは、事業を立ち上げることに関心があった。

たまたまネイチャリング・プロジェクトを知り、地方を拠点にしながら多くの雇用を産み出しているところが面白いと思った。役職や事業の内容よりも、組織自体へ興味がわいて応募した。

最初に任されたのは、東京の虎ノ門でのスクール事業。起業支援のための企画立案から講師の選定まで、運営全般を担当していた。

今年度からは、ネイチャリング・プロジェクト全体の事務局長を務めている。既存の事業はもとより、新規の事業をどのように立ち上げていくかを考えるのが仕事。

まだ入って1年なのにもう事務局長!と思うけれど、これはネイチャリング・プロジェクトでは「普通のこと」らしい。

「年齢とか経験は関係ないです。全て事業の成果が出せるかにかかっています。勢いや野望のある人を許容できるプラットフォームがここにならあると思います。」

今回の募集は、新規事業の立ち上げを担当する役割。

ウガンダでの取り組みのように、東アフリカ、ヨーロッパで起業家や経営者の育成、BOPビジネス事業を立ち上げる仕事。そして、熊本や東京を拠点に、「社会起業家・教習所」のような社会起業家やNPO経営者を育成する事業を立ち上げる仕事。

どんな人に来てほしいですか?

「新しく事業を産み出していくことを抵抗無く楽しめる方。それをやりがいだと感じられる方に来ていただきたいですね。新規立ち上げの事業を経験したことのある、即戦力を求めます。」

もちろん、実現に向けては社内で共有しながらみんなで進めていくけれど、基本的に細かい指示は出ない。ルールで縛ることもない。そんな自由な環境でも、物怖じせず動ける人がいい。

「自由って聞くと、一見楽しそうでいいな、と思うかもしれませんが、これがなかなか厳しいんです。なぜなら、自由には責任が伴うんですよ。」

「うちは本当に自由なんです。基本的にみんな年間通して出張が多いので、バラバラですし、会議や交渉のないときはTシャツやジーンズで過ごしていますし。そんななかで、拠り所はそれぞれのスタッフがミッションを共有し、”一定の成果をあげる”こと。それができないと、自由な働き方は嘘になってしまう。」

何の指示もないなかで、自分で成果をあげる道筋を立てなければいけない。ある意味、規制があるよりも厳しいかもしれない。

西山さんがこんな分かりやすい例え話をしてくれた。

「わたしたちの仕事を建築に例えると、建物をつくっているのが松村。その建物を支えるために、コンクリートを固めて柱をつくるのがわたしたちの仕事です。」

次々に予想もしない方向へとビジネスが進むネイチャリング・プロジェクトは、設計図の無いなかで建物をつくるようなもの。

設計図のない白紙の状態から、自分で道筋をつくれる人、つくってみたいと思える人だったら、きっとこの職場に向いていると思います。ぜひ挑戦してみてください。(2012/8/11up ナナコ)