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ソクラテスのデザイン

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ソクラテスが生きていた古代ギリシャの時代には、アテネに哲学者や政治家、詩人たちが集まって、1日中談義に花を咲かせていたそうだ。

ワヴデザインで働く人たちを見ていたら、教科書で習ったそんな時代のことが思い浮かびました。

いいデザインを生み出すために、いい会社ってなんだろう?とずっと考え続けている会社。それがワヴデザインです。

ここで一緒に働くウェブデザイナーとエンジニアを募集します。

東京・渋谷区。代々木公園駅のすぐ目の前に、ワヴデザインがある。

ワヴデザインは、ウェブ、印刷物、CIマークなど、デザインの企画・制作をしている会社。

クライアントから依頼を受ける以外にも、社内でさまざまなプロジェクト
を立ち上げて、「働き方」の価値観を発信している。

アイデアがたくさんあって、今っぽくて面白い会社。最初はそんなイメージだった。

だけど実際に話を聞いてみると、思っていたよりもずっとシンプルだった。全てが、「いいデザインをするために」という目的に直結している。

「いいデザインをしたいと思ったら、まずはデザインソフトを勉強して腕を磨くという方法がありますよね。だけど、それは大前提なんです。プラスαで、どうやってプロとしていいデザインをし続けられるのかを考える。いいデザインをするためには、自分たちの働き方まで考えざるをえないんですよね。」

そう話すのは、ワヴデザインのアートディレクター兼代表の松本さん。

たとえば、去年からはじめたプロジェクトとして、「11ヶ月働いて1ヶ月休む会社」というものがある。これは、プレゼンテーションを通過した社員が、1ヶ月の休みをもらって留学をしたり旅行をしたり、好きなように過ごすことができるという取り組み。

松本さんを含めて4人の社員がすでにこの制度を利用したそうだ。そのことをまとめたブログが話題になっていたので、わたしも前からこのプロジェクトのことは知っていた。

「ちょうど先週、社員がひとり帰ってきたんですよ。彼はフィリピンのセブ島へ語学留学に行ってきました。成果を見せてもらおうじゃないかと、『英語でプレゼンしてみてよ』と頼んだんです。『オフコース!』といざはじまってみたら、英語自体はたどたどしくて、たいして成長していませんでした(笑)でも、英語を話すことに抵抗がなくなっていた。それはすごい変化だと思うんですよ。僕も刺激になりましたもん。」

プロジェクトが話題になったことで、会社のPRにもなった。だけど、ただ面白そうで話題になりそうなことをやるために、このプロジェクトがはじまったわけじゃない。

まず、1ヶ月の休みをどのように有意義に使うのか、会社に対してプレゼンテーションをする。それによって発想や思考力が鍛えられる。

それから、デザインの仕事のなかでだけでは体験できないことに飛び込んでみることで、価値観を広げてもらうこと。あとは単純に休みをとってリフレッシュしてもらうこと。それはこれからの仕事にも、きっといい影響をもたらす。

そしてなによりも、そこでなにかを得て成長することで、会社にとってもいい刺激になる。

「僕たちがやっていることは、全て『いいデザイン』への逆算なんです。いいデザインをするのはいいデザイナーですよね。いいデザイナーに来てもらうためには、いい会社にするしかないんです。」

「だから、考えていることが多いですね。そして好きですね、考えることが。ずっと、どうしていこうかと考えているし、社員とも話しています。それが僕の仕事です。」

考えるのが大好きな松本さんがワヴデザインを立ち上げたのは、6年前のこと。

その前は、フリーランスのデザイナーとして働いていたそうだ。

会社を起こすことになった経緯を伺ってみた。

「独立したての頃は、自分1人で突き詰めて、孤高のデザイナーのようになっていくイメージだったんです。ただ、やっていくなかで、自分はイチローのような天才ではないことに気がついたんです。」

「仲間がいれば、それぞれの強みを生かして依頼に応えていくことができる。いいものをつくるためには、チームをつくらないと達成できないと思うようになったんです。イチローになれないのなら球団をつくろう、と会社をつくったんですね。」

会社をつくったからには、自分たちの働き方を追求したい。

そこで松本さんが心がけたのは、「いい人」と仕事をしていこうということ。

「いいものをつくろうという熱量のある人のためだったら、とことんお付き合いしたいという気持ちになりますよね。そういう人に応えていくことで、僕たちのことを一緒につくりあげる関係だと思ってくれるような方たちと、仕事ができるようになってきたんです。」

いいものをつくるために、スケジュールにも無理がないように。たまに土日や夜遅くまで作業しなければいけないこともあるけれど、それも一緒につくる!という気持ちがあるから辛くない。

いい人がいい人を呼び、ワヴデザインの働き方も変わってきた。お客さんに対して、デザインに対して、しっかりと向き合える環境ができた。

「僕はデザインが大好きなので、ずっとプロとして仕事をしていきたいと思ったんです。だから会社をつくったんですよ。バッターに例えると、仕事が来なくなったら球が打てなくなってしまうじゃないですか。5年後10年後もずっと打席に立ち続けるためにはどうしたらいいのか、それを考えた結果、会社という形になったんです。」

