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大事だとはわかっているけれど、いますぐに困るわけではないから、なかなか取り組んでいない。日々生活をするなかで、身の回りにはそうしたことがたくさんあると思う。
なんとなく堅苦しいイメージのある防災もその一つではないでしょうか。
たとえば非常食。
東日本大震災の直後には、非常食を備えるといった動きが見られたけれど、またしばらく経つと以前に戻ったようにも見受けられる。
時間が経てばどうしても忘れてしまうし、義務感だけで続けるのはちょっとしんどいと思います。
そんな防災を、イベントやwebを通して身近で楽しいものにしようとするプロジェクト”yamory”で働く人を募集しています。
yamory(ヤモリ)の活動を知ることで、きっかけさえあれば意外に楽しく取り組むことができるのだと気づきました。
yamoryは2012年の2月に古川由己さんが、CAMPFIREでクラウドファンディングを募り、はじまったプロジェクト。
史上最速で資金調達に成功して話題になったこともあり、名前を知っている人もいるかもしれません。
古川さんがこのプロジェクトを思いついたのは、東日本大震災後の現地入りがきっかけでした。
行政の支援が届く前、農漁村には食べものがあったけれど、もし同じことが都会で起きたらと思うと、ゾッとしたそう。現に都会では、食料品の買い占め騒動が起きました。
そこで、非常食について見直し、次のことがわかった。
購入したはよいけれど、途中で食べてしまいいざというときにない。あるいは賞味期限が切れている。つまり、必要なときに役に立っていない。
そこで、非常食がいつもちゃんとあるように、半年に一度配達するサービスyamoryを開始しました。
そして現在yamoryを引き継いでいるのが、株式会社R-proの代表・岡本ナオトさん。
非常食の配送に限らず、幅広く防災について取組みを展開しようとしているところ。
今回は名古屋・栄のカフェで岡本さんに話をうかがいました。
岡本さんはメーカーでの営業を経て、R-proを立ち上げた。
「営業をするなかで、人をサポートして、その人が伸びていく姿に魅力を感じることに気づいたんです。R-proでは、思いはあるけれど、戦略やビジネスプランが見えない人に対して事業化支援を手がけています。」
岡本さんがyamoryを引き継ぐまでの経緯を聞いてみる。
そこには、仲間とともに行っている東日本大震災の復興支援があった。
「支援を通して色々な人と話をするなかで、『防災がもっとしっかりしていたら、助かるいのちはもっとあったはず。』そう実感したんです。それで、防災を身近に感じられるサイトの立ち上げを考えるようになりました。」
そしてあるイベントで、古川さんと出会う。
「それまで非常食は、『○年持ちますよ』と保存期間をウリにしていたなかで、半年ごとに届くというアイデアがすごくいいなと思いました。非常食の受け取りを通して、防災についても思い出すきっかけになるじゃないですか。」
「ぜひうまく行ってほしいと思って。事業化をサポートするようになります。」
ミーティングを重ねるなかで、構想していた防災サイトとの連携効果も見えてきた。そしてお互いに話し合うなかで、岡本さんがブランドを引き継ぐこととなった。
「事業については、顧客をはじめすべて精算をしています。その上で、コンセプトからリニューアルを行い、今年の1月1日にオープンしました。」
まず非常食の配達については、サービスのラインナップを増やし、ユーザー層も広げた。
以前は一般生活者向けのサービスだったけれど、リニューアル後は企業、行政にマンションの管理組合といったBtoB向けにも展開をしている。
生活者からの注文も、都内を中心にアンテナの高い人から増えつつあるという。
リニューアルして一番大きく変化したのは、非常食に限らず幅広く防災に取り組もうと考えたこと。
どうしてだろう。
「東北を訪ねて実感したんです。非常食を備えていても、被災する場所が自宅とは限らない。食べ物は確保できても、連絡をとり合える仲間がいないと不安になる。行政の支援に任せっきりでよいわけではないんですね。地域に住む住民同士が防災の知識も持って、お互いに助け合うことが大切だと思うようになります。」
そして、防災に対するイメージを変えていきたいと岡本さんは話す。
「堅苦しいイメージがありません?とっつきにくいですよね。より身近で日常のことにしたいんですよ。」
そこで今回募集するのが、コミュニティマネージャーだ。
仕事について、岡本さんはこう説明してくれた。
「地域に、楽しく自然と防災の知識が身につく防災コミュニティをつくりたいんです。日ごろから顔を合わせて連絡をとり合える仲間ですね。その中心となる防災リーダーを育てていきます。」
まずは栄にはじまり、将来的には防災コミュニティを全国の色々な地域に広げていきたいと考えている。
「地域コミュニティに限らず、企業コミュニティもあっていいと思うんです。」
それから、楽しみながら防災に取り組んでいけるコンテンツづくりも仕事になる。
