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プロボノはNPOを救う

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

10年前にはなかったものが、今は当たり前のものになっているということがある。

「プロボノ」もそのひとつだと思う。東日本大震災のときに、この言葉を耳にした人もいたんじゃないだろうか。

「プロボノ」とは、仕事の経験を生かし、スキルを提供するボランティアのこと。

自分のふだんの仕事の延長線上で手伝えることを探していくので社会人も参加しやすい。そして支援を受ける側も、プロによるサポートを得ることができる。

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この言葉は、アメリカで2000年頃に広がりはじめ、その後、海をわたって日本にやってきた。

10年前にアメリカでプロボノの存在を知り、人手や資金不足により支援を必要としているNPO法人とプロボノをマッチングするしくみを日本に持ち帰ったのが、「サービスグラント」代表の嵯峨さんだった。

10年かけて、プロボノとNPOは世の中に周知されるようになってきた。その陰の立役者ともいえるのが、サービスグラントだ。

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今回は、ここで働く人を募集します。

プロボノとNPOの間に立ち、それぞれのニーズを読み取りながら、お互い気持ちの良い関係でプロジェクトを進めていけるようなしくみをつくっていく仕事です。

異業種から転職して活躍しているスタッフも多いので、知らない分野だから、と思っている人もぜひ読んでみてください。

あとは、プロジェクトごとに報酬を受け取る「契約スタッフ」という働き方もあるので、フリーランスの方やフルタイムではない仕事に興味がある人にもおすすめです。

サービスグラントのオフィスは、渋谷駅と表参道駅をつなぐ青山通りを一歩入ったマンションの5階にある。

フローリングの床の上にスリッパであがり、まるで友達の家にお邪魔したようなアットホームな雰囲気。

2階の会議室で、代表の嵯峨さんにお会いする。嵯峨さんはまず、こんな話からはじめてくれた。

「プロボノは、少し前までは知る人ぞ知る活動で、意識の高い人がネットや口コミで知るようなものでした。」

「それが最近は、色々なところでプロボノという言葉を見かける状況になってきました。NPO法人にしても、就職先としてNPOを選ぶ人がいるなんて、20年前だったら考えられませんでした。時代が変わってきているんじゃないかと思います。」

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プロボノがNPOを支援するしくみも広がってきた。なかには、自分たちでプロボノを募集します、というNPO法人も。

「それはいいことだな、と思います。ただ、一方で、まだプロボノを活用しきれていないNPO団体もあります。プロボノに入ってもらっても、色々なところでコミュニケーションがうまくいかなくなってしまうこともある。そういったとき、間に入ってコーディネートするのがサービスグラントの役割だと思います。NPOもプロボノもお互い気持ちいい関係ですすめていけるように。」

嵯峨さんは、自身でNPOを運営していた経験から、小さなNPOが支援を集めることがいかに難しいか、ということを実感している。

有名なNPOでも資金や人手集めには大変な労力をかけている。さらに、小さくても良い取り組みをしているNPOとなると、もっとたくさんある。

ただ、そうしたNPOは、自分たちの活動に一生懸命で、ほかのことになかなか手が回らない。

そこで、中間支援というかたちで、プロボノを結びつけてNPOをサポートするしくみをつくってきた。

sg42NPOとプロボノワーカーのミーティング風景

てっきり、仲介料としてNPOからお金をいただいているのかと思っていたけれど、そうじゃない。スキル登録をしている「プロボノワーカー」も、無料で参加できる。

では、どこから収益を得ているかというと、サービスグラントの場合は、7割が企業で3割が行政から。

CSRに取り組みたいという企業や、地域課題解決を支援したいという行政から、プロボノのノウハウを求められることが増えてきた。

最初は、嵯峨さんひとりで、細々とライフワークとしてやってきた取り組み。でも、だんだんビジネスモデルができあがってきた。

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NPOを支援するメニューも、最初はウェブとパンフレットの制作しかなかったけれど、今は事業計画の作成や、業務効率化など、組織の中にもう一歩踏み込むことができるメニューが増えてきた。

「プロボノワーカー」も登録者が2000人を越え、年間50件ほどのプロジェクトが成立するようになってきている。

「今は、異業種同士のプロボノワーカーたちが半年間のプロジェクトチームを組む、というスタイルがメインです。でも、半年は長いという声もあるので、1日でできるワークショップのようなプログラムも最近では取り入れはじめています。」

新しくはじまろうとしているプロジェクトで、前評判が高いのは、「ママボノ」という取り組みだそう。

育休で仕事から離れている女性たちに、プロボノを通して復職前のウォーミングアップができるような機会をつくっていこうとしている。

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ママだけにとどまらず、定年を控えたシニア世代だったり、対象を絞ることで、また新しいプロジェクトもどんどん生まれてきそう。

もっと支援のバリエーションを増やしていき、NPOもプロボノも参加しやすいしくみをつくっていきたいと思っている。

「日本はNPOが少ないとはいえ、全国に5万団体ほどあります。今プロボノのサポートを受けられている団体は、そんなに多くない状況でもあるので。」

プロボノのサポートをNPOに提供するということは、それだけ助かるNPOがいるということ。NPOが助かれば、その先のNPOが助けようとしている「誰か」も助かる。

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そう思うとやりがいは大きいです、と嵯峨さん。

どんな人と一緒に働きたいか、聞いてみた。

「関わっている人たちが、みんな何か役に立てることはないかという前向きな気持ちなんです。だから、あまりネガティブな人、消極的な思考に走ってしまう人はよくないと思います。前向きで、課題があってもこうやったら解決できる!と考えられる人。明るさが不可欠だと思います。」

