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家を探すときに、駅名や家賃から検索したりするけれど、必ずしもそんな探し方だけではないと思う。例えば、賃貸だけど改装できたり、日当りや眺めが良かったり、音だしOKだったり、テラス付きだったり。そんなふうに、数字や立地条件では図れない価値観で探すという方法もひとつ。

話を聞いていると、仕事百貨と似てるな、と思うことが多い。会社の創立も同じくらいの時期だし、働いているスタッフの人数も近い。考え方も似ているように思う。
今回は、R-STOREで物件を紹介するスタッフを募集します。
「利便性を考えたら、駅名から検索できた方がいいと思うのですが、そうではない出会いもあるんじゃないかと思うんですね。例えば学芸大学駅のそばに住みたい!と思っていた人が、素敵な物件を見つけて錦糸町で暮らしはじめたら、意外と便利で良かった、ってこともあると思うんです。どこかに条件を当てはめてから家を探すのではなくて、まずは『物件ありき』で見つけてもらえたら、というのが僕らの想いです。」
そう話すのは、代表の浅井さん。

きっと、部屋を借りる予定がなくても、読みものとして読んでいる人も多いんだろうな。
浅井さんがこのサイトを立ち上げることになった経緯を聞いてみた。
「振り返ってみると、自然と帰結しているんです。今まで色々な仕事を転々としてきましたが、今ここにいるのはなんだか運命的ですね。」
ある日突然、情熱に駆り立てられて、というわけではない。もともと考えてきたことが、だんだん結びついてきたのが今の形なのだと、浅井さんは言う。
はじまりは、大学時代に味わった「挫折」だった。
「建築家を目指して建築学科に入ったのですが、卒業設計が上手くいかなくて、そこで自分には才能がないということを思い知ったんです。」
「ただ、建築自体は好きだったし、素晴らしい建築は世の中に沢山あるのに、あまり知られていないのはもったいないと思ってはいたんです。そして、それを広める役割が自分にできないかな、と考えていました。」

あるとき、そんな浅井さんにチャンスが巡ってくる。
「当時勤めていた会社が、自社物件を貸すために持っていた不動産サイトがあって、それを譲り受けないかという話をいただいたんです。そのとき、ひょっとしたら10年前から漠然と思っていたことが、このツールを使って表現できるかもしれない、と思ったんです。」
そこから徐々に手を入れて、サイトを今のかたちにしていく。
「会社を退職して、最初は収益も得られなかったので、食費を稼ぐための仕事を月から金曜日までやって、土日で物件を探す、という生活をしていました。でも、毎日なにかしら更新していると、見てくれる人は少しずつ増えていくものですね。今では、沢山の人に応援していただいています。」
10年も構想を温めてきたから、この先やっていきたいことも自然と定まってくる。
「これから、住宅だけではなく、暮らしにまつわるものを色々紹介していきたいと思っているんです。」
例えば、アートだったり家具だったり、食器だったり。
「最終的には生活全体を提案できる企業になりたい。生活を構成するものは住宅だけではないから、不動産だけにこだわる必要はないと考えています。」
新しく入る人は、不動産からもう一歩踏み出した「生活」を提案するところまで、一緒に考えていくことにもなると思う。

内見や契約にも関わるから「営業職」なのだけれど、ただの「営業職」とは少し違う。お客さんと一対一で関わるから「接客業」とも言えるし、自分で物件を探し出し、その魅力を記事で発信していくという点では、「編集者」とも言えると思う。そんな、一言で説明するのが難しい仕事。
どんな人が向いていると思いますか?
「社員にはいつも、『自分の生活を探求せよ』と言っているんです。そういうことを自然としている人がいいですね。」
自分の生活を探求する?
「自分の生活に何かこだわりを持っていたり、より良くするためにアップデートしようとしている人。そうじゃないと、人に対して提案なんてできないんですよ。例えば、風通しの良い角部屋にこだわって住んでいたり、朝日を浴びながらホームベーカリーでパンを焼いているときが最高!だったり。そういう経験を自分のものとして持っている人は、自然といい物件を見つけられるし、その魅力を人に説明できるんです。」
自分が心地よいと感じるものや、不快だと感じるもの。それを知っている人は、自然と他人の生活に対しても想像力が湧く、ということなのだろうな。

