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TVを支えるひと

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東京・恵比寿でTVを陰で支える人たちと出会いました。

TV番組やインターネット上で発信される映像コンテンツ。そこには一目で概要がわかるあらすじ、出演者、関連作品… といった番組情報があります。

その番組情報を日本で唯一、インディペンデントの立場から編集配信しているのが株式会社プラットイーズです。

プラットイーズは2001年に創業して今年が13年目。7月上旬には徳島県・神山町にサテライトオフィスを開設する予定で、今まさに第2創業期と言えます。

今回は、神山のサテライトオフィス、そして東京本社で働く人を募集します。

昨年末に参加した合宿形式のワークショップで知り合ったのが、会長の隅田(すみた)さん。連絡を受けて、恵比寿のオフィスにうかがいました。

はじめに、プラットイーズが番組情報の編集配信において関係するのは、次の2グループ。

放送される映像コンテンツを制作する“コンテンツプロバイダー”。たとえばガンダムであればバンダイ株式会社がそれにあたる。

そして、“コンテンツプロバイダー”が制作した映像コンテンツを視聴者に配信するのがクライアントである“プラットフォーム”。具体的には、有料放送サービスを行うケーブルテレビのJ:COMやCS放送のスカパー!など、いわゆる放送局のこと。

現在はTVに限らず、アプリやWEB上のプラットフォームも存在している。

そのなかでプラットイーズは次のサービスを手がけている。

まずコンテンツプロバイダーから映像コンテンツに関する写真・トレイラーを受け取り、番組情報を編集。各プラットフォームへと配信を行う。

今は情報配信のあり方が大きく変化している渦中にあると、隅田さんは話してくれた。

てっきり肘掛けイスつきの会長室があるかと思いきや、隅田さんは他の社員と机を並べて仕事をしていた。

「これまでは、実際の放送網を持つプラットフォームの存在が大きかったんだ。でもインターネットの普及により、配信の敷居はぐんと低くなった。そのなかで、僕らの仕事のあり方も変化しているんです。」

「野菜でいうところの産直と同じ流れが起きています。番組をつくるコンテンツプロバイダーと僕らの距離が近づきつつあります。」

配信だけでなく、視聴のあり方にも変化が見られるようだ。

「かつて、TV番組には明確な制作意図があって、視聴者はその通りにメッセージを受け取って楽しむものでした。今は楽しみ方が多様化しています。たとえばSNSやTwitterを通して視聴者同士つながることが当たり前になりました。ニコニコ動画ではコンテンツに書き込みもできます。つまり楽しみ方が受け身から参加型になってきたんです。」

「コンテンツという言葉自体の意味も変わってきたように感じます。これまでは、番組そのものを指していました。今では、番組を通して視聴者が得る体験を含めてのコンテンツだと思うんですよ。」

例としてこんな話がある。

2011年の12月に、宮崎駿監督の映画「天空の城ラピュタ」がTV放送されたときのこと。終盤にさしかかり、シータとパズーが“バルス”と唱えるのに合わせて、視聴者がTwitter上で“バルス”とつぶやいた。このときは、1秒間に14,594回ものツイートが記録され、ネット回線がパンクする騒ぎとなった。ちなみにこの秒間ツイート数は当時の世界最多記録となった。

「僕らは”Bridge Between the Hearts”、コンテンツの制作者と視聴者を結ぶ橋渡しをしていきたいんです。制作者は、ほんとうに色々な思いをもって番組をつくります。僕らは、そのことを視聴者に届けていきたい。伝わった方が面白いじゃない。」
そんなプラットイーズには創業当時から心がけていることがあるという。設立メンバーであり、昨年9月に代表に就任した和田さんはこう話してくれた。

「資本面でもサービス提供においても、『絶対に中立であり続けよう』そう決めています。番組情報の編集配信をインディペンデントで行っているのは日本で私たちだけです。独立しているからこそ、中立の立場で配信していきたいんです。」

中立の立場ってどういうことでしょうか?

「私たちの仕事は基本的にBtoBです。もちろん、クライアントであるプラットフォームの意向を汲み取ることは大事です。同時に、プラットフォームの先にいる視聴者の方をもっと向いていきたいんです。」

クライアントと視聴者が求めるものはどう違うのだろう。和田さんはこんな例えを出して説明してくれた。

映画「ダイ・ハード/ラスト・デイ」の劇場公開が決まると、同シリーズや、主演俳優ブルース・ウィリスの過去作品シリーズを上演するのが、クライアントの方を向いた配信の組み方にあたる。

言い換えると商業的や視聴率優先といえるかもしれない。もちろん、事業を行う以上当然のことではあるけれど。

一方、視聴者の方を向いた配信とはこういうもの。

世界的にも評価が高いけれど、映画好きでなければあまり見る機会のない小津安二郎監督の映画特集を組んでみる。ハリウッド映画に比べて知名度は劣るけれど、とても優れたカンヌ受賞作品を配信してみる。

