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人とコトをつなぐ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

旅、キャンプ、農業、新しいスポーツ…

パソコンで検索すれば、なんでも探せる時代。だけど、それをやってみようとなるとまた別の話だし、知らないから出会えていないようなことも、まだまだ世の中にはたくさんあると思う。

どうやったらはじめられるのだろう。どうしたら仲間が見つかるのだろう。なにか新しいことを知るきっかけはないだろうか。

そんな人のための場所が、もうすぐ百貨店の最上階からはじまります。

SONY DSC 日本に最初にできた老舗百貨店「三越日本橋本店」に、今年3月、「カフェ」+「コトを提案する」複合スペースがオープンします。

そこに売っているのは”モノ”ではなく”コト”。日常を冒険できるような、「アクティブな暮らし」の体験パッケージ。

何か目的にしていなくても、ふらりとここに立ち寄れば、新しいことに出会える。そんなラインナップがいつでも揃っている場所。

ここで、訪れたお客さんの興味をさまざまな体験につなげていく、オープニングから関わるスタッフを募集します。

接客経験は問いません。問われるのは、”遊べる”かどうか。”お客さん目線で「感じる」ことができる”かどうか。

外の世界に興味を持って、楽しみながら暮らしている人。そして、その楽しみを人に伝えることにも喜びを感じられる人。

もし、少しでも当てはまると思った人は、続きを読んでみてください。

地下鉄「三越前駅」を降りると、すぐ真上に三越がそびえ立つ。通用口からエレベーターで12階へと上がり、「本店長」の中 陽次(なか ようじ)さんの部屋へ。

木製のオブジェなどが配された、あたたかい雰囲気の部屋。窓からは、日本橋の街が見渡せる。真ん中には本格的なオーディオ機器があり、そこからはゆったりとした音楽が流れている。

「シーンとした音のない場所だと、100%集中できないんですよ。だからいつも、何かしら音楽をかけているんです。」と、中さんが教えてくれた。

SONY DSC 中さんは、本店長として日本橋本店を取り仕切っている。事前に猛烈な方だと伺っていたのだけれど、お会いしてみると、想像よりも穏やかな雰囲気の方だった。

中さんがいま一番力を注いでいるのが、今回の新プロジェクト。

「そこに並んでいるもので、形があるのは2割くらいかな。あとの8割は、形のないもの。そんな売り場をつくろうと思っています。」

百貨店って、ずらりと商品が並んでいて、それを勧める店員さんがいて、と「物ありき」のイメージがある。

どうして「形のないもの」の売り場をつくろうとしているのだろう。

「そう。百貨店って、もともと呉服屋さんからはじまった物売りなんだよね。でも、だんだん物売りじゃおさまらなくなってきた。お客様が、形のないものを求めるようになってきたんです。」

それは、旅行だったり観劇だったり、習いごとだったり。

必要なものは、近くのスーパーやコンビニに行けば買えるし、家からネットで注文することもできる。そんな時代に、わざわざ百貨店に行ってまで手に入れたいモノは少なくなってきた。

SONY DSC 「そもそも日本橋本店に来るお客様は、『これを買おう』という目的を持って店に来ないんです。どこの売り場のどのブランドの何を買うのか、決めていない。『日本橋の三越に来ること』自体が目的なんです。そこでぶらぶらしながら、何かに出会う。」

銀座の三越がファッション百貨店だとしたら、劇場とカルチャーサロンを持っている日本橋は、カルチャー百貨店。

生活をする上で必要なものは揃っていて、満ち足りている。でも、より豊かになること、もっと楽しくなることを探して、お客さんはここにやってくる。

「だから、僕らは『モノ売り』から『コト売り』になろうとしているんです。自動車が石炭からガソリンエンジンになり、いま電気モーターに変わろうとしているでしょ。そのくらい変化を、僕たちが起こさないといけないと思っているんです。」

SONY DSC もしもこれがうまくいけば、百貨店業界全体の改革が進むかもしれない、と中さん。三越だけではなく、百貨店の未来につながるかもしれない大きなプロジェクトなのだと思う。

もっと詳しい話を聞くために、中さんと一緒にプロジェクトを進めている、再開発チームの加藤さんを紹介していただいた。

SONY DSC 加藤さんは、とても笑顔が素敵で爽やかな方という印象。でも、実は熱くなると上司にも食ってかかるような迫力で、このプロジェクトをひっぱっている重要人物らしい。

去年4月に再開発チームに配属され、プロジェクトを形にするため奔走している。

「最初は会議室で会議をしていたのですが、それだけではおさまらなくなって。『この間、こんな面白いカフェを見つけたんです』『じゃあ次の日曜日に行ってみるよ』とか、『知ってる?こんな場所もあったよ!』とか、情報交換をしながら、だんだんとアイデアを固めてきました。」

そうしたなかで、内部の連携が深まり、外部に協力者も増えていき、いいネットワークができてきた。

今は、週に1度みんなでミーティングをしながら、3月のオープンに向けて話し合っている真っ最中。

いったい、どんな場所ができるのだろう。

「我々のなかでは、『とまり木』という言葉を使っています。」

とまり木?