まずは自分の暮らしを楽しむことからはじめる。
「だから、スタッフの物件探しにも個性があります。それぞれが楽しいと思う生活のテーマが違うから。レトロな物件を探すのが得意なやつとか、ボロいけどここがすごい!って物件を発掘してくるやつとか、公園の近くの物件ばかり探してくるやつとか、ひとりひとりにカラーがあるんです。でも、それがサイトの個性になっていくし、自分が楽しんで探しているからこそ、人にも伝わると思うんですね。」
だいたい月に800件ほど問い合わせがあるそうなのだけど、自分の紹介した物件に対して「見てみたい」という連絡をもらえるのは嬉しいだろうな。自分が見つけたとっておきのものを自慢している感覚に近いかもしれない。
「今、社員が11人いるのですが、そのうち9人が不動産未経験者です。それでもみんな、ちゃんと仕事しています。契約行為に関わるので法的な知識は必要です。だから、入社したら宅地建物取引主任者の資格をとってもらおうかと思っています。でも、その知識も実践のなかで自然と身に付くと思いますよ。」
浅井さんに話を聞いたあとは、午後から物件の取材に行くというスタッフの山本さんに同行させてもらう。

会社の目の前にあるバス停から、バスに乗り込む。行くみちのなかで、日々の仕事についてお話を伺った。
一日はどんな流れなんですか?
「朝来たら、問い合わせや契約のメールを返信して、そこから内見の手配をしたり、物件の取材のアポイントメントをとったりします。」
その日に内見の予定が入っていたら、お客さんと一緒に物件を見に行き、そのあとは近所の物件をついでに取材したりすることもある。
取材から戻ったら、その物件の魅力を伝える記事にする。記事を書くのは、オフィスでもいいし、家やカフェでもいい。
「6割はそんなふうに取材をして記事を書いていて、3割はその記事を見てお問い合わせいただいた方へ対応したり内見の案内をしたり。そして1割はその他の事務仕事、という感じです。」

「そうですね。仕事の半分はまち歩きです。けっこう楽しいですよ。歩いていて、あ、あの物件味があるな〜と思ったら、メモをとったり写真を撮ったり、頭のなかにストックしておくんです。そもそも建物好きなスタッフが多いので、みんな半ば趣味のようにやっていると思います。」
山本さんも、やっぱり建物が好きなんですか?
「わたしは、『日常生活好き』のようなところがあって、家にいても模様替えが趣味で、色々考えてしまうタイプ。それが日々の物件紹介にそのまま繋がっているので、ライフワークになっている。だから、働いていて矛盾がないですね。」
バスから地下鉄に乗り換え、清澄白河に到着。
東京都現代美術館があるこの界隈には、商店街の町並みのなかに、本屋さんやギャラリーが隠れている文化的な地域でもある。
このまちにある「fukadaso」という二階建ての建物に伺った。

住居用ではないけれど、カフェやギャラリー、アトリエとして使用できる、この地にぴったりの物件になっている。
山本さんは、三脚つきのカメラでさっそく写真を撮りはじめる。外観、階段、廊下、部屋の中。丁寧に、担当者の方と会話をしながら撮影していく。
エアコンや水道、窓の開閉など細かいところまで機能や状態を確認していたのが印象的だった。

事実ベースの情報に一手間加えて、自分の視点を織り交ぜる。そのバランスは難しいところだと思う。
でも、そのぶんやりがいがあります、と山本さん。
「築40年の1LDKと聞いただけでは良さが全然伝わらないのだけど、実際に行ってみたら、ベランダからの景色が一面緑ですごく素敵だということもある。そんなとき、記事や写真でその景色を伝えたら、物件の魅力を知ってもらえるじゃないですか。わたしたちの役割は、そういうところにもあると思います。」

まずは自分の生活を探求せよ。そこから物件探しははじまります。
(2013/9/27 ナナコup)