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あったらいいのに福岡

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

日々の生活で「こういうものがあればいいのにな。」そう思うことはありますか?

自分の住まいを見て「どうしてこんな家具がないんだろう?」とか、まちを歩きながら「もっとこういう場所が増えたらいいのに」と。

一つひとつの気づきを仕事にしていく会社が福岡にあります。

朝、福岡へ向かう飛行機で機内誌を読んでいると、日本で一番、空港から市街地へのアクセスが近いまちということに気づいた。

福岡空港から、福岡の中心市街地である天神までは地下鉄で10分ほど。あっという間に到着した。

1 このまちに、株式会社DMXはあります。

ビルの階段を登り、オフィスに入ると若いスタッフのみなさんが打ち合わせをしているところ。

ベランダにはゆったりとしたテラスが広がっている。

「未来の文化をつくる」をコンセプトに、福岡R不動産、プロジェクト系事業を展開。さらに今回、家具の製造・販売という3本目の柱を打ち立てようとしているDMX。

ここで、働く仲間を募集します。

はじめに、いまの事業形態に至る経緯をたずねてみる。すると、代表の本田さん。

「僕は24歳で起業をしようと学生時代に決めたんです。」

2 本田さんは今年30歳。もともとは神奈川県の出身だ。

新卒で入社したのが不動産会社。そして24歳。配属先の福岡でDMXを立ち上げた。

さらに起業を志したきっかけにさかのぼってみる。

「漠然と設計が面白そうだな、と思ったんですね。それで大学は建築学科に入るんですが、最初のデッサンの課題で挫折します。」

いきなり?

「うーん、僕は絵がヘタなんですよ(笑)。周りの人を見て愕然として。建築には、芸術家の要素が求められるんだな、と思ったんです。」

「でも、悔しい。建築家にはなれなくても、彼らをマネジメントして仕事ができるんじゃないか、と。ビジネスの道に進むことを決めます。起業に向けて、ありとあらゆるバイトをして、海外留学に出て。わからないなりに自分の幅を広げようと思ったんですね。」

そして就職活動の時期を迎える。

起業も考えたけれど、お金もアイデアも経験も足りない。まずは就職してビジネスの仕組みを身につけるようと決めた。

本田さんが選んだのは、リクルート系の不動産会社。

「起業家をたくさん輩出している会社、ということで見つけたんです。」

配属先は福岡。企画から設計、営業販売まで一連の仕事を学んだという。

3 そして3年目のゴールデンウィーク。起業についてじっくり考える。

「なにをしようか、50個ぐらいアイデアを出して。その一つに、不動産のセレクトショップというアイデアがありました。」

きっかけは不動産の仕事にあった。

「分譲マンションって、デザインや間取りがどこも大体共通していますよね。けれど、もっと自由に住まえたらいいのに。そう思い外部のデザイナーさんやインテリアショップさんとコラボしたんですが、限界に行き当たります。」

限界?

「効率を追求すると、マスターゲットに商品を合わせることになりますよね。田の字プランと言って、田の字型に部屋を区切るんですね。間取りが決まった上で、できることは限られているな、と思いました。」

もう一つ、疑問に感じたことがあると言う。

「モデルルームで見せる生活と、入居された方の実際の住まい方がずいぶんズレてるな、と思ったんですよ。」

「モデルルームでは、家具もコーディネートして『こういう暮らしがありますよ』と見せますよね。でも、家具まで新たに揃えようとすると何百万円もかかってしまいます。だから、前の家で使っていた、新居に合わない家具を置くことになる。そういう姿を度々目にして。これは何なんだろう?って。」

たしかに。家を手にすることって、暮らしの実現のためですよね。

かと言って、一人ひとりの暮らしに合わせたオーダーメイドの住宅をつくるディベロッパーになることは資金的に難しい。とりあえず、まちの中にすでにある面白い物件をセレクトして、提供するプランを練りはじめたという。

「そうしたらあったんですよ、東京R不動産というのが。調べてみると運営するSPEAC.の林さん、吉里さんをはじめ、いろいろなつながりも見えてきて、自然とピッ、と感じたんです。それで企画書を持ち込んでは打ち合わせを重ねて、DMXが福岡R不動産をはじめました。」

4 DMXでは、福岡R不動産と、ディベロッパー向けのコンサルティングやインディペンデントの企画という二本柱を打ち立てていった。

ちなみに、いまでは全国8カ所に展開するR不動産だけれど、社外の人が企画を持ちこんだのは福岡が初だそう。

ここで、DMXに入社して3年。現在は企画の中心を担っている坂田さんにも話を聞いてみる。

5 坂田さんは福岡出身。学生時代、建築を経てまちづくりを専攻してきた。

「一番興味があるのは“まち”。建物が建ったり、テナントが変わることで、まちの雰囲気が変わり、福岡に暮らす150万の人に影響を与えていくと思うんです。できれば魅力的に影響していけないかな、と。」

