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ソムリエのいる内装店

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仕事をする上で経験は大切なもの。

けれど、ときには過去の成功事例がジャマをすることもあります。

「いままでこうしてきたから」「業界ではこうするもの」

そうした思い込みにとらわれず動くことで、あたらしい価値観は生まれるのかもしれません。

今回は、ソムリエからインテリアの仕事をはじめた人の話です。

1 松本真二さんは、東京・恵比寿に株式会社アカンプリッシュを立ち上げて7年になります。

この会社で経験を積む仲間を募集します。

内装、不動産の経験はあるに越したことはないけれど、問いません。

東京・恵比寿。

ここにアカンプリッシュのオフィスはあります。

松本さんは島根の出身。

2 「僕は25歳で東京にきて、フレンチでキッチンとホールの仕事をしてきました。将来は自分で商売をしたい、と思っていたんですね。出は建築でなく、ソムリエです。」

けれどある日のこと。自分の親ぐらいの年の人たちがホールで働く姿を見て、これは肉体的にもなかなかしんどそうだ、と気づく。

「ずっと続けられることも大事だな、と思ったんです。経営の勉強もしようと、飲食系のコンサル会社に転職しました。不採算店舗の立て直しに、新店のオープニングスタッフとして入っての開業支援。そのなかで、繁盛する店とそうでない店の違いは何だろう?と思うようになります。」

その後、本社へ異動。

ここにアカンプリッシュの原型がある。

「ビルは新しく、立地もよかったんですけど、雰囲気が昭和というか。どうもモチベーションが上がらなかったんですよ。飲食店もオフィスも、お客さんが来るところはきれいだけれど、スタッフが働くところはまあいいや、という感じが多い。でも、同じ人間がいるわけで。環境によって、仕事のパフォーマンスは変わるんじゃないか。働いて楽しい場所をつくりたいと思い、アカンプリッシュを立ち上げました。」

事業内容は、飲食店、そしてオフィスデザインのコンサルティング。

後に実際の施工も手がけていきたいと思い、内装店へと展開する。

とは言え、オフィスデザインの経験はなかったのでは?

「そうですね。ただ、人にどう過ごしてもらうか。導線の考え方は共通していると思いました。店舗がお客さんをもてなすように、オフィスも従業員をある種“もてなす”ようなメッセージを込められたらいいのかなと思ったんです。」

3 松本さんは、キッチンを例に出す。

「シェフが火をあつかって、一歩振り返ると冷蔵庫から食材が取れる。とても効率よく考えてつくられている。一方でオフィスは、コピー機まで離れていたり。物理的に仕方ない面もありつつ、考え方を変えていくといいかな、と。」

仕事は飲食店とオフィスにはじまり、口コミで広がっていった。

「6年間で、WEBからの案件は一件だけなんですよ(笑)。それ以外は、指名やご紹介をいただいて。僕は飛び込み営業が嫌いで。断られて、めげずに頑張るって… 辛いじゃないですか。納得のゆく値段で、いいものができる。ちゃんとやっていればお客さんはつくと思います。」

最近では、三軒茶屋の小さなビストロに、渋谷のパンケーキ屋、虎ノ門のオフィスに、北区の病院寮、そして池袋の専門学校…

4 業界を横断する楽しみがあるという。

「美容院に、飲食業のエッセンスを入れて提案をします。あるいはオフィスに、病院のホスピタリティを盛り込んで。異なる業種のよいところをつなげて提案していきます。」

アカンプリッシュでは、スタッフ一人ひとりが、打ち合わせから引き渡しまでを一貫して担当。ワンストップサービスを行っている。

仕事は、設計デザインに施工管理、そして家具のセレクトまでをお客さんと一緒に進めていく。

5 松本さんは、お客さんの本当のニーズを満たす場所をつくりたいと話す。

「あるお客さんの『会社のエントランスをかっこよくしたい』という言葉を掘り下げると、イメージを変えることで、新卒を採用したいという思いが見えてきます。その先には当然、業績拡大があります。」

「『かっこいいエントランス』じゃなくて『業績を拡大させるためのかっこいいオフィス』。本当のニーズはそこにあるんですね。すると新卒に限らず、いま働いている社員も視野に入れたデザインが必要になります。」

もう一つ大切にしているのが、お客さんの気持ちを満たせる「ほどほどさ」。

「飲食店でいくら料理がおいしくても、サーブがよくなければ次にはつながりにくい。基本的な考え方はサービス業なんです。スピード感や、一緒に仕事をして気持ちいいなという感じは心がけていますね。」

「まずは図面をくださいって話があれば、それなりのスピードで揃えますし。まだ何も決まってない案件でも、金額が知りたいと言われたら、お客さんが予算感をつかめるぐらいの額を出すようにしていますね。」

デザインにも同じ姿勢が見える。

「見た目にはとても美しいけれど、使い勝手の悪い店舗ってあります。僕らは、人を置き去りにしたくないな。追求したいのは作品性ではなく、お客さんの満足。機能性を満たしつつ、背伸びしすぎないおしゃれが楽しめる内装店。そんなポジションに置きたくて。」

