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リノベ最前線に飛び込め!

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

福岡県北九州市は九州の玄関口。新幹線も停まる小倉駅があり、北九州空港からアクセスもいい中核都市です。

この街で建築や不動産、ビジネスマッチングやWebサイト運営といった能力で活躍する4名を募集します!

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小倉駅からさほど離れていない魚町(うおまち)の商店街は、さびれているわけでもなく、人通りもある。でも「テナント募集中」のはり紙をチラホラと見かける。それも1階の路面店や角地のように、立地がいいところが空いている印象だ。

こうした遊休不動産の解消を、オーナーへの用途提案やリノベーションを通じてはかるのが、昨年設立された「北九州家守舎(やもりしゃ)」だ。

中心メンバーは4人。まず代表取締役の嶋田洋平さんにきいた。小倉のお隣り八幡の出身で、現在は自身の建築事務所がある東京と小倉を往復する日々だ。

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まず「家守」という、ききなれない言葉について教えていただけますか。

「これは江戸時代にいた町役人の呼び名なんです。役人といっても、彼らは自分たちでビジネスをやりながら、他の家守たちと連携して、街の維持管理をしていたんです。空き家や宅地をあずかりながら、オーナーの大家に『こういう商売をするといいですよ』とすすめたり、テナントの店子をサポートしたりしていたんですね。」

スゴい。今の言葉だとプロパティマネジメントやビジネスマッチングといった役割を先取りしていたのだろう。

「市では、都市型の産業を集積させて駅周辺に新しい産業を生み出そうと考えていました。そこで東京の神田などで実績があった清水義次さん(建築・都市・地域再生プロデューサー)と一緒に小倉家守構想を打ち出したのが2010年夏ぐらい。翌年4月から、5年間の政策として動いています。」

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そもそも、街の中心部が衰退した原因って?

「わかりやすいのは産業構造が変わったこと。北九州市はJRが東西に走っていますが、線路の北側は重工業や重化学工業の工場地なので、隣接していくつか商業の集積があります。それが衰退してるんですが……それは背景にすぎないんですよ。」

と言うと?

「小倉という街が、ビジネスをやる人にとって魅力がないのが最大の原因です。北九州市で98万人いて、小倉だけでも30~40万人がいるわけだから、中心部でビジネスをしたい人のニーズに街が応えていないだけです。インフラはすべて整っているんですよ、新幹線も飛行機も。ただ、そうした高速交通網が発達して隣りの福岡にも出やすくなってしまい、オフィスの需要が減りました。」

ストロー現象というものですね。

「あと、個人商店を始めるにはあまりにも高すぎる家賃。一等地なので、ちょっと景気が悪いからといってオーナーさんは家賃を下げないんですね。すると東京に本社がある大手チェーン店しか借りられない。それが今の魚町の状態です。大手チェーンはドライなので人通りが減ればすぐ撤退する。その先にはシャッター街が待っています。」

家守がお付きあいするのは、そうした大手の人たちではないと。

「ええ。魚町でビジネスしたい人がいないと言いましたけど、何かがしたい人はいっぱいいるんですよ。ただ、家賃が高かったり、広すぎたり、その人たちが気軽に使える場所がない。月坪1万でも構わないいんです。2坪だけ欲しい人はいる。でも100坪の物件しか貸してないんですね。」

取材でうかがっている場所「MIKAGE 1881」は、北九州家守舎が最初に事業化した物件。ビルの5階にあった約50坪の元日本料理店をコワーキングスペースに転用した。

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出版、デザイン、ブランディング、環境コンサル、ウェブアプリ開発、広告代理店といった事業者が入居。年齢は30代くらいが中心という。

毎週金曜の昼は、ここで食事会が催される。外部の人も参加できるのでネットワークが広がっていくという。

「こうした人たちを見つけ、空き物件に集積させて、お互いに交わらせ、大きくしていくサイクルをつくろうとしています。」

家守構想のコアになるのが、年に2回催される「リノベーションスクール@北九州」だ。

参加者はいくつかのユニットにわかれ、数日間で実際の物件オーナーに改修と利用法のプレゼンテーションする。

MIKAGE 1881も昨年のスクールから誕生した。北九州家守舎の取締役、徳田光弘さんに解説してもらう。

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「リノベスクールの最終目的は、みんなで考えたアイデアを実現することです。でも、第1回が終わった後、実案件化ができなかったんですね。理由はオーナーさんをサポートしたり、リスク分担したりする組織がないからだと気づきました。」

そこで、家守舎ができたんですね。

「そうです。いま小倉という街が全国から注目される、先端的なリノベーションをする都市になろうとしています。官によるまちづくりの株式会社は、どんどん日本中でダメになっているんですね。かといって民間だけでやろうとしても限界がある。家守舎は、大学や行政と一体感を持ってやっているから、そこが強みだと思います。」

徳田さんは、九州工業大学で建築を教える准教授。同じく取締役で北九州市立大学で地域再生をになう人材を育成する准教授の片岡寛之さんとともに、教育現場と北九州家守舎の両方で活躍している。

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リノベーションスクールからは、ほかにもいくつかの案件が実現している。その1つ「うおまちのにわ 三木屋」へ案内してもらった。

元金物屋さんで、商店街の裏側で20年間使われていなかった木造家屋を整備したレンタルスペース兼カフェだ。

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こうした魅力ある建物が、人目に触れないかたちで残っているのも魚町という場所。募集するメンバーも、不動産のあらたな魅力をとらえ、どう活用していけるか考える力が求められる。

ふたたび、嶋田さんにきいた。募集する「家守」に求められる職能は?

