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世界一の壁紙会社へ!

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

大阪が本社のフィルは、国産や輸入の壁紙を一手に扱う会社です。なかでも個人客向けの輸入壁紙専門店「WALPA(ワルパ)」は、実店舗とオンラインショップで急成長中。大阪、東京、福岡(開店準備中)のストアスタッフと、Webスタッフを募集します。

住まいのDIYブームがアツい。入門編として最適なのが、壁紙の張り替えだろう。大阪・南堀江が本店の「WALPA STORE」は、約10,000種類もの壁紙が選べる輸入壁紙専門のショップだ。店内はワクワクする雰囲気に満ちている。

濱本廣一さんは、WALPAを展開するフィルの社長。大阪生まれの40歳。壁紙職人からこの道に入り、内装工事を受注する会社を立ち上げた。

「最初の数年間は床や壁紙仕上げの工事と、2000年に立ち上げた『壁紙屋本舗』の2本柱でした。だんだんネットの売上が伸びていったんです。」

しばらくして、リーマンショックが世界をおそった。

「ほとんどの工事が赤字状態になったんです。それで、2009年で工事を辞めようと。当時7億5000万くらい売上があったんですが、4億5000万ほどが工事仕事やったんです。半分以上の売上を失いましたね。」

社員からの反発は?

「ありました。『自分たちがお薦めしたい壁紙をお客様に伝え、下請けじゃない仕事をしたい』と、当時工事をやってた子たちに言ったら、それは嫌やと。直接お客さんのところへ行くから格好も綺麗にしなきゃいけないし、挨拶の仕方も含めて職人という業種ではなくなりますから。」

長年ともに仕事をした職人たちが去った。

「でも、僕は変わりたかったんです。白いだけの壁紙を毎日張って、値段を叩かれ、結局は手直しで赤字になる繰り返し。それは、やってて『おもろない』と。」

仕事とは楽しむもの。仕事がしんどいと、人生ぜんぶしんどい。これが濱本さんの哲学。

事業の方向性をさぐり、世界中の「おもろい壁紙」を探して1年間、海外のメーカーを足で回った。アムステルダム、フランクフルト、パリ、ニューヨーク、世界には自由で、新しくて、ユニークな発想の壁紙がたくさん待っていた。

こうして、輸入壁紙に特化した「WALPA.jp」というサイトが、2011年12月に始まった。その後、実際に目と手で質感を確かめられるよう、実店舗を展開。人気を博している。

濱本さん、壁紙の「おもろさ」ってなんですか?

「それは空間を、一瞬で、変えられることです。ペンキを塗るとか、絵を描くとかは、技術やセンスがいります。壁紙は色が元からついてますし、すばらしい柄もある。だから誰でも気軽にできるんです。海外の壁紙なら、女性でも張りやすいサイズですよ。」

幅50センチ前後の10メーター巻が、おおよそ世界標準のサイズ。一方、モジュールが統一された住宅用の日本製は、幅92センチの1メーター単位が多いのだそう。

「それに、輸入の壁紙ってむっちゃ張りやすいです。張ってからはがせるような糊もあるし、材料も進化してるんで。大家さんも『張っていいよ』と言ってくれる文化がちょっとずつ根づいてきましたね。」

ならばウチも……と思いつつトイレ休憩。するとありました、一瞬の力!

天井もよく見ると壁紙。サビや年を経た味わいを表現したフェイクの柄、いいですね。

「壁紙って、あるデザインが流行ったらパクリものがいっぱい出てくるんです。でも、一発目にやった人はスゴい。オランダにピート・ヘイン・イークっていう家具デザイナーがおって、その人のデザインを壁紙にしたリック・ビンテージという壁紙デザイナーがおるんです。こだわりのハンパない兄ちゃんですよ。彼が最初にやったスクラップ・ウッドのデザインは本物やから。そういうのは絶対外したくない。真似した壁紙はうちでは扱わないです。オリジナルはこっちや、と。」

まるで仕事以外は無趣味という濱本さんだが、音楽の「ファーストアルバム」をコレクションしているそう。

「どのバンドも1枚目が好き。勢いあるしね。2枚目、3枚目ってあんまり買わない。」

仕事で大事にしていることって、なんですか?

「自分たちにとって、おもろいかどうかを確かめること。おもしろくなかったら伝わらないんですよ。お客さんは買ってくれない。だから社員のみんなには『自分でお金出して壁紙を張ってみて』と言うてるんです。張らない人は自然と辞めていきますもん。世の中、体験せずにものを売っている商売がありすぎですよ。」

では、どんな人に来てほしいですか。

「どんな状況でも、ものごとを楽しめる人。それと、まずやってみる人、動く人です。」

椅子やテーブルにも壁紙が張ってあるのに気づく。

「何にでも張るのがうちで流行ったときがあって。クルマに張ったり、テーブルに張ったり、床に張ったり。ぜんぶ実験ですよ。」

スタッフが勝手にやると怒られちゃいます?

「ぜんぜん。むしろやってほしい。逆に、やらんことは怒ります。」

現場で働く人にもききました。WALPA STORE大阪の店長、岡本美岐さん。好きな壁紙を1枚見せてください。

「イギリスの『HOUSE OF HACKNEY(ハウス・オブ・ハックニー)』ですね。」

あっ、化粧室の壁紙もきっとこれだ。クラシカルだけど現代の住宅に合いますね。岡本さんは、なんでこの仕事についたんでしょうか。

「文学部でしたが、絵は好きでよく描いていて、建築も好きでした。20代のはじめくらいまでは、ずっと家のリフォームをしてましたね。襖を壁紙にしたりとか。なんでもいいので、なにかをつくったことがある人はとても楽しい職場だと思います。」

WALPA STOREはどんな職場です?

