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2/8~10に奈良で開催されたシゴトヒト3daysⅡに、“あきらめたヒト”のゲストとして参加いただいた青木耕平さん。その青木さんが代表をつとめる株式会社クラシコムの採用がはじまりました。クラシコムは北欧雑貨や食器を紹介するネットショップ“北欧、暮らしの道具店”や実店舗を運営しています。

東京に今年2度目の雪が降った2月6日、国立にある事務所で青木さんに話をうかがいました。

逆に、通販に向いた商品としては、健康食品や化粧品、あるいは流行の変化するアパレル系が挙げられる。
「そこで考えたのが、そもそも通信販売業の最も大きなコストの一つである広告費を使わずに事業が成長できないかということ。そのためには自社媒体がそのまま集客力のあるメディアになっていけば、実は広告は不要になるんじゃないかと。つまり雑貨でも通販が成り立つ。なので、今僕らが力を入れていることは、サイトのコンテンツづくりです。とにかく圧倒的に魅力的で、カートボタンのある雑誌のようなメディアになっていきたい。そのためにできることは、ものすごくたくさんあるんですね。」
最近では5周年記念のリトルプレスを作成して商品に同梱して発送した。想像を超える反響があり、それがほしいからと久々に注文をくださったお客さんもいたそう。そうした展開をさらにしていきたいとクラシコムは考えている。

「そうですね、実は、僕らは自分たちを通販事業者というよりもエンタテインメント事業者だと思っていて。他社さんが、価格差や利便性を武器にするなら、僕らは楽しさで勝負したい。単にモノを売るだけではなくて、その商品を通した体験をお客さまに届けたい。だから、色々なコンテンツを通してお客さまに様々な体験をしてもらう。そのなかの一つの機能として、買うということがあるのだと思います。」

仕事終わりや、家事の合間にふらっと立ち寄りたくなるところ。それでいて、誰かにプレゼントを贈りたくなったり、自分の生活を少し変えたいなと思ったときに一番に頭に浮かんでくるような。
クラシコムが運営する“北欧、暮らしの道具店”はそういう存在なのかな、と思う。
「コンテンツっていうのは単に写真やテキストとか、記事みたいなものだけではなくて。情報量が多い商品もコンテンツだったりする。たとえば今彼女たちがつくっているジャム。つくっている様子や食べ方の提案から、フルタさんがジャムづくりをはじめたきっかけまで記事にしていて、ジャムに物語があります。あるいはカスタマーサービスでのお客さまとのやりとりのなかにも、機械的ではないコミュニケーションが生まれてくれば。それは電話やメールというメディアをつかったコンテンツになりうると思います。商品を同梱している段ボールや包装の仕様もそうです。」
「あらゆる活動、あらゆるお客さまに届けるものが一つのコンテンツでありメディアだと思うんです。よりコンテンツを充実させたいし、そのためには仲間が必要なんですね。

クラシコムではみんなどんな風に働くのでしょう。
「“フィットする暮らし、つくろう”という経営理念があって。クラシコムという会社が社員にとっても、自分らしいライフスタイルを築いていける土台にしたいと思っています。そのためにも、18時以降の残業はまったくないとか、社員は基本的に正社員で雇用するということがあります。ただ、9時〜18時の間は、自分らしいやり方ではなくて、クラシコムの働き方をしてもらうことになると思います。
「たとえば、午後から調子が出てくる人もいれば、休み休み仕事したい人もいるかもしれません。でも、クラシコムでは出社して15分後には全力で仕事をしていないと当然18時には帰れない。短い時間できちんと成果を出すには、どういうツールを使って、どういう考え方で、どんな段取りで、どういう重みづけで仕事をするか。あくまでも我々の仕事のスタイルをまずは吸収してもらう必要があります。
青木さんは続けて、クラシコムが自分らしい暮らしをつくる土台であるためには、会社として3つの条件を備えていることが必要だという。
それが、自由・希望・平和。
自由は他社の支配を受けないこと。通販サイトでも、他社のプラットフォームで商売をすれば、やりたくないことを渋々やらざるをえないこともある。またできることに規制がかかることもある。
平和は、不毛な競争から離れていること。価格競争や新製品の開発競争といった、お客さんがフィットする生活をつくることには関係の薄い競争から離れていること。
最後に希望。今日より明日、明日より明後日、今年より来年が少しずつよくなっていきそうだよね、と思いながら今を過ごせることが大事。

