※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
アクリルなどの樹脂素材を扱う益基樹脂(マスキジュシ)。樹脂製品の企画から設計生産、OEM製品の加工と並行しつつ、自ら『mass item』などのプロダクトレーベルを立ち上げ、さまざまなデザイナーとコラボしながらデザインをし、加工、直営店での販売をおこなっている。

店舗やブランドの運営に興味があったり、デザイナーや企業の人と関わりながらモノづくりの腕を磨きたい人に知ってもらいたい環境です。
秋葉原駅と御徒町駅の間の高架下にある2k540。ここには「日本」や「ものづくり」というキーワードをもとに集まった店舗が並んでいる。益基樹脂の手掛ける『トウメイ』というお店もその一つ。

お店全体を見渡すと、樹脂が使われてるの?と思うようなものも含め、普段なかなか見かけない商品が数多く並んでいる印象。
このお店はどんなものをセレクトしているのだろう。代表の吉田さんに伺った。
「僕はものづくりにずっと関わってきたのですが、ものづくりをやってきて感じることがあって。多くの人は特注品や一点ものに対して価値が高いという考えがあると思います。けれど、コモディティ化された量産品の中にも工夫されている製品ってたくさんあるんです。なので、僕たち職人の目線で、この製品面白いね、と感じたものをピックアップしています。」

益基樹脂のこれまでの歩みについてお話を聞かせてもらう。吉田さんは40代。製造スタッフも含め、30代の方が多い職場だそうだ。
「益基樹脂は創業が1977年で、わたしが2代目として代表になって11年目です。いまは樹脂をつかった装飾系の仕事を中心に、さまざまな分野の製品を製作しています。」
樹脂ときくと、部品や工業用品をイメージしたけれど、もともと装飾系の会社だったのですか?
「もともと先代がやっていたのは、工業製品ですね。機械の中に入っているような部品など、人目に触れないものをつくっていました。僕の代になってから、装飾系にシフトしていきました。」
いまは、たとえば施設のオブジェであったり、百貨店の化粧品売場に設置されたディスプレー台や、ショーウィンドーにつかわれる装飾品など、人の目に触れるものがメイン。

「もともと建築家を目指していたので、空間構成に関わるものにとても関心がありました。なので、父からこの会社を引き継いだとき、将来は人目に触れ、空間に影響を与えられるようなモノをつくる会社にしたいと考えていました。」
現在の会社の事業としては、樹脂加工・製品開発支援・小売りの分野と大きくわけて3つ。
「仕事の流れとしては、企画、開発、試作、製造、販売という流れ。企業の『こういうものつくりたいんだけど、どうしたらいかな』という相談をうけて、企画の段階から関わって設計をして試作して製造したり、ときには販売までアドバイスしていきます。モノづくりをトータルにサポートできるのがうちの特徴ですね。」
それに加えてオリジナルプロダクト。「mass item」がはじまったのが5年前。ブランドを発足させたのはなぜなのだろう。
「受け身ではなく、自分たちで表現し市場に発信してみたい、という想いがあったんです。そのためにも、OEMや難易度の高いディスプレーの依頼などをあえて受けて、積極的に技術を磨きました。」
自分たちのつくりたいものだけつくっていると、技術が偏ってしまう。難しい注文にも応えていくことで、自分たちの技術レベルや精度も上がっていく。大変なところでもあるけれど、いい相乗効果がある。現在もこのバランスは大切にしている。

トウメイに並んでいる全体の商品の中でも、オリジナルプロダクトの扱いは、2割程度。これを逆転させてオリジナル商品8割、セレクト商品を2割にしていきたいそうだ。
オリジナルブランドでのものづくりは、どんなことを大切にしているのだろう。
「いまこれが売れるから、同じものを樹脂でつくる、という感覚ではないですね。さまざまな素材にはそれぞれのよさがあると思うので、素材らしさを活かせる製品をつくろうとしています。」
たとえば、人間の静電気を通す樹脂の特性を活かしてタッチペンをつくったり、アクリル樹脂の特性である、光の反射を活かしたアクセサリーであったり。デザイナーのアイディアと、自分たちの技術を融合させながら製作をしている。
取材中に印象に残ったのが、吉田さんが多く口にした『全体をやりたい』という言葉。ものづくりに関して企画から製造、販売までトータルにおこなっているけれど、会社の雰囲気にもそれは反映されているようだった。
「僕たちは、いま既にあるものの中に自分たちのつくったものを並べるのではなくて、全体のシステムを考えて展開するというところに興味があるんです。それはものづくりにおいても、自分たちでなにか新しくはじめるときにも意識しています。」
たとえば、ガチャガチャの商品を開発しようと思ったときには、商品を考えるだけでなく、どうやってそれを売るかも考える。そして、それを売る入れ物を考え、販売機本体もつくってしまったり。ひとつの商品をつくるだけでなく、全体のコーディネートまでする。

