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山アリ谷アリ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「会社を、家庭でもあり道場でもあり、遊園地にもしよう。そんな文章が、会社の想いをマニュアル化した文章のなかにあるんです。すごく好きな言葉なんですけど、この言葉に共感できる人に来てほしいと思います。」

ダメなところは指摘し合い、嬉しいことは一緒に喜ぶ家族のような存在。そして、ときには道場のように、身も心も鍛えられる場であること。それから、ワクワク楽しくなってくる遊園地のようなところでもある。

なんとなく、想像はできる。だけど、そんな風に自分の働く会社に沢山の意味を見出だせる人はどのくらいいるんだろう。

「働く」ということについて改めて考えさせられました。

仕事を通じて人を育てる「職育」をテーマに研修事業などを行っている、トレーニング・カンパニーという会社があります。

ここで、企業の悩みを聞き最適な研修プランを提案していく人を募集します。

浅草からほどちかい、賑やかな通り沿いにあるオフィスへと伺った。窓からはスカイツリーが見える。

まずは、代表の安河内さんにお会いする。

もう少し年配の方を想像していたのだけれど、安河内さんはとても若かった。

安河内さんがこの会社を立ち上げた経緯から聞いてみる。

「もともと僕は、トレーニング・カンパニーの母体である当時東証一部上場のコンサルティング会社の社員だったんです。そこで人事を担当していました。ところがそのなかで、150人採用した年に150人がリストラされる、ということがあったんですよ。」

150人…

「もう、どういうこと?という話じゃないですか。俺たちと一緒に夢を実現しよう!と入ってもらった新入社員との約束も、このままでは守れないと思ったんですね。それで、採用や人事以前に、今いる社員の雇用を守るためにお金を稼ごう、と決めたんです。」

会社の収益を上げるために、社内ベンチャーを立ち上げた。それが、このトレーニング・カンパニーの前身となる会社だった。

採用担当をしていた経験から、新卒の人材紹介をする事業をはじめることに。ところが、なかなか軌道に乗らず、半年ほどで撤退することになってしまう。

10人ほどいたメンバーも、安河内さん1人になる。清算業務を終わらせたら、会社を去ろうと思った。そこに転機が訪れる。

「ある会社さんが、悩みを持って現れたんです。話を聞いてみると、新卒で人を採用する前に、今いる社員の生産性を上げていかないと会社の存続が難しい、というお話でした。これが最後だと思って、一緒に考えてみようと思ったんです。」

これまでやってきた事業や採用担当をしていた経験とその気付きを、安河内さん自身が講師となってその会社にレクチャーしていった。すると、喜んでいただくことができた。

新卒採用よりも人材育成を求める声を、ほかにも聞くようになった。安河内さんは、人材育成をテーマに事業を再建することを決める。

最後のお客さんだと思って引き受けた仕事が、トレーニング・カンパニーという会社のはじまりになった。

現在、トレーニング・カンパニーは、新人から経営者まであらゆる層を対象に、80以上の講座を開設している。

マネジメント力、営業力、経営力など目的別にスキルを身につけるものもあれば、「情熱研修」という合宿など心を鍛えるものもある。

ディスカッションやロールプレイングなど、座学よりも、じゃあやってみましょう!という実践が中心。実際に飛び込み営業をする、という研修もあるそうだ。
たった2時間でへとへとになってしまうほど、密度の濃い内容になっている。

会社の抱える人材の悩みは、それぞれ違う。だから、沢山の研修のなかから、その会社に合った研修プランを提案していく存在が必要になる。それが、今回募集する「コンサルティング営業」の仕事。

実際にコンサルティング営業として働いている谷中さんに、話を聞いてみた。

「お客様は中小企業の経営者の方が多いです。人材も資金も揃っているという状況ではないなかで、どうやって自分たちの成し遂げたいことを実現するか。そんなお悩みを持った方を支援するのが仕事です。」

営業といっても、製品がありそれを売るという営業ではない。できることは色々あるけれど、何が役に立つかは話を聞いてみないことには分からない。

問題をしっかり整理できている経営者は、意外と少なかったりする。でも、話しているうちに整理されていくのだそうだ。

「3年後にはこんな会社になっていたい、そのために、みんなにはこういう風になってもらわなければいけないね。そんな話が、だんだんと出てくるんです。それに対して、だとしたらこんなトレーニングが効果的かもしれません、と提案していくのがわたしたちです。」

「『わたしのことを人事部の社員だと思ってください』と言っています。だから気軽にご相談してもらえるんです。仕事なのですが、仕事じゃない感じ。それがこの仕事の魅力だと思います。」

谷中さんはこの仕事を知ったとき、「ここしかない!」と感じたそうだ。

どこにピンときたんですか?