6 アカンプリッシュで働くのはどんな人がよいのでしょう。

「人とのつながりが僕らの基本。だから友だちを大切にする人がいいですね。それと、壁にぶつかってもなんとか乗り越えようとする人。これもすごく大事です。未経験のことをいきなり任せたりするんですよね。できませんじゃなくて、どうやったらできるかを考える人がいい。」

「いまいるスタッフたちも色々格闘しながら、最終的にはたどりついています。なんかね、同じ人間なので、やれないことはないと思うんですよ。」

学校ならば学校、住宅ならば住宅。用途に合わせて、都度調べることは出てくる。一方で、松本さんが飲食店の考えをオフィスに活かしたように、どの仕事にも共通する点もあると思う。

裁量の多い仕事には、こんな思いがある。

「独立も歓迎です。会社って寿命があると思うんですよね。もし仮にこの会社がなくなっても、すぐに引き抜かれるような人になりなさいと。プロ意識を持った人はウェルカムです。もちろん金額交渉も任せていきます。売上と粗利益を上げること、そしてお客さんに満足してもらい、また紹介をいただくこと。成果はきちんと意識してやってほしいです。こちらもきちんと給与はお返ししたい。でも、3年以上はいてね(笑)。」

オフィスの内装や設計をしていて、お客さんともうちょっと話したい。施工の現場に出たい。それから、設計事務所で独立したいけれど、お客さんとの出会い方がわからない、という人にはよい機会だと思います。

建築についても、スタッフの中には経験を重ねた人もいます。

現場に入れば、職人さんとやりとりを重ねる日々。案件は幅広いけれど、パートナー提携をしている工務店さんと仕事を進めることになる。

7 工事に予算、仕上げ。職人さんから教わることはたくさんあるという。

「周りに先生はたくさんいます。わからなかったり、気になったことはすぐに聞いてください。」

ここからは、一緒に働くスタッフの鈴木さんにも話を聞いていきます。

転職をして1年が経つ鈴木さん。

ハウスメーカーの営業、リフォームの内装、そしてアカンプリッシュへ。

「最終的な決め手は、松本の存在ですね。面白い人だなと思って。仕事の詳細は、入ってから知った感じです。」

8 左から2人目が鈴木さん
鈴木さんは、渋谷・松濤で手がけた5階建てオフィスビルの一棟改修について話してくれた。

「オーナーさんも最初は『いい感じにしたい』としか言われなかったんですよ。いい感じ、ってどんな感じだろう。まずは話を聞くことからはじまります。」

図面は社内で引くことも、パートナーの設計士さんに依頼することもある。作成してはお客さんの反応を見る。打ち合わせを重ねて納得のいくものに仕上げていく。

9 「スタートアップの方であれば、あまりお金をかけない提案をすることもありますね。今回も、そうでした。まずは最小限の施工をしたんです。後日、事業が軌道に乗りはじめた段階で、あらたに相談をいただいたんですよ。つい先日も、ウッドデッキをつけたところです。」

着工がはじまると、現場管理がメインの仕事となる。

「まずは工程管理です。電気に水道に左官屋さん… 色んな職人さんが働きやすい環境をつくるのが、僕らの仕事です。最適な組み合わせを考え、指示を出していきます。段取りがカギを握ります。」

10 現場が動きはじめると、天井の一部に、図面に見られなかった凹みがあったり。壁を抜くと、思いもしない配管が現れたり。計画通りには進まないことの連続。

「そういうときは、設計さんが描いたイメージを汲みつつ、現場に合わせて落とし込んでいきます。」

引き渡し後も、お客さんとの関係は続く。

「完成後の会社のパーティーに呼んでいただきました。自分が担当した場所で、実際に人が働いている姿を見るのはうれしいですね。机の配置に、パーテーションを立てる場所。限られたスペースを有効活用する提案を気に入っていただけたことがわかりました。」

「それから小さいことですけど、改装後にスリッパがちょっとお洒落なルームシューズになっていたりするんですよ。服装が変わる人もいますね。ちょっとなんか、いい感じになる。場所が変わると、人も変わることがあります。」

ここでもう1人、初期から松本さんとともに働いてきた柴田さん。働く人に伝えておきたいことがあるという。

11 中央が柴田さん
「アカンプリッシュは、働く1人ひとりの距離が近いかな。独立を視野に入れるスタッフもいつつ、チームで仕事している感じですね。ワンストップで進めるのが基本ですが、一人ひとりに色があります。設計施工が得意な鈴木くん。そこにわたしはインテリアを入れていくのが得意です。」

「鈴木くんが入ってきてくれて、アカンプリッシュはあたらしくなったんですね。うちの会社に対する、お客さまの期待って大きいです。いいものを絶対につくってくれるって、確信を持っていらっしゃるんですよ。応えるのはちょっとハードルが高いんですけど、乗り越えていくと、お客さまに喜んでいただける。仲間が一人加わり、よりいいものを、そしてあたらしいことが生まれると思うと、いまから楽しみ。早く一緒に仕事がしたいです。」

最後に、鈴木さん。

「あんまりおカタい会社ではないので、まずは気楽に来てくれればと思いますね。あとは入ってきてくれた方と楽しくやりたいです。」

(2014/4/21 大越はじめ)