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朝起きて階段を降りていくと、リビングでお父さんが新聞を読んでいたから「おはよう」と声をかける。ごはんを食べようと席につくと、キッチンにいるお母さんの顔が見えたから、明日の幼なじみの結婚式になにを着ていこうかと、相談しながら朝ご飯を食べる。
家の中で繰り広げられるこんな毎日も、階段やキッチンの位置が違えば、別のものになっているかもしれない。家をつくるということは、暮らしをつくることに近い。
株式会社エコリフォームは、江東区を拠点に、女性が活躍しているリフォーム専門の会社。ここで、住むひとの暮らしを想像しながら家をつくる、インテリアコーディネーターを募集します。

清潔感のある玄関から声をかけ、最初にお話を伺ったのは代表の塩谷(しおや)さん。スタッフからは理枝さんと呼ばれていて、初めて会ったのになんだかとても安心して話ができる方だ。

旦那さんは工務店の2代目。今は建築事務所をかまえ、理枝さんと支え合いながら仕事をしている。お父さんは腕のいい大工さんだったそうだ。
「最初はお手伝いみたいなことをしてたんですね。そのうち、お施主さんの奥さんから『ちょっと大工さんにはいいにくいんだけど』と、家の相談をされるようになって。あいだに入る場面が増えてきたんです。」
家を建替えたりリフォームする時は、家の近くにある工務店に声をかけるのが一般的だ。そこで頼りになるのは経験と知識のある大工さん。
基本的にはお任せしたいけれど、自分が生活する家のことだから、壁の色や窓の位置くらいは自分でも選んでみたい。けれど大工さんにはちょっといいにくい。そんなところに理枝さんの役割ができていった。
「ご自分が住まうお家ですから、やっぱり愛着持っていただいたほうがいい。でも要望が100%かなうわけじゃないんですよね。特に古いお家なんかの場合には制約があるので。」
職人さんの家に関する知識と経験、お客さんのあこがれる家。2者のあいだでバランスをとりながら、家づくりを進めていくのが理枝さんの仕事。会社を立ち上げてから10年が経つ。

「家をどんな風にしたいか」を知るために、「どんな生活をしたいか」という話をするそうだ。
「リフォームをしたい人なんていないんですよ。なにか生活を改善したいから、リフォームをする。だからその根本にある意識を顕在化して、わたしたちが提案をするんです。」
まずは話をよく聞くこと。仕事はそこから始まる。最初に理枝さんがお施主の奥さんから話しかけられたように、相談しやすい相手であることが求められる。
「どうしても深いところまでお伺いしないといけないですよね。例えば下着をどこにしまうかとか。どんな風にしまうかとかね。どのくらいの量があるかとか、そんなことも。」
話を聞いて、相手の生活を想像してみる。
読書が好きだから、本をたくさん持っていること。夜ご飯は家族そろって食べる日が多いこと。休日には家でゆっくりすごすけれど、ときどき友達を招いて食事をすること。
家は日常の舞台。だからどんな生活をするかが、心地よい家のかたちを決めていく。
そんな生活を想像するときに役に立つのが、暮らしのスキル。
「女性の得意なところを活かせますよ。結婚とか出産っていうライフイベントもスキルになるんです。本人も気づかないようなことをご提案できることがある。」
たとえば出産は時間の制約もできるから、仕事の視点から見えるとハンディと思われがち。けれど子育てをしたからこそ想像できる生活がある。小さいお子さんがいるお客様に対して、提案できるものが違ってくると理枝さんは考えている。

「私たちは江東区を中心とした下町で仕事をするので、木造のふるいお家が多いんですよ。法規的に再建築ができないこともありますが、やっぱり家に愛着を持ってる方もいらっしゃる。その場所で生まれて暮らしてきたから離れたくない。それぞれ想いがあるからね。」
お客様は60代70代の方が多い。これから先安心して暮らすために、子ども世代に家を残すために依頼をいただくそう。その人にとってはとても大切な場所だから、そこで生活をつづけたい。

