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自分が欲しい情報を、インターネットで検索できる時代。音楽や本なら、大抵のものは欲しいものが見つかるようになった。それでも自分が住みたい空間を自動的にデザインして提示してくれるサービスは、まだこの世に生まれていない。それはまだ人の頭が必要とされている分野であり、住みたい空間について漠然としか思い描けていない人にとっては、とくに必要とされるものだと思う。
株式会社リビタでは、リノベーションによる住まいづくりをトータルにサポートする人を募集します。どこに、だれと、どのようにして住まいをつくっていくのか、一緒に考えていくのが求められている役割です。

リビタの主な事業は、中古マンションをリノベーションすること。
一棟まるごとのプロジェクトもあれば、ひと部屋だけリノベーションすることもある。職種、性別、世代、文化を超えたコミュニティのあるシェアプレイスの企画・運営もしていたりする。
すでにある分譲住宅や、どこにでもあるような賃貸住宅以外にも、住まいには選択肢がある。リビタは、その中でもリノベーションを様々な形で提案することで、新しい住まい方を提案している会社だと思う。
今回、募集するのは、その究極とも言える仕事。一言で言えば、施主と共に中古マンションを探すところからはじめて、どのようにリノベーションしていくか一緒に考え、つくりあげていくこと。

そうなってくると有力なのが、中古マンションを購入してリノベーションするというもの。
けれども素人がやるには決して簡単なものではない。まずいろいろな人にお願いしなければならない。デザインする人、施工する人、住宅ローンを提供してくれる人…
役割分担しているからこそ、それぞれの利害と、施主が実現したい住まいのイメージが一致しないこともあるかもしれない。
さらに言えば、自分のデザインを世の中に提案したかったり、安く簡単に施工したかったり、高い金利で借りて欲しいと考えている人もいるかもしれない。施主に寄り添って、同じ目線で考えられる人が必要になってくる。

まず、舞台となる物件を探す。そして資金計画を考え、一緒に空間をつくるデザイナーや施工会社さんを紹介する。そして工事がはじまれば、施主と一緒に確認していくし、完成したあとも定期的な検査などでお付き合いが続いていく。中には数年経っても、食事をするような方もいらっしゃるそうだ。
こういう仕事をしたい人は多いと思う。けれども、大変な仕事でもあると思う。普通の住宅なら、全部こちらで決めてつくったものを売るだけでよかったのだから。
どういう人が向いているのだろう?
この「リノベーションフルサポートサービス」を担当する、浦川さんに聞いてみる。
「おそらくこんな仕事をすでに経験している人は少ないと思うので、未知の領域にチャレンジすることをいとわない方がいいです。いわゆる世の中で、『不動産屋』と位置づけられているような感覚の持ち主には、正直来て欲しくない。」

「だめということではないですが、モノがあって売るのではなく、一緒につくっていく仕事なので売って終わり、利益をあげて終わりという発想ではないんですよね。やっぱり一人ひとりの家づくりに向き合って、お引渡して、住んだ後の暮らしに満足してもらうことがゴールなのです。」
「見えないものにもどれだけこだわれるか。だから経験者じゃなくてもいいかもしれない。しっかりやれば、知識は1年もすればつくと思うので。何よりも大切なのは、お客さまの希望を汲み取って、しっかりカタチにすること。そして家が形になるまで、何をしたらいいかを考え続けること。」
リビタらしさ、という言葉が会社で使われることが多いそうだ。それはどういう意味かというと、一つは必要以上にお客様に関わろうとすること。浦川さんも、他社から転職してきたときに感じたこと。

