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『プロジェクションマッピング』という言葉は、ここ最近一般的になったように思う。復元された東京駅舎に投影されたことをきっかけに知った人も多いのではないだろうか。プロジェクションマッピングとはその名の通り、プロジェクション(投影)をマッピング(対応させる)させること。建築物などの立体物に、その形状にあわせた映像を制作し、投影することで演出をおこなう表現技法です。
今回は、プロジェクションマッピングを用いて、目で見るだけでなく、全身で体感する空間を生み出す人を募集します。
東京・新宿三丁目駅から10分ほど歩くと、たくさんの事務所がはいったオフィスビルにたどりつく。その一室が、アシュラスコープインスタレーションの事務所。制作系の事務所は雑然としているイメージがあるのだけれど、整理整頓がきちんとされていて、とても清潔感がある。
お話をうかがう前にデモンストレーションの映像をみさせてもらった。

オリジナルでつくっているという音楽が流れだすと同時に、絵だった部分に映像が投影され、空間が動き出す。
これはモーションスペース2.5Dといって、立体物ではなく、平面のグラフィックの上に映像を投影しているもの。平面のグラフィックにあわせてつくられた立体の映像が投影されることで、グラフィックが動いているようにみえる。アシュラスコープインスタレーションにしかできない特許技術だ。
「ここ半年ほどで、プロジェクションマッピングを手がける会社はものすごく増えましたね。数年前は全国でも2、3社しかありませんでした。けれど、プロジェクションマッピングの全部を見ることができる会社はうちだけだと思います。」

プロジェクションマッピングの全部ってどういうことなんだろう。
「プロジェクションマッピングって、映像をつくる会社と、実際にプロジェクターの機材を動かす会社が、ばらばらなんです。」
たとえば、グラフィックデザインの世界でいうと、デザイナーがデザインをする。けれど、実際に形にするときには印刷所にまかせてしまったり、印刷機械のことに詳しくなくて、細部まで指示がだしきれなかったり。
「うちは映像をつくるだけではないんです。最初にお話をきいて、プロジェクションマッピングをすることによって、どうなることが目的なのか聞きます。その目的にあう提案をこちらからすることもありますね。その上で制作をしていきます。同時に、どこから投影するのが適しているか、空間を含めて考えていきます。」

「プロジェクションマッピングって、ショーみたいなものに思われがちなんです。見て、終わって、帰るっていうような。うちは、空間デザインのひとつだと考えています。それを基としているので、作り方や、そもそもの考えが独特だと思います。」
プロジェクションマッピングと聞いて想像するのは、ショーのように、鑑賞するものをイメージすることが多い。けれど、アシュラスコープインスタレーションが目指しているのは、目で見て終わるだけではなく、皮膚感覚で感じられるような空間そのものをつくりだすこと。体感できる空間。
今までどんなものを手がけてきたのでしょうか。
「去年のサマーソニックではゲートを担当しました。通り道なので人に映像が当たってなかなか映像としては成り立ちにくい。なので、映像の中に入りこめるものを制作しました。当日は、地面に映る映像の線が動くとそれを追いかけて走る子供がいたり、自分の影と映像を合わせて遊ぶ人がいたりしました。体感する空間というのでは、とても近いものができましたね。」

秋葉さんがプロジェクションマッピングをはじめるきっかけは、どこにあるのだろうか。
「学生の頃、建築を勉強していたのですが、設計をする中でプロジェクションマッピングのようなことを思いついたんです。」
思いついた?
「その頃は、VJブームの走りだったんです。まだVHSでまわしてる時代でしたね。そういうライブ空間にいったとき、ただ大きな画面をみて踊っている光景をみて、なんてつまらないんだろうと思いました。装飾もしてはあるんですけど、みているだけではなくて、映像と装飾を組み合わせて、空間の中で踊っているようにしたら、もっと面白いのに、と思ったんです。」
そして映像や音楽、グラフィックを複合的に使った空間を研究していった。12年程前からは、アシュラスコープという名前で独立して活動を続け、プロジェクターを用いた作品を発表したり、空間デザインを手がけてきた。
「3年くらい前に、海外でプロジェクションマッピングが盛り上がったんですね。知人から『同じようなの作ってたよね』って話をされて、その時初めて、プロジェクションマッピングって名前がついていることを知りました。」
日本にも、仕事になる土壌が出来てきたと実感し、3年前に法人化をする。現在は秋葉さんを含めた4人の仲間とともに、プロジェクションマッピングを専門に制作している。

忙しい制作の中では、担当にくぎって進めていった方が効率が良いこともある。そういう形でプロジェクトを進めていくことになったのはなぜだろう。
「ある程度、どういう方向で何をするかっていうのは、僕がクライアントと決めて持ち帰って来ます。けれど、個人個人の得意分野があるので、そこからみてもっとこうしたら、とか、こう変えたほうが良いっていう意見をもらって組み上げていきますね。その方がいいものができる。」
経営者は秋葉さんであるけれども、会社の方向性はみんなで決めていく。それぞれの得意分野や、やりたいことを、会社を使って実現していく。そしてそれが会社のカラーになる。
「当たり前のことですけれど、自分たちが何が出来るっていうことを見失ってしまうと、どうしてもお客さんに言われたことだけやっておけばいい、ということにになりかねない。そこだけは常に意識していますね。」
「上司が勝手に決めてきて、『なんでこれにするの?』って聞いて『そうしてって言われたから』っていうのは、作り手としては納得できないじゃないですか。自分自身がそういうことを経験して、嫌だな、と思ったこともあったのでスタッフの意見を汲むようにしています。」
「スタッフとしてはそこが一番ありがたいというか、面白いところです。」そう話すのは以前設計事務所で働いていたという森原さん。

「僕は建築を通して、五感で言えば皮膚感覚で感じられるような空間をつくりたかったんです。それを通して人に影響を与えたいという思いがあって。けれど、そういう空間をつくるには建築だけではやりきれないなと思うことがありました。建築って解釈が人によってさまざまなんです。そこに、映像や音楽などのメディアをとりいれることで、よりストレートに伝えられるかなと思って。」
森原さんを含めたスタッフの方は、インターンを経て、ここで働くことになったとのこと。
こんな人がいたら場がなごむだろうな、と思わせる京都弁の木村さんと、週末はDJもするというサウンドディレクターの藤井さん。
2人にもお話を伺う。日々ここで制作をしていて、どんなことが大変ですか?

サウンドディレクターの藤井さんはこう話してくれた。

技術面のことに関して、プロジェクションマッピングをつくったことがある人は、ほとんどいないと思うのですが、どういう技術が必要になってきますか?
代表の秋葉さんはこう話してくれた。
「プロジェクションマッピングを作ったことがある人はいないと思っています。なので、3Dの経験がなくてもいいです。けれど、企画書などで、写真を編集する必要があるので、PhotoshopやIllustratorを使えるっていうのは必須ですね。」
話を聞いていて感じたことは、ここで制作する制作物に関しても、働き方に関しても、心地よい自由度があるということ。それは、甘えの上の自由度ではなくて、秋葉さんの考え方や、お互いが制作者として認め合っているからこそあるように思えた。

秋葉さんが持っている技術は、スタッフの方にすべて教えてある。これから入る方も、新しい分野に関してはスタッフの方が教えてくれるとのこと。
最後に、森原さんがこんなことを話してくれた。
「全体に関わって仕事をしていくので、自分の仕事だけしたいっていう方は、うちに入ると、めんどくさいって思うかもしれないですね。全部を知りたい、自分も舵を取る一員になりたいっていう方が来ると、逆に言うと大きな会社では絶対味わえないことができると思っています。」
