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ハッピー・デザイン

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中南米をはじめ世界各地の伝統文化や民芸品をモチーフにして、カラフルで楽しい洋服や雑貨をつくり販売している「チチカカ」

今回は、世界の伝統文化やファッショントレンドから、チチカカらしい商品を生み出していくデザイナーとパタンナーを募集します。

SONY DSC まずは横浜に新しくできた商業施設「MARK IS みなとみらい」の中にオープンしたチチカカの店舗に足を運んでみた。

メキシカンタイルを基調とした中南米風のインテリアのなかに、花の刺繍のワンピースや、夏の日差しに負けないカラフルな帽子や、賑やかなモチーフのアクセサリーなどが並んでいる。

SONY DSC 店内は陽気でカラフルで、色々な国の匂いがして、世界旅行をぎゅっと一部屋に詰め込んだらきっとこんな感じなんじゃないかと思う。

実は取材に伺うまで、チチカカで売っている商品は、すべて海外から買い付けた輸入雑貨かと思っていた。

実際には、一部買い付けもあるけれど、ほとんどが企画からデザイン、生産まで、チチカカのオリジナル商品なのだそうだ。

SONY DSC 商品を生み出している本社は、新横浜駅から徒歩10分もかからない場所にある。

訪ねてみると、お店で感じた印象そのままの雰囲気。スタッフの方たちも、みんなチチカカの服やアクセサリーを身につけている。夏のファッションを心から楽しんでいる感じ。

そんな使う人がワクワクするような商品を生み出しているのが、チチカカのデザイナーの方たち。

さっそく、4人のデザイナーを紹介していただいた。

SONY DSC 左から大塚さん、アグーさん、伊藤さん、竹田さん。なんだかこうして集まると本当にカラフルで、4人組のパーカッショングループだと紹介されても疑わないくらい。会話も息ぴったりだった。

4人のなかで、チーフデザイナーである大塚さんは、チチカカのデザインを総括する役目。現役でデザインも手がけている。

チチカカで働く前は、フリーランスのテキスタイルデザイナーとして仕事をしていたそうだ。

「もともと、中南米地方の色の鮮やかさとか独特の雰囲気が好きで、中学生の頃からチチカカに通っていたんです。あるとき、お店に行ったときに、あれ?と思って。そこに、絶対現地では売っていないような柄の服がかかっていたんですよ。」

もしかして、買い付けているだけではなく、オリジナルで商品をつくっているのかもしれない。だとしたら、会社のなかにデザイナーもいるのかな?

そう思った大塚さんは、さっそく家に帰ってネットで調べてみた。

「そしたらデザイナーを募集していて、やっぱり!って(笑)。すぐに電話で問い合わせて次の日に面接をしてもらいました。」

世界18カ国に取引先がいるチチカカ。デザインは、実際どんな風に生み出されていくんだろう?

順を追って聞いてみた。

「まず、店舗のスタッフが現場でお客様の声を聞いて、どんなものが売れているとかこんなものが人気だ、ということを把握して本社に伝えます。そこから、MDや商品企画担当が話し合って、今後どういう方向性で商品づくりをしていくか考えていきます。具体的に何をつくるか決まったら、そこでやっとデザイナーの出番がくるんです。」

cckk40 たとえば、夏用のワンピースをつくるということになったら、そこからどうやってデザインを考えていきますか?

「チチカカはレディースがメインなのですが、女の子はとくに流行に敏感で新しいものが好きですよね。アパレルには毎年トレンドがあって変化していくので、まずそれを先にチェックします。たとえば来年だったら色は黒が流行る。それからロック調とか80年代風とか。」

cckk50 「そのなかで、チチカカに合うものを考えます。そこから、そのトレンドとカラフルなチチカカらしさとを掛け合わせながらデザインをつくっていきます。」

トレンドのもう一方で、伝統技術の技法からデザインの着想を得るパターンもある。

チチカカには「HAPPY TRADE COLLECTION」という商品がある。たとえばメキシコの先住民族に伝わる刺繍だったり、ペルーの山村に伝わる民族衣装だったり、その地域に古くから伝わる文化をとりいれた商品を展開している。

SONY DSC トレンドから、伝統文化から。主にデザインの道筋はこの2つ。あらゆる要素を、お客さまのニーズやチチカカのテイストに合わせてデザインしていく。

デザインが完成してからは、いよいよ、そのデザインを商品として実現させるために、作り手と直接やりとりしていくことになる。

「チチカカでは、直接海外の作り手やサプライヤーさんとやりとりしているんですよ。今まで、自分のデザインを実際に商品にする作り手と直接やり取りをすることなんてありませんでした。いつも、間に他の会社や人を介していました。でもここでは、作り手が見えるし、考え方も分かるんです。」

ふつう、工場や取引先の会社のことを「仕入れ先」と呼んだりすることが多いけれど、チチカカでは、それぞれの人の名前で呼び合っているそうだ。そのことからも、みんな一緒に商品をつくるチームという感覚があるのだということが分かる。

