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リノベーションの現場

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

最近、リノベーションを目にする機会が増えたように感じます。

日本仕事百貨も、7月に元寿司屋さんの物件をリノベーションして、リトルトーキョーという場をつくりました。

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まずは壁を壊して柱だけになるまで解体しました。施工がはじまり日々姿が変わり、完成した建物を見たときには「こんな風になるんだ!」という驚きがありました。

そのプロセスでは、既存の構造をいかしてつくるからこそ、図面通りには進まないことも多々ある。

つまり現場がとても大事になる。

今回、募集をするのは、リノベーションの設計から施工までを手がける株式会社ルーヴィス。リトルトーキョーもお願いをしました。

現場の施工管理に重きをおいている会社です。現場に立ち会うからこそ見えてくるものがありました。

横浜駅で地下鉄に乗り換え10分弱。

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阪東橋の駅で降りてすぐのマンションの最上階にルーヴィスの事務所はあります。

「こんにちは。」

声をかけると、リトルトーキョーを担当してくれた武田さんが迎えてくれた。

通されたのは、奥の和室。

このオフィス自体が日々、暇を見つけてはセルフリノベーションを進めている建物。

さっそく話を聞いていきます。

武田さんは、ルーヴィスに入社してどれくらい経つんですか?

「入社したのは、今年の3月の終わりなんです。」

リトルトーキョーの施工現場での振る舞いからは、もう少し長く働いていると思っていたので、少し驚く。

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いまの仕事に就くまでの経緯をたずねると、

「わたし、大学では心理学を専攻していたんです。」

またしても意外な返事がかえってくる。

「本当は建築やりたかったんですけど、進学のときに理系じゃないからってあきらめて。だけどやっぱりあきらめられなくて。やるんだったらとことんやろうと、大学4年生のときに、ダブルスクールで建築系の専門学校に通いはじめたんです。」

「わたしは設計がやりたかったんですけど、現場でどういう風にものがつくられていくのか、プロセスを知らずに設計はできないなと思って。それで最初に入ったのが、リフォーム専門に設計施工を手がける工務店でした。」

2年ほど働いて仕事も一通り覚えたところで、より面白いことがしたいと思うようになる。そして当時興味を持ったのが、リノベーション。面白いことをやってちょっとはじけているところを探して、ルーヴィスと出会う。

働きはじめたのは、面接を受けたまさにその日のこと。

「面接が終わって、横浜駅まで戻ったときに代表の福井から『あ、まだ近くいますか?』と電話がかかってきました。『いますけど』と伝えると、『もう一回来てもらえますか』。忘れ物でもしたかな?と思って事務所に入ると、図面を広げた福井さんが待っていました。『やってみる?』『はい。』」

それがはじまり。

もともと工務店にはいたけれど、リフォームとリノベーションでは仕事の勝手も進め方も違う。

「ルーヴィスは一人が一物件を設計施工担当します。経験の有無に関わらず、いきなりはじめから終わりまでを任されるんです。最初はびっくりしましたよ。前の会社では、先輩についてじょじょに仕事の幅を広げていったこともあり、『ああ全部やるんだ』って。でも、その方が飲みこみが早いことも実感しました。」

仕事の流れについて聞いてみる。

はじめにお施主さんとの打ち合わせを行い、イメージを形にするところから。

「何度か打ち合わせを行い、お施主さんの希望を明確にします。話を聞きつつ、過去の事例を引き合いに『こんな感じでしょうか?』と具体的にしていくんです。」

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イメージを外部の設計事務所に委託して、設計図という形にする。

それをもとに、見積もりを作成。お施主さんと契約を行い、工事が着工される。

ここからが、ルーヴィスの仕事の見せどころ。

設計図をもとに工事全体から、職人さんの手配までのスケジュールを作成する。

着工後は施工管理で現場に張りつく日々となるけれど、ふたを開けてはじめてわかることがたくさんあるという。

「壁を壊し天井を抜き、床板をはがして。構造まで解体すると、換気扇の取り付けを予定していた部分に思いもしない梁が出てきて、設計の図面にマッチしない。けれど部材はすでに発注済み。図面通りに進まないことだらけでどうしよう、って。壊してから、たまに泣きたくこともあります。」

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リトルトーキョーもなかなか大変だったそう。

「昔の貫構造という造りだったのですが、あちこち手が加えられていたり、腐ったりしていて、立っているのもようやくという状態だったんです。柱の1本は焼け跡があって。ご近所さんが言うには『戦前につくられて、奇跡的に戦火をまぬがれた建物』らしいんですね。まずは補強を入れてきちんと自立できるようにして。そこから要望に添って形にしていきました。」

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言ってみれば、骨粗しょう症のおばあちゃんを元気にして、今の姿が活きるお化粧をしてあげるようなもの。

