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カフェから変わっていく

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「熱海」と聞くと少し寂れた温泉街をイメージする人が多いかもしれない。なんとなく、社員旅行で行くような温泉地のイメージがあった。

わたしも行ってみるまではそう思っていたけれど、本当に自然豊かで、熱海のことを大好きな人たちがたくさんいるまちでした。ここで働いて、日々訪れる人と向き合っていたら、自分次第で面白いことにたくさん関われると思います。

今回は、熱海のコミュニティカフェ、CAFÉ RoCAで働く人を募集します。

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接客に調理と、一般的なカフェの仕事がまずはメインです。生産者さんとつながって熱海の食材を使ったメニューなどもを考えていくカフェスタッフの仕事です。

熱海へは東京から新幹線で40分ほど。新幹線に乗りこむとあっという間。まち全体が坂道のような地形になっていて、道が入り組んでいて、迷路のよう。空き物件が目立つけれども、道の途中で景色が開けると気持ちがいい。

そんな景色を横目に熱海銀座という商店街を歩いていくと、鮮やかな青いお店があらわれる。あとで聞いた話によると、この青色は、熱海の海の色と見比べながら決めたとのこと。古いお店が多いまちなみの中で、おしゃれな外観が目をひく。

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お店につくとNPO法人atamista、そして株式会社machimoriの代表である市来さんが笑顔で迎えてくれた。市来さんは熱海出身の方。
atamistaは「100年後も豊かな暮らしができるまちをつくる」ことを目指しているNPO。

まず、市来さんはどうしてこのNPOをはじめたのか聞いてみることにした。

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「そうですね、大きく分けて二つあるんですけど。一つは、90年代後半、熱海がみるみるうちに沈んでいったんです。特に印象に残っているのが10年前、就職した年のこと。友人と熱海に帰ってきたときに、夜、明かりがつかなくて真っ暗で廃墟のようになった建物が並んでいて。それを見た友人が『熱海って廃墟だね』って言ったんです。そのときの言葉と光景が僕の脳裏に焼きついていて、これは、いつか熱海に帰ってきて、なにかしたいと思うようになりました。」

「そんなことを思いながら、もう一方で、大学生時代や社会人になってからバックパッカーで世界を旅してたんです。それから日本を飛び出してアジアに住みたいなとか思って、就職したあとも長い休みをとって海外に行ってました。」

海外に憧れていたけれど、あるとき、ふとこんなことを思った。

自分はいい大学に入っていい会社に入っていい給料をもらえる。おまけに、世界中いろいろなところへ旅ができたし、こんなに恵まれてることはない。
そして、旅する中で、あらためて熱海の魅力にも気づかされた。海も山も温泉も楽しめて、気候も一年を通して温暖だ。

「日本を出ようと思ったこともあったけど、まずは自分の足下から変えてかなきゃいけないなと思うようになったんですね。」

そうして会社を辞めて、6年前に熱海に戻り、NPO法人atamistaを立ち上げた。

最初は熱海で面白い活動をしている人の取材や、遊休農地を再生する活動をおこなった。活動を通して、熱海には面白い人たちがたくさんいることを知った。

「だったらそういう人たちで集って熱海の面白さを発信していこうという話になって、『オンたま』という熱海の体験型ツアーをはじめました。」

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オンたまは、熱海ならではの文化や産業を現地の人の案内で体験するツアー。2009年にはじまり、これまでに4,000人が参加している。
すると今度は新しい課題が見えてきた。

「僕らがいくらいいところを伝えても、まちなかに空き店舗があって寂しいと言われてしまうんです。今あるいいところを伝えるだけでなく、このまちを本気で変えていこうと思うようになりました。」

そして、2011年に空き家・空き店舗を活用し、熱海の価値向上を図る株式会社machimoriを立ち上げた。その最初の事業として取り組んだのが、取材場所であるコミュニティカフェ『CAFÉ RoCA』。

「今までオンたまなどの活動を通して、熱海の面白い人たちとはだいたいつながっている自信があるんです。なので、そういう方たちや、別荘のある方、移住してきた方、観光客など、外から熱海に来た人たちが出会うきっかけとなる場所をつくりたいと思ったんです。」

「熱海にはカフェが少なかったし、移住してきた方って、いろんなまちをみた中で熱海を選んできた方が多いので、みなさんアクティブだったり、おしゃれな方も多くて。こういう空間ってすごく求められてるんですね。」

今年の春に東京から熱海に移住して、ここで働いている安藤さんは、このまちのことをこんな風に話してくれた。

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「わたしはチェーン店が苦手なんですけど、熱海は個人商店がすごく多いんです。しかもお店のマスターもみんなキャラが濃くて。そうした魅力をもっといろんな人に知ってほしいですね。」

移住してくることに不安はありませんでしたか?

