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「イベントって、よっぽど大失敗しない限りは、終わったときにみんな『良かった』と思うんです。だけど、来年もまたスタッフとして手伝いたいと思ってもらえるかは別問題。『終わって良かった〜!でも来年は二度とやりたくない』という場合もあるんです。僕らの目標は、『来年も関わりたい』と思ってもらえるようなイベントをつくることです。」
そんなグリーンアップルが、会社を立ち上げてからはじめてスタッフを募集します。社会人経験やイベント経験がない人でも、動きながら感覚を身につけていける仕事なので、ぜひ読んでみてください。
東急東横線の走る学芸大学駅の商店街の賑わいから、道を一本入ったところにあるオフィスに伺う。
オフィスのなかは、友達の家にお邪魔したようなアットホームな雰囲気。もうすぐ引っ越すそうだけれど、移転先もこのすぐ近くなのだそうだ。

沢山の要素があるし、それがどんな風に繋がってこの会社ができていったのか想像がつかなかったので、代表取締役の中島さんに聞いてみた。
すると、話は中島さんの高校時代に遡る。
「僕、もともとお祭り大好きで、中学も高校も学園祭実行委員長です。2年生の夏には、学外のイベントにもボランティアとして参加しました。」
そこで、中島さんの原体験とも呼べる出来事が起こる。
「僕はそのとき、車椅子で来館された方たちを駅まで誘導する係につきました。ところが、当時は駅にバリアフリーがなくて、エレベーターは1人ずつ運ぶことしかできなかった。僕らもスタッフが5人ほどしかいなくてどうしようかと思っていると、それを見た他のお客さんたちが手伝いに来てくれたんです。スタッフもお客さんも関係なく、みんなで汗をかきながら階段を往復して、車椅子の方たちを運びました。」
「そのとき、イベントって、人が集まる場ってすごいなと思いました。イベントの持つ力と社会的なテーマを結びついたら、日本はもっと良くなるんじゃないかな、と感じたんです。」

大学生時代には、「A SEED JAPAN」というNGOで野外音楽イベントでごみの分別やリサイクルなどおこなう「ごみゼロナビゲーション」の企画・運営に関わった。
大学卒業後は、一度イベント会社に就職したのち、”地球のことを考えて行動する日”である4月22日を中心に行われる環境イベント「アースデイ東京」の事務局長を5年間勤める。そして、イベントの活動を通して知り合った2人の仲間とともに、グリーンアップルを立ち上げた。
今はインターン生を1人迎え入れて、4人で日々の依頼に対応している。
今回募集するのは、主に中島さんと一緒にイベントをつくっていく人になる。
実際、イベントはどんな風につくられていくものなのだろう。順を追って教えてもらった。
まず、イベントの依頼をもらう。その後、打ち合わせを重ねながら、どのようなイベントにするのかを固めていく。
「場所と日時は決まっているけれど、『こういうことがしたい』という部分がまだ決まっていない、ということもある。僕らはそれに対してアイデアを出したりプレゼンしたりして、提案していくんですね。」
イベントの内容が決まったら、次はそれを実現するために具体的に考えていく作業に入る。どんな設備が必要で、誰に協力してもらえばいいのか。
「実際の会場の組み立ては、外部の信頼できる会社にお願いしています。そういった協力者とクライアントさんとの間に立って、コーディネートするのが僕らの役割になります。」

音響なら音響のプロ、搬入なら搬入のプロと連絡をとる。それから、資金を募るためには、イベントの趣旨を理解してくれる協賛社が必要。営業だってすることもある。
思い描いたイベントを実現させるためには、沢山の人たちの協力が必要になる。
だから中島さんは、いつも外を飛び回っている。グリーンアップルはみんな「営業タイプ」の人たちだから、誰もオフィスにいない、ということも多いそうだ。
「数字上、書面上のいわゆる事務仕事ではなく、オフィスにいない僕たちに代わって、全体を把握するヘッドクオーターのような存在がほしいと思いますね。」
一緒に外を飛び回る人も必要だけれど、誰もいないオフィスを守る人も必要になるのだろうな。
イベントをひとつやるにしても、出展者、関係者は何百人もいたりすることもあるから、連絡調整はとても重要になってくる。そんなとき、オフィスに人がいれば、かかってくる電話に対応できる。
あとは、収支をちゃんと見極めていきたい。例えば、チラシを印刷するにしても、より環境に配慮した印刷会社を探したり、前後のイベントで兼用できるように備品を手配したりもできるかもしれない。
安く押さえるという目先の問題だけではなく、俯瞰して会社や環境にとって良いことを考えられる人がいるといい。