じゃあ、どんな人が合うのでしょう。
「クラシコムで働く人には、目の前の仕事はきちんとこなしつつも、もっと何かできないかと考えていてほしい。バランスですね。現在と未来、持続と革新、自分と他者、その両方がいつもバランスよく視野に入っていてほしいなと思います。だから入社を検討していただくときにも、自分が何を求めているのか。そしてクラシコムは自分に何を求めているのか。その2つをよく見ていただけるとうれしいです。」
フィットする暮らしをつくるためには、何よりもまず自分を知ることが必要だ。だから会社に無理に自分を合わせようとしたり、逆に会社を置いて自分が全面に出すぎては、ずれてしまうと思う。
実際に働いている桑原さん、齋藤さんに話を聞いてみる。

「前職では4年間設計事務所で働いていました。でも断熱性や遮音性といったハード面に、興味やアイデアがなかなかついていけず、自分にとって建築って難しいと思うようになって。それよりも、お施主さんが出してくれる手づくりのドーナッツが使い込んだお皿に乗っていることや、玄関に季節ごとの飾り付けをしたらお施主さんは喜んでくれるかなとか。どうしても、そういうとこに意識がいっちゃう。もっと暮らす人に寄りそった提案がしたいと思いながらも、それはどういう仕事につながるのか、さっぱりわからなかったんですよ。それで記事を読んだときに、こんな仕事があるんだ、と思って。
実際に働きはじめてどうでしたか?
「9時から18時までの時間がぎゅっとつまってる感がすごくて。前職では18時からが勝負、みたいなところがあったのでなおさら。時間の使い方がすごいいいな、これは気持ちいいなと思いました。」
「あと、一人一人がどうしたら会社がよくなるか考えていたり、お互いを思いやっていたり。そうした関係が自然にある感じがしました。」
特に新しく入社した人のケアは最優先するそう。その人がストレスなく仕事を覚えられるように、質問を受けた先輩は、自分の仕事をとめても対応するようになっている。
前職は北欧家具の販売店。入社3年半の桑原さんはこんな話をしてくれた。
「私も働き方が合っているな、と思います。それから、仕事と暮らしがすごくつながっている感じがする。たとえば、今までは時間がなくてあくせくしていたのが、お花を買ってみようかなと思う余裕ができたり。そのことが仕事のアイデアに結びついたり。そういう風に自分の暮らしを気持ちよくすることが、けっこうそのまま仕事にいきてくるんですね。
仕事についてはどうだろう。
齋藤さんはコンテンツ制作の仕事をしている。
「今は、商品の楽しみ方や使い方といった体験を提案できるコンテンツづくりを、企画から取材、掲載までやっています。たとえば社食をお願いしているフルタさんの料理のレシピを季節に応じて連載したりとか。あるいは、みんなの暮らしのインテリアをお宅まで取材しに行ったり。どうしたら毎日HPに遊びに来てもらえるだろう。そのためにきちんと伝わるように、お客さまになった気持ちでつくっていきます。わくわくしてもらえるページをつくりたいというのが1番大きいですね。」

カスタマーサービスの桑原さんにも話を聞いてみる。
「私はずっとカスタマーサービス一本だったんですが、今ようやく他の仕事も色々はじめられる感じで。これからはプレス対応が出てきたり。他にも領収書のデザインをちょっと変えたいなとか。あとはラッピングをこうした方がよりいいんじゃないかとか。日常業務のなかで気になることをちょこちょこ出していって、そのなかから優先順位をつけて少しずつ進めている感じです。」
「たとえば去年の10月には、梱包資材を減らしました。『届いた荷物はとっても綺麗だったけれど、梱包資材が多かった』と何通かお便りをいただいたんです。そういったところはだいぶ改善してきたかなと思います。でも、もっともっとよくしていきたいんですね(笑)。

シゴトヒト3daysでも、昼食をとる暇もないぐらいに、青木さんの周りには終始たくさんの人が集まっていました。
いま、クラシコムには、とてもいい流れがあると思います。(2012/2/20 はじめup)