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あなたに、お福わけ。

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

東京・お茶の水の店舗とオンライン、2つの売り場を展開しているセレクトショップのRin(リン)では「ジャパンデザイン」の商品を取りそろえています。運営企業のライヴスが、Web担当者(ディレクター、デザイナー、コーダー、ライター)と、MD(マーチャンダイジング)担当者を募集します。

staff お茶の水駅の近隣に昨春オープンした商業スペースの一画にある施設「ワテラス コモン」。その2階の10坪ほどのスペースにRinが出店している。

日本全国から選んだ商品は、現代のライフスタイルにあうデザインをそなえながら、職人の技術や伝統を感じさせる雑貨たち。

数百円から5000円くらいまでの品ぞろえが中心で、贈りたい人の顔を思い浮かべながら、ちょっとしたプレゼントを選べる店としてチェックしておきたいような場所だ。

まずは、事業開発部長の蘓畑(そばた)さんに、Rinの歩みについてうかがう。

sobata 「もともと、Rinは国の中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が、5年ほど前から地域資源テストマーケティングとして取り組んでいた事業です。私たちはその事業をお手伝いしていました。『これからも産地のいいデザインを伝えたい』とライヴスが運営を引き継ぎ、お茶の水に店舗を引っ越したんです。」

以前の店舗に比べると、いまの店舗は数分の1の規模になったが、取り扱うアイテム数は500点あまりにのぼる。さまざまな商品が陳列されていて、ショッピングがたのしい。

fujisan 売り場のテイストには統一感があって、都心のオフィスワーカー、特に女性が気軽に買えるようなアイテムが並んでいるように思う。どういった視点で商品をセレクトしているんだろう。

「コンセプトも最初から練り直したんです。1つは『お福わけ』。お裾わけと違う、お福わけという言葉が日本古来からあります。いろんな議論をしてどんな店をつくろうかというときに、ふっと知ったんです。」

「もう1つは『自分へのご褒美』ですね。担当者が商品を選ぶ際の基準にしているかもしれませんが、顧客ターゲットに30歳~60歳くらいの女性をすえています。」

他のセレクトショップに比べ、Rinの仕事はもう少し“泥くさい”かもしれないとも蘓畑さんは言う。それって、どういうことですか?

「お店はかわいらしく、擬人化した女性を想定して売っているんですが、地域を足で回って、どうやったらこの商品が売れるのだろうか、と掘り起こす作業ですから。」

coffee ライヴスという企業についても教えてください。

「いまは海外向けの事業、たとえば海外で地域産品を展示販売するとか、食品やお酒のブランドを発信するといった他部署の仕事がメインです。これから3年以内にライヴス=Rinというブランドを確立するため、オンラインとリアルの店舗を強化したいと思っています。」

社員数は、契約社員や外部委託をふくめておよそ30名。そのうち、Rinには店舗、MD、Webなど、ぜんぶで9名が携わっている。

奄美大島出身の蘓畑さんは、大島紬などの工芸品を通じて、地域活性のしかけを提案する夢を以前から描いていた。

「この事業に出会わなければ、ここまで熱く地域のことを考えなかったと思います。廃れゆくもの、残っている文化、そうしたものを産地で目にすると、いろいろ考えますよね。」

Rinの人気商品に「職人醤油」シリーズがある。全国の醸造元の醤油を詰めたミニボトルだ。

「つくってる方の熱意によって、同じ規格のビンを全国に送ってお試しサイズの醤油をつくった商品です。これで1回1回、いろんな種類を試せるんですよ。」

shoyu 僕は、秋田県湯沢市の「みそたまり」(100ml)を購入。味噌の熟成によってできた液状の旨味成分らしい。こういう調味料があるなんて、知らなかったな。

「そこの社長とお会いしたんですが、地域を活性したい、若い人材を産地に入れたいという想いが背景にありましたね。彼はそれを貫き通していて、お互いシンパシーを感じるところしかやらないんですよ。」

さらに、その職人醤油からRinの基準で選んでいるという。

「うちはその中で保存料が入ってないものといった基準でセレクトして、安心安全なもの、誰に贈っても喜ばれるものを販売しています。」

Rinの事業では出張の機会も多そうだ。Rinの商品管理リーダーをしている染谷博美さんに、その様子をきいた。

someya 「取り扱いをしている富山県のブランドさんの記事をつくるため、工房を1泊で訪ねました。実際につくっている現場を見て、ビデオを回したり写真を撮ったり。その後は金沢に立ち寄って、できる限りのブランドさんを周って帰りました。」

どの担当も現場に行くのが大切なんですね。

「ええ。東京で開催されるギフトショーのときにお会いすることもありますが、現地で会うのとは違いますね。向こうの空気を感じると、ぜんぜん商品が違ってみえますから。」

相手の顔がみえるのは大事です。

「そうですね。商品を発注するときに工房を思いだしたりします。商品を依頼するときでも『この時期にこういう作業は忙しそうだよね』とか、『ちょっと早めにご連絡しておこうかな』ということがわかります。」

仕事を通じて、海外との連携もあるそうだ。

「小さい会社なので、Rinの事業部だけでなく、いろんな部署の仕事に関わることができるんです。先日は群馬のブランドさんで、お客さんとして学びつつ、取材しつつという感じで訪問しました。今度、私たちが台湾に行って、向こうの子どもたちにワークショップをするんです。ブランドさんが忙しい時期にあたってしまったので、私たちが取材をして、それを現地でやることになったんですね。」

osawa 大沢雅美さんは、入社したばかりで制作全般に携わっている。前職はWebデザイナーだが、紙媒体なども手がけている。ひとりで何役もこなすのが求められそうな職場ですが、どんな雰囲気ですか?

