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海外×日本

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日本にいながら、ヨーロッパや中国をはじめ世界中の人と仕事ができる。

一緒に働くなかで、「自分にとっての当たり前」が、スイスではそうでなかったり、「中国の当たり前」に驚いたり。国ごとの仕事観、さらにはその背景にある価値観が見えてくる。

そうした気づきを自分自身の仕事に取り入れてみる。

ここではそんな働き方ができそうです。

今回は、スイスに本社があるメーカーの求人です。ドイツで生まれ育ち、働いてきた代表、塚本さんの仕事観には日本で働いていく上で、考えさせられるものがありました。

会社の名前はFiReP Rebar(ファイレップ・レバー) Japan。スイスに本社があり、FRPという素材を加工しているメーカーです。スロベニアと中国に工場を持ち、ドイツ、カナダ、そして日本に製品の販売を行う現地法人があります。2011年の1月に設立された日本法人は、現在塚本さん一人。
来年末に予定している日本での工場建設をはじめ、今後事業展開をすすめていく中で、一緒に働く人を募集します。

「FRPってわかりますか?これがうちの製品です。」

FRPはガラス繊維とプラスチックを原料とする素材のこと。軽さ・耐久性に優れている。FiRePでは特に、トンネルなどの建設現場で使用される製品をつくっている。

「正直な話、見てもピンと来ないと思うんですよ(笑)。生活に関連したところで言うと、高速道路や地下鉄を建設する際、トンネルの壁面にうちのロックボルトを打ち込み補強することで、安心して利用できるようになります。

土地の限られた都市部では地下の有効利用が求められる。また、日本は平地が少なく道路開通にはトンネルが必要となるし、上下水道、通信なども地下。改めて考えると、トンネルは意外に身近にあるものかもしれない。

「もちろん製品に理解のある方がよいけれど、入社してから徐々に理解していければ大丈夫です。むしろ、どんな思いを持って、どういった会社にしていきたいかを知ってほしいです。」

まずは、塚本さんがどうして今の仕事に就いたのかを聞いてみる。塚本さんはドイツで生まれたあと、高校でデンマークに移り、大学進学を機に日本での生活をはじめる。

どうして日本に来ようと思ったんですか?

「ヨーロッパに住みながら、自分のアイデンティティに悩んでいました。『日本人なのに、日本のことがわからない』って。それから、いずれは経営に携わりたいと思っているなかで、日本のものづくりに魅力を感じていたんです。」

「大学に通いながら、様々なメーカーの生産に関するコンサルタントをしていました。卒業後もコンサルとして3年間働いたんですが、コンサルはあくまでメーカーの外部。どのように面白い製品がつくられていくのか、もっと現場の近くで関わりたい。そう思い、FiRePのドイツ法人で働きはじめました。」

3年間、主に社内のシステム構築に取り組んだ後、2011年に日本法人を設立することとなる。

どうして日本法人を設けたんですか?

「一つには、リニア中央新幹線、北海道新幹線、首都高の地下化をはじめ、トンネルの建設需要は今後も見込まれます。来年末には工場の建設を予定しているんです。」

「まずFRPにおいて日本は高い技術を持っていることから、素材の供給基地としての意味合いがあります。それから、中長期的にはアメリカを市場として視野に入れています。今後アメリカでは、トンネルの補修需要が見込まれます。一方で、保護政策により日本製品の輸出には規制がかかってしまう。そこで、工場自体を輸出することにより特許収入を得ていこうと考えています。」

そうした取組みを積み重ねて、FRPをより身近な素材にしていきたいと塚本さんは考えている。

「もともとFRPは、特殊建築材として開発されたんです。けれどFiRePでは、生産技術の向上や普及を図ることで、次第に一般建築材として使用できる価格帯にしていきました。」

FiRePの主製品の一つであるロックボルトは、かつては鉄でつくられてきた。けれど、鉄のロックボルトにはサビの問題があり、ときには建設物が崩壊してしまう事態も出てきたそう。

「普及が進んだ現在、ロックボルトに関してFRPは鉄とほぼ同値です。さらに重量は4分の1なのに強度は2倍です。FRPは耐久性も強く、腐食の心配がありません。」

「仕事って、自分がいいなと思うものを人に届けることが大切だと思うんです。お客さんにも『それ、面白いね!』と反応していただければもっと嬉しい。逆にもし、製品に思いや特色がなければ、価格だけを競うようになってしまいます。」

ちなみに、各国の法人は独立しているため、会社経営については本社からの指示を受けるのではなく、塚本さんに一任されている。塚本さんは今後、日本法人をどうしていきたいんだろう。

「まず社員一人一人には、自分の仕事に誇りを持ってほしいです。ドイツの会社を見て印象的なことは、『営業だったら俺に任せて』『会計のことは彼女にお願いしよう』といったふうに、一人一人にスペシャリティがあるんですね。そのスペシャリティが誇りにつながっている。そして誇りがあれば、仕事を楽しむことにつながると思うんです。」