「少しはありました。でも、不安よりも、自然が豊かで温泉があることの方がわたしには魅力的でした。実際に住んでからは、坂が多いまちなので、そこは大変です。最近は、カフェにきてくれた人と仲良くなったり、熱海に住んでいる人と友達になることも多いですね。そういう人と人のつながりがあるまちの雰囲気がとても好きです。」

現在CAFÉ RoCAの営業は夕方まで。今は3人のスタッフと、全国からインターンにきている学生がカフェを切り盛りしている。

カフェでは、日々どんなふうに働いているのだろう。

半年程前からこのカフェの中心となって働いている中村さんが教えてくれた。
中村さんは4年間“ミス熱海”として働いてきた。そうした経歴を鼻にかけない、気さくで明るい印象の方だ。

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「朝は食材確認にはじまり、ケーキを焼いたりして、お店をあける準備をします。オープンしてからは、お客さまを案内して、オーダーをとって、ドリンクをつくったり。よくきてくださる地元の方と話をしたりもします。あとは、カフェの営業に限らず、熱海で活動している方を紹介するイベントも多いんです。そのときは、イベントに合わせた料理をつくることもあります。」

大変なことはありますか?

「そうですね、イベントによっては、50人分の料理の仕込みをすることもあって。量が多くなると分量の調節が難しかったり、レシピ通りにいかないのがけっこう大変ですね。思うようにいかず、その日にみんなでつくり直したこともありました。」

天城軍鶏とワインの夕べ

この一年間は「人の集まる場をつくりたい」という思いから、飲食を専門として働いてきた人が少ない中、手探りでここまで作り上げてきた。けれど、これからもっとカフェをよくしていくためにも、ドリンクやメニューをさらに充実させていこうと考えている。

これから働く人はどんな仕事をしていくのだろう。代表の市来さんがこう話してくれた。

「カフェ全体の仕事をしてほしいと思ってます。キッチンもやってもらうことになるので、食にも関心のある人がいいですね。今は夕方までの営業なんですけど、これから夏に向けて、夜の営業も考えています。あとは、これからカフェのメニューに熱海のローカルな食材をもっととりいれていきたいんです。」

ローカルな食材。熱海の食材と聞くと、海が近いので魚を想像するけれど。

「魚もおいしいですけど、柑橘もあるんですよ。『橙(だいだい)』の生産量が日本一です。それから伊豆には、野菜をつくっている農家さんもたくさんいますしね。熱海にも、小規模ながら自然農法の生産者さんもいます。」

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「NPOの活動を通して、地元の生産者さんたちとはつながっています。生産者さんとやりとりをしながら、地の食材をつかったドリンクや料理を、メニューづくりから一緒にやっていけたらと思います。」

まずはカフェの仕事をしっかりとするところから。そして、ここを訪れる人と話したりする中で、どんなドリンクや料理を提供したらいいか日々考える。そしてそれをメニューづくりにも活かしていく。

キッチンをのぞくと、インターンの方が材料の重量や原価を計算しながら、新しいデザートをつくっていた。

新しいメニューを考えるときには、採算のとれる範囲内でレシピを考えたり、天候によっては材料が変わることもある。いろいろと考えることはあるのだろうな。

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これから働くのは、どんな人がいいのだろう。

「まずはカフェの仕事が好きな人。それと、地元の方から観光の方まで、ほんとうにいろんな方がきてくれて、いろんな話をするので、人が大好きな人がいいですね。」

カフェの中心スタッフの中村さんは、他のスタッフの方と楽しそうにこう話す。

「お互い思ったことを正直にぽろっていっちゃうんです(笑)。メニューの味に対してもお店の雰囲気づくりに関しても。だから正直な人がいいかな。あとは、お客さまは年配の方も多いので、なんだろう、かわいがられてしまうような人かな。」

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最初はもちろん知らないコミュニティに入ることになるし、メニュー開発のときにはその食材の生産者の方と話をすることになる。だから、人の話に素直に耳を傾けられたり、わからないことは正直に聞けるような人がいいのだろうな。

ただおしゃれにカフェで働くのとは全然違うんだと思う。
きてくれる人に日々向き合って、「まち」という大きなくくりの前に、まずは「CAFÉ RoCA」を好きになってもらうこと。人と話をしたり、料理やドリンクを通してこの熱海の魅力を伝えていければ、ここから自然と熱海は元気なまちになっていくんだと思う。

実際市来さんがここでカフェをはじめたことによって、商店街のまわりのお店にも少しずつ変化が生まれつつある。

「熱海の雰囲気も帰ってきた6年の間にがらっと変わってきました。6年前は、なにも起りそうもなかったまちでした。」

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取材中、みんなが自然のことを多く話す姿が印象的でした。最後に中村さんはこう言ってくれた。

「朝早くビーチを散歩して、足が砂まみれのままカフェにきて、ちょっとゆっくりしてから働いたり。7、8月は特に忙しいけれど、その時期が過ぎたらゆっくりできる時間もでてくると思います。だからそういう生活も楽しみつつ、仕事もちゃんとやる。そういう感じかな。」

くるときと、帰るときの印象が変わってしまうくらいに、熱海のまちは、元気になる予感がたくさんするまちでした。(2013/6/20up 吉尾萌実)