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想像を形に

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「ここで働いていると、とにかくポジティブなものの考え方になると思うんです。不況や人口減少など暗い時代のなかで未来を語ろうとすると、かなり強い意志が必要になるんですよね。それでも語り続けることで、色々な人たちがついてきてくれるようになる。未来を想像して伝えていくというのは、これからの時代を生きていくためにすごくプラスになると思います。」

SONY DSC 人を集めるための場をつくるのではなく、同じ未来をのぞむ人たちが集まることで場になっていく。

エナジーラボは、そんな「街創り」をしている会社です。東京を中心に、全国の商業施設や都市開発を手がけています。

設計会社、デザイナー、テナント、地域、さまざまな人が関わるプロジェクトのなかで、チームやスケジュールを組み立てながらプロジェクトをすすめていく、「街創りプランナー」を募集します。

「エナジー」というのは、人が集まることで生まれる力のこと。それを生み出していくという意味で「エナジーラボ」となった。

el5 5年前にこの会社を立ち上げたのは、北山創造研究所で20年にもわたってまちづくりを仕事にしてきた松岡さん。

仕事をするなかで、人を集めることを目的にするのではなく、目的のために人が集まってくるような場所をつくっていきたいという想いがつのり、会社を立ち上げた。

エナジーラボが今までに手がけてきた仕事を見て印象的だったのが、大型ショッピングモールの構想・設計を手がけたりもしている一方で、たとえば貸し農園でのヨガのイベントや研修プログラムの企画なども運営・実行しているということ。

大枠をつくるところから、本当に細かいところに落とし込むまで、幅の広い方法で街や場をつくっているのだなと思った。

こんな仕事をしているのはどんな人たちなんだろう?

話を伺うために、東京・千駄ヶ谷にあるシェアオフィスco-lab内にあるエナジーラボのオフィスに伺うと、代表の松岡さんが迎えてくれた。

SONY DSC この日は蒸し蒸しとした夏日だったので、なにげなく「外は暑いですね」という話題からはじめてみる。

すると松岡さんが、こんな話をしてくれた。

「わたしはだいたい朝が早くて、いつも4時過ぎに起きて6時まで仕事をしてそこから子どもに朝食をつくってから会社に行っているんです。」

「明け方の時間って、日中だと感じないような季節や時間を、すごく感じる時間帯なんですよ。6月23日の夏至の頃は、4時には薄明るくなってきていたのですが、今はだんだんと夜明けが遅くなってきている。日が短くなってきているんです。だから、だんだん暑くなってきてはいるけれど、ある意味冬に向かっているんだな、と、不思議な感覚を持っています。」

松岡さんには10歳と4歳のお子さんがいて、子どもとの時間をつくるために、このような生活スタイルになったそうだ。

「真冬とかになってくると、ほんと、6時くらいまで夜が明けないから、結構色々なことを考えられるんですよ。少しずつ夜が明けていく景色が、愛おしくなっていく時間帯です。」

SONY DSC なんだかこのお話から、松岡さんの大切にしていることが少しわかったようで嬉しくなった。

仕事上では、どんなことを大切にして働いていますか?

「最終的には建物というハードをつくっていくことになるのですが、その前に必要なのはやっぱり、その施設や街に関わった人たちがどんな未来を体験できるのか?というところですね。今の仕事は、そういうところから考えはじめることが多いです。そして、考えたことを共有することもとても大切なことだと思っています。」

共有する。

「はい。20年前だったら、建物を建てるときにお客さんに対してどうアピールするか、中でどんなことをするのか考えれば良かったのですが、今は建物をつくる前から色々な人に対して説明していかないと、事業が動いていかないんです。」

el30 施設が完成するまでのことしか考えないと、時間と予算など色々なことが合わなくなって閉塞状態になってしまう。

そんなときは、もう少し目線をシフトして、建物が完成した先のことまで想像していく。すると、やり方が見つかってくることが多いそうだ。

「目線は、10年先くらいまで。目線を遠くまで落とすような、俯瞰して見るような、そういう理念の創り方をしています。創業から5年が経ちますが、うちで手がけているプロジェクトは、すべて現在進行中ですね。」

たいていの商業施設は、開業の日に一番お客さんが入って、あとは落ちていくだけ。

そこで、もしも企画がはじまる最初の段階から、3年先にはこんなことをしています、5年先はこうなっています、ということを想像していたら、建物のつくり方も未来もきっと変わってくると、松岡さんは考えている。

松岡さんが、今すすめているプロジェクトを紹介してくれた。

「来年の秋に池袋にできる『WACCA (ワッカ)』という商業施設があるんです。8階建てのビルに30店舗ほどお店が入る予定で、規模はそんなに大きくはないのですが。他と違うのは、そのビルが個人オーナーさんの持ちものだということ。ディベロッパーさんや企業からの依頼ではないんです。最初に相談されたのは、50年保つようなビルをつくって欲しいということでした。」

el7 だから、入っていただくテナントも、ただ場所を貸すような関係にはしたくない。

飲食店にしても雑貨店にしても、それぞれの店ごとにファンを抱えているようなお店に声をかけていった。

「昨日も、まだ出店が決まっていない段階からお店の方をお呼びして、どういう商業ビルをつくっていくかの説明を兼ねたディスカッションを2時間くらいさせてもらいました。開業前から、そんな風にお互いの想いや志を確認し合いながら進めています。」

それから、ビルのオーナーさんが祖父の代から3代にわたって映画興行をされてきた経歴と、池袋の街が映画によって発展したという背景から、従来の映画祭とは違う、『巡り逢いの力』を実感できるようなイベントも並行して企画しているそうだ。

「とにかく、自分ひとりではできないような体験ができると、映画も街のことも好きになると思うんですよ。リアルな場所の価値や、巡り会いを楽しめるようなことを、考えていきたいと思っています。」

el31 建物をつくるというよりも、その建物の中や外で起こることを考えていく。もちろんその結果、最適なかたちとして建物ができていくわけだけれど。

一緒に働く人として、どんな人に来てほしいですか?

