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放課後クリエイティブ

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高校受験、大学受験、そして就活を迎え、

「自分は何がしたかったのかな?」

そんな経験をした人も少なくないかと思います。

数え直すと、小学校から高校の間だけで12年間続けてきた勉強は、なんのためにあるんだろう。

どんな大人になりたいのか、どんな仕事をしたいのか。

「勉強自体は目的ではなく、自分と出会うきっかけ。」

そんな姿勢で営まれているソフィー学習塾は、新潟・長岡市にあります。

1 実は、個人的に塾にはあまりいいイメージがありませんでした。というのも、ひたすらに知識を詰め込んだり、授業に人を合わせるものだと思っていたから。

その文脈でいえば、ソフィーは学習塾ではないかもしれません。

代表の三浦さんは、こう話します。

「教育にとらわれず、あたらしいものをつくりたい人が、自分を活かせる場じゃないかな。」

ここで、記憶に残る放課後をつくる仕事です。

東京から新幹線に乗り、一眠りすると新潟・長岡市に到着。

2 ここは約30万人が暮らす、県内2番手のまち。

東京からは1時間半ほどで、駅前にはアーケード商店街が広がりつつ、少し車を走らせると、田園風景が広がる。

市街地ではさほど雪も降らず、雪国というイメージからは少し離れているかもしれない。

冬は日本酒をはじめ味噌に醤油、蔵の仕事がいそがしくなります。夏には、日本一の尺玉を打ち上げる長岡花火大会が催され、全国から人が訪れる。

駅からは歩いて8分ほど。

「どんなときでも教育を最優先すべし」という教訓を伝える米百俵という寓話もある市内一の進学校、長岡高校では卒業式が行われている。

すぐ隣に位置する白壁の建物がソフィー学習塾。小学生から高校生までが学んでいます。

外観、そしてインテリアも塾らしくない雰囲気だ。

3 長岡出身の三浦さんがソフィーを開校したのは1998年のこと。

三浦さんは中高と、野球部に打ち込んで授業中は居眠りをしているような生徒だった。

大学はアメリカに留学。人前で話して理解してもらうことに興味があったと言う。スピーチコミュニケーションを専攻した。帰国後は、学びを実践したいと思い、大手学習塾の講師に。

ここに、ソフィーの原点となる経験があった。

「定期テスト前の自習時間に、生徒が一番集中して勉強していたんですよ。何も教えないときに、学習が起こっているのを発見して。先生が教えすぎるよりも、自発性を促すほうがよいのでは?と思うようになりました。」

三浦さんは、生徒が主役となり、一人ひとりが自分から楽しんで学べる場をつくりたいと思った。

4. そこでソフィーが心がけているのが、「つめこむのではなく、頭にスペースをつくる」こと。

まずはリラックスできる空間づくり。

カーペットの色は集中力を高めるとされるライトブルー。植物も置かれている。クラス間の席移動も自由。BGMが流れ、お茶も用意されている。

5 生徒は学校で何時間も勉強した後にやってくる。勉強以外にも友達のことや、部活のこと。色々なことで頭がいっぱい。

「さらにつめこもうとしても辛いし、身にもなりづらいですよね。」

そこでまずは、生徒の考えていることを聞いていく。

「お腹いっぱいだと食べものも入りません。お腹を空かせたうえで差し出せば自然と食べたくなるよね、という考え方なんです。」

さらには勉強する内容も生徒が自ら選んでいく。

たとえば、明日は英単語のテストがあるのに、塾で数学の勉強をしても落ち着かないもの。それならば英語に切り替えることもできる。

ときには、勉強をしないことだってあるという。

「教室に来ては人生相談をして、留学について調べて帰ってました(笑)。ソフィーで過ごすうち、『自分が興味あることをやったらいいんだ』って気づいたんです。海外でスポーツのビジネスマネジメントを学んできました。」

そう話すのは、高校時代ソフィーに通い、後に講師となった山田さん。

6. 留学中に気づいたことがある。

「僕がやりたいことは、プレーを通して観客を感動させたり、観戦を通して一緒に感動することだったんです。同じことは、スポーツじゃなくてもできる。むしろ違うことのほうがいいなと思って。」

ソフィーに来て今年で3年目になる。

山田さんは、自分の経験も伝えつつ、生徒たちと一緒に考え、勉強していきたいと話す。

その背景には、世の中がどうなるかわからない、そんな不安も見え隠れする。

親の世代とも就職環境は一変した。これからの仕事ってどうなるの?ということは進路選択にも、勉強のモチベーションにもつながってくる。

けれど学校や塾を見ても、子どもたちが話せる場は、ほんとうに限られているという。

「進みたい方向が見えて、はじめて勉強する意味もわかってくると思います。親御さんの立場になれば、次の定期テストの成績を少しでも上げてほしい。その気持ちもよくわかります。一方で、考える時間は生徒にとっても、実は親にとってもほんとうに大切。その間の葛藤はつねにあります。」

「でもね、夢と勉強がカチっとはまると、成績もついてくるんです。やりたいことが見つかるとすごいですよ、一気に模試の点数が100点とか120点上がるんです。見ているこっちが感動します。こんな力眠ってたんだね、すごいねって。」

