求人 NEW

長いお付き合い

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「長い期間お付き合いをするなかで、一人一人のお客さんのことが好きになるんですね。そうした大切な方の住まいづくりのお手伝いをしたいと思っています。」

そう話すのはStyle&Decoの山田さん。

Style&Decoは、不動産とデザインに関わることで、新しいライフスタイルをつくっていくことをミッションにしている会社です。現在では物件探しからリノベーションまでを一貫して手がけるEcoDeco、セルフリノベーション向きの物件を紹介するもぐら不動産などに取り組んでいます。今後も一緒に働く人次第で、さらに展開していきたいと考えています。

話をうかがうなかで、社員同士の関係がいい会社だなと感じました。入社4ヶ月の岡田さんが社長に冗談を飛ばして、そこから笑いが広がっていったり。社長が社員を信頼していたり。同じ思いで仕事に取り組めているからなのだと思います。

Style&Decoは代表の谷島(やじま)さんが2006年に起業、当時は建築家の営業代行を行っていた。

ある日、谷島さんは結婚した知人から相談を受ける。マンションを探しているが自分に合った物件が見つからなくて困っている、という内容だった。

「新築物件を探し続けるよりも、中古マンションを買って、内装を自分らしくつくりあげた方がいいんじゃない?と提案したんですね。それで、物件探しから施工までを手伝ったことが、リノベーション事業であるEcoDecoのはじまりです。」

「ただ、当時はリノベーションという考え方が知られていなかったんですね。苦労の末にようやく物件が見つかっても、ローンの組み方がわかる不動産さんはなくて。一つ一つ知人と一緒に、手探りですすめていったんです。結果としてその知人も満足してくれて。そのときに、こんないい住み方があるのに、どうしてみんなやらないの?ないなら私がやろうと思ったんです。」

EcoDecoの一番の特色は、物件探しからローン借入、施工そして引き渡しまでを一貫してお手伝いすることだという。

大学で建築を専攻していた山田さんは、新卒で入社して3年目。コーディネーター(営業)を担当している。就活では最初、大型開発を手がけるディベロッパーも受けていたが、次第にリノベーションに注目するようになる。これからの時代に合っているのではという思いや、もともとの団地好きが高じてStyle&Decoで働きはじめた。

今はどんな仕事をしているのでしょうか。

「私の仕事は、問い合わせをいただいたお客さんにお会いするところからはじまります。こんな家に住みたいというご要望を聞いて、物件を選び、納得いただけるまで一緒に内見をします。物件が決まると、不動産購入に伴う住宅ローン借入の手続きまでお手伝いします。その後、内装のご要望を聞いて設計士に引き継ぎをしていきます。」

その他には入居者を募集している物件のブログ更新、イベント企画といった仕事もあるそうだ。

Style&Decoの特徴の一つが、一人のお客さんと長いお付き合いになること。お会いしてから設計士に引き継ぐまでに、1〜2ヶ月、長いときには半年ほどかかるそうだ。物件完成後は引渡しに立ち会い、コラムの取材をする頃には、丸1年のお付き合いとなっている。

どんなことを大切にお客さんと関わっていますか?

「お客さんの気持ちになって考えることです。その姿勢を谷島がずっと見せてくれたんです。ただ数字だけを求めるのではなく、お客さまのために嘘ではなく本気で考えて、お役に立つことが大事だと思います。物件選びもただ買ってもらうだけでなく、良し悪しを正直にお伝えしていきます。」

ここで谷島さん。

「彼女はていねいに関わるので信頼も厚いようです。私が、社長がですよ、『この物件どう?』と提案しても『谷島さん、それはダメですよ。あの方には合わないんです』ってばっさり(笑)。でもプライドを持って仕事しているのでいいのかな。」

山田さんはお客さんとはどのように関わるのだろう。

「Style&Decoにはこだわりのあるお客さんが多いんですね。こだわり方にもインテリア、立地など色々なかたちがあります。」

「中央線の高円寺に住んでいた方で、『特に場所はこだわりがないんです』と話をされていたのが、色々なエリアを回って最終的には隣の中野に。路線への愛着や、駅前ににぎやかな商店街が広がっているのが自分にとって大事だと、内見をするなかで気づかれたんです。」

また、こんなお客さんもいた。

「その方は3人家族で、もう一人お子さんが増えることもわかっていたんです。住宅情報誌などで必要な広さを調べて70~80㎡の物件をお探しでした。けれど最終的に入居したのは60㎡の物件だったんです。」

「価格帯も考えると、ほんとうは60㎡ぐらいが望ましかったけれど、狭いのでは?と不安を感じていたそうです。私たちが『ここでも十分に住めますよ』と図面を見て説明したことで、安心していただけたようです。『今後子どもが育ち、出費も増えるので住居費を抑えて、生活に力を入れていきたい』と話されていました。」

Style&Decoでのリノベーションを通して、お客さんは単に住居を手に入れるだけではなく、「どんな生活をしていきたいか」をじっくりと考える機会になるのだろう。Style&Decoは、お客さんのなかにすでにあるライフスタイルを引き出せるように関わっていく。

