※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
広島に85年続く、日本を代表する木工家具メーカー「マルニ木工」。日本はもちろんのこと、世界でマルニ木工というブランドを確立するために、新しいスタッフを募集します。募集する職種は全部で4職種。東京で、マルニ木工を広める営業職。広島を拠点に、世界26カ国とやりとりをする貿易実務のアシスタント、製品の製造を支えるコールセンター、そしてショールームスタッフの募集です。
今、マルニ木工が新たに変わりはじめている。
創業は昭和3年。日本では3本指に入る歴史のある老舗木工家具メーカー。
畳での生活が普通であった戦前から現在にかけて、日本での家具文化をつくってきた。
当時から現在にいたるまで、大切にしている言葉がある。それが「工芸の工業化」というもの。その文字の通り、85年たった今も、職人の熟練した手仕事と高度な加工技術を用いて、日々良質な家具を生み出し続けている。
クラシックな家具を中心につくってきたマルニ木工だったが、時代の変化に合わせて、製品も幅広くなってきた。2004年から始まったnextmaruniプロジェクトでは、デザイナーの深澤直人氏や、ジャスパー・モリソン氏とコラボレーションをした家具を販売している。
販売する製品が変われば、ビジネスも変わってくる。それまでの考え方、つくり方、売り方を見直し、「100 年経っても『世界の定番』として認められる木工家具をつくり続ける」という新たな目標も掲げた。それを実現するために貿易面、営業面などで、チャレンジがはじまっている。
歴史を持ったベンチャー企業。そんな言葉がぴったりなように思う。
まずは、貿易実務のお話を伺うために、世界を飛び回っている神田さんにお話を聞いた。勤務先は広島になるが、今回は東京・東日本橋にあるショールームを訪ねた。
広々としたショールムでお話を伺う。神田さん自身はどのような仕事をしているのだろうか。
「海外事業を担当しています。2003年から動きはあったのですが、本格的に海外事業がはじまったのは、わたしが入社した2009年からです。今はアシスタントと2人で、世界26カ国と取引をしています。」
海外のインテリアブランドが日本で認知されることは、ごく普通のこと。けれど神田さんが取り組んでいるのは、その逆。日本のマルニ木工というブランドを海外の人々に認知してもらい、その地に根づかせること。
「日本の家具メーカーが、海外でブランドとして当たり前のように価値を認められる。そういうブランドは、日本の家具メーカーの中ではまだ一社としてありません。特定の製品が海外で認知されたことはごく稀にありましたが、ブランドとして確立するまでに至っていないんです。」
確かに、車や洋服などであれば日本のブランドが海外でも広く認知されている。けれど、日本の家具メーカーで考えると浮かばなかった。
神田さんは入社してから4年間で、取引先をそれまでの0カ国から26カ国にまで増やしていった。その期間で取引国数をそこまで増やすことは並大抵の努力をしてもできないこと。
どうしてそれを、マルニ木工でやろうと思ったのだろうか。
「そうですね、はじめて入った会社では海外の家具の輸入を担当していました。その頃から、日本は海外のブランドの商品を買い付けてきて販売をすることはありました。けれど、どうしてその逆が成立しないんだろうと考えていました。」
「確かに海外の製品はダイナミックですし、非常に豪華です。でも、製品のつくりの面からみると日本のものづくりの技術の方が優れていると感じる機会があったんですね。」
高い技術はある。あとは、デザイン力・コスト的な問題・ブランド戦略。その3つをクリアー出来れば、日本の家具は海外にブランドとして認められる。そう思うようになっていった。
その後商社に移り、そこではブランド家具の輸入に携わる。そして、2008年にマルニ木工が発表した『HIROSHIMA』と出会う。
「あの椅子がきっかけでマルニ木工に入ることに決めました。これは誰かが世界に発表しないといけない椅子だと感じたんです。」
日本が世界に出ていくために必要になってくると感じていた3つの要素。デザイン・コスト・ブランド戦略。前者の2つは、クリアできると思った。最後のブランド戦略についても、商社時代に海外の様々な家具ブランドとやりとりをすることで培っていた。その経験を生かせると思い、マルニ木工に入社する。
今回募集していく貿易実務のアシスタントは、海外を飛びまわる神田さんの仕事をサポートしていくことになる。どういう仕事をしてくのだろう。
「クライアントからのオーダーを受けて、それを現地に届けるところまでが仕事になります。主に海外とのメールでのやりとりや、船会社や通関業者へ提出するものなどの書類の作成ですね。在庫の確認や、工場への発注などもしてもらいます。」
現職のアシスタントさんがお家の事情で退職されるということで、その仕事を引き継いでいくことになる。引き継ぎ期間もあるので、貿易実務を経験した方なら、その期間にマルニ木工でのやりとりの方法を覚えることもできる。輸出入は問わないそうだ。
どんな人が向いているだろうか。