「わたしは学生時代、開発途上国の開発援助について勉強していたんです。そのなかで、寄付金で自分のやりたいことをするという方法に疑問を持ちました。もっと自分自身でしっかり事業化してお金を生み出すべきなのではないかと思ったんですね。そのために、経営の勉強をして経験を積むべきだと感じました。」

入ってみて、どうでしたか?

「嬉しいのはやっぱり、人が変わっていくところを見られることですね。」

人が変わっていくところ。

「じわじわと、みなさん研修を通して変わっていくんですよ。中には、目に見えて変わる人もいるんです。半年の間にえっ?と思うくらい変わるんですよ。」

印象的だった方はいらっしゃいますか?

「フィットネスクラブのトレーナーさんなのですが、彼女は、お客さんの対応はすごく良くできるけど、リーダーとして後輩を指導したりするのが苦手な方だったんですね。それが、研修を通してみるみるうちに変わっていったんです。『わたしリーダーとしてダメなんです』と言っていたのが、『わたしが動けば変わるんだ!』と気付き、自分からメンバーに話しかけるようになり、周りに応援されるようになっていったんです。半年後には、リーダーを束ねる役職に就くまでになりました。」

最初から右肩上がりで成果が出たわけではなく、頑張るぞ!と上がっていく時期もあれば、やっぱりダメだ…と落ち込んだ時期もあった。

谷中さんは、研修後にもフォローアップとして定期的に会いながら、そういう浮き沈みも含めて見守ってきた。最近会った時には、1年前とは見違えるような姿になっていることに感動したそうだ。

点としてではなく、線として関わる。

それは、やりがいもあるぶん、1対1の人間関係になってしまうから大変なんじゃないかな。あっちにもこっちにも感情移入してしまうような。

「そうなんです。大切なお客様が沢山いて、もうパニックです(笑)なので、優先順位とスケジューリング!って、ずっと上司に言われています。」

仕事の大変なことといったら、そこになるのかもしれない。

「まだまだ改善できていないので、日々精進ですね。うちは『仕事を通じて人を育てる』という理念があるのですが、今、自分自身がそれをすごく体感しています。仕事に育ててもらっているといいますか。」

どんな人がこの仕事に向いているんだろう。誰もが谷中さんのように働けるわけではない気がする。

「人のことが好きで、関心のある人がいいですね。わたしは、人が好きで、人の話を聞くのが大好きなので。」

「経営者の方とお話をしていて、『谷中さん、そんなに大きく相づち打たなくてもいいんだよ』と言われたことがあるんです。でもわたしは、別に意識してやっているわけじゃないんですよ。本当に、あぁそうだよな、と思うからやってしまうんですね。」

「人が好きなら、その人の役に立ちたいとも自然と思える気がするんです。自分のためだけに頑張っても、成果はそれなりに出せると思うのですが、やっぱり相手がいるからこそ頑張れることもあると思うので。」

安河内さんにも意見を聞いてみた。

「ここで働く人はみんな、熱い気持ちがあるんですよ。仕事が終わったあとに、勉強会を開くなんてこともしょっちゅうです。それに対して、『今からですか?』と思ってしまう人もいるかもしれません。そういう人は、うちの会社の働き方を見ると、けっこう引いてしまう気がします。」

引いてしまう。

「自主的な人ばかりなんですよ。研修のサービスにしても、スタートしたときは10個だったんです。それが今では80以上ある。これはほとんど社員たちがつくったものなんですね。いつの間にこんなに増えてたんだ、みたいな。僕が知らないものもあります(笑)うちが扱っているのは無形商材なので、なにか物体があるわけじゃない。だから、人の気持ちが会社をつくっているんだと思います。」

前向きな人を応援する風土がある。何か実現したいと思ったら、受け止めてもらえると思う。

ただ、それが辛い人もいるのかもしれない。割り切って働きたい人には向いていないと思う。その一方で、ここをものすごく贅沢な環境だと感じる人も、いるんだろうな。

最後に、と安河内さんがこんな話をしてくれました。

「この10年を振り返ってみると、楽しかったな、と思うんですよ。苦しいこともあったんですけど、総じて言うと楽しかった。苦しいことも、あとから笑って話せるようになったりするんですよね。そういう風に『楽しかった』と思えるような働き方をする人たちを増やしたくて、僕たちは頑張っているんですよ。」

楽しもう!楽しもう!と強迫観念的に働いていくのは苦しいと思うし、なんか違うな、と感じる。

そうではなく、楽しいこと辛いこと、ありのままを受け入れていけるような状態をつくること。そうして結果、「楽しかった」と振り返れるような働き方を見つけること。そのために、この会社があるのだと思う。

ここで「働く」を考えていきたい人は、ぜひ想いを伝えてみてください。(2013/3/15 up ナナコ)