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“地域”という言葉を耳にすることが増えたように思います。就職して何年かしたら地元に帰りたい。東京に生まれ育った自分には、田舎がない。都会を離れての生活に興味がある。
地域と関わり生活や仕事がしたいと思っているけれど、何からはじめたらいいかわからなければ。まずは仕事や学校を続けながら、自分と地域の関係を考える時間を持ってはどうでしょうか。

そう話すのは、NPO法人ETIC.の長谷川さん。
長谷川さんが担当しているのは、”地域イノベーター養成アカデミー”。
今年の9月から12月、地域を2回訪ねるフィールドワークと、東京でのワークショップの組み合わせからできるプログラム。
地域からテーマをもらい、課題や資源について地元の人と話し合い、提案を行うことで、地域の課題を仕事にする力を身につけるというもの。

今回は、”地域イノベーター養成アカデミー”に参加する人を募集します。
このプログラムを主催・運営しているNPO法人ETIC.を訪ねました。
渋谷のNHKの近くにあるオフィスは、いつ訪ねても多くの来客とミーティングで活気にあふれている。
ちょうどイノベーター養成アカデミーの打ち合わせを終えた長谷川さんに話をうかがいました。

「去年までの3年間に参加した150人のその後を追ってみると、23人が移住をしていたんですよ。しかも会社勤めからフリーランスになった人がほとんど。転職や住む場所を変えるというより、”地域で仕事をつくる”キッカケづくりのプログラムです。」
なるほど、いま住んでいるまちは、ただ寝に帰るだけだったり。あるいは、東京を離れたいけれど、仕事はどうなるんだろう?とか。
そうした課題があるなかで、仕事・生活と場の関係を見直す機会と言えるのかもしれない。
「移住する人数を増やそう!とか、プログラムに参加することでこうなってほしい、とは思っていないんです。それよりも一人一人にとって、自分はどういう風に地域と関わっていくのがよいか、その人なりのイメージが見えることを大事にしたいんです。」
実際に参加した人のその後もさまざま。
いずれは地方に行くけれど、自分に足りないものが見えて転職する人もいれば、プログラムを通して、いま住んでいる地域で活動しはじめる人もいる。それから、仕事を続けながら、通いで地域に関わることもある。

機会をつくる?
「たとえば、土日の休みを映画を観るのに使ってましたというのが、だんだん、誘われて千葉にみんなで出かけるようになったり。いままで夜は会社の人と飲んでいたのが、地域系の集まりに誘われることが増えてきたり。」
「そうしてちょっとずつ生活に地域色が増えていくことで、どこかで自分が変わるんじゃないかな、と思っているんです。」
どう変化するかはその人次第。変化の仕方を教えるのではなく、きっかけをなるべく多く提供する。
そのひとつが、各地域に一人ずついるコーディネーターとの出会い。
プログラム中に考えるテーマを提示し、課題や魅力を話してくれる存在だ。彼らがその地域でさまざまな人を紹介し、参加者との仲介をしてくれる。
入り口ができることで、より地域との関わり方も見えてくる。
「プログラムでは、現地の人となるべく多く話す機会を持ってほしいんです。」
たとえば2回のフィールドワーク。はじめは、いろいろな人と出会う場を設けている。2回目のプログラムは、参加者とコーディネーターで組むようになっている。
「打ち合わせるなかで、お互いに打ち解けてくるんですね。雑談もまじって、気軽に連絡が取り合えるようになります。地域との関わりは、人との出会いからはじまると思います。」

修了後も参加者同士のコミュニティが生まれることも。
参加年度も越えて、飲み会や勉強会を開いたり。ときには、みんなで地域に行くこともある。
「去年の参加者のなかには、ツアーを組んでフィールドワーク先に通っているチームがあるんです。現地の観光資源をどう盛り上げていくかというプログラムのテーマを、いまも現地の人たちと話し合っています。」

ところで、受け入れ先にはどんなところがあるのだろう?
「共通しているのは、地域に若い人が入ることの大事さを実感していて、そのための仕組みをつくらないとだめだと真剣に思っていることですね。」
受け入れについては、さまざまな引き合いをいただく機会も増えてきたけれど、どこでもよいというわけではない。
テーマを設定し、2度のフィールドワークにおいて参加者をきちんと受け入れ、プログラムの修了後も関わり続けることのできる地域との付き合いを大切にしたいと考えている。
これまでの受け入れ先を見ると、熱海に四万十に能登… 仕事百貨で掲載をさせていただいたところも少なくない。
今年はどんな受け入れ先があるのだろう。
たとえば宮城県石巻市の牡鹿(おしか)半島。