「トウメイなどの小売事業をはじめて、まだ2年ほどです。日々試行錯誤する中で、こういっただろ、ああいっただろではなくて、誰もが公平に見えるように、曖昧なところをなくしていきたいと考えています。全体のシステムをしっかりつくることで、多店舗化をはかったり、大きくするときにもいつでも対応できます。」
ものをつくるだけでなく、ビジネスとして構築していくことも大切にしている。
これから新しく試みようとしていることはあるのでしょうか。
「Japanブランドとして海外に展開していきたいですね。いまのオリジナルプロダクトはミニアイテム中心ですが、今後は空間に影響力のある、もっと大きなものも作りたいと考えています。」
今回募集する、店長候補と製作スタッフについて。それぞれどんなことをするのか聞いていく。
店長候補に関しては、特にやってほしいことがあるそうだ。
「オンラインストアなど、webでの発信に力をいれていきたいと思っています。お店にあってオンラインストアにはのってないものもたくさんあるんです。そういったものを撮影して、イラストレーターやフォトショップで編集、更新してSNSなどで広報していってほしいです。」

その他にも、商品のセレクトや、オリジナルプロダクトの商品開発など、積極的に参加してほしいとのことだ。
「商品開発に関しては、形から考えるのではなく素材のよさや特性を活かした製品をつくっているので、知識と経験が無いと少し難しいかもしれませんが、アイディアなどがあれば提案してほしいですね。」
Webができて、将来自分で店舗を運営したい人などにはいい場所になるんだと思う。
「それと、他の雑貨店や施設にうちの商品を置きたいという依頼があります。そういうときに発注を受けて、本社とやりとりをしながら進めていってほしいです。」
続いて製作スタッフに関しても。こちらは製造統括をしている渡邊さんにお話を聞いた。意外な経歴の持ち主なので、お会いした人はどんなことをしてきた人なのか、直接聞いてみてほしい。
製作スタッフは日々工房で作業をすることになる。どんなことをしているのだろう。

いま働いているのは、美大出身の方や、工場で働いてきた人が多いという。経験などは必要になってきますか。
「設計をしたり工作機械を動かすのにCADをつかうので、CADスキルがある人がいいですね。あとは、手を動かしてものをつくることが好きな人。」
1つの製作物に、数ヶ月かかるものもある。毎日同じ製作物に向き合わなければいけないときもあるそうだ。

店長候補に関しては、代表の吉田さんがこう話してくれた。
「ものを売るということは、違うお店が隣にある場合、お客様にこちらを選んでいただく、ということですよね。それを受け入れられる人じゃないとだめだと思います。私は私だから、だめだったらだめでいいやっていうのではなくて、なんで向こうを選択したんだろうとか、なんで上司はこう言ったんだろうとか、考えたり、素直に聞いてくれる人がいいと思っています。」
製作統括の渡邊さんは、こんな製作スタッフにきてほしいそう。
「機械で削ってひたすら手で磨く、という作業が続くこともあります。それが楽しいと思える人でないと続かない仕事だと思います。なので、ちゃんと手を動かせる人がいいですね。」
「また、私たちはコンピュータ制御の機械と、ハンドクラフトの両方を組み合わせることを得意とした技術屋集団です。形を考えるだけでなく、さまざまな要素を建設的に考え、組み合わせることができる人にも向いていると思います。」
店長候補、製作スタッフともに、ロジックを大切にしているけれど、モノづくりに対してとても熱い部分がある。両方のバランスがわかる人に、はまる場所なんじゃないかな。

店長候補に関しては、アルバイトからはじめることもできるそうです。製品を企画して、自分たちでつくり販売する。この流れに飛び込みたい人をお待ちしています。
(2014/05/15 吉尾萌実)