「女性が8割以上を占めていて、和やかな雰囲気です。いまオンラインショップがリニューアルされたり、Rinの事業自体も変化しているところなので大変なことも多いですが、いろいろなことに携われるので、仕事に魅力を感じています。」

Rinの店舗はお茶の水にあるが、ライヴスのオフィスがあるのは恵比寿と広尾の中間。Webスタッフの採用者は、こちらにいる時間が長い。

今回、Rinではオンライン販売に力をいれるため、Webを大きくリニューアルしようとしている。新しいサイト、大沢さんはどんなものになったらいいと思いますか?

「いいなって感じてくれた商品の、使いかたや楽しみかたを伝えるサイトですね。その先に、古くから伝わっている日本の技術だったり、ものがたりなどを伝えていけたらいいなと思っています。」

後半は、Rinで取り扱う商品ラインアップを決めるMD担当について、MDシニアプロデューサーである田中美咲さんにうかがいます。MD担当の上司となるのが田中さんです。

tanaka 前職では、全国に展開するデザインショップで13年、MDのチーフを経験したキャリアを持っている。現在は育児のかたわら、自宅とライヴスのオフィスの両方で勤務している。

「アパレルでもインテリア業界でもいいのですが、前職はMDだけでなく、店舗でバイヤーやアシスタントを経験している人も向いているでしょうね。Rinでは企画だけではなく、仕入れも担当することになります。」

全国から商品を探し出し、仕入れ、販売するRin。実際の業務では会社と店舗、取引先を往復し、月に1〜2回は地方に出張があるイメージだ。

この仕事にいちばん求められるのは、どんな能力なんですか。

「数字的な予測ができて、販売計画を立てて、管理ができることでしょうか。」

shop_up ヒット商品の企画力やセンスよりも、スケジュール管理の力が必要そうですね。

「MDという業務には、時間軸がいっぱい出てきますからね。来年のことも、3カ月後のことも、目の前のことも考えなくてはいけません。先週に起きた結果に対して、どうこれから考えるかも重要。やることが一杯になったとき、優先順位をつけ続けなくてはいけないプレッシャーはたしかにあります。」

最初は田中さんとふたりで業務にあたることになる。仕事になれたらひとり立ちすることになるが、いつでも田中さんにメールや電話で質問や相談できる環境だそうなので、安心だ。

「全部のことができないにしても、一緒に考えてやっていきましょう。そんなに心配せず、Rinの商品にひかれたら応募を検討してみてください。」

これからのRin、どんな店にしていきたいですか?

「もっと気持ちやライフスタイルによりそった、カテゴリーを超えた売り場をつくっていきたいです。『くつろぐ』というシーンで、いろんなカテゴリーを展開するとか。テイストをどうするかは、今でも悩んでいるところです。お客様目線をメーカーさんに伝えて、商品づくりに反映することもしたいですね。」

その1つが「りんちゃ。」というオリジナルの茶葉だ。地方の企業とこうした製品開発に挑戦できるメリットはうれしい。もちろん、売れない商品をつくることはできないが、こうした商品開発のチャンスもめぐってきそうだ。

「お客様の声をひろうために、どうやったら近しい関係になれるか。たとえばワークショップをやるとか、サービスや接客の仕方をあらためるとか、そういったところから、みんなでつくっている最中です。」

rincha 小規模な会社では、自分ですべてをやらなければいけないというシビアさはある。他部署の業務を手伝ったりすることも多いことだろう。

ただ、自分で将来的にセレクトショップを開きたいという目標を持っている人にとっては、ライヴスという企業が持っている情報と、田中さんからノウハウと経験値が得られるのは財産になると思う。ひとたび独立したら、短時間でひとり何役もこなすのは当たり前なのだから。

田中さんは、最後にこう語ってくれた。彼女はいま、自分でものづくりをすることにも関心が向いているようだ。

「私は、ものを『最後にさびしく売る』ことをしたくないんです。それはつまり、値引きをして売るということ。そうじゃない商売の仕方があるんじゃないかと思っていて。流行ばかり追うのでなく、ものを大切にして、つくっている人のことを伝えたい。より付加価値を持ったものを、自分たちでつくって、売っていくこともしていきたいです。」

shop 今後、RinではWebサイトの拡充と同時に、新店舗の展開も考えているそうです。動き出しつつある売り場に、スタートアップから関われる絶好の機会かもしれませんね。

(2014/4/7 神吉弘邦)