ここで働く人は、具体的にどんな仕事をしていくことになるんだろう。実際に働いているスタッフの方にも話を聞いてみることにした。

宮坂さんは、前回の日本仕事百貨の募集を見て応募した方。

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雑誌・書籍の編集業を経て、今はフリーランスの編集者として働きながら、週の半分を使ってサービスグラントに関わっている。

「人の役に立っているということが見えやすい仕事をしたかった」という宮坂さん。

サービスグラントでは、プロボノワーカーたちがプロジェクトを進めていくのをサポートする役割を担っている。

実際の仕事の流れを聞いてみた。

「まず、応募をいただいたNPOを審査し、そのNPOの課題に、プロボノワーカーのスキルや経験、意気込みなどを照らし合わせながら、チームビルディングをしていきます。そして、実際プロジェクトがはじまると、進行管理をします。」

今は、並行して5つのプロジェクトチームを担当しているそうだ。

チームのリーダーから報告を受けたり、メーリングリストをチェックしながら、すべてのプロジェクトの進捗を把握している。

「たまにチームミーティングをのぞきにいくと、おぉ!と思うほど良い方向に進んでいることもあります。逆に、停滞してしまっている空気を感じたら、模造紙を出して『これ使ってみたらどうですか』と提案してみたり。」

宮坂さんの目指すのは、NPOにとって役に立つ成果をあげることだけじゃない。

プロジェクトに参加したプロボノワーカーや企業に「参加してよかった」と思ってもらえることも、大事な仕事。

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アメリカでは、この役割を”パーティーのホスト”に例えたりもするそうだ。

全体を見渡して、みんなが心地よく過ごせるように、トラブルが起こらないように、調整や環境づくりをしていくのが宮坂さんの仕事なのだと思う。

「NPOに事後アンケートをとっているのですが、『良かったこと』の欄に『一緒に考えてくれる仲間ができたこと』と書いてくださって。成果物が良かったのももちろんだけど、課題について一緒に考えてくれたということが、なによりの励みになったと。そんな感想をいただくと、私たちもいいチームをつくれたんだという実感になりますし、モチベーションがあがります。」

もうひとり、紹介したい人がいます。宮坂さんと同じく、前回の募集を見てここで働くことになった齋藤さんです。

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実際にプロジェクトを推進していく宮坂さんに対して、斎藤さんは、企業向けにプロボノプロジェクトを企画提案している。

もともと金融機関で企業営業をしていて、「以前はお金が発生しないしくみには興味がなかった」という齋藤さん。

なぜ、非営利をかかげるNPOに関わる仕事をしようと思ったのだろう。

「いくら儲かるのか、という基準で測られる世界で働いてきました。でも、リーマンショック以降とくに、自分たちが頑張って儲けることと、お客さまがハッピーになることが必ずしも一致するわけではない。そんな想いが膨らんできたんです。」

30代に入って、新しい分野を学ぶため大学院への進学を決める。研究一辺倒ではなくアウトプットする場も欲しいなと思い、仕事を探していた。

そんなとき、たまたま記事を見てNPOの考え方に触れ、興味を持って応募した。

働きはじめてからは、驚きの連続だったそうだ。

「自分の仕事だけではなく、その先にある事や人のことを考えて、仕事に取り組む。そういう姿勢にすごく刺激を受けました。」

メリットがあるからやる、デメリットがあるからやらない、ではなく、これをやることで、関わる人たちにどれだけ変化が生まれるか、ハッピーを届けられるか、ということを基準に行動する。そういう仕事の姿勢は、齋藤さんにとってかなり新鮮だった。

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たぶん、NPOが当たり前だと思ってやっていることでも、企業で働いてきた人にとっては驚くようなことがたくさんあるんだと思う。

NPOと一般企業に勤めるプロボノをつなげていくには、齋藤さんのような異なった視点からものごとを見られる人が増えていくほうが、より幅が広がるんじゃないかな。

むしろ、NPOのことを全然知らなかったという人こそ活躍できる仕事なのかもしれない。

宮坂さん、齋藤さんに聞いてみた。

一緒に働く人として、どんな人にきてほしいですか?

「おせっかいが好きな人。周りの人が気になっちゃうアンテナがある人がいいと思います。」と齋藤さん。

「コミュニケーションをとることに億劫な人は向いてないと思います。色々なプロジェクトに興味をもって関われる人がいい。プロジェクトに参加すればするほど、色々な人に知り合えるので。」と宮坂さん。

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まずは、NPOやプロボノについて知っていくことからはじまると思う。

ふたりの場合は、まずは実際にプロボノのメンバーとともにプロジェクトに関わったそうだ。

そこで、プロボノがチームを組んでプロジェクトを進めていく難しさを実体験できたことが、今の仕事に生きているそう。

働いているうちにわからないことにだって出会うはず。でもサービスグラントには多彩なスタッフが働いている。

別の仕事や大学と両立しながら働いている宮坂さんと齋藤さんだって、きっとサポートしてくれるはず。

最後に、金融業界でバリバリやってきた齋藤さんが、こんなことを言っていた。

「ここに転職するのは、ステップアップかも。」

人と人、組織と組織の間に立って調整や環境づくりをしていくというのは、なかなか体験できない仕事だと思う。

NPOで働く、ということを考えたことがなかった人にも、サービスグラントで働くということを考えてみてほしいです。

(2014/3/4 笠原ナナコ)