グリーンアップルは、「1%・フォー・ザ・プラネット」に加盟して、売り上げの一部を環境団体に寄付し活動を支援している。
イベントやラジオの制作だって、社会的な活動をしている団体に対しての「応援」の形のひとつ。イベントを成功させることの先には、少しずつでも地球をよくしていきたい、という大きなイメージがある。
だから、新しい人を募集するといっても、たんに手足が欲しいわけではないのだろうな。ちゃんと想いを共感できる人がいいと思う。

「社会人経験がなくても、イベント経験がなくてもいいです。学校の学園祭だって、素人の学生たちが何千人とお客さんを呼びますよね。知識は関係ないと思います。専門的なことが分からなくても、『何が分からないのか分かる人』ではあれば大丈夫です。」
何が分からないのか分かる人、ですか?
「そうです。自分が今、何が分からないのかがきちんと分かれば、あの人に聞こう、あの人に頼もう、そうだ、あれが必要だ!って、次に動けるじゃないですか。」
なるほど。自分で全てを完璧に理解していなくても、聞くべき人に聞いて教えてもらえば、それでいい。
「指示待ちの人だったら、なにもしないままイベントが終わってしまう、なんてこともあるかもしれません。積極的に考え、質問できる人であれば、経験がなくてもどんどん吸収して成長していけると思います。」
あとはやっぱり、一般的な言い方になってしまうけれど、体力や根性も必要になるのかな。22時までのイベントだったとしたら、片付けはそこからはじまることになるし、忙しい時期にはそれが何度か続いてしまうこともあるそうだ。
だけど、と中島さん。
「何をやるにしても、『他人ごと』だと辛いですが、『自分ごと』だと楽しいじゃないですか。僕らは企画の段階からミッションを共有しているので、そこはあまり辛くないんです。」
中島さんたちがイベントをやる上でいちばん重視していることがある。それは、参加したスタッフが来年も関わりたいと思うかどうか、ということ。
イベントの最中は、進行のオペレーションやお客さんの対応に意識がいきがちだけれど、スタッフともしっかり意思疎通をとっていく。
「『木を植えるよりも、木を植える人を育てよう』この言葉を聞いたとき、その通りだと思いました。今まで手がけてきたイベントを、できるだけサスティナブルなものにしていきたいんです。そのために、『来年も関わりたい』と思ってもらえるようなものをつくっていきたいと思います。」

「3本目の柱、NPO支援の『キャパシティ・ビルディング事業』を、今後はもっと拡大していきたいと思っています。」
この事業は、中島さんとともにグリーンアップルを立ち上げた取締役の武田さんが、NGOの代表を務めてきた経験を生かし、NPOの立ち上げや運営を支援するというもの。
立ち上げた団体の活動を広めるために、イベントやラジオの事業とも協力し合って、3つの事業をひとつのサイクルにしていきたいと考えている。
「そこで、自分たちのNPO法人をいくつか立ち上げていきたいと思っているんです。イベントやラジオの仕事は、依頼が来て初めて成立する請け負い仕事。もっと自分たちの想いからはじめられる、種からつくれるようなことをしたいな、と思うんです。」

「今後は、このような事例を増やしていきたいんですよ。全く関心のないことをしても説得力がないし、ただの仕事になっちゃう。やっぱり、『自分ごと』にしないと。自分たちが関心のあることを、応援しあって形にしていけたらいちばんですよね。」
ここには3つの事業があり、自分の関心を形にするノウハウも、それを広めるネットワークも揃っている。
だから、環境や社会に対して「こんなことがしたい!」という想いがある人なら、ここで実現できることがあると思います。
最後に中島さん。
「僕らは走りながら考える会社なので、やりたいことが既に見つかっている人はもちろん、足を動かしながら見つけていきたいと思う人にも来てほしいと思います。」