「海外事業はまだ途上の段階です。なので、先ずはチャレンジ精神旺盛な方が向いていますね。海外とのやり取りが主になってくるので、精神的なタフさも必要だと思います。ですが業務は細かいところもあるので、そういうところにも気を配れる方だといいですね。」
世界26カ国とやりとりをしていく。国によっては、メールの返信が遅かったりするところもあるそうだ。そして、ブランドとして確立していっているからこそ気をつけないといけないこともある。例えば、サンプルを送るときには開けたときのことを考えて製品の向きや梱包材に気を使ったり。そういう意識を持てる人が向いているのだと思う。なによりも、まだ誰も経験したことがないことを実現していっている。それをつくりあげていくことを楽しめる人。
東京をあとにして、広島に向かう。本社のある広島市・佐伯区には広島市内から車で1時間ほど。ゆるやかな山を登ってたどり着いた。
東京ドーム1.5個分の広大な敷地の中に本社と工場がある。
緑に囲まれて気持ちがいい場所。
本社のある2階にたどり着くまでにスタッフの方、数人とすれ違う。どなたも「こんにちは」と挨拶してくれたのが印象に残っている。
つぎに、日本にマルニ木工の製品を伝えていく営業職について、営業企画部の土井さんにお話を聞いた。地元は広島。大学を卒業と同時にマルニ木工に入社して、18年目になる。
今回募集する営業職は東京本社採用になるとのこと。どんな仕事をすることになるのだろう。
「まず、うちはメーカーなので小売りはしません。卸しをしていきます。東京でいうと大手百貨店さんや一般の家具専門店さんと、どんな家具をどれだけ納品するのか、そんな話をしていきます。」
「ハウスメーカーさんと一緒に新しく家を建てるお客さんに家具の提案をしたり、レストランやホテルと納める商品の打ち合わせをすることもあります。」
それ以外にも、85年の間には卸先の店員さんも変わり、商品知識が少ない人もいる。そういうときには改めてマルニ木工のことや、製品のことを説明しにいったり。ときには一緒に売り場に立って、お店の方やお客さんに製品のよさを伝えていく。
「家具というのはトレンドに左右されます。僕らの製品を買ってくれる方も時代も変わってきました。そうすると、製品も変えていかないといけないですよね。この5、6年でそこも大きく変わりました。必然的に売り方も、売り先も変わっていきます。なので、今は新しいビジネスを積極的に作っていくべきだと思っています。」
新規の開拓は、まだそこまで多くはない。けれど、新たな取引先と面白い企画がはじまっていたりする。
土井さんも入社して6年間は営業をしていたそうだ。どんなことが大変だったのだろう。
「僕は自分の持ち物を売りたかったから、メーカーに入ったんですね。日本には家具メーカーはたくさんあります。その中でマルニ木工は本当にいい製品をつくっているんです。それを使ってもらうために、なにができるかをずっと考えていました。」
どんなことをしたのだろう。
「単純なんです。ライバルの2倍考えればいいと思ったんです。なので、いろいろ考えて考えて手を打つ作業をしていました。仕事を自分で作っていくっていうことは大変なことでした。けれど今でもその当時の取引先の方とのお付き合いは続いていますし、それが楽しかったですね。」
そういう経験があるからこそ、やりたいことがあるならどんどん提案していけるのだと思う。まずは仕事を覚えることが大切になってくるけれど、ゆくゆくは新しいことにチャレンジできる環境がここにはある。
仕事はどうやって覚えていけばよいのだろうか。
「広島本社で研修期間があります。まずは工場でものづくりの基本を体感してもらいます。それから東京で先輩と一緒に行動して覚えていってもらいます。」
営業職に関しては未経験であってもまずは挑戦してみてほしいとのこと。どんな人が向いているのだろうか。
「自分たちが心を込めてつくった商品を日本全国、そして世界に販売させていただいているんです。本気で100年後世界の定番になると思っています。いいものをつくっている自信があるので、使ってほしいんです。そのためには製品をどう広めていくか、自分で考えて行動していくことが大切です。けれど、それだけではなくて100年先も製品のよさを広めていける人がいないといけない。なので製品を大切にするように、人を大切にすることができる人。こういう思いをわかってくれる人だといいですね。」
そして今回は、営業職の方が請けてきた注文を工場に届けるコールセンターの募集もしています。こちらの勤務先は広島の本社。
コールセンターと聞くと、購入者からの問い合わせや営業をかけるイメージがあるけれど、そういう業務ではない。主に営業の方が請けてきた仕事の商品に関する問い合わせを受ける仕事。それと、今回は広島・廿日市にあるショールームでのスタッフの方も募集している。
100年後、世界の定番になるためには、マルニ木工の製品を、次の、その次の世代へまでつないでいく人が必要になってくる。今回、東京ショールーム・広島本社・広島ショールームを訪れて、そこで働いている人の製品に対する愛情や、製品を大切にするように、人を大切にする姿勢を感じました。
話を聞いたみなさんにお気に入りの椅子を聞いたところ、みなさん楽しそうに悩んでいました。一番人気はやはり『HIROSHIMA』。
100年先までマルニ木工をつないでいける人に、ぜひ来てほしいと思います。
(2013/10/30 吉尾萌実up)