実は優れた番組はたくさんあるけれど、わざわざ自分から探しにいかないと、なかなかその存在すら知らなかったり、見る機会がないことも事実。

見る見ないは本人の自由だけれど、それは出会う機会があったうえでの話。

作品を仕事に置き換えると、この話は仕事百貨の求人に通じるものがあると思う。

「情報を配信する側には責任があると思っています。私たちは視聴率ありきではなく、優れた作品や、自分たちがよいと思うものを視聴者に届けていきたいんです。若い人に黒澤明作品だって見てほしいんですよ。そのためには自分たちでチャンネルを持ち、配信を行う展開もしているところです。CATVで自分たちのおすすめする番組を紹介するサービスを行ったり、自社開発アプリを通したスマートフォン・タブレットでの配信もはじまっています。」

プラットイーズは大きくわけて編集配信/開発というセクションからなる。

編集配信部は、コンテンツプロバイダーから受け取った情報を編集して、各プラットフォーム向けに配信を行う。

そのためのシステム構築やアプリ作成を行うのが、開発部だ。今までにないサービスの提供なので、システム開発も自社で行うこととなる。現在では、新作アプリ披露のフォーラムを開くことで、ユーザーとのリアルなコミュニケーションの機会も生まれている。

ここで働く水谷さんと南さんにも話を聞いてみる。

男性の水谷さんは編集配信の仕事をしている。そして南さんは編集配信チームを経て、現在は営業や広報、イベント出展等の担当だ。

音大出身の水谷さんは一見変わった経歴の持ち主。これまでに個人での音楽配信そして法律事務所、銀行の融資窓口を経てプラットイーズに入社した。一見バラバラな職歴にも共通点があるという。

「どの仕事にも共通していたのは、人と血の通った会話がしたいということでした。これまでの経験が、プラットイーズではよく活かせている感じがするんです。」

今の仕事はどうですか?

「基本的には紙やPCとにらめっこして、たくさんのデータをこつこつと処理していく仕事が多いです。もしかすると、一見ただのルーチンワークに思えるかもしれませんね。でもそうではなくて。最終的に僕らがしているのは、制作者と視聴者をつなぐことだと思うんです。」

「クライアントさんとの日々のやりとりはメール・電話が中心です。忙しい人だと、だらだらと長文メールを送っても返事がもらえない。だから相手の状況を想像することを意識しています。そうすることで次第に、よい関係が築けるようになってきたんです。」

南さんはこんな話をしてくれた。

「日々仕事をしながらも、一視聴者としての目線を持つことが大事だと思います。こういうサービスがあったら喜ばれるんじゃないか、こういう風に番組をおすすめできたら。どんどん提案していってほしいです。」

「今後プラットイーズは特定のジャンルを深堀りしていきたいんです。音楽、スポーツ、映画に食… だから自分の好きなことがあればきっと活かせると思う。マニアックで全然いいんです。」

まずは日々の仕事を通して基礎を身につけていくことになる。そのうえで、自分の趣味を活かした企画を提案することだってできるだろう。

むしろそういう出る杭が求められている職場だと思う。

ふたたび隅田さんに話を聞く。応募してくる人に伝えたいことがあるという。

「プラットイーズで働くことを通して、人の役に立てる自立した人間になってほしいんです。そのために大切にしてほしいことが2つあります。まず思いだけでなく、基礎力を身につけてほしい。思いがなくては何もはじまらないけれど、基礎力がないと実際に人の役には立てないから。」

「それから“全体性の回復”と呼んでいるんですが。効率は落ちるかもしれないけれど、色々な仕事をやってみる姿勢を大事にしてほしい。というのも、分業化された仕事をしていると、ついつい目の前の作業に目が向きがちで。誰のために、何のために働いているのか見えにくくなってしまうからです。」

“自立”はプラットイーズで働くうえでの大きなキーワードなのかもしれない。

「地方でがんばっている若者はとても魅力的な人が多いです。けれど、実態は期間限定の就業形態が多く、その後も地域に残って生活することができないでいる。そういった人に手に職をつけてもらい、自立して地域に根ざす選択肢を持ってもらいたいんです。」

そうした思いもあり現在は、NPO法人グリーンバレーの活躍で知られる徳島県の神山町にサテライトオフィスを設立中だ。

これから働く人は、神山と東京を選ぶことができるし、2拠点を行き来するような働き方も可能だという。

「神山では、東京とは違った生活になると思うんです。同じ一軒家に暮らして、仕事したり遊んだり。大人の合宿かな(笑)。東京に拠点を置く人が、1年のうち1月でも神山で生活してみたり。そんな働き方をつくっていきたいんだ。」

和田さんはこう話してくれた。

「私たちのベースは“今はないものをつくってみたい”という思いなんですね。神山と東京でこれからの働き方をつくってみたい。中立の立場から、視聴者によいコンテンツを届けるサービスを展開したい。すでに設計図が用意されているものではなくて、一緒にやってみませんか?という感じです。」

プラットイーズは、働く人次第でいくらでも楽しむことのできる場という印象を受けました。

隅田さんは、少し話が長いけれどとても面倒見がいい人です。こちらから声を上げていけばちゃんと聞いて、取り入れてくれる人だと思う。

日々働きながら、じょじょに自分ごとになっていくといい。そして、仕事を通してどんどん“遊んで”いってほしいです。(2013/4/15 はじめup)