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未来をつくる

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もし現代に坂本龍馬が現れたら、武器商人ではなくファシリテーターになったかもしれない。いきなり突拍子もない話だけど、フューチャーセッションズの野村さんと話しているときに思い浮かんだこと。

なぜなら野村さんの仕事は、価値観や役割の異なる人を集めて、対話する場をつくり、未来を創造することだから。

Photo: シブヤ大学フューチャーセッション

でも野村さんが手にする武器は銃ではなく「フューチャーセンター」であり、そこで行われる「フューチャーセッション」。

野村さんと一緒に未来をつくっていく人を募集します。

表参道から一本入ったところに、フューチャーセッションズのオフィスがある。様々な会社やお店が入った低層の建物で、中にはソファや椅子などが点在していて、ゆるやかなつながりが感じられる空間になっている。居心地が良さそうだ。

気持ちのいいリビングのような場所で、まずは代表の野村さんに話を聞くことにした。

まずは「フューチャーセッション」とは何なのか?なんとなく僕も理解しているつもりだけれど…

「フューチャーセッションは、現場の多様なステークホルダーがお互いに尊敬の念をもって傾聴し合い、未来に向けての新たな関係性と新たなアイディアを同時に生み出す場です。その結果として、イノベーションに向けた、協調アクションを生み出します。」

今回はこのフューチャーセッションが広く行われていく環境をつくる人、そして実際に企業や行政などの課題解決をしていく人を募集することになる。

「今までは一部の人たちが世の中を動かしてきたと思うんです。でもそうではなくて、一人ひとりの違いを大切にしたり、その多様性の中で生まれた色んなアイディアを形にしていきたい。テクノロジーで変えていくのではなく、人の行動とか振る舞いで世の中を変えていくような社会をつくりたいと思って、この会社をつくりました。」

「その中で、ぼくは大切にしていることがあります。それは自由に働くということ。」

自由というのは、どういう自由ですか?

「ぼくの中では自由とは、好きなことをすることと、世の中にインパクトがあることを両立することです。ぼくはずっと自由になりたいと考えながら、会社を選んだり仕事をしてきました。そして、好きなことをやっていても、世の中の誰かにそれが届かなければ本当の意味で面白いものではないと思うようになったんです。」

野村さんが社会に出て、まず働きはじめたのが富士ゼロックスという会社だ。研究所を経てコーポレート戦略部にて「ドキュメントからナレッジへ」という事業変革ビジョンづくりに関わることとなった。そこで感じたことは、スローガンだけでは会社は変わらないということ。

そこで2000年にKDI(Knowledge Dynamics Initiative)という事業グループを立ち上げることとなった。海外の企業とアライアンスを組んで、日本のトップ企業に提案して、今までにないような研究的なプロジェクトをどんどん立ち上げていく。例えば日産自動車の先行開発センター拠点を立ち上げるプロジェクトでは、同社の変革チームと一緒に、新しいの「働き方のコンセプト」をつくった。

「研究所の方とか開発担当者の仕事に密着して、どういう仕事が本当にしたいのか、今やっている仕事のどこが大切なのかということをインタビューしたり観察したりワークショップをしました。そうして、空間のコンセプトづくりから働き方まで考えたんです。」

「どうやったら創造的に働くことができるか。どうすればイノベーションが起きるか。拠点ができたあとも何度か訪問して、空間づくりに加えて、組織をイノベーティブにするための変革装置が何か必要なのでは、と考えるようになりました。それをつくり出すことが、本当に面白いことなのではないかという気がしてきたんです。」

そんなときに出会ったのがフューチャーセンターだった。

(c)Futures 2012

組織を過去の蓄積だけで存続させるのではなく、新しいものを生み出していくにはどうしたらいいのか。その答えが「未来」を考える新しい「場」にあった。

それから3月11日に震災が起き、今起きている問題を解決するにはフューチャーセンターが世の中にもっと必要だと思った。

「ぼくたちは、誰もがフューチャーセッションを開ける文化がもっと広まってほしいと考えていたのだけれど、企業の中にいるとソーシャルな活動に対してノウハウをオープンにすることができていなかった。けれどノンプロフィットの世界になってしまうと誰も食べていけなくなってしまう。」

そのときに背中を押したのが「自由になりたい」という思いだった。

自分のことだけではなく、立場の弱い人を応援することで、多くの人にも自由になってもらいたい、と考えていた。

そういった思いをそのままにして、傍観していられなかった。

「傍観したまま10年経って『あれっ』という状態にはなりたくなかった。本当にホットでイノベーションが起きる場所に自分はいたいと思いました。」

「今までやってきたイノベーションのメソッドを、もっと地域の活性であったり、社会起業家を増やしていくことだったり、企業がもっとソーシャルなインパクトを出す活動にシフトしていく助けに使いたいです。」