手がけたプロジェクトの一つ、FUCA(フーカ)についてたずねてみる。

「ここはもともと空き倉庫です。はじめはR不動産へ掲載の問い合わせをいただいたんですが、この立地で400㎡は滅多にない掘り出し物件。自分たちでなにかできないか?と考えました。そこで挙がったのが、福岡は文化面が弱いという話。文化の一つとして、アートがいいねという話になったんです。」

言われてみると、福岡は規模の割には、アートギャラリーや美大が少ない。

そうして、建物の2F部分をアトリエに、1FはカフェとオープンスペースからなるFUCAが誕生した。

新しい取組みの一つは、アートインキュベーション(起業支援)施設であること。

アトリエを格安で提供する代わりに、半年に一度、アーティスト作品を寄贈してもらうこととした。

「作品がのちのち価値を生むかもしれない。まちでアーティストを育てていきたいんです。」

6 坂田さんはDMXで働くことの可能性について話す。

「はじめから完成形を提供する進め方ではないんです。β版を出して、お客さんや入居者の方と一緒につくりあげていくんですね。そうした余白を楽しめる人が集うことが、まちの面白さにつながっていくと思うんです。」

「僕自身福岡にはほんとうにポテンシャルを感じています。けれど、どうすれば引き出せるのか。まだまだわからないから、試行錯誤していく仲間に来てほしいんです。」

今回募集する職種の一つは、坂田さんとともに企画・設計を行う人。

応募した人と相談して、仕事内容は決めていきたいと考えている。

なかでも1人は設計の経験がある人が望ましい。現在は外部委託している設計をゆくゆくは内製化したいと考えているからだ。

これまで設計を手がけてきた人にとっては、企画から関わることのできるよい機会になるだろう。

企画、と一口に言ってもフィールドはさまざま。たとえば「上毛町ワーキングステイ」では過疎高齢化の進む地域への定住促進を目的として、1ヶ月間の仕事つき滞在を企画した。これは日本仕事百貨もお手伝いしたプロジェクト。

7 かと思えば、建築の専門学校で、WEBリニューアルからリノベーションまで、リブランディングを一手に引き受けることも。

可能性は広い。

一方で、毎回プロジェクトは異なるから、組み立て方がとても大変なんじゃないか。坂田さんにたずねてみる。

「最初は、どうしたらいいんだろう?と考えますね(笑)。ただ共通することもあるんですよ。まず、関わるのは、自分たちで考えて行動していこうとする人が多い。だからこそ一つのプロジェクトを経て新しい依頼もいただくわけです。」

「それから、クライアントさんとの関係です。思いはあるけれど、実現する方法がわからない方が多い。だから試行錯誤しながら一緒に進めていくんです。」

そうして一つのプロジェクトを経ることで、変化も生まれてくる。

「正直言ってプロセスはしんどいことの連続ですよ。でも、お互い一生懸命、いいプロジェクトにすると、関わった人がいい顔になるんですよ。そこから福岡は変わっていくのだと思います。」

福岡は西日本で見れば大阪、京都に次ぐ人口を抱える。人口の増加率は全国一。まちとして十分な規模もありつつ、少し車を走らせれば自然も豊かだ。

このポテンシャルを活かせるのも、これから働くあなた次第だと思います。

それから、今回はもう一つ募集があります。

新たに3本目の柱となる「家具プロジェクト」のマネージャーです。立上げから一緒に取り組むこととなります。

どうして家具なのだろう?再び本田さんに、たずねてみる。

「空間をつくるとき、自分たちにちょうどいい家具が見当たらないんです。たとえば机。数千円出せば買えますが、つくりを見るとこれでいいや、という感じがしてしまう。そのラインは卒業したいけれど、こだわりの家具はウン十万円もして、手が届きません。これまでは、都度ほしいものを仲間とつくってきたんです。」

「前職でモデルルームを案内していたときに感じていたジレンマもあって。自分たちが使いたくなる『本物志向だけれど、ほどほどの価格で手に入る』家具を求める人はいると思ったんです。」

8 家具づくりは、日本一の家具生産地である福岡県大川で行われる。

現在は、商品のコンセプト決めからプロダクトのアイデアまでを話し合って考えているところ。

商品を考えたのちは、通販の展開を考えている。

そこで、ECサイトの企画に明るい人が望ましい。

また家具について、DMXではインテリアとしての関わりはあるけれど、プロはいない。家具についても詳しいとなおよい。

ここで働く魅力は、余白がたくさんあることだろう。

「こういうものがあったらいい」という企画出しに、生産現場に職人さんを訪ねてのやりとり。そして福岡R不動産や、プロジェクト案件との連携も視野に入れられるだろう。

実際の空間に接しつつ、家具を考えていきたい人には、恵まれた機会だと思う。ティザーサイトも求人に合わせてオープンしたところなので、見てほしい。

9 最後に、本田さんはこう話してくれた。

「いま、会社のパンフレットをつくっているんです。『未来の文化をつくる』といったキャッチコピーを考えています。未来になったら、僕らのやっていることが文化になっている。そこまでいきたいね。いい建物を建てる。手にとりたくなる家具をつくる。そうしたことが新しい価値観になって。まちに、暮らしに定着していけばと思います。」

新しい文化を福岡の地に届けていく人を待っています。

(2013/12/24 大越はじめ)