話をしている山田さんの表情はうれしそうで、お客さんを好きだということが伝わってくる。

谷島さんはこんな話をしてくれた。

「山田さんは、よくお客さまの家に飲みに行くよね。取材に出たまま戻らなくて、逆にお客さんから『お時間大丈夫ですか?』と心配されたり(笑)。赤い顔で、なにかを噛み締めるように帰ってくるんだよね。」

「みなさん、『EcoDecoでよかった』そう言ってくださるんです。実際に喜んで住んでいる姿を見ると、ほんとうによかったと思います。」

もちろん大変なこともある。

「不動産業界は男性社会ですし、まだまだ『物件はモノ、お金がすべて』という価値観の方が少なくないです。そのなかで、お客さんに少しでも安く物件を提供できるように、不動産会社のおじさんに、がしがし価格交渉をするタフさも必要だと思います。」

山田さんからは、お客さんのことが好きだからこそ、交渉にも精一杯取り組もうとする姿勢を感じる。Style&Decoで働くうえで大事なことは、まずは大切な人の役に立ちたいという思いなのかもしれない。

建物やデザインが好きであれば、現時点で経験はなくても学んでいけばよいとのこと。

「まち歩きが好きで、普段から建物を見ていたり。何となくあの団地が好き。そういう感覚があるといいかもしれません。マニアックでいてくれて全然いいです(笑)。」

山田さんから仕事を引き継ぎ、リノベーションをすすめていくのが昨年の8月に入社した設計の岡田さん。前職では、学校を中心とする公共施設を設計していた。

「ほんとにこれでいいのかな?前の仕事ではそんな疑問がいつもあったんです。僕が打ち合わせるのは、お施主さんや建築の担当者の方。実際に建物をつかう人がどう感じているかは、わからなかったんです。」

岡田さんの仕事について聞いてみる。

「山田がお客さんの望むライフスタイルをあきらかにしますよね。設計は、そのライフスタイルが実現できる空間づくりをすすめていきます。」

「引き継ぎを受けて、まずはお客さんと顔合わせをします。そして要望を聞きながら図面をおこしていきます。次に工務店に相見積もりをお願いします。各工務店の特徴なども踏まえつつ、お客さんが業者を決めて契約、着工となります。施工中は設計監理として、設計図通りに工事が進んでいるかを定期的に確認します。図面では描かれていない詳細の打ち合わせも行います。その後引き渡しとなります。」

前の仕事とはどう違いますか?

「一番大きいのはお客さんが実際に住む人だということです。よいことも悪いことも、直接生の声を聞くことができる。それから、建築において自由度が広がったと思います。公共建築物では標準的な仕様のなかでどうするかという考え方でした。」

「現在はお客さんからは自由な要望がありますし、こちらからも気兼ねなく提案ができます。また、お要望を削ぎ落すお手伝いをすることもあります。お客さんが言うことをすべて詰め込んだ家がいいものになるとは限らないんですね。」

お客さんのなかにはたくさんの要望をもつ方もいる。○○の家具を置きたい、壁は珪藻土がいい、バーカウンターは無垢の一枚板がいい。それらを限られた空間のなかに詰め込んでしまうと、全体としてのバランスに欠けてしまうし、何よりお客さんにとって住みよい家にはならなかったりする。

「この仕事で難しいのは、実際に物件が完成するまでは、ほんとうにお客さんにとってよい家になっているかわからないところです。もちろん図面や模型、CGでおおまかなイメージはしますが、あくまでシミュレーションなんですね。だから引き渡しまではうまくいっているのかな、ドキドキドキドキという感じがあります。でも、それがあるからやっているのかな。」

営業と設計の連携が大事だと谷島さんは言う。

「みんな向かい合って仕事していることもあり、おしゃべりが多いんですよ。そのなかで『今回のご案内はどうだった』『○○さん家のお子さんが歩けるようになったよ』というように、お客さんの話を共有できるんです。自然とお互いの仕事にも興味を持つようになります。」

たとえば山田さんが不動産の競売で悩んでいると、岡田さんが興味津々といったふうに聞いてきたり。逆に、設計の進捗について山田さんが、「今日の打ち合わせはどうでした?」と岡田さんに声をかけたり。

「一緒に働く人にもそうしたことを大事にしてほしいんです。私は設計だけ、不動産だけではなくて。設計をやりたいけれど不動産にも興味がある、そんな人と働きたいです。」

Style&Decoの話を聞いていると、むしろ営業と設計を明確に区分けすることが不思議にさえ思えてくる。効率性を考えれば分業は理にかなっているかもしれない。けれど、お客さんに対して「いい家でいい生活をしてほしい」そう思うと、自ずと関心の幅は広がってくるようだ。

一人のお客さんと時間をかけてじっくり向き合い、その人のために家をつくりたい。そしてそこで人がどんな風に暮らしていくのか、生活にも関わりたい。Style&Decoはそうした思いが実現できる場だと思います。
(2013/2/18 はじめup)