そんな野村さんの起業に対して、しばらくしてから合流したのが筧さんと有福さんだ。

なぜ一緒に働こうと思ったのか。まずは筧さんに聞いてみる。

「野村と出会ったきっかけはKDIで、その前はソフトウェア開発でプログラマーでした。ただ、開発はパソコンを前にしてひとりで働く時間が多く閉塞感を感じていたんです。チームで何かを作るのはほんと楽しくて好きでしたよ。チームでつくりあげて、働いていくことに可能性を感じていたんです。」

そんなときに目の前に現れたのが2つの機会。デザインファームIDEOと働くこと、そして野村さんのいるKDIに異動すること。

KDIでの仕事は今までの仕事とはまったく別のものだったけれども、チームとしてイノベーションを起こすにはどうしたらいいか考える仕事はとても楽しかったそうだ。

「対話したり、コラボレーションしながら作り出していかないと新しいイノベーティブな商品、サービスが生まれないと思いました。でも日本の会社はそうではないな、と思ったんです。優秀な人はたくさんいるんです。でも働き方が合っていない。」

そのときに出会ったのがフューチャーセンターだった。

「企業として何に取り組まなければいけないのか、個人として何をやらなければいけないのか、どんどん見つけられるやり方だなと実感したんです。対話して未来をつくることが、ひとつのキーになる。そしてもっと多くの人に参加してもらいたいと思いました。」

(c)Futures 2012

野村さんが会社を辞めたあと、しばらくしてから筧さんも合流することになった。

実際に働いてみてどうだったのだろう。

「まだ社会にどう還元していくかチャレンジしていかなければいけないところですけど、これを乗り越えたらフューチャーセッションを通して、社会にインパクトを与えられると思います。最先端のことを一緒にやりたい人に来てもらいたいです。」

もう一人のスタッフが有福さん。彼はもともと広告会社で働きながら、社内ベンチャーで環境ウェブマガジンを立ち上げたこともあった。

はじめて野村さんと出会ったのは2010年の年末。

「震災の前でしたね。そのときからフューチャーセンターという言葉は知っていましたけど、ピンと来ていなかったんですよ。」

ところが野村さんのファシリテーションを体験して、心底面白い!と思ったそうだ。

「ファシリテーターの人たちって、それぞれの専門分野があるように思うんです。でも野村はそうじゃない、まったく新しいタイプでした。ビジネスでも活きるし、社会起業家にも受け入れられる。」

「環境のウェブマガジンをつくりはじめたんですけど、社会の課題はいろいろある。そしてその根っこはつながっているように思いました。それは人の行動によって起きている。一人ひとりが変わらないと結局のところ問題は起き続ける。表面的なことをつぶしていっても、人の行動そのものを変えていかないとどうにもならないんです。」

人の行動を変えるには、一方的に教えてもうまくいかない。それはウェブマガジンを運営していて感じたこと。それよりも対話などを通して自分の中からわき上がってくるものが行動を変えていく。

それに気がついたときに、フューチャーセッションはイノベーションを起こす方法であることを実感したそうだ。

ビジョンを示して実践しながら先導していく野村さん。企業や行政などに対して、フューチャーセッションなどを通してイノベーションを実現しているのが筧さん。そして、新しいメディアをつくるように、フューチャーセッションを世の中に広めていくプラットフォームをつくろうとしているのが有福さん。

この3人のチームには、どういう人が必要なのだろう。

一人は筧さんのように企業や行政などと一緒に仕事をしていくイノベーション・コンサルタント。もう一人はフューチャーセッションを進めていくために、プラットフォームをつくっていくセッション・プロデューサー。

どちらの仕事も、「チャレンジ精神」と同時に「安定感」のある人がいいとのことだけれど、得た経験や知識をオープンにできるような「柔軟」な人が求められている。

根本的な思想や哲学を共有しつつ、そのゴールまでの道のりはそれぞれが自由に考えながら、お互いに支え合って働くことができる人なのかな。

野村さんはこんなことも言っていた。

「セクシーな人がいいですね。」

セクシー??

「その人自身が持っている魅力とか枠に収まらない感じとか、周りがドキドキするような人、という意味です。あとは遊び心がある人かな。トラブルが起きても、落ち込むのではなく、どう解決していこうかと前向きに考えようとする人。なかなか面白いゲームだね、って言えるくらい。」

建設的で、楽観的で、前向きな感じでしょうか。

「そうですね。こうすればできるっていう問題は絶対にないので、何でも面白がれる人がいい。あとは僕らの仕事って、仕事じゃないものと区別がつきにくい。たとえばノンプロフィットの活動も、自分の人生の一部として普通に存在している人がいいです。」

(c)Futures 2012

「オフィスビルに入って、パソコンに向かって働くのとは180度違う。もしかしたら普通の人が休日にやっているようなことを仕事にしているんです。でもそんな非日常の仕事も、これからは日常になっていくと思っています。これがスタンダードになる。」

ぼくもそう思います。興味がある人は野村さんたちと対話してみてください。きっと新しい未来が見えてくると思います。(2012/2/22 ケンタup)