なぜ浦川さんは、リビタで働くことになったのか。話を聞いてみると、そこに仕事への想いがつまっていた。
「もともとゼネコンに勤めたかったんですね。ゼネコンの内定もいただいたけれど、いろんなことがあって、その内定は取り消されたんです。けど、やっぱりモノをつくることに、すごく興味をもっていて。」
まず就職したのは、アパレル業界だった。
「名もない工場とか、糸屋さんがいて、その人たちがつくる素晴らしいものと、それを求めている人たちとの間をつなぐ、そういう思いで働いていました。」
ただ、ファストファッション全盛の時代になると、そういう考え方がなかなか通用しなくなっていった。そこで一度はあきらめた住宅業界に転職して、住宅販売の仕事をはじめることに。
そんなある日、リビタのチラシを見ることになる。
「自由設計で再生をして引き渡す、というところに興味を持って。転職コーディネーターさんがいたので、どこにも動く気はないけどリビタならいくよって、つないでもらった。ようやくちゃんと人につくりたいものをつくって、お引き渡しができる仕事を見つけたって思いました。」
浦川さんにはお子さんが3人いらっしゃる。はじめて子どもに自分の仕事を見せたくなったそうだ。

「自分なりの世界観が必要な仕事だと思います。その上で人の世界観に同意することもできて、それを形にすることができる人がいい。ある意味では黒子にならないといけないです。こだわりを押し付けるのではなく、引き出してあげる。我々はトランスレーターです。」
トランスレーター?
「希望する住まいを翻訳しながら形にしていくことです。効率的に、打算的につくられた家と自分の希望を叶えた家って、住んでからの暮らしの楽しさや豊かさが違うんですよね。その違いに、どれだけ我々が敏感に反応することができるか。人のことを考えることが求められる。」

「世の中に、こういう方法があるのに知らないのはもったいないと思うんです。僕、欲張りなんですよ。知らない人が知らないまま人生を終えたりすることが嫌なんですね。こういう家もあることを知った上で選んでほしい。」
浦川さんのもとで一緒に働いているのが大嶋さん。
もともと建築を専攻していなかったけれど、社会人になってから建築を仕事にしようと考えた人だ。これを読んでいる人にも同じような方がいるかもしれない。
どうやって今の仕事に至ったか教えてもらった。
「うちは兼業農家の息子なんですけど、父は家に対するこだわりとか全くないんですね。ボロッボロの借家だったんですけど、その家が嫌で嫌でしょうがなくて。恥ずかしくて友達とか呼べなかった。だから、ぼくの場合は一言でいうとコンプレックスがはじまり。」

「いきなり設計事務所なんて無理だなって思ったんで、2年間店舗の内装をデザインしたり施工する会社に入りました。営業しつつ、設計部があるので潜り込んで勝手に勉強させてもらったり。営業なのに、現場にずっと常駐して、現場管理のまねごとしたりして。それでお付き合いのあった設計事務所の社長にひっぱってもらって、設計事務所に入ったんですね。それから3年設計事務所で働きました。」
そんなとき、工事で土砂崩れが起きて、隣家と裁判になるくらいもめたことがあった。
「近所同士仲良く楽しく刺激し合えるような住宅環境はないだろうかって探していたら、コーポラティブハウスという選択肢がでてきた。」
それで当時、リビタの親会社でコーポラティブハウスをつくっていた都市デザインシステムに入社する。その1年後にはリビタに入ることになった。

大嶋さんにとって「家」とはどういうものなのだろう。
「変化球で返すと、ドラゴンボール見たことあります?あれでベジータが体力回復するために入る液体のカプセルがあるじゃないですか。あんな感じですね。」
体力をチャージできるような場所でしょうか?たしかに気持ちのいい空間にいると、力が湧いてくるように思います。
「帰りたくなるっていうのは月並みな言葉ですからね。それが家のあるべき姿だと思います。」
浦川さんにも大嶋さんにも、住まいに対する強い想いを感じる。最後に浦川さんがこんな話をしてくれた。
「大嶋もそうですけど、自分はこう思います、って言える人がいい。あとは遊び心がある人で、真面目すぎない真面目な人なのかな。まあ、お利口にならないでほしい。」
それは上司としては大変なんじゃないですか?
「そのほうがいいんです。世の中にはいろいろな住まい方があるわけだから、そういう意味で抵抗する心みたいなものが必要なんです。」

これは大変な仕事ですよ。でもこういう仕事って、面白いと思うんです。(2013/5/21up ケンタ)