「想像力のたくましい人ですね。想像力って2つあって、まず1つ目は、未来にどんなことが起こるのか、という想像力ですね。それはプロジェクトの10年後もそうだし、明日はどんなことが起こるか、一週間後にはどんな課題が出そうか、とか、そういうことも含みます。未来を見て、それをお客さんにもちゃんと伝えていけること。」

「それからもう1つ。オーナーさん、テナントさん、建設会社、街の人、色々な立場の方と一緒にプロジェクトを進めることになります。そのとき、相手の立場に立ってものごとを考えることができる力も必要ですね。多分、この仕事には、クリエイティブではなくイマジネーションのほうが必要なんでしょう。」

el32 松岡さんに話を聞いたあとは、エナジーラボで「街創りプランナー」として活躍している鈴木さんと中山さんに話を伺った。

鈴木さんは、設計会社や広告代理店を経て、30歳のときにまちづくりの仕事をはじめて7年目。エナジーラボには立ち上げから関わっている。

最初の自己紹介で、趣味で大道芸をやっているという話をしてくれた。なんでも、仕事の関係で毎年大道芸の大会を視察する機会があり、3年前に自分もはじめたのだそうだ。

SONY DSC 「ずっと見ていたらやりたくなってきちゃったんですよね」と鈴木さん。

話をするなかで、とても思慮深い方だと感じたけれど、決して頭でっかちではなく、気になったら行動してしまう人なのだと感じた。

もう1人の中山さんは、前職は都市開発の会社でディベロッパーとして働いていた。もともとまちづくりを仕事にしたいと思っていたことから転職した。

「ディベロッパーのときは、空室率とか家賃とか、予算とか年間計画とか、ずっと数字ばかりを追っていて、肝心の部分は結局コンサルタントの人に丸投げしてしまっていたように思います。ここでは、机上の空論ではなく実践していけるのが楽しいですね。」

SONY DSC 2人の仕事は、プロジェクトの設計をすること。例えば施設をつくるとなれば、何のために誰のためにつくるものなのか、ということを考えながら、それを実現するためにどんなスケジュールや予算、チームで動かしていくのか、という落とし込みを考えていくこと。

オーナーさんや設計者やデザイナーなど、多くの人との間に入って、よりプロジェクトがスムーズに進んでいくように調整する。

「例えば、今僕は、『WACCA』のプロジェクトの中で、フロアを構成しながら、そこに入っていただくテナントへのリーシングをしているところです。お店を探して自分で条件交渉しに行って。新しいものをつくるといっても、ひとつひとの仕事は地味なものなんですよ。」と鈴木さん。

「リーシング会社に頼んでも良いのですが、でも、自分でやってよかったと思っています。施設側の立場からしか見えてなかったことが、テナントさんの立場で考えられるようになった。テナントにとって使いやすくPRできるような施設なのだろうか?という視点に立って資料を読み返してみたら、色々なことが見えてきて。」

仕事に境界線はないから、色々なことを横断して考えないといけない。だけど、その結果新しい視点でものごとを見られるようになる。そうすると、次はもっと広い視点からプロジェクトを見渡すことができる。まさにイマジネーションの仕事だと思う。

el33 「僕自身が設計の仕事やデザインの仕事を辞めたのは、自分の仕事の領域を超えて提案することが出来ない歯がゆさからでした。相手に求められているものを汲み取って、プロジェクトを成長させていくためのチームや計画をつくっていく今の仕事が、自分一人の作品をつくるよりもよっぽど面白いですね。」

エナジーラボの仕事は、目指していることに対して、領域を超えて挑戦できる限界の無いスタイル、と鈴木さん。

どんな人と一緒に働きたいですか?

「当たり前のことを言うと、諦めない人ですかね。僕らのところに来る仕事って、一筋縄ではいかない仕事ばかりなんですよ。時間的にもリミットや厳しい条件、思い通りにならないことが沢山あるなかで進めないといけない。だから、諦めないで食い下がって実現する人と一緒に仕事がしたいです。」

実現するためにはこういうことが必要だ、という筋道を立てていくのは、とても大変な作業。日々の仕事には面倒なこともあるし、自分のやりたいことばかりじゃないと思う。

でも、そんなときも、今のこの作業が何のためにつながっているのか想像を働かせれば、きっと乗り越えられると思います。

SONY DSC 想像するだけではなく、それを形にするところまで根気よく続けることで、その先に思い描いていた未来の景色があるのだと思う。

エナジーラボで、そんな街創りをしてみませんか?

(2013/8/23 笠原ナナコup)