「素直にまっすぐ前を向いて進んでいく人。そんな人ならお客様からも、職人からも吸収できますよね。経験は問いません。」
「経験は問わない」と聞いたときは意外だった。建築とか、インテリアとか、住まいに関わる仕事はそれなりの経験や知識がないと入り込めない業界だと、勝手なイメージがあった。
「もちろん好きじゃないとだめですよ。でもやっていくうちに覚えます。目の前のことを一生懸命やっていける人であれば、その先がみえてくると思うんです。」
現在インテリアコーディネーターとして活躍する千葉さんも、未経験でエコリフォームに入社した。

自分の好きなことを考えていたとき、ふと、今住んでいる家が明るくなったらもっと雰囲気がよくなるんじゃないかな、と思った。インテリアの勉強がしたいと考え、学校に通った。
どうしてこの会社を選んだんですか。
「ウェブサイトを見て、お客様とすごくよく話している会社だというのがわかりました。私のやりたいことが、ここだと思っていたんです。でもここまで密に関わるとは思ってなかったんですけど。」
エコリフォームのウェブサイトを見ると、リフォームメニューや事例集といった情報から、動画をつかったインタビュー、スタッフブログ、門前仲町の情報まで、盛りだくさんのコンテンツがある。
すべてを読み込むのは、正直めんどうなくらい。理枝さんも「嫌になっちゃうくらい説明が多いのよね。」と笑っていた。
けれどこのコンテンツを読んで、価値観が合うと思った人が来てくれればいい。それはスタッフも、お客様も。一生に1度の買い物をする相手を決めるために、自分たちのことはなるべく知って欲しい。そう思って、できる限りのことを発信している。そうして集まってきてくれるお客様は、自然と話があう方が多いそうだ。

大変そうですね。
「お客様が一生に1回するリフォームに、なにか私がわからないことで、不利益が起こらないようにって必死にいろんなこと調べて、教えてもらってるうちに、今になったっていうところですかね。」
周りからたくさんのことを吸収し、7年経つ今では、一人前になった。
「でもなりたいと思ったらね、なれるものだと思うんです。」
実際にインテリアコーディネーターになった千葉さんの言葉は、とてもまっすぐだった。

「今日は、お客様と打ち合わせしたことを伝えるために、現場に行ってきました。戻ってからお客様とメールのやりとりをしていました。施工している間は、お客様とのブログもやるんですよ。」
気になるけれど、そんなに現場を見にいけるわけではない。そんな心配を解消するために、日々の様子をブログで紹介する。相手も安心するし、とても楽しみにしてくれる。
細かい対応をするために、仕事の量は増えるのかもしれないけれど、その分相手との距離が近くなる。より生活を想像しやすくなる。
「提案をするときには、みんなで考えます。お客様の情報やご要望を共有して、案を出しあって。」
お昼もご飯を炊いて、一緒に食べるそうだ。距離が近いから、いろいろな相談もできる。話をすれば、お互いの暮らしのスキルも交換できる。
「みんなで話し合った結果、お客様からの要望をお断りしたこともあります。要望に沿って図面を描いてみたら、快適さとかご夫婦の関係性っていうものがよくならないと思ったんです。」
どんな風に暮らすかなんて、その人次第。けれどできるだけ未来を想像して、正直に伝えた。そのお客様は意見を受け入れ、別の案でリフォームを進め、今は快適な生活を送っているらしい。

提案するのは、心地よく暮らせる家。
「何年かして訪ねると、楽しく暮らしてるのよって自慢げにお話してくださるんです。あなたが入れてくれた棚、こんな風に使ってるのよって。それを見たときに『やってよかった』って思いますね。」
千葉さんはとてもたのしそうに、お客さんとの話をしてくれる。
エコリフォームでは、インテリアコーディネーターと同時に、現場管理をする人も募集しています。木造建築を得意とする職人さんのいる現場で、よりものづくりを間近で見る仕事。
どちらも家をつくるチームの一員。現場ですごす時間も長いから、いつもきれいに、パンプスを履いて、というわけにもいかない。
けれど暮らしづくりに関わってみたい、と思っている人にはチャンスだと思います。「5年で育てるから」と、理枝さんが頼もしく言ってくれました。
(2014/3/12 中嶋希実)