今後はさらに、皮や肉についても商品開発をすすめていくにあたり、受け入れを希望している。
「地域の素材を活かしたブランディングに興味がある、地元のおばちゃんたちが自主的に活動していくしかけづくりを学びたい。入り口はいくつも考えられます。」
それから岩手県の北上市は、都会でも田舎でもない「ふつうのまち」の未来を考えるプロジェクトを打ち出している。
市の人口は10万人弱。中山間地の少子高齢化、中心市街地の空洞化が進行している典型的な地方都市だ。
「北上の抱える課題は、全国の地方都市に共通するものです。自分たちの地域を自分たちの手でよくする仕組みをつくることで、ほかの地域にも活きてくると思います。」

「よく『うちには海も、山もあって自然が豊か』という地域自慢を耳にします。けれど、みんなそうだったりするので、さらに深掘りするようになるんです。だからこそ、参加者がうまく地域に入っていけるという面もあります。」
参加者にとっても受け入れ先にとっても、自分を見つめるキッカケになるのだと思う。だからこそお客さんではなく、自分からプログラムをつくっていけると気づきも多いはず。
そして今年の特徴は、受け入れ先の半分が東北にあること。
はじめに、自分のなかで気になっていたことを聞いてみた。
東北と聞くと、地域づくりにくわえて復興という文脈もある。その辺りをどう位置づけたらよいのでしょう。
「人それぞれでいいと思います。復旧の時期って、どうしても今仕事を離れられない、など、自分は役に立てないと思ってしまうこともありますよね。これまでボランティアに行けなかったり、募金しかできなかったけれど、東北に関わりたい人にはいいキッカケになると思います。いまは復興支援からまちづくりの段階に移りつつあります。人ってこれからより必要なんだと思うんです。」

「まちの10年20年先を考えて一緒に行動していく存在ですね。そういう意味では東北も他の地域と変わらなくなっていくと思うんです。」
これまで東北に関わる=被災、復興支援というイメージを持っていたけれど、復興ありきではなく、地域づくりありきで考えていくことになるのだと思う。
また、これまでは受け入れ先を全国に広げてきたのだけれど、東北という一つのエリアに重点をおく意味もあるという。
「東北の各地域で活動しているキーマンがいます。可視化されることで、よりいろいろな人に接点を持ってもらいやすくなるんじゃないかな。そうした流れが東北で生まれると、全国のほかの地域に活かすこともできると思うんですね。」
その先には何を見ているんだろう。
「地域に関わって仕事をするのが、もっと普通になれば。そういう人が増えている一方で、まだまだ特別な印象がありますよね。その間にはどんな人がいて、どんな仕事があるのか。地域の顔が見えることで、変わっていくんじゃないかな。きっと思っているより、普通のことなんです。」

移住には「雇用の創出」とか「地域活性化」とか。地域への貢献が強く求められるものと思っていました。もちろんそうした期待もあるけれど、まずは自分の居場所を見つけることからはじまるのかもしれません。
「彼は埼玉のメーカーで働きながら、去年のプログラムに参加したんですが、期間中にフィールドワーク先の宮崎に物件を見つけて、移住したんですよ。」

「はい。彼はサーフィンが好きで。宮崎はすごくいい波が来るそうです。現地を訪ねることで移住して、仕事もするイメージがわいたみたいです。」
イメージがわくことで動けたんですね。
「ええ。彼がすぐに雇用を生むかと言われると、そうではないと思うんですけど。でも、自分のライフスタイルを選んで、気持ちよく生きることもまずは大事なんじゃないかな。」
「そういう人が増えるのはいいことだと思います。地域の人もいろいろ影響されて、一緒にこんなことやりましょうか、という話も出てくる。それはすごいいい流れじゃないでしょうか。」
帰り道にふと「長谷川さんは地方ではなく地域という言葉を使っていたな」と思い、その意味を考えていました。
地域って、きっと「もう少し自分の見える、手の届く範囲で暮らしたり、仕事がしたい」という欲求なのかもしれません。
思い返せば、僕がいまの仕事についたキッカケも、4年前に参加した地域系のワークショップでした。
行動に移すまでには時間がかかったけれど、迷いながらも参加してよかった、そう思います。
まずは、説明会に参加するところからはじめてみてはどうでしょう。(2013/7/12 大越はじめup)