今回応募してくる人には、幅広い業務をしてもらうことになる。ただ、その中でも強みは見つけていってほしいという。

「組織としては、社員は50,60人ぐらいまでと考えています。それから、社内の不要な仕事は極力なくしていきたい。たとえば稟議書の回覧はなくして、個々が判断できるようにしていきたい。また、部署はもうけません。まずは営業が仕事をいただいてきたら、そのプロジェクトごとに各分野のスペシャリストが集まってチームとして仕事する。個人個人が独立しているけれど、いざというときに頼れる人がいる。そんな会社にしていきたいです。」

塚本さんの思い描いている会社は、個人事業主的な感覚を持った人の集団という感じがする。

「やみくもに売上や社員を増やすことは考えていません。実は、売上だけを追求していくのはそこまで難しいことではないと思うんです。でも、働く上で本当に大切なことは、自分がどうありたいか、どう生きたいかだと思うんです。」

話を聞きながら感じたのは、ドイツと日本のよいところを取り入れようとするバランスのよさ。日本では、欧米の雇用形態や企業形態を形ばかり取り入れようとするケースが少なくないと思う。けれど、生まれ育ってきたからだろうか。塚本さんは、制度のもとにある考え方も踏まえて、より自然に導入している。

社内の様々な人とやり取りを通して、色々な国の働き方や価値観に触れられることもFiRePの魅力だと思う。

たとえば、日本では男社会といったイメージの強い建設業界だけれど、海外では男女比が同じということもめずらしくない。また、女性が管理職に就くことがごく当たり前だったりする。

本社ドイツの技術職トップは女性。他にも、中国の上海工場では経営責任者、工場長、営業のリーダーが女性。中国では共働きがごく当たり前のことで、仕事のできる人が出世をしていくのだという。

塚本さんは、海外のよいところは積極的に取り入れたいと考えているし、逆に気づいたことがあれば、こちらから提案していけると思う。

今回はいる人は、どんなふうに仕事をするのだろう。

「まずは、秘書としてのスケジュール管理、経営企画に関する資料作成に、様々な書類の作成があります。請求書、輸出入に関する諸手続き、営業補助の資料などです。たとえば、クライアントの資材担当の方からオーダーをいただくと、それに基づいて工場への製品手配、輸出入に関する手続きなどを行います。また、製品に関する技術的な問い合わせを受けた場合は、内容を工場やスイス本社に取り次いでいきます。」

「それから、会社自体が次々と新しい取り組みを進めていくなかで、色々とお願いすることも出てくると思います。たとえば今後アメリカに進出していくときに、『税制的にどんな優遇があるか』とか、工場を建設するにあたって『従業員の食事をどうしよう?』とか。今すぐにはわからなくていいから、一緒に考えていってほしいんです。」

税制についてネットで調べたり、ときには役場に行って質問してみたり。まずは目の前のことに前向きに取り組んでみる。その積み重ねが工場立上げのような、大きな一歩につながっていく。

僕自身もいわゆる大企業で働いていたので何となく想像はつく。1からつくりあげていくことには、最初は少し戸惑うかもしれないけれど、いざやってみると次第に慣れてくると思う。むしろ任されることで責任感が生まれ、次第に楽しくなってくるかもしれない。

「他にも、できればお願いしたいことは色々あります。」

塚本さんは現在、営業から製品の仕入れ、社内のシステム構築にはじまり、HPやパンフレットの制作といったデザイン業務まで一人でこなしているそう。知識や関心があれば、そうしたことも引き継いでいきたいと考えている。

「逆に自分で『こういうことをやってみたい』ということも言ってほしい。根回しではなく、僕を説得すれば動けるから、やりやすいんじゃないかな。」

求められることとしては、社会人経験があった方がいい。「会社ってこんな感じだな」という空気感を理解していることがまずは大事。

それから英語ができること。スイスの本社、中国の工場といった各社間のやり取りは英語で行うことになる。

「あとは、残業しないことも能力のうち、と思います。新規案件に取り組んだり、各社間の連絡において時差の関係で残業することはあると思います。ただ、会社としては、基本的には残業せず仕事ができるようにしていきます。」

話をうかがうなかで、仕事だけではなく、生活もきちんとしてほしいという思いが感じられた。

実は、来年から営業として働くことが決まっている人にお願いしたことがあるという。

「健康でいてください、と伝えたんです。」

「時代錯誤なんて言われてしまいそうですが、お客さんの求めることに最大限反応するのがよい営業だと思うんです。お客さんがお酒を好きな方なら飲みにいったり、ゴルフが好きな方とは一緒にプレーしたり。ただ、よい営業の方ほど早く亡くなるケースが多いんです。体に無理をさせてしまうんですね。うちの会社では定年後も人生を楽しめるように、言い方は悪いかもしれませんが、避けられるものは避けてほしいと思うんです。」

最後に伝えたいことはありますか?と聞くと塚本さんはこう話してくれた。

「仕事ってほんとうは楽しいものだと思うんですよ。仕事を通して、人の役に立ったり、興味がないと思っていたことが実は楽しかったり。自分を高めていけるものだと思います。だから、今回働く人とも一緒に楽しくやっていきたい。辛い時ももちろんあるけれど、一時的なことなので一緒に頑張っていけたら。会社って、ついつい『すみません』と言いがちだと思うんですけど、それよりも『ありがとう』と言えるようにしていきたい。前向きに取り組んでいけば絶対楽しめると思います。」(2012/11/27 はじめup)