「新しい、面白そう、おしゃれ、そんなきっかけでyamoryのイベントに参加してほしいんです。たとえば防災DRINKS。それから、SHIBUYA CAMPをもとに、栄のテレビ塔ふもとの公園に集まり、テントでキャンプしながら実践的な避難訓練を体験してみるSAKAE CAMP。そうしたコンテンツを一緒につくっていきたいんです。」
コンテンツの一つである、外出先からの避難体験プログラム” from [ ] to home”はこんな内容だ。
「水族館での被災からスタートし、チームを組んで最寄りの避難所に向かいます。さらにカードを引いて、チームにお年寄り、子ども、目の見えない人がいる設定もします。」
聞いていると、なんだかゲームのようで楽しそうに思えてくる。
「まずはその感覚が大事にしたいんです。楽しみながら、実際に色々な気づきがあると思うんですよ。知らない人とどうコミュニケーションをとるか。アプリを使っていかに近くの避難所を探すか。設定によってルートも変わってくるでしょう。最後に、みんなで気づきをシェアします。」
そうしたコンテンツに参加したり、興味を持った人がいつでも集まることのできるリアル場づくりもしたいと岡本さんは話す。
「まずは栄をベースにして、全国に拠点が生まれ、お互いに交流していけたらいいですね。」
これからコミュニティマネージャーになる人は、まずは自分がプログラムに参加して基礎を身につける。
その後は、コミュニティに入り、イベントを企画開催し、実践を通して経験を重ねていくことになる。
今回雇用が決まっているのは、来年3月までのこと。
「8ヶ月間一緒に働くなかで、色々な知識や経験を積めると思います。そこで学んだことを生かして、コミュニティマネージャーという新しい仕事をつくることにチャレンジしてほしいです。」
コミュニティマネージャーの具体的な商品としては、次のものが考えられる。
まず防災リーダー育成のプログラムに、地域コミュニティづくりのノウハウ。それから、栄キャンプにfrom [ ] to homeといった防災コンテンツ。さらにエリアが広がれば、育成した防災リーダーを、他地域に派遣することも増えていきそうだ。
どんな人がいいだろう?
「人と関わっていく仕事が中心になるので、まずは人が好きなことですね。それから、イベントやアウトドアといった遊びでつちかったアイデアはとても活かせると思います。」
「これまで縁遠かった防災を身近に感じてもらう仕事です。なので、防災への関心だけが入り口とは思わないんですね。yamoryのサイトを見て、防災って意外に面白そうと思ったら、その感覚を人にも伝えていってほしいんです。」
同時にyamoryのブランドクリエイターも募集する。
WEBやfacebookなどを通して情報発信したり、ブランドツールの企画・作成などを手がけていく。
「防災に関心があって取り組んでいるのは、どうしても年代が高い、限られた層だと思うんですね。これまで防災に興味のなかった層に、届けていきたいんです。」
ポータルサイトだったり、フリーペーパーだったり。さまざまな方法でアプローチをすることで、防災へのきっかけづくりをしていくことになる。
そこで大切になるのが、デザインだという。
「同じ情報も伝え方をデザインすることで、届き方は全然違ってくると思うんですよ。」
そういって岡本さんはハザードマップの話をしてくれた。
「行政では自然災害による被害を予測したハザードマップを作成、公表しています。避難経路が記されており、被災時にはとても有効なもの。けれど、ほとんど利用されていないし、そもそも存在自体が知られていなかったりするんですね。」
「yamoryがリデザインして発信することで、大事な情報を橋渡しできたらと思うんです。」
内容についても、色々な取り上げ方が考えられると思う。
面白そうな防災イベントやおいしい非常食を紹介することもあれば、ほかの防災サイトと連携することも考えられる。
それから、震災後に活躍した人にフォーカスして取材を行ってみる。あるいは防災リーダーと連携して、防災コミュニティでのクロストークを開催してコラムにする。
一つの例としてyamoryでは現在、”yamory応援団”としてさまざまな人へのインタビューレポートを行っている。
そこでは、SNSの運営者にファッションデザイナーといったふつうの人がとりあげられている。防災についての考えや、そもそも関心を持つようになったきっかけを知ることで、見えてくることは多いと思う。
その他にも、コミュニティマネージャーの手がける防災コンテンツのデザインに、yamoryのツールの企画・作成を手がけることもある。
どんなことが一番大切だろう?
「アイデア力です。企画づくりから自分で取り組んでいきたい人には、いい経験ができると思います。自分でデザインができれば、なお仕事の幅は広がっていきますよね。」
防災をデザインで身近にできたら、うれしいことだと思う。大事だけれど、とっつきにくかったことは身の回りに色々ある。きっと防災に限らず活かせるようになるだろう。
最後に岡本さんは伝えたいことがあるという。
「いままで人のやっていない、新しい仕事を楽しんでつくっていける人に出会いたいです。僕らも事業化支援のノウハウを活かして、一生懸命サポートしていきますから。」
来年の3月、防災をキーワードに人が集まり交流するまちの姿を想像してみました。(2013/7/8 大越はじめup)