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共感リノベーション

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日々の生活を彩るものって色々あると思う。

例えば住まいだったり、一日三度の食事だったり、心地の良い音楽だったり。

SONY DSC そして、何が豊かなのか、という価値観も人それぞれ違う。だからこそ、世の中には色々なライフスタイルがあるのだと思う。

もしも自分の価値観とより近いお客さんと一緒に仕事ができたら、きっといいものがつくれるのだろうな。そう感じさせられた取材でした。

クオリアは、戸建・マンションのリノベーションを手がけている会社。リノベーションのほか、新築の注文住宅も手がけている。

オフィスは新宿にあり、そこでは代表の阿久津さんと、設計士、デザイナーを含めた計4名のメンバーが働いている。

最初の1年は以前のお客さんの紹介で仕事がやってくることがほとんどだったそうだけれど、設立から3年が経ち、だんだん新規の依頼も増えてきた。

SONY DSC 今回募集するのは、リノベーションや新築の現場で施工管理をする人。さらに、5人目のメンバーとしてクオリアという会社を一緒につくっていけるような人を探している。

この会社の面白いところは、株主の半分以上が、代表の阿久津さんの「元お客さん」だということ。

阿久津さんは、共感し合えるようなお客さんと一緒に仕事をしていきたいというスタンスで、それが結果的にファンを増やしていくような働き方をしているように感じた。

クオリアの仕事について話を聞くために、東京・新宿区にあるオフィスへ向かう。

最寄り駅の都庁前駅を出て、都庁を横目に並木道を進んでいくと、レンガ色のマンションが見えてくる。クオリアのオフィスはそのなかにある。

中に入ると一面木目の床で、マンションの一室とは思えない雰囲気だった。聞けばスタッフの方が自らフローリングを張ったそうだ。

代表の阿久津さんにお会いする。

これまで色々な建築関係の会社を取材してきたけれど、阿久津さんは今までお会いしたことのないタイプの方だった。

SONY DSC とても口調が穏やかで、なんだか高級レストランの支配人のような雰囲気がある。全てお任せで料理を頼みたくなってしまうような、そんな安心感がある方。

まずは、どうしてこの会社をはじめることになったのか、経緯を伺ってみた。

「わたしは父親の仕事の関係で、幼少期はずっと海外に住んでいました。レバノンとかギリシャとかイギリスとかさまざまな国で生活していたんです。ギリシャにはパルテノン神殿など古代アテネの遺跡があったり、イギリスではビッグ・ベンとかウエストミンスター寺院、セントポール寺院がありますし、素晴らしい建築を沢山見て育ったんですね。」

ゆくゆくは建築家になりたいな、と思いはじめたのが中学生のとき。

「ただ、わたしは恐ろしく理数系の勉強ができなかったんですよ(笑)。だから大学は、文系に進まざるを得ず経済学部に入りました。卒業後はエネルギー会社に就職して、営業、企画、マーケティング、人事などさまざまな仕事を経験しました。そして、その間に中小企業診断士の資格をとって、関連企業のコンサルを任されるようになりました。そのうち、自分でも経営をやってみたいなと思って。」

そんなとき、ある会社から役員として経営に参画してほしいとお誘いを受ける。その会社で、せっかく経営者の一員になったのだからやりたいことを仕事にしていこうと思い、新規事業としてデザインリフォームを専門とする部署を立ち上げた。

「これはちょっとうちの会社の特殊なところなのですが、クオリアにはわたしを含め11人の株主がいて、そのうち6人は、このときのお客様だった方なんです。」

「わたしが前職を辞めるとき、懇意にしていただいていたお客様にご挨拶して回っていたんですね。そうしたら、もったいないから自分で会社立ち上げた方がいいよ!と仰ってくれる方がけっこういらしたんです。もしやるんだったら資本金も出すよ!と言ってくださる方までいて。それで、実際本当に6人の方が株主になってくださったんですよ。」

SONY DSC 毎年開かれる株主総会では、元お客さんという視点から、さまざまなアドバイスをしてくれるのだそうだ。

「こういう会社は多分、あんまりないと思いますよ。心強いですし、誇れる部分です。今の仕事も、お客様がお客様を紹介してくださって仕事につながることが多いんです。」

そういう、お客さんをファンにしていくような仕事の仕方って、マニュアルがあったりだとか一朝一夕でできるようなことではない気がする。

阿久津さんは、どうやってそんな方法を身につけたんでしょう?

「うーん。もしかしたら、わたしの育ちや経験によるところが大きいのかもしれません。」

「今の会社を立ち上げるとき、どういうお客様をターゲットにしていこうか考えたんです。そのときにイメージしたのは、住まいやインテリアに関心があって、そこにちゃんとお金や時間をかけていきたいと思っている人。生活にこだわっている人をターゲットにしようと決めたんです。」

「そして、そういう方たちと一緒に家をつくっていくとなれば、お互い今までどんなものを見たり聞いたり食べたりしてきたのかが、ものすごく重要になってくるんですね。」

どんなものを見たり聞いたり食べたりしてきたのか。

「はい。わたしたちのお客様には、見識が広く、審美眼をお持ちの方が多いんですね。わたしも海外暮らしの経験がありますし、これまで経験してきた仕事柄、色々な方とお会いしてきましたから、そういう方たちがどういう思考回路なのか、どういうものを求めているのか、肌感覚として分かるものがあるのかもしれません。」