あらかじめ余裕を見て組んでいたスケジュールも、どうしても工期がずれこんでしまった。

そこで大事になるのが、工期管理。

現場で思わぬ事態が生じると、職人さんの予定も狂ってくる。職人さんはつねに複数の案件を抱えているから、一つの予定がズレると、全体を見直す必要も出てくる。

「その調整はすごく難しいです。もちろん日々気をつけてはいるんですが、どうしてもズレてしまうことがあって。現場の隅でうーん、どうしようとなることもありました。」

リトルトーキョーの工事終盤では、夜遅くまで残り、翌朝早くから現場入りする武田さんの姿を目にした。ときには体力的に大変なこともあると思う。

そこで大事になるのが、職人さんとの関係だ。ルーヴィスでは、いつも同じ職人さんたちにお願いをしている。その信頼関係が大きいという。

「職人さんにほんとうに恵まれていると思います。なかには、受発注の関係があるので、『あれこれ聞き過ぎるとナメられる』という話も聞くんですが、ルーヴィスはみんな仲良しで。事務所にふらっとやってきたり、BBQをすることもあるんです。」

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僕も工期中に何度か職人さんと話したけれど、みなさんとても感じのよい方たちだった。

その際に代表の福井さんはこんな話をしていた。

「腕はもちろんですけど、ウマが合うことや性格が大事だと思うんですね。現場って人と人の関係。お互いに信頼し合って仕事をすることで、仕上がりもよくなります。」

仕事を覚えるのも、職人さんによるところが大きいと武田さん。

「はじめは右も左もわからず『こういうときどうしたらいいですか?』いろいろな人に聞くんですけど、なかでも職人さんに教わることがほんとうに多くて。職人さんに育ててもらっていると思います。」

これから働く人も手を抜かずに、自分から素直に聞いていく姿勢が大切だという。

「わたし、リノベーションはまったく知識ゼロからのスタートでした。毎日、一つはできることが増えていって。わからないことはわからないって聞けるので、物怖じせずに職人さんともコミュニケーションをとってもらえたら。」

手とり足とり教えることはないけれど、もちろんルーヴィスの先輩たちも気にはかけてくれている。ここでも聞くことが大切になると思う。

「施工管理って、一番つくっている実感があるんですよ。見たい、聞きたい、自分でやりたいという人にはとてもいいと思います。」

そう話すのは、専門学校を卒業して、昨年4月に入社した佐藤さん。

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リノベーションが終わり引き渡された物件は、きれいだけれど、完成に至るまでの過程はそうではないという。

「ふつうに工事現場ですよ。汚れることもあります。でも楽しいですね現場は。」

楽しい?

「図面や模型でイメージしたものが、目の前に実際に建物として形になっていく。朝はなにもなかったところに床が張られていったり、壁が塗装されていったり。実際に形になっていくところを見られるのは、いまでも感動します。最後に完成した建物に立ち会うと『あーっ』て。達成感があるからこそ、また頑張ろうって思うんです。」

そして同じ建物は二度とない、ということも魅力の一つ。

「先輩たちもみんな言うんですけど、新しい現場では初心者みたいなものだって。それぐらい現場ごとに違うんですよ。」

「経験を積んでの対応はもちろんあるんですけど、それでもふたを開けてみると、頭を悩ませることが毎回出てきます。」

引き出しは増えてくるけれど、つねに自分を越えた仕事がやってくる。

そこでは毎回、現場の隅で一人、うーんと考えてみたり、職人さんに相談して一緒に試行錯誤することも出てくる。大変と言えばそうなのだけれど。そのプロセスがあるからこそ、リノベーションにどんどん魅かれていくのだろうな。

最後に、代表の福井さんにもたずねてみる。

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「僕はなんにも言わないから。『これは今日までにやらないといけないんじゃない?』『あれはどうなってるの?』とか。でも現場はどんどん動いている。働く上では自己管理が一番大変なんじゃないですか?」

福井さんはじょじょにそういう関わり方をするようになったそうだ。どうしてだろう。

「最後は僕に頼れば何とかなる、というノリには絶対したくない。口を出せば、イメージするスピード感とか仕上がりになるのはわかるんですけど。依存される感じをどんどん排除していきたいっていうのが本心ですね。」

最近の福井さんの口癖は、「何かやりたいことないの?」だそう。

ルーヴィスでは、日々新しい事業もはじまっている。スモール・セカンド・ハウス「paco」に東京R不動産・toolboxでの「天井アゲ団」

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これらは福井さんがはじめたものだけれど、今後はスタッフからの「これをやりたい!」という声も挙がってくればと思っている。

「いま僕がすることは『やりたいことないの?』ってボールを投げ続けることだと思っていて。そうしないと多分、『考えたんですけど』ってなかなかならないと思うんですよね。ゆくゆくは、1人1人が自立していく集団に向かっていきたいというイメージもあって。」

これから働く人も、自分でやりたいことがあるといいと思う。

ルーヴィスのサイトを見て気になることがある。こんなこともできるんじゃないか。いますぐに、ではなくても新しいこともはじめていきたい。そんな気持ちがあれば、きっとリノベーションへの姿勢もより違ったものになると思います。

最後に。
手前みそにもなりますが、ルーヴィスさんのリノベーションはほんとうに格好いいです。気になる方はリトルトーキョーも訪ねてみてください。改修前の写真を見つつ、お話しできると思います。(2013/10/9 大越はじめup)