「コーディネートのご相談が多いですね。お客様が実現したい自分だけの空間をいろんな組み合わせでご提案します。お客様に連れられて設計士さんが来ることもありますよ。女性の来店が8割近いので、スタッフも女性が多いです。洋服をいろいろ選ぶような感覚でインテリアが好きな人はいいですね。きれいなもの、新しものが好きで、女性的な感性を持った男子にはぜひ、仲間になってほしいです!」

反対に向いていない人って?

「会社が常に変わってるので、同じところに立ち止まりたい人は無理かもしれません。環境に適応できる、どんどん自分自身を変えるエネルギーがないと働いていて辛くなるでしょうね。力仕事もありますよ。材料なので、全部が重いですし。カタログも重たいです。」

こういう能力がある人に来てほしいというのはありますか。

「お客さんがドキドキする提案ができることかな。ものづくりが好きなのに加え、相手のことがよくわかる、きき取る力、感じる力があるといいですね。」

もう1人、Web部門を統括する林耕一郎さんにもききました。今日の気分で壁紙を1枚。

「オランダの『PIET HEIN EEK(ピート・ヘイン・イーク)』の03番です。」

濱本さんも話題にしてたブランドですね。林さんは、以前もWebの仕事をしてたんですか?

「いえ、ぜんぜん関係ない仕事でした。入社のきっかけは『インテリアデコレーター』の求人だったんですよ。聞いたことないじゃないですか、そんな肩書き。なんだろう?って。」

それは、濱本さんが下請けではなく、お客さんと接する仕事をして、自分たちの商売を変えようと思っていた時期のことだ。

「もとからインテリアにはとても興味があって、家具も好きだったんです。ただ、当時は『壁紙ってダサいな、どうせやるんならペンキを塗るか、板張りにするかしなきゃ』って思ってました。でも、実際に自分でいろいろ張ってから、壁紙はスゴくいいぞ、と。ちょっとやってガラッと大きく変えられるのって、僕に合ってたんです。」

今回はWebスタッフの募集でも、インテリアに興味がなかったり、壁紙を張るのは面倒くさいと思う人はダメでしょうね。

「そう。能力より『おもしろがれる力』が求められるんじゃないでしょうか。オシャレなだけとか、自販機みたいなサイトじゃなく、壁紙というカルチャーのおもしろみを感じられる、ワクワク感を伝えるサイトをつくりたい人がいいです。」

仕事場も拝見。こうした部屋がほかにもあり、みんな忙しそう。Facebookページ を更新したり、電話応対したり、壁紙や塗料のサンプルを郵送したり。遠隔ワークで働いている人もいた。

「壁紙屋本舗」「WALPA」のほかAmazon、楽天には6サイトの販売チャンネルがある。合計9サイトはミラーサイトではなく、すべて独自の売り方をしている。

「Webの専任チームは今、6人くらい。撮影や画像製作のメンバーが入るとその都度、人数が増えます。ちょうど歩いて3分くらいの場所に新しくスタジオと倉庫ができたんですよ。のぞいてみますか?」

南堀江には家具の倉庫が多い。行き交う人もファッションセンスがあるのは、このあたりに撮影スタジオが多いからだとか。川からのいい風が吹き、川面の照り返しで光にあふれ、どことなく外国っぽい。

着いたのは、大きな倉庫+一軒家。中では改装をしながら撮影が進む。壁紙を張ったり、ペンキを塗る実験もしていた。大きな部屋はパーティースペースにもなるのだとか。ひと月後に訪問したら、様変わりしてるんだろうな。

ちなみに、WALPA STORE 東京は、まもなく渋谷から恵比寿西に移転。その他にも秘密の計画がいろいろ進行中だ。本当に変わり続けている会社なんだ。

帰り際、濱本さんに一番好きな壁紙をきいた。フランス「Casamance(カサマンス)」のダマスク柄、フリース素材の質感がユニークだ。廃番になった壁紙を、頼みこんで復活してもらったそう。

最後に、濱本さんの「夢」を教えてください。

「55歳で仕事を辞めて、海外でミュージシャン活動をすること。僕、23、4歳までバンドをやってたんです。昔からずっとベースをやってて。中学卒業前に『ニューヨークに行って、スタジオミュージシャンになりたい』って言ったら、周りは大反対。オカンに『ともかく高校だけは行ってくれ』と泣かれて断念したんです。ずっと後悔してます。だから、あと14年でこの会社を『世界一の壁紙屋』にした後、思いっきり音楽をやりたい。……あ、でもニューヨークで WALPA STORE NY のお店に立ってるかも。」

その目標は本気なのが、ポータルサイト walpa.net を見るとわかる。オフィスには渉外担当の外国人スタッフもすでに何人か在籍。着々と布石を打っているのだ。採用者は、海外出張のチャンスがあるかもしれない。

世界一を目指す会社の求人です。変わることをおそれない方、手を動かすことが大好きな方、名乗りを上げてください!(2013/6/4 神吉弘邦 up)