「取引先の多くは、中南米やアジア諸国の山奥や小さな村の人々です。人によって刺繍の荒さが出てしまったりとか、指定していたものよりサイズが小さくなってしまったりとか、日本で頼んだらありえないようなことが沢山起こります。カレーの染みがついたものが届いたこともありました(笑)。その都度、これじゃ日本では売れないんだよ、って伝えながら、一緒につくっていきます。」

cckk81 言語も違えば、生活も文化も違う人たち。きっと、日本の業者に頼んだ方が話は早い。

だけど、チチカカには世界の伝統文化を伝え残していくという使命があるから、時間がかかってでも世界各地の作り手と共同作業で商品を生み出していく。

「デザイナーをアーティストと勘違いしている人は、この仕事には向いていないと思います。自分がしたいことをするのではなく、チチカカブランドとして売れるかどうかちゃんと見極めることができる人がいいですね。」

話をきいたあと、実際にデザインをするところを見せていただいた。

雑貨担当のアグーさんは、この秋発売されるというトートバッグの柄をつくっているところだった。

SONY DSC 「これ、今年の春に発売されたグラスの模様だったんです。お客様に好評だったので、同じ柄でトートバッグにプリントすることになりました。実はこれ、柄に意味があるんですよ。動物が1列になって行進しているんですけど、ここにアフリカ、アジアの動物がいたり、北米のシカがいたり中南米のアルパカがいたり。世界の国の動物がいて、地球全部を表しているんです。」

アグーさんはここで働く前、服飾雑貨のメーカーでデザイナーをしていた。そのときは、直接お客さんに向けてデザインするというより問屋さんや小売店さんのためにデザインをしている感じだった。

「今は自分たちでつくって自分たちで売っているので、お客さんの声も直接聞くことができるし、チチカカの使命と自分のやりたいことが合っているので、夢が叶っていると感じています。」

アグーさんの旦那さんはアフリカ出身の方なのだそうだ。今は中南米や東南アジアの国のデザインがメインだけれど、ゆくゆくはアフリカの作り手と一緒に商品をつくっていけたらいいな、と思っている。

仕事で、大変なことはありますか?

「そうですね。商品数も多いのでデザインや仕様書もたくさん書きます。ときには締切に間に合わなくて遅くまで作業することもありますが、お客さまに『チチカカに来て良かった』と言ってもらえるなら、いくらでも頑張ることができます。それが、まわりまわって、サプライヤーさんたちの生活向上に貢献できますしね。世界の仲間と共に日々成長ですね。」

SONY DSC 「買う人をハッピーにするだけではなくて、デザインする人もハッピーな方がいいと思います。そういう気持ちでやるから、商品を通してみんなにもハッピーが伝わるんじゃないかな。」とアグーさん。

最後に、チチカカ全体の想いを伺うために、人事部部長の伊藤さんにも話を聞いてみた。

「カラフルで陽気な中南米やアジアのデザインを生活に取り入れていただくことで、お客様にハッピーになってもらいたい。そして、そうすることによって、商品をつくる人にも幸せになってほしい。それがチチカカの目指していることです。」

SONY DSC チチカカが取引をしている国々のなかには、発展途上国も多くある。

町の寄り合いのようなところでお母さんたちがひとつひとつ手仕事でつくっているような商品も扱っている。そして、そういう方たちは、子供の代まで仕事を安定的に長く続けていくことを望んでいるそうだ。

一方チチカカは、その地の人にしかつくることのできない技術や風合いを求めている。お互い支えあう仕組みがあるから、ビジネスとして成立している。

「お店を見ると楽しく陽気な感じがするかもしれませんが、もちろん会社はそれだけでは成り立ちません。売り上げなどの数字をバロメーターに、現状分析をしっかりして、企業としてもっと成長していきたいと考えています。」

SONY DSC 伊藤さんは、とってもラフなスタイルで現れたけれど、なんだか話していると、すごいビジネスオーラを感じる。

「そうですか?もともと僕は、チチカカのように成長期にある企業を探し投資するというスタイルの金融機関に営業として勤めていました。もっと企業の成長を直接的に実感できる仕事がしたいと思って、チチカカに転職したのが4年前ですね。」

チチカカに入る前は、白や黒などのモノトーン調の服を着ていたけれど、今はチチカカの服しか着ていないそうだ。

「少しずつ明るい色合いの服を選ぶようになって、気がついたら新横浜駅のホームでいちばん明るくてカラフルな格好になっちゃってました(笑)」

そんな伊藤さんも仲間に加わり、チチカカはだんだん、会社として大きくなっていった。

今は、社員が600人以上いて、店舗は国内に110以上、海外は香港にも進出した。お店には、年間200万人のお客さんが足を運んでいるそうだ。今後も国内外に店舗を増やす計画がある。

「チチカカは、今まで少しずつ上手くいかない部分を改善しながら大きくなってきました。商品のクオリティーは、世界に通用するものだと思っています。部活っぽいというか、常にギリギリまでいいものをつくる文化があるので、夢を追いかけたいとか、成長していきたいと思う人に来てほしいですね。」

SONY DSC 多分、チチカカが言うハッピーって、現状満足という意味のハッピーではないんだと思う。ハッピーを実現するためには、ひとりひとりの努力や成長意欲が必要になる。

ステーショナリーやメンズ向け商品など、さまざまな新しい取り組みもはじまっているそうです。チチカカの商品を一緒に生み出していきたいと思う人は、ぜひ応募してみてください。(2013/7/29 笠原ナナコup)