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「お客さまは神様ではなくて、友達だと思っています。正直に関わりたいんです。」そう話すのは、ユニット代表の今村さん。
有限会社ユニットは、子ども服の販売代行をしている会社です。東京お台場のヴィーナスフォートでEARTHMAGIC・RONI(ロニィ)・CHUBBYGANG(チャビーギャング)の3ブランドを、名古屋ではRONI・CHUBBYGANGを展開しています。
また、今月8日からは新宿の京王百貨店でEARTHMAGICの新規店舗をオープンしたばかりです。今回は、ショップスタッフとして働く人を募集します。
商品発注から接客、はたまた現場の声をいかしたブランドへのデザイン提案まで。ショップスタッフと聞いてイメージするよりもぐんと幅広い仕事に取り組むことになりそうです。
セールも終わりにさしかかり、そろそろ春物が入荷される2月はじめ。ヴィーナスフォートを訪ねました。
まずは代表の今村さんに話を聞きます。「うちは販売代行、つまり服の販売をブランドの代わりにしていますが、ただ売っておしまいではありません。ブランド側は、いい服をつくれば売れるという発想になりがちで。でも、それだけでは不十分なんです。現場の意見をブランドに伝えて、商品改良や商品展開に活かしていく。プロデュース的なこともユニットの仕事です。」
そもそも、今村さんはどうしてこの仕事をはじめたんですか?そう聞くと「僕、超ダメ人間だったんですよ(笑)。」そんな言葉がかえってきた。
「最初はサラリーマンだったけれど会社が潰れて。息子が生まれたときに、ひょっとしたら子ども服だったらいけるのかな、みたいな。思いつきですよ。はじめたのはいいんですけど、もとがダメ人間で怠け者だったので。レジに椅子を置いて、マンガ読んでいらっしゃいませ。売れるわけないですよ。じょじょに借金が膨らんで、税理士さんに、『もうお金借りるとこないですよ』って言われたんです。そのときに、今まで一生懸命やったことが1度もなかったな、子ども服を真剣にやってみようかなって、生まれてはじめて思いました。」
「でもどうしたらいいか、わからないんですよ。わからないけど、本を読もうと思って。松下幸之助さんに本田宗一郎さん、ソニーの盛田さん。成功した人の話です。で、そのなかに書いてあることをとりあえずやってみようと。共通して書かれていたのが、消費者の気持ちになることだったんです。」
最初にやめたのは、来店したお客さんにガツガツ声をかけることだった。「極端なたとえですけど、入っていきなり『いらっしゃいませ、こちらが今日入った人気商品です。』っていうのは、僕がお客さまだったら嫌なことで。まずは自由に見てほしい。代わりに小さいPOPや説明を洋服に書きそえて、何かわからないことがあれば声をかけてください、というスタイルにしました。すると、1年後から売れはじめたんですね。」
置いてある商品自体は同じだったんですよね。
「そうです。ただ見せ方は、本当に相手の気持ちを考えて工夫しました。まず値札を全部出しちゃったんですよ。普通は隠すじゃないですか。でも、探してもなかなか見つからないときって、なんだか恥ずかしくありません?」
「それから、服ごとにゆったりめ、細めなどの情報を書くようにしたんです。子ども服って、ブランドによってサイズ標記の仕方が異なるんです。一方では120、130(cm)。もう一方では7T、9T。Tは歳、つまり7Tなら7歳ということなんですが。親ならまだしも、おじいちゃんおばあちゃんも買いに見えるし、友達のお子さんにプレゼントする方もいるわけだから。わかりづらいんです。」
そうして現場でえたアイデアは、販売の工夫に活かすだけでなく、ブランド側に伝えるようにしている。これが、ユニットのショップスタッフの特徴といえるだろう。たとえばカタログについて。ブランドが用意するカタログは、モデルの子どもたちがポーズをばっちり決めていたり、コーディネートも難しいことが多かった。
「それでは、実際に自分が着る姿を想像できないと思うんですよ。子どもらしい表情の方がいいと思うし、コーディネートも身近さが感じられるようにしては?と提案をしていきました。」
ブランドはつくることには長けているけれど、売ることについては不慣れなところも少なくない。
「服づくりへのこだわりはもちろん大事です。けれど、その魅力をきちんと伝えて売ることも、つくることと同じぐらい大切だと思います。」
「うちで扱っている服は、万人受けするものではありません。でも、誰もが着られる服って、結局誰にも似合わない服だと思うんですよ。僕は洋服が大好きで、自分が一番の消費者だと思っています。それこそエルメスからユニクロさんまで、すべてチェックする。だから洋服を見ると、つくり手の思いが何となく伝わってしまいます。」
お客さんと直に接するなかで、服選びの変化も感じた。
「子ども服って、以前は親が買い与えるものだったんです。それが、あるときから子どもが『これ着たい』って選ぶようになったんですね。だから、親御さんとお子さんの両方を見て、接客することになります。」
ユニットでは、子どもが自分で服を選べるようにも工夫をしている。たとえば店内には、子どもの目の高さに合わせてカタログが置かれている。また、子どもがパンツの前後がわからない姿をたびたび目にしたので、ブランドに提案して、“まえ”と書いたタグをつけるようにした。
