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夢を届けるリノベーション

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人の仕事に触れて、うれしくなることがあります。

一つは、自分の期待通りのものを用意してもらったとき。もっとうれしいのは、思いもしなかったものを差し出されたときかもしれない。

自分には似合わないと思っていた服が実は似合うとか、こんな食べ合わせがあったんだ、とか。

家づくりを通してそんな関わり方をしているのが、株式会社Style&Decoです。

1 リノベーション事業のEcoDecoでは、物件探しからローン借入、施工そして引き渡しまでを一貫してお手伝いしています。

前回の掲載から約9ヶ月。この間に事務所も移転をしました。恵比寿駅から徒歩5分の、ほどよく静かなエリアを訪ねました。

なかに入ると、以前よりも広くなったオフィスに、新たに加わったスタッフのみなさんが迎えてくれた。

2 はじめに代表の谷島(やじま)さんと、求人を担当する天井さんに会社の近況をうかがう。

「スタッフみんなでリノベーションをやりました。設計はもちろん、床のカーペット剥がしから、壁面塗装といった施工まで。天井の仕上はまだ途中だったりするんです(笑)。」

EcoDecoへの依頼も、この半年間で増えているそう。

「以前は、デザイン関係の仕事をしている方が多かったんですが、最近では公務員の方や商社にお勤めの方もよく見えるんですよ。自分に合った住まいを選ぶときに、リノベーションという選択がごく普通になってきたように感じます。」

そうしたなかで、リノベーションコーディネーター(営業)と設計士として一緒に働く仲間を募集する。

さっそく、前回の求人で働きはじめたリノベーションコーディネーターの池田さんに話を聞いてみる。

3 前職では、商業施設の運営会社に勤めていたそう。はじめは店舗に立ち、その後は店舗の改装やマネジメントを手がけるようになった。

「ちょうど、スクラップアンドビルドが流行っていた頃だったんです。たくさんの人が労力をかけて築いた店舗が、半年や一年で終了してしまう姿を目の当たりにして。あるとき、テナントの担当者さんから『一生懸命やってくれたのに短い間でクローズしちゃってごめんね。』って言われたんです。」

「その一言がすごく残ってしまって。もっと長く愛される空間をつくる仕事がしたいと思うようになりました。」

古いものを活かしつつも、自分の好きなようにコーディネートができる。そんなリノベーションの仕事をしたいと思ったときに、EcoDecoの求人を見つけた。

「家を手に入れるのって、人生の一大イベントですよね。その大事な場面に、寄り添うように関わりたいと思いました。数あるリノベーションの会社のなかでも、お客さんとのやりとりに温もりが感じられて。いいなと思いました。」

4 リノベーションコーディネーターの仕事は幅広い。お客さんとの打ち合わせにはじまり、内見を通しての物件決め。さらにはローン借入のお手伝いをして、設計士に引き継ぎをしていくところまで。

最初の打ち合わせから引き渡しまでには約1年間かかることも珍しくないという。

「覚えることはいろいろありますが、そうして長いお付き合いをするからこそ、できる関わり方があるんです。」

お客さんとの関わり方を聞いていく。

「はじめの打ち合わせで、お客さんは緊張されています。『家はつくりたい。でも、これから一体どんなことが起こるの?』って。まずはリラックスして一緒に楽しんで家をつくっていける関係を築いていきます。」

次は内見に向かう。その前には、いろいろと下調べをするという。

そのときに心がけているのは、お客さんの身になって考えること。

「最初の打ち合わせを振り返って、何を大切にしたい方なのか。じゃあ、知りたいことはなんだろう。そのことをどう伝えたら喜んでもらえるだろう?と考えていきます。」

5 リノベーションについてはまだまだ勉強中。

そこで、先輩のリノベーションコーディネーターに相談することもあれば、設計士の岡田さんに教わることもある。

「お客さんにとって、現在の物件から、改修後の間取りをイメージすることはなかなか難しいです。そこで、どういう工夫が考えられるのか。逆に構造的にできないことを教えてもらいます。ときには簡単なプラン作成をお願いすることもあります。」

そして内見当日を迎える。

物件を実際に見ることで、お客さんが気づくことは多いという。

「一度の打ち合わせですべてを話せるわけではありません。お風呂場を案内して『あ、わたしは、お風呂はゆったり目にとりたいなぁ』となることも多いんですよ。」

それから内見の際には、駅で待ち合わせをして、一緒に歩いて向かうようにしている。

「この時間が意外と大切なんです。何気ない話を通して、趣味や人となりも見えてきます。そのことが提案のキッカケになったりするんですね。」

6 ときにはお客さん自身が見えていない要望に気づくこともある。

ある若い夫婦は、多少狭くても交通の便がいいところに住みたい、と相談に見えた。

「お子さんが生まれて手狭になったら引っ越してもいいし、またそのときに考えよう、と話されていたんです。」

「でもお二人の様子を見て『ほんとうは、同じまちに暮らしていきたいんじゃないですか?』と聞いてみたんです。すると、少し考えて『実は段々とそう思うようになってきたんです。何となく感じてはいたけれど、どうしようって。あとで後悔するところでした… どうも、ありがとう。』そう言ってくださいました。」