「用がなくてもその木に集まって、自由に休んでください、という場所。カフェを中心に据えて、そこに色々なコミュニケーションが生まれるようにしたいと思っています。」

カフェでは、必ずしも食べ物を注文しなくてもいい。

ひと休みのつもりでそこに腰掛けてみれば、見える範囲にさまざまなコトが起こりはじめる。

たとえば、隣では、ものづくりのワークショップがはじまる。みんな真剣な顔をして、何かをつくっている。

向こうのスペースでは、手軽だけど本格的なアウトドア料理のつくり方を、プロの山岳ガイドが実演している。スパイスの効いたカレーの香りが、こちらまで漂ってくる。

mitsukoshi13 そんなふうに、「アクティブな暮らし」の体験の提案が、至るところで行われる。そしてその内容は、2週間ごとに入れ替わる。

ちょっと羽を休めるつもりの人も、好奇心が刺激されて、気づけばフロアじゅうを歩き回っているかもしれない。

そんな、色々な実のなる「とまり木」にやってくる人をもてなすのが、今回募集するスタッフの仕事になる。

具体的には、どんな仕事をすることになるのだろう。

「カフェのサーブや、色々な体験の提案へのご案内、そして、やってくるお客様と話をすることが、基本的な仕事になります。カフェはカフェ、体験の提案は体験の提案と分けるのではなく、ぐるぐる全部の仕事をローテーションしてもらいたいと思っています。なぜなら、隣で起きることを知っていないと、お客様をそこにつなげることはできないので。」

お客さんをつなげる。

「はい。ここには、外部からさまざまな世界のプロフェッショナルがやってきて、毎日体験の提案が行われます。僕たちは、そのネットワークの中心にいて、会話を通して、お客様の興味を体験につなげていく。入口までご案内するのが仕事です。」

お客さんの「ここは一体なんですか?」という素朴な質問に答えたり、遠慮している人に「よろしければご一緒にどうですか?」と声をかけたり。ここにやってきた人を、この場にむすんでいく。

mitsukoshi14 「まずは、自ら興味を持って参加してみる。お客様の視点で『感じる』ことがスタートです。だから、知らないこと、やったことのないことでも興味を持てる人。そして、お客様の興味を一緒に探すことができる親身さや、丁寧さのある人が、この仕事に向いていると思います。」

年齢や性別は問わないそうだ。経験はなくとも何か新しいことをやってみたい人でもいい。子育てが一段落してそろそろ仕事をしたいと考えている人もいい。

「今、いいつながりのなかで、いいものができているという実感があります。僕たちも初めてのことなので、試行錯誤しながらつくっていますが、そこにアイデアを出しながら一緒になって取り組んでくれるような人に来てもらえたらいいな、と思っています。」

加藤さんが、熱っぽさの端っこを見せながら、そんな話をしてくれた。

最後に、仕事の都合でこのインタビューに同席できなかった、もうひとりの人を紹介します。

今回の場づくりのプロデュースに関わっている、株式会社WATの石渡さんです。

SONY DSC 石渡さんの専門は、「カフェを中心にした場のプロデュース」。カフェの経営や、前職「ダブリューズカンパニー」でのプロデュース業を経て、去年9月に独立した。

過去に運営に関わった、豊洲にある「CAFE;HAUS(カフェハウス)」というカフェのコンセプトや地域のコミュニティと結びつく運営に興味を持った三越の皆さんから連絡を受けたのが、今回のプロジェクトに関わるきっかけだったそうだ。

「三越さんのような大きな会社が、立ち上げたばかりでスタッフも実績もない
自分のような者に仕事の依頼をくれた。そこに、今回のプロジェクトの面白さがあると思います。過去にとらわれず、新しいものを創りだそうとする意気込みをひしひしと感じています。」

石渡さんにも、どんな人に働いてほしいか聞いてみた。

「自分で遊ぶ能力がある人。それが前提になってくるかな。そこで起こる色々なことに興味を持ち、まずは自分で体験してみる。次はこんな企画があるんだ、じゃあ今度の休みに自分でやってみよう、という感じ。やらなくても、調べてみるだけでもいいんです。調べるってこと自体が、すでに体験の局面に入ってきていると思うので。」

SONY DSC たとえば、写真を撮るのが好きとか、週末は自転車で1日遊んでますとか、アマチュアバンドをやっているとか。自ら「アクティブな暮らし」を楽しんでいる人。

それから、今打ち込んでいるものがなくても、何にでも興味を持ってやってみたいと思えるような、フットワークの軽い人。

石渡さんは、カフェを考える上で、メニューよりも空間よりも、まずいちばん最初に、ここで働く人のイメージが明確にあったそうだ。

「飲食って、人ありきなんです。味覚の上には感情が乗っていて、感情にいちばん影響をあたえるのは、そこで働く人。その人に会いたいからまた店にくる。同じワインでも出される人によって味が違う、なんて話もあるくらい。誰が出しても変わらないメニューや空間なんて、目指していないんです。だから、こいつだったらこんなことができるなとか、人から計画をはじめます。」

プランの段階で100%完成するわけではなく、実はオープンしてからの微調整がいちばん多い。どんな人が働くことになるかによって、お店のかたちも変わっていくのかもしれない。

「色々なものに出会える環境は整っていると思います。でも、それを使うのは自分自身。土壌は広いので、自分で耕していってほしいです。」

mitsukoshi15 初めての試みだから、それをつくっていく人たち自身、未知のことがたくさんあると思う。そこで、自分も新しい体験に出会いながら、人とコトをつなげていく。

そんな働き方がしたい人は、ぜひ応募してください。まだイメージしきれないことがあれば、直接教えてもらうのがいちばんいいと思います。

(2014/1/9 笠原ナナコ)