実際に接客の様子を見てみる。今村さんの息子である昂平さんが、小学生の男の子に接客をしていた。男の子は昂平さんの顔を見るとすぐに駆け寄ってきた。なんだか本当の兄弟のようだ。
接客は、最初に子どもや親が服を選び、昂平さんはサイズ感やコーディネートについてアドバイスをするといった感じ。
「手伝うという言葉がしっくり来るのかな。子どもはめちゃくちゃな組み合わせをすることもあるので、『こっちの方がいいと思うよ』とアドバイスをします。そのときに、お客さまのセンスアップも意識します。自分で服を選んで買うってうれしいことだと思うんですよ。」
驚いたのは、男の子が自分から服について聞いていたこと。
「この赤いジャケットが着たいんだけど、パンツとシャツはどうしたらいいかなぁ?」
また、ジーンズを試着したとき、ジャストサイズでお尻がきれいにきゅっとしている姿も印象的だった。
僕が小学生の頃は、親が買った服をただ着ていたような気がするし、成長を見越して、サイズはいつもブカブカだったと思う。「せっかくこだわりのある服を選んでいるんだから。いま、その子に合うサイズを正直におすすめしていきます。」
ここで今村さんは、お客さんとの関わりにおいて大切にしていることを教えてくれた。
「僕らはお客さまは神様、ではなく友達だと思っています。友達に対しては、正直でいたいと思うでしょう?」
「たとえばセールです。アパレル業界ではセール開始日をギリギリまでお客さまに伏せておくことが暗黙の了解でした。でも、僕は一消費者としてそれがすごい嫌で。だからうちは、日程が決まった時点でお客さまに伝えます。この商品は30%引きにします、あと2着残っています、って。そうしたら逆に売上げが増えたんですよ。セールには興味がなくて、むしろ気に入った服をちゃんと手に入れたいと思う人の方が、実は多かったんです。」
正直に関わることで信頼が生まれ、お客さんはリピーターとして再び来店してくれる。一歩ずつ着実に積み重ねていく、そんなよい循環がユニットにはあると思う。そして、お客さんと正直に関わることは、スタッフの働く環境としても大事なようだ。
「うちのスタッフも大事ですから。とにかく売上げをあげろ、ということではありません。逆に、自分が『このお客さまに、また来てほしい!』と思ったら、とことん一生懸命やってほしいです。」
失礼かもしれないけれど、と前置きして今村さんはこう話す。
「スタッフのことを真剣に考えると、ずっと販売員をやっていてどうなるの?という思いにどうしても行き当たるんです。だからこそ、新しいことにも挑戦していってほしい。今後、独立支援制度という仕組みをつくりたいんですね。経験を積んだスタッフには新規店舗の社長として経営を任せていきたいんですよ。もちろんバックアップはするから。」
ショップスタッフの金井さん、八並(やつなみ)さんにも話をうかがう。ブランドに対しては、実際に色々と提案をするんですか?
「よく意見を出しますね。『こういうものをお客さまは求めていますよ』『こういう商品があったら面白い』という自分の提案が商品化されてお店に入ってくると、お客さまにも手にとってほしくなりますよね。」
お客さんの特徴としては、タレントや雑誌のモデルさんが多いという。
「衣装を買いに来たりするんですね。1週間のコーディネート特集を雑誌でするから服を選んでほしい、って。そのページを実際に見たときはやっぱり、うれしいですよ。」
他には、どんな仕事があるんでしょう。「入荷する商品を選んで発注するところから、シーズンごとの店舗レイアウトまでやります。華やかな仕事って思われがちですけど、商品の搬入など、けっこう体力勝負な面もあるんですね。ただ、自分が提案から関わっている服なので。お客さまに『あー、かわいい!』と手にとってもらえるのはうれしいですよ。自分がそこにいるな、という感じがするんです。」
金井さんはお台場の3店舗の店長を経て、新宿の京王百貨店にオープンするEARTHMAGICの店長となる。ユニットで働くようになって、色々な変化があったという。
「前職でも子ども服を扱っていたんですが、その頃はお客さまにこびて売るものだと思っていました。もともと気が弱くて、自分の意見をいうタイプじゃなかったんです。でも社長のもとで働くようになってからは、お客さまに対して、思ったことをちゃんと言えるようになりました。実は、前は服装もすごい地味だったんですよ。」
「根本的な考え方から変わったのかな… 最近、通勤途中に色々な本を読むんですけど、そこに書かれていることは、実は社長が日頃話していた内容だったんです。知らず知らずのうちに自然と、社会人としてのあり方、リーダーとは、人間とは、ということを身につけていたのかな。そのおかげで自信を持てるようになったと思います。今は毎日が楽しくて。」
最後に今村さんはこう話してくれた。「うちのスタッフもそれぞれ個性はあるけれど、魅力的な人になってほしいな。僕は今でも毎日『仕事したくないな』って思いますもん(笑)。でも、やるからにはちゃんとやろう。やるからには一番になってやろう。僕がかつて気づいたように、一緒に働く人にも、真剣にやることの大切さを伝えていきたいです。」(2013/3/18 はじめup)