その夫婦は、子育てしやすい緑豊かなまちを選んだという。

7 「お客さんに提案するときはちょっと、迷います。でも、思い切ってかけた一言がきっかけで、お客さんがほんとうに求めていたものが見えてくる。そういうことも多いんです。」

そうした提案も、十分な信頼関係に基づいているからお客さんに喜ばれるのだと思う。

これから働く人も、少しぐらいおせっかいな方がいいかもしれませんね、と池田さん。

仕事を設計士に引き渡したあとも、関係は続いていく。

引き渡しの際には立ち会い、お客さんの声を直接聞く。住みはじめてしばらくすると、インタビューをして記事にまとめていく。

仕事を越えて、お客さんから連絡をいただくこともある。

「年賀状を毎年くださる方がいるんです。引き渡しのときにハイハイしていた子が立ち上がって、いまでは運動会で走るようになって。そんな姿を社内でわいわい話したり、『子供が産まれました!』というお便りをいただくこともあります。」

なんだか、親戚のお兄さんやお姉さんのような関係だ。

ここで池田さんに一つ聞いてみる。前の仕事での経験は、活きていますか?

「接客に店舗のマネジメントを通して、いろんな方と会ってきた経験は、いまにつながっていると思います。お客さんにていねいに関わって、要望を引き出していく。その姿勢は共通していると思います。」

すると代表の谷島さん。

「すごく役立っていますよ。実はわたしたちも驚いたぐらいです(笑)。Style&Decoは、家づくりやデザインを通して、ライフスタイルをお届けしたいんです。ベースに相手から引き出し提案する力があって、そこに不動産を扱う上での専門性が加わることで、花開きつつある感じがします。実はわたし自身、不動産出身ではなくて。知識は入社してからでも身につけていけますよ。」

設計の仕事についてもたずねてみる。

前回の記事にも登場した岡田さんは、公共建築物の設計事務所を経て、昨年8月に入社した。

8 転職のきっかけは、「実際に建物をつかう人の声が聞ける設計をしたい」という思い。

この半年間で引き渡しを行った案件の話を踏まえ、話を聞かせてもらう。

「ほんとうに色々な方が見えるんです。『壁面の素材はこれで、キッチンはバルスタイルで』と雑誌の切り抜きをファイリングして、いろいろな要望を出される方もいます。それから、シンプルに『風通しのよい部屋に住みたいんです』という要望があり、あとはこちらに任せてくださる方もいます。」

家族構成も違えば、こだわりのポイントも人それぞれ。同じ案件は2度としてない。

岡田さんは、リノベーションコーディネーターから引き継ぎを受け、まずはお客さんと顔合わせを行い、要望をあらためて聞いていく。

次に岡田さんは、自分でその物件に行ってみるという。

9 目的の一つは図面を起こすための測量。そしてもう一つ、大事なことがある。

「設計プランを練るために自分で行くんです。」

設計プランを?

「たとえばお客さんからは、古い感じにしたいんですという要望をいただいたとしますよね。でもリノベーションは、すでにある建物の魅力を最大限に活かすものでもあります。ただ言われた通りにやるのが、設計の仕事なのかな?って思うんです。」

そこで、お客さんの希望に基づいた案をつくる一方で、別の案もつくってみる。

「この窓からの風の抜けが気持ちいいな」とか、「この部屋は陽の入り方がいいな」といった風に、自分でその部屋の魅力を体感して、設計に落とし込んでいくという。

10 「お客さんはみなさん、期待して来てくださるんです。打ち合わせを重ねるに連れて、夢もふくらんできます。そこでお客さんが想像もしなかったものをお見せしたいです。大げさに言えば、夢を贈りたい。それぐらいの意識で設計をしています。」

お客さんにはそうしたいくつかの案をお伝えした上で、選んでもらうという。

お客さんの希望を忠実にカタチにすることで70点のデザインはできるだろうし、きっとお客さんも納得して、満足してくれる。

けれど、さらにもう一歩踏み込んで、お客さんの期待を越えるデザインを提案してみる。

その仕事は細部にも行き届く。

「電気のスイッチの位置に、キッチン周りの高さ。小さいけれど、暮らす上で実は重要なところまでを考えていきます。」

11 最後に岡田さんはこう話してくれました。

「期待してもらえるのってうれしいことです。そこにきちんと向き合っていけば、きっと道は見えてくるんじゃないかな。それは設計もリノベーションコーディネーターも同じだと思います。」

前回以上に、岡田さんの表情や言葉が力強くなっている姿が印象的でした。

まずは、家づくりを通してお客さんにていねいに関わりたい。

その意志があれば、経験を通していいリノベーションコーディネーターに、設計士になっていける。そう思います。(2013/11/8 大越はじめup)