「古い建物をうまく生かしながら、その空間を魅力的に再生していく技術をもっている人です。だから、建築やデザインを学んでいる人はもってこいだし、不動産の経験を積んだ人も歓迎します。専門知識を持ちつつも、ビジネスをやる人たちと不動産のオーナー、ビジネスをやる人同士もつなぐ力も必要です。」

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リノベーションを最初からフィニッシュまで成し遂げられる人が理想だが、企画計画系の人と施工系に近い人、どちらかでもいいという。

それに加えて、ビジネスのマッチングができる人と、情報発信の能力がある人。これで4名。男女の差は、あまりない仕事だろう。バラバラのようでお互いが密接に関連した職能だと思う。

今後、新しいタイプの不動産仲介サイトを立ち上げる計画もある。

「物件をあつかうようで、最終的には仕事や雇用を生み出すのが家守の仕事。だから、R不動産と仕事百貨を足したようなサイトができればいいな、と考えています。」

1年間の契約社員だが、延長が前提なので腰かけの意識ではつとまらない。街に深く入っていき、信頼を得なければ、人と人の関係をきずくことはできないだろう。

丁寧なやる気と、人や街から真摯に教えを請う姿勢があるなら、社会人経験がなくても十分に鍛えられ、活躍できる環境だと思う。

最後に、取締役の遠矢弘毅さん。北九州市の外郭団体でインキュベーションマネージャーをつとめた後、3年半前に小倉駅北口エリアでフリースペースを併設した「cafe causa」をオープンさせた。

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いまでは多くのアーティストやデザイナーが訪れ、イベントやワークショップを開催。寂しかったエリアの拠点となり、地域と外部の人を結んでいる。名物は毎週水曜のミーティング「朝の会」だ。こうしたネットワークを持つ上司が身近にいるのは心づよい。

どんな人が家守舎に向いていますか?

「僕のイメージは、東京の広告代理店や出版系にいた人でバリバリやっているけど、ふと『自分はこれをやりたかったのかな、結局はお金のためだけじゃないか』と疑問が浮かぶ人ですね。こちらは同じスピードでビジネスは流れるかもしれないけど、生活に関して時間がゆっくり流れていると思います。」

ちょっと動けば、海も山も近い都会。商店街も夜はわりと長い。居酒屋だけでなくカジュアルなバー、夜もあいているカフェもあったりして、20〜30代が終電を気にせず、楽しく暮らしている印象だ。

出身地にこだわらない今回の募集。がんばって結果を残せば、その後の昇給や延長がある。

移住者でなくても、地元の女性で子どもを保育園に預けることができ、産休から復帰する人なども向くんじゃないかな。嶋田さん、どうですか?

「子育てしているお母さんはいいですね、発想が面白そうで。地域とのつながりをうまくつくれる人がいいんですよ。だから、子どもがいるというのは大きいです。」

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リノベーションは、街にとって、日本にとって、有効なんだろうか。その最前線の実験都市が北九州なんだと思う。

「これから日本の街はどこも衰退していきます。生産年齢人口が減るので、お上が何かやってくれる時代じゃなくなるわけです。自分たちの社会や身の回りを良くしていこうと考えたとき、人に頼るんじゃなくて自分でやる、そういうマインドがある人と仕事をしたいですね」と嶋田さん。

やりがいと経験を同時に得られるチャンス。ただし、勤務開始の希望が来月からなので、すばやい決断が必要だ。たとえば、第5回のリノベーションスクール(8月15日(木)~18日(日)に開催)に直前で参加する手もある。家守舎のこと、仕事のこと、街のこと、一度にわかるからだ。

スクールの参加は無理だとしても、魚町を訪れたら、嶋田さんたちがリノベーションを手がけた「メルカート三番街」と「ポポラート三番街」を訪ねてほしい。

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サンロード魚町と魚町銀天街、2つの商店街に挟まれたビルからは、利用者たちがこの場を愛する雰囲気が伝わって来る。

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「いま建築学科で学んでも、将来が明るくないじゃないですか。業界自体が縮小していくムードがあったり。若い人たちが夢をもって働けるフィールドってなんなのか。それは建築に携わりながら、いろんな人と関わって街を良くしていくフィールドかもしれないです。」

嶋田さんは独立前、20代から30代前半に著名な建築事務所のチーフアーキテクトとして活躍。僕はその多忙な仕事ぶりを拝見していた。だから、この言葉には重みがある。

最後に、この記事を読んでピンと来た人にひと言どうぞ。

「北九州に来れば、自分のやりたいことを実践しながらいろんな人と関われるし、全国のまちづくりやリノベーションの最前線で働いている人たちとも交流できます。その中で自分を磨いて成長してほしいです。」
(2013/8/13 神吉弘邦 up)