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ピューターズの秘密

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

お店は増えていっているのに、それぞれが個人のお店のような居心地さを感じる。

そんなお店をつくっているピューターズの秘密を知ることができる仕事です。

Illustratorやphotoshopを使って販促物のデザインをしたり、店舗のマネジメントをしたり、会社全体の運営を考える人を募集します。
「景気が悪くても、みんな一日三食ご飯は食べるんだし、おいしければお客さんは来る。コンセプトがいくらかっこよくても、味がまずかったら結局ダメなんだよね。」

そう話すのは、代表の松下さん。

もともとは恵比寿の商店街にある寿司屋「松栄」の寿司職人。両親の店を継ぎ、カウンターに立って寿司を握っていた。だから、味にこだわるという姿勢にも頷けるし、なにより説得力がある。

職人から、色々なレストランを手がけることになるまでの経緯を伺ってみた。

「寿司屋をやりながら、イタリアンやバーなど、もっと違う業態のお店をやりたいと思っていたの。だから、休みの日は勉強がてら色々なところにご飯を食べにいきました。」

寿司屋と平行してできそうなのは、夜営業のバーなのではないかと思い、 まずはバーを開店した。お店は成功したけれど、それだけにとどまらなかった。

「お店が上手くいくようになると、もっと他のお店を開きたくなってきた。客としてお店に入るたびに、自分だったらこうするのにって、どんどん考えちゃうんだよね。」

そんなアイデアから、沢山のお店が生まれていくことになる。

例えば、手打ち蕎麦の「松玄」

「当時、夜遅くまで営業している蕎麦屋はなかったんだよね。自分なら、飲んだあと〆に一杯美味しい手打ち蕎麦、という店があったら嬉しい。そんな店をお洒落なダイニングバーのような雰囲気でつくったらいいんじゃないか、と思ったんですよ。」

スペインバルの居酒屋「18番」

「スペインバルの店は結構あったけど、全部値段が高かったんだよ。よく分からないスペイン語の名前が並んで、雰囲気はかっこいいけど親切じゃないというか。だったら、スペイン料理を題材にしながらも、もっと簡単で誰にでも分かりやすいメニューを500円くらいで出したらいいんじゃないかと思ってはじめました。」

そんな店は他になかったから、18時の開店前には、入口で人が並んで待っているほど人気のお店になった。

今ではダイニングバー式の手打ち蕎麦のお店や、スペインバルはどんどん増えて、ずいぶん身近なものになってきた。「自分だったらこうする」という発想から、新しい形態を生み出し、ほかのお店にも影響を与えたように思う。

単なるひらめきのままにせず、形にできてしまうのはどうしてなのだろう。

「いつも考えているんです。この店はなんで流行っているのかな。こうしたらお店になるんじゃないかな。自分が客だったらこうしてほしいな、とか、ありとあらゆることを。」

「分からないことがあっても、そのまま通り過ぎてしまう人もいっぱいいると思うの。でも、そこを立ち止まって考えて、突き止める。突き止めたら、次はそれを形にする。そこまでやりたいんです。」

考えて、想像して、それを実現する。

そうやってお店を広げていき、都内に20店舗以上のお店を持つまでになった。しかも、どのお店もしっかり利益を出して黒字運営をしている。

わたしもさっそく、恵比寿にある「焼肉チャンピオン」の本店に行ってきた。金曜日で、店内は沢山のお客さんで賑わっていた。

まずお肉がおいしい。ただ、もっと印象的だったことは、店員さんが今日のおすすめや、どんな部位のお肉なのか丁寧に教えてくれたこと。

「従業員のことをよく褒められるけど、なぜだろう?という感じ。社員教育もとくにしていないし、会議もやらないし。特別なことは何もやっていません。」

「あまり、『俺についてこい!』とか『みんなで頑張ろう!』とか言えないタイプなんです。恥ずかしくて。カリスマ性がないんですよ。」

だとしたら、どうしてピューターズのお店は、それぞれお客さんの心を掴んでいるのだろう。沢山のお店があるのに、どうやってスタッフをまとめているのだろう。

そんなことを考えていると、松下さんが思い出すように少しずつ、こんな話をしてくれた。

「自分がご飯を食べにいくところは、従業員も人柄がよくて、ちょっとわがままを言っても聞いてくれるくらいの距離感がいい。例えば、『焼酎ちょっと多めに入れて』とお願いしたら聞いてくれたり。ちょっとのことでも嬉しいもんだよね。そういう、『お客さんの目線』を大切にしている、というのはあるかもしれない。」

「自分が職人だったころ、お客さんにしょっちゅう怒られていたんです。『いい店なんだからいいグラスにしろ』とか、『製氷機の氷はやめろ』とか。小さな気付きが沢山あったんです。だから、自分の店に行くときも、経営者というよりもお客さんの目線でアドバイスするようにはしていますね。」

お客さんの目線で考える。

松下さんがすごいのは、それを自然に、当たり前のことだと思ってやっていること。「特別なことはなにもやっていない」と言うけれど、それこそが「特別なこと」なんだよなぁ、と思う。

そんな松下さんの姿勢やアドバイスが、自然にみんなに伝わっているのではないかな。

今回募集する本部スタッフは、そんなピューターズの秘密、つまり松下さんの頭のなかにあるアイデアや考え方を、実際に手を動かして実現していくことになる。

2年前に出版社から転職し、本部で働いている横山さんにも話を伺った。

日々どんな仕事をしているんですか?

