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はっきりとしなかった世界に光を当てて整えてみる。すると今までなかったようなエコシステムが生まれて、新しい価値を創造することができる。株式会社トランスリアルの仕事は、まさにそういうことなんだと思う。

とはいえ、まだ小さな会社です。この会社を一緒に大きくしていくために、オフィスを発掘し紹介する人を募集します。
渋谷駅前のロータリーから国道246号線を渡ったところにあるビルの8階。ここにトランスリアルの事務所がある。
中に入ると、窓からは大小さまざまなビルが見えて、眼下には東横線の渋谷駅跡が見える。なかなか便利な場所であり、広々とした空間が心地いい。

そのときから「SOHO東京」というデザインのいいスモールオフィスを紹介するというサイトを運営していた。
SOHOとは、スモールオフィスホームオフィスの略で、自宅や小さなオフィスなどを拠点にして働くこと。「SOHO東京」というウェブサイトを通して、そんなスタイルで働く人に物件を提供している。
まずは長谷川さんにどんなニーズがあるのか聞いてみる。
「たとえば、学生起業してまもない会社が物件を探そうと思っても難しい。決算もしていないから、普通は申込しても断られるわけです。けれども話を聞いてみると、ちゃんと売上があったりする。」

これは自分も経験したことだった。
銀座で起業しようと思って不動産を探しても門前払い。たしかに自分が不動産のファイナンスを担当していたことを冷静に思い返してみると、まだ起業したばかりで決算書もなければ難しいのは当たり前だった。
「ただ、マンションタイプでオフィス利用できるところが少数だけどあるんです。つまりSOHOですね。」

でもオーナーはトラブルが起きないような安心できる会社に入居してもらいたい。ベンチャーが信用を得るのは簡単じゃないし、普通のオフィスを何もないスケルトンで借りても内装費が大きな負担になってしまう。
「SOHOタイプ、マンションタイプだと、おしゃれなフローリングに照明で、机を置けばすぐ仕事がスタートできる。SOHOってありだな、って思ったんです。」
そんな長谷川さんが、この世界に興味を持ったきっかけは父親の背中を見ていたことだった。
「まじめな国立理系を出て、ゼネコンに入って、施工管理や営業をやっている人だったんですけど、朝から晩まで働いていて… 本棚には黒川紀章とか、建築の書籍が多数並んでいたというのが原体験にありました。」
子どものころは児童会長やソフトボール部のキャプテンになってしまうような「ガキ大将」タイプだったそうだ。将来の仕事を考えたときに、自然と起業したいと考えた。
「起業するにはどうしたらいいか。出た結論は、色んな経営者と会って、いろんな仕事を見る、ということだった。そして、まずはベンチャーの経営者のそばで仕事をしようと思ったんです。」
入社したのは新興市場で公開したばかりの金融グループだった。
「それこそ、お花屋さんから車屋さんから小売業から精密機械の工場の社長だとか。年間100社と取引して、いろんな業種があるな、と思いました。そのうちセールスマンとしても実績が積めて、出世競争も楽しくて。2年目には部下が4人できて、3年目には部下が10人になって… 最後100人ぐらいできました。」
そんな中で不動産や建築の分野に興味が生まれた。何しろ面白い経営者も多く、魅力的だった。

要するに不動産や金融に関する仕事を一通り経験することになった。
「でも雇われ社長をすることで、なんとなく自分の理想とする組織をイメージすることがあったんです。」
組織のイメージ。
「人を使い捨てるような、採用だけして強い者だけ生き残れというようなベンチャー企業の採用を見ていて思うことがあって。もちろん、それが悪いわけじゃないけれど。」

ほかにはどんな会社にしたいと思っていたのですか?
「バリューアップファンドをつくりたいと考えていました。」
バリューアップファンド?
「こんな仕事したい、こんな不動産があったらいいな、を実現できるような会社です。『こんな古いビル、なんで買ったんだろう?』とはじめは思われても、仕上がったらすごいビルになるような。」