ここで、卒業生のちはるさんが現れた。

この日は長岡高校の卒業式。先生たちに晴れ着姿を見せたいと、雨のなかやってきたという。

7 彼女は、高校一年から一生懸命勉強をしてきたけれど、なかなか結果に結びつかなかった。「失敗したらどうしよう」という不安からセンター試験もボロボロだったそう。

そこで本番の受験まで2週間を切った日のこと。山田さんは、彼女に不安を吐き出してもらった。

「ひとしきり話を聞いたあとで『ダメだったらダメでいくらでも相談に乗る。一緒にやろう』と伝えると、ほんとうに表情がすっきりしたんです。そこからは立て続けに合格。5校全部受かっての、今日の表情です。いつカチっとはまるかはわかりません。根比べですよね。とことんまで寄り添っていく気持ちはあります。」

ちはるさんもやりたいことを見つけた一人。

ソフィーに来て、インプットばかりの学校の授業に疑問を感じたという。4月からは東京の大学で教育学部へ。夢は長岡の教育改革と話す。

8 ソフィーの生徒に対する姿勢がよく表れているのが、次の話だと思う。

「一番の主眼に置いているのは、人としての成長です。成績を上げること自体が目的になったり。もしくは、人間的成長を目指すあまり、成績が後回しになることも起きます。ソフィーは、成績の伸びという現実の課題をうまく利用しつつ、人としても成長できると考えています。きちっとバランスをとりながらやっていきたいんです。」

勉強を通して生徒は自信をつける。そして、やりたいことへ向かっていくことができる。

「ソフィーでは、子供たちが自分で目標を決めます。自分自身との約束なんですね。守ることで『わたしできるじゃん』と自己肯定感が確実に高まる。その経験があるから、あたらしいことに取り組むときに、『きっとできる、やってみよう』と思える。夢の実現につながるんですよ。自分にわきあがった思いを、実現できる大人になってほしいんです。」

ソフィーの塾講師は、もう一つの肩書きを持っています。それが“クリエイティブ”職。

生徒が楽しく学びたくなるような教材にイベント。そうした仕掛けづくりをスタッフでアイデアを出し合いながらつくっていく仕事です。

最後に話を聞いたのが、教室長でありクリエイティブプロデューサーの白根さん。

9 子供の笑顔を引き出せる仕事に就きたいと思い、ソフィーと出会う。

企画はどのように生まれるのでしょう。

「まず一人の生徒を頭において、どうすればその子が楽しく勉強できるかを考えていきます。一人を思い浮かべてつくると、他の子も楽しめるものになることが多いんです。」

ソフィーでは、“ミニレク”という希望者が参加できるクラスを色々用意している。

歴史のクラスでは、時系列に添った細長いマインドマップをつくり、3人チームで埋めながら覚えていくスタイルをとった。

10 ある男の子は、いつも予習ができずにいた。

そこでTVのクイズ番組にヒントを得て、早押しピンポンを企画。すると一生懸命勉強をするように。やり方一つで勉強が楽しくなったようだ。

クラス後には生徒の反応を振り返りつつ、次に活かしていくという。

「まずは僕ら自身が楽しむことも大切。つくる姿勢は、生徒にも伝わると思います。」

どこか塾らしくない塾、ソフィー。

こんな人と働きたいという。

「うちの仕事は、クリエイティブ関連の仕事をしたいと思っている人が自分を活かせる場じゃないかな。教えるというよりは、いろんなコンテンツを盛り込むことで生徒自身を促していくから。理想は、先生が何も教えない状態だと思っているんですよ。できることは、もっとある。」

どうすれば面白い企画が生まれるのか。スタッフのみなさんも試行錯誤している毎日。

あらたな仲間が入ることで、これまでのソフィーになかった企画にも取り組みたい。

働く環境も、大切だと考えている。

一つには、コーチングに認知心理学、積極的に色々な要素を取り入れていこうと心がけている。

クリエイティブ、という言葉はちょっと特別なイメージを受けるかもしれません。けれど、好奇心旺盛に色々と吸収し、つなぎあわせることからはじまると思う。

11 ベースとなる英語や数学の教科についても「模試トラ」と呼ばれる研修を組んでいるところ。働きながら身につけていってほしいと考えている。

「ソフィーの生徒は好きな質問ができます。裏を返すと、スタッフとしては、色々なボールが飛んでくるんですね。ここからここまで予習しておけば大丈夫ということではないので、最初は大変かも知れません。はじめはわからないところも多いでしょう。他のスタッフにも聞きつつ、協力してやっていきましょう。」

また、休みも大事。

「生徒は人として学ぶわけですよね。講師も肩書きではなく、人として関わってほしいんです。暮らしとの境目がどんどんなくなっていくような仕事だと思うからこそ、休むときはきちんと休む。これから、1週間の休みもつくっていくところです。」

休日の出会いが自分を豊かにし、仕事に返ってくることもあると思う。

勉強だけに特化することなく、一人の将来に寄り添う仕事がソフィーにはありました。

長岡の放課後からは、たくさんのことが生まれていました。

あなたはどんな放課後を描いていきますか?

(2013/4/10 大越はじめ)