プロであり続けるための最良のかたちを探すために、松本さんは日々考え、アップデートしている。

5年前にワヴデザインに入り、今は松本さんと一緒に働いているアートディレクターの中村さんにも話を聞いてみる。

中村さんも、ここに来る前はフリーランスのデザイナーだった。

松本さんとは、デザインや会社の経営について、よく話し合っているそうだ。

「働く環境や会社のことを考えるのって、いい感じのカフェを考えることと同じだと思うんですよね。」

「2つのお店が同じ値段のコーヒーを出していたら、雰囲気が良くて店員さんの対応が気持ちいい方へ行くじゃないですか。僕らも結局、デザインという商品を売るサービス業のような仕事だと思うんです。だから、お客さんに対して、相談しやすいという存在でありたいし、いいデザインとともに、いい空間や雰囲気を提供したいと思っているんですよね。」

そのいい雰囲気ってどうやってつくるんだろう?「いい感じだな〜」と感じたりするのは簡単だけれど、それをつくるのは難しい気がする。

横で聞いていた松本さんが、こんな話をしてくれた。

「『いい感じ』と感じる要素があったら、それをなぜいい感じなのか、理由をひとつひとつ言語化していきたいですよね。ちょっとこの器良くないですか?となったら、風合いがいい、いや底と側面の方のバランスだ、とか。そうしないと、それはただの感覚なんですよね。言語化していくことによって、自分でも作れるようになるんだと思います。」

それは、会社を考える上でも、デザインを考える上でもいえること。感覚を感覚のままにせずに、ひとつひとつ立ち止まり、いちいち考えていく。

「常に、中村とも話すんですけど、飛び級できないか?っていうことを考えるんですよね。」

飛び級?

「1時間勉強して10を知るか100を知るかだったら、100を知る方法を知りたいじゃないですか。もっともっと良い方法はないかなというのを、常に考えています。」

ひとつひとつ考えていくことで、結果飛び級できるのかもしれない。結局、ワヴデザインにとって、考えるということが一番効率がいいのだと思う。

仕事のなかでも、方法から一緒に考えていく仕事が多いそうだ。

ただ、募集するのはデザイナーとエンジニアだから、まずはやってみる、という案件もきっとあるだろうな。考えると同時に、形にすることもしっかりできること。

「バランスですね。技術力ももちろんあって欲しいです。それが前提ですが、やっぱり一緒に働く人は楽しい人がいいです。」

楽しい人。

「たんに言うことが面白いという意味ではなくて、自分とちゃんと向き合っている人ですね。自分のことをプレゼンするのって自分しかいないじゃないですか。自分を客観視できている人は、一緒に話していて楽しいです。」

ワヴデザインでは、ひとりひとりが自分の名刺を自分でデザインしている

これも自分を見つめる作業のひとつだし、手を動かしながら考えていく会社の雰囲気を表していると思う。

ふたりに話をきいたあと、ほかのスタッフの方にも話を聞いてみた。

アシスタントデザイナーの加茂さんは、入ってみてとても驚いたことがあったそうだ。

「二次面接の段階で、入ったらどんな仕事をしたいかを聞いてくれたんですよ。専門学校を出てまだ実務を経験したことがなかったので、最初は雑用からだと思っていたのですが、はじめから仕事を任せてくれたことにとても驚きました。」

去年、制作会社から転職してきたデザイナーの渡邉さんは、こんな話をしてくれた。

「最初はつくるものがかっこいいと思って気になりはじめたんです。入ってみて、悪いギャップはありませんでした。僕も話すことが好きなのですが、今までは深い話をしても相手をしてくれる人がいなかったんですね。でも、ここはちゃんと聞いてもらえるので、デザインだけではなく考え方まで影響を受けました。時間が合うときは松本さんとランチに行ったりするのですが、そうすると2時間くらい話が止まらないんですよ。」

頭でっかちになるのでもなく、手だけを動かす機械になるのでもなく。ちょうどよいバランスがあるのだと感じた。

最後に、印象に残った中村さんの言葉を紹介します。

「僕たち、長野に日本に数台しかない和文タイプライターがあると聞いて、どんな文字なのか見てみたい!って、みんなで新幹線に乗って行ってしまったりするんですよ。そんなこと、デザインが好きじゃないとやらないですよね。色々なプロジェクトをやるのも、働き方を考えるのも、全てがいいデザインをするための手段なんです。好きじゃなかったら、こんなに考えませんよね。だから、デザインが大好きな人に来てほしいと思います。」

話すことと考えることが好きで、なによりもデザインが大好きな人たちが、この会社に集まっていますよ。一緒にデザインを探求していきたいと思う人は、ぜひ応募してみてください。(2013/3/13 up ナナコ)