とはいえ、自分がしたい仕事と投資家から求められていることは必ずしも一致しないですよね。
「そうですね。いわゆる投資基準みたいなものがあるわけで。やりたいことをやるための財務体質、ファンドの仕組みが必要です。たとえば、リノベーションすることで上がる価値みたいなことは、以前はよくわからなかったんです。」

たとえばデザインの価値って、なかなか数値化することは難しい。でも求める人はいるし、価値はある。
トランスリアルは、デザインなどの抽象的なものを、自分でメディアを持つことで実績を積み、どれくらいの価値があるのか具体的にしていくことができたんだと思う。
「こういうデザインなら、これくらいの賃料でも人気があるんだな」というように。
「お客さんの声を聞く。するとどんなニーズがあるかわかるわけです。そんなニーズをくみ取って、いろいろな建築家とパートナーシップを組み、小規模オフィスに特化して進めているということが、バリューアップファンドをしていく中でも必要な武器でした。」
デザインがいいというだけでこの建築家に依頼する、ということが成立する世界もあると思う。
でもそれはごく一部で、長谷川さんの言葉を借りれば「アートであって、ビジネスじゃない」。
もちろんアートがダメなわけじゃないけれども、ちゃんとニーズがあることの裏付けができるからこそ、多くの人に説明でき、形になっていく空間は増えていく。
そんなトランスリアルの根っこにある仕事は、小さいけれどもデザインに優れた物件を発掘し、一つひとつ紹介していくこと。
1年前からトランスリアルで働いている坪さんは、まさにそんな仕事をしている人。
まずはなぜこの会社に入ったのか聞いてみる。
「大学では美術史学科だったんですけど、実家はメガネ屋だったんです。だからはじめはメガネ屋さんに就職したんですよ。安売りするお店じゃなかったので、じっくりとお付き合いすれば100万円のメガネも売れる。楽しかったですよ。」

それって何年前のことですか?
「7年前です。」
たしかにリーマンショック前で、景気が良さそうですね。
「でも入社して、すぐにリーマンショックでした…笑」
仕事は家具付き賃貸住宅、いわゆるサービスアパートメントのクレーム対応と、レポーティングだった。クレーム対応することも面白いもの、と仕事は充実していたそうだ。
どうしてトランスリアルに入社したのですか?
「共通の知人に紹介していただいたんです。でも長谷川さんの会社に入って何かやりたいと思う前に、長谷川さんに対して興味を持ちまして。」
すると長谷川さん「それは知らなかったな、でも大手不動産会社に決まっていたんだよね?」
「そうなんですよね。でも一緒に仕事をしたいな、って思ったんです。感覚的なことでしたけど。」
はじめはどんな仕事をしていたんですか?
「1年ほど前に入社して、営業のサポートからはじめました。するとすぐに繁忙期で。営業をやることになって、今に至ります。」
営業と言ってもどういう仕事なのだろう。
基本的には物件を紹介したり案内したり、契約書を作成するというもの。
仕事の大変なところってありますか?
「私の場合は、営業をやりながら、経理・総務・秘書のようなこともしていることですかね。でも苦じゃないですよ。あとはお客さんに提案しても、なかなか決まらないときですね。うちで物件を探す人って、こだわりが強いですから。」

でもだからこそ、魅力的な物件を探す面白さはあると思うし、そんなニーズを拾っていけば新しいオフィスをつくるときにきっと参考になる。そしてそれがこの会社の強みになっていき、新しい生態系のようなものが生まれるんだと思う。
最後に長谷川さん。
「まずは営業からはじめて、適正があればリノベーションの企画や不動産投資業務もやってほしいです。」
どういう人がいいですか?
「建築、デザインが好きであれば、あとは順々に経験を積んで勉強をしていけばいいと思っている。『賃貸仲介で実績上げてきました。いい成績つくりますよ。』というタイプよりね。そこに尽きる、といっても過言ではない。」
好きだからこそ、相手が求めていることを自分のことのように考えて寄り添える。お客さんが思い描く空間を一緒に考えてみたい人は、ぜひ応募してください。
(2014/1/17 ナカムラケンタ)