SONY DSC 例えば、阿久津さんは日本ソムリエ協会のワインエキスパートの資格を持っているそうだけれど、ぐうぜんお客さんがワインにこだわりを持つ方で、話が盛り上がってしまうということもある。

そこから、新しい部屋にこんなバーカウンターやワインセラーがあったらいいんじゃないかとか、そういう空間のアイデアにもつながっていく。

お客さんと自分自身の価値観が近ければ近いほど、提案できることの幅は広がっていくのかもしれない。

「私が最初に就職したエネルギー会社は、いわゆる大会社でした。そこでやっていたのは、ありとあらゆる人に対してサービスを提供していくユニバーサルビジネスです。そういう仕事は世の中に不可欠で大切ですが、自分で会社を立ち上げるなら、こちらからもお客様を選べるような仕事がしたいと思うようになったというのが、今のような働き方になったきっかけかもしれません。」

お客さんを選べる仕事を実現するために、なにか工夫していることはありますか?

「うちの会社は、世間で『営業』と聞いてイメージするような営業活動を一切していません。例えば、資料請求のご依頼があって資料をお送りしたあとも、何もしないんです。ぜひお会いさせてください、見積もりを出させてください、などアプローチをする会社も多いと思うのですが。」

「なぜしないかというと、それをやってしまうと、最初からお客様との間に上下関係が生まれてしまうと思っているからなんですね。わたしたちはお客様と一緒に住まいをつくるというスタンスでいたいので、しないようにしています。なかなか問い合わせが少ないときには、ついつい電話かけたいな、とか思ってしまうんですけどね(笑)」

ときには依頼をいただいてもこちらからお断りすることもあるそうだ。結果だんだんと、クオリアの考え方に共感するお客さんだけが集まるようになってきた。

「実家のリノベーションを手がけたご縁から、娘さんお2人がそれぞれ住まいを購入する際にもお声がけしてくださったということもありました。わたしたちの会社のことをよくご理解していただいた上で来てくださるので、大変ありがたいことですよね。」

quo8 より焦点を絞っていくことで、結果的に満足してもらえるものができて、口コミで次の仕事へ結びつく。そういういい循環ができてきているように感じた。

どんな人と一緒に働きたいですか?

「うちのお客様には、食とか音楽とか空間とか、人生を満喫している方が多いんです。そういう方がこれからどんな風にこの家で生活していくのか、ちゃんと想像しながら働ける人に来てほしいですね。空間だけではなく、ライフスタイルまで考えてつくっていける人。」

阿久津さんは将来、『クオリア』という名前のレストランを開きたいとも考えているそうだ。それは、衣食住を分けて考えるのではなく、ライフスタイルを構成する一連のものとしてとらえているからなのだと思う。

cuo40 だからこそ、建物だけではなく衣食や音楽、文化まで、そこでどんな暮らしが営まれるのか想像しながら、空間をつくっていくことができる。

そしてそれが楽しいと思えるのは、やっぱり自分も好きな食べ物だったり音楽だったり、こだわりを持って生きている人なんだと思う。

阿久津さんに話を聞いたあと、施工管理の仕事について具体的に知るために、スタッフの方にも話を聞いた。

「設計・デザインのスタッフが考えた空間を実現していくためにいるのが、施工管理です。現場に足を運び、図面やスケジュール、予算と照らし合わせて、滞りなく作業が進んでいるのかを客観的に見るのが仕事です。」

quo7 新築とリノベーションの施工管理には少し違いがあり、リノベーションにはリノベーションならではの難しさがあるそうだ。

「リノベーションは、既にあるものを残しながら新しい価値を創りあげていくものです。老朽化もありますし、予想外の問題が起こることも多い。それからうちは大規模な工事がほとんどなので、職人さんだったり施工に関わる多くの方々と密にコンタクトをとっていかないといけない。お客様とのコミュニケーションはもちろん、周囲とのコミュニケーションが極めて大事になります。」

仕事は大変と言いながらも、「楽しい」という言葉が沢山出てくる。

「現場が完成したときに『ありがとう』を直接受け取れるのが嬉しいです。現場でお客様とお会いしたとき、お客様の気配を感じて『きっと、こうしたいのかな』と思ったら、それはすぐに声や行動に出す。もしもそれが『いいね!』と賛同していただけたら、距離感はぐっと近くなる。家族のようにお付き合いしていただいているお客様もいらっしゃるんですよ。そして、そんな関係になるとますます仕事が楽しくなるんです。」

どんな人にきてほしいですか?

「自分の能力を試したい人ですね。もっとお客様に喜んでもらいたい!と思っているけれど今は実現できていない人。そういう人にとっては、本当にここはいいステージだと思います。」

SONY DSC 自分の向かっていきたい方向を一緒に目指せるようなスタッフやお客さんと仕事ができるのは幸せなことだと思います。

もしもクオリアの目指すライフスタイルや仕事の仕方が自分の理想に近いと感じたら、ぜひ5人目の仲間として加わってほしいです。

(2014/1/4up 笠原ナナコ)