「なんでもやっています。新店立ち上げのときはディベロッパーや工務店とスタッフの間に立って調整するし、メニューの冊子やダイレクトメールなどの販促物をつくる。内装も考えるし、電話も出るし、必要とあれば力仕事もするし。」

ソフトを使ってデザインもするし、新店立ち上げのときには業者とのやりとりをするから事務ともいえる。店舗企画に関するあらゆることが仕事になる。

「料理でいうと、『下ごしらえ』の部分かもしれませんね。でも、料理の8割は下ごしらえだと思うし、大事な役割だと思うんです。」

あとは煮るだけ、焼くだけ、というこころまで、全ての素材を整えていく。

働いていて、大変なことはありますか?

「スピード感がありますね。昨日言っていたことと今日言っていることが違う、ということもざらにあります。最初は戸惑いました。『この人の信念ってどこなの?』って。」

「でも、昨日言っていたことと違うのは、常に一番新しくてベストな方法を探しているからだと思うんですね。『この間これでよかったから今回もこれで』ということはなくて、常に最善に向かって変化し続ける。それに対して『できません』というのは悔しいから、たとえやったことのない仕事でも、頼まれたらやれるだけやってみる努力はしています。」

変わらないものは、『美味しい料理をお客さんに楽しんでもらう』という信念。そのためにお客さんの目線で考えて、自分だったらこうする、ということを実行していく。だから変わっていくこと、新しくなっていくことを厭わない。そんな社風が、ピューターズにはある。

だから、スピーディーに、臨機応変に、ということが日々求められる。

「代表が会社に来るタイミングで色々確認しないと先に進めないので、今度いつ来るから、この日までにこれを仕上げてこの返事をもらって…と、頭の中でテトリスのようにスケジュールを組み立てています。大変ですが、わたしはその楽しさややりがいに気付いてしまっているので、苦ではないですね。」

仕事をしていて、いちばん嬉しい瞬間はどんなときですか?

「お店を立ち上げるまでも、時間がないことが多いんです。でも、そのときにはみんなで目指すところが一緒なので、一人ひとりがちょっとずつ無理して頑張ってみようと思うと、『無理でしょ』というスケジュールだったのに、オープンできてしまったりするんですよね。そんなときはやっぱり、鳥肌が立ちます。」

外注業者ではないから、「ここから先は知りません」ということにはならない。お店で働く現場のスタッフと変わらない立場で、最初から最後まで責任を持って関わる。

一緒に働く人は、どんな人がいいですか?

「現場のスタッフに対して『やってやってる』という考え方をしない人ですね。わたしたち本部の仕事は非生産部門で、実際にお客さまからお金をいただき、利益を生み出しているのは現場のスタッフたちです。役割は違うけれど同じ仲間なのだから、『本部って分かってくれないよね』ではなく、『本部に頼めばなんとかしてくれる!』と相談したくなるようなポジションでいたいと思っているので。最初からそうなるのは難しいかもしれないけれど、それを理解した上で働いてくれる人がいいです。」

「仲間」という意識は、ピューターズではとくに大切にされていること。

恵比寿生まれ、恵比寿育ちの松下さんには、「恵比寿でお店をやるなら、まずは恵比寿のまちを盛り上げよう」という考えがある。

「地域密着で、地域の催しにも沢山参加するんですよ。商店街の運動会に参加したり、お祭りで御神輿を担いだり。わたしも運動会では走りますし、わーっと盛り上がって応援します。お祭りの手伝いにも行きますよ。」と横山さん。

それは、恵比寿以外の店舗についてもいえること。新しくスカイツリータウンにできたお店にしろ、羽田空港のお店にしろ、周りのお店はライバルではなく、一緒にその地を盛り上げる仲間。協力しあっていこう、という姿勢がある。

「なので、仕事は仕事、という割り切った働き方をしたい人にとっては、苦手な会社かもしれません。この社風や勢いや、松下の人柄に惚れて入ってきてくれる人は、やっぱり長く続くし楽しんで働いているな、と感じます。」

単にマニュアルに縛られたものでもない、むやみに気合いだ、根性だ!というのとも違う。目の前のことに向き合って、自分のこととして楽しめる人であれば、自分からなんでもやりたくなってくると思う。横山さんみたいに運動会やお祭りにも楽しんで参加したくなるかもしれない。

最初は、流行るお店をつくるためにはどんなテクニックがあるのだろう?という純粋な興味があったけれど、2人の話を聞いていくうちに、テクニックではないことが分かってきた。

自分のことだけではなく、相手の立場になって考えること。それを大切にしているから、常に最善に向かって変化していくし、規模が大きくなっても「仲間」という感覚を大切にしていけるのだと思う。

一緒になにかやりたい!そう思った人は、ぜひ一歩踏み出してみてください。まずはお店に行ってみるのもいいかもしれません。(2012/10/22 ナナコup)