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モノと人の間をゆるやかにつなげる仕事が増えてきているように感じる。ただ並べるだけでなく、モノとモノを組み合わせて新たな魅力を伝えたり、どうやってつくられたのか、その背景を伝えたり。
実家の裏庭で古い家具を修復することからはじまったアンティーク家具屋、ライジングプレナー。
国内最大級のECサイト、『ラフジュ工房』や、日本の伝統家具を販売する『和音』などを運営し、アンティークの家具を買い取りから修復、販売までをおこなっている。
そんなライジングプレナーでも、家具を販売するだけでなく、『家具と暮らしと人』をつなぐ役割が大きくなってきた。
7年目の今、ライジングプレナーでは、ひとつの転換期をむかえている。
今まで通り、家具の修復、販売をおこなうことはもちろん、春には新たにハウススタジオができる。
そこでは、例えば『みんながとびっきりの笑顔になれる和ダイニング』というように空間のコンセプトを決めて、一部屋まるごと自分たちの持っているアンティーク家具で部屋をつくる。
ひとつひとつ家具を並べて販売するだけでなく、アンティーク家具を組み合わせて、暮らしごと提案していく『RAFUJU ROOM』というサイトもより一層充実させていく予定だ。
ここに加わる人の個性や力で、ライジングプレナーの進化の仕方も変わっていくんだろうな。
事業拡大にともない、新たにスタッフを募集します。
募集する職種も様々。家具の修復するリペアの仕事や、暮らしの中でのアンティーク家具を提案していく、広報コピーライター、カメラマン、インテリアコーディネーター。そして、家具がお客さまに届くまでをサポートするカスタマーサービスの仕事まで。
どの職種にも共通することは、その仕事にまっすぐ取り組めるかどうか。
お話を聞きに、茨城・常陸太田市を訪ねました。
東京・上野から特急電車に乗り込み、水戸へ向かう。そこからは3両編成の水郡線に乗り込んで、常陸太田まで。
水戸ではビルが見えたけれども、だんだんと民家と田んぼが広がってくる。
駅からは車に乗り込み10分ほど。サイトの印象では、もっと賑やかな場所にあると思っていたので少し驚いた。建物の近くには看板も見当たらない。
入り口に、修理前と思われる家具をみつけて、ここが工房だとわかった。
奥から『カンカンカン』と、家具を修理する音が聞こえ、おそるおそる踏み入れると、中では、みんなもくもくと作業をしている様子が見えた。
工房の奥へと進んでいくと、『遠かったでしょう。』と、代表の岩間さんが迎えてくれた。
まず会社全体を案内してもらった。家具のリペアをする工房スタッフには、自分の工房がそれぞれ一部屋ずつあり、そこで集中して作業に取り組めるようになっている。そのほかの部署に関しても、しっかりと作業スペースの確保がされていたのが印象的。
お話を聞くために休憩スペースへ移動。普段はスタッフの方がここでお昼を食べたりしているそう。ここも広々としていて、気持ちがいい。
「しっかり仕事に集中できたり、ちゃんと休める場所がないと、いい仕事はできないと思うんですよね。環境づくりに関しては力を入れています。」
実家の裏で家具を修理するところからはじまったライジングプレナー。
会社の設立前は、岩間さん自ら買い付けたものを修理してオークションサイトで販売していた。事業が軌道に乗り、2007年にお兄さんと二人で会社を立ち上げる。
現在スタッフは25名。リペア担当や、カメラマンなど、それぞれ専門分野を持ちながら働いている。
どうしてこの仕事をはじめたのでしょう?
「もともとインテリアが好きだったんですね。骨董屋さんをまわって箪笥を買ったのがきっかけです。」
ECサイトを立ち上げる前は、買い付け、修理、撮影、販売まですべて岩間さんが一人で行っていた。
「毎日遅くまで実家の裏で作業していました。母に「もう帰ったらどうだ」って言われても作業の手がとめられなくて。これ以上一人でやると体力が持たないなと感じて、人を雇うことにしたんです。」
最初は、自分の仕事をやってもおうという考えから人を雇った。だから事業が失敗したら辞めてもらえばいい、という考えもあったそう。今のスタッフ思いの岩間さんからはまったく想像もつかないけれど。
「運が良かったんでしょうね。最初に入ってくれた2人が本当に一生懸命働いてくれるスタッフで。これは、自分が無能で商売が上手くいかないから辞めてなんて、とてもじゃないけど言えないなと思ったんですね。」
ここが岩間さんにとっての大きな転換点になった。
そこからは、自分とスタッフの働き方も環境もしっかりと考えるようになっていく。
「うちは 単純なんですけど、いい家具をお客さまに届けることが一番大切だと思っています。だから、年齢ではなく、能力や仕事の結果で任せる仕事や役割を決めています。なので『あの子が頑張ってるからやらせてあげよう』という雰囲気の会社ではありません。一番仕事ができる人がその仕事をやる。成果を出すためのプロ集団でいたいんです。」
年齢や入社時期なども関係なく、実力のある人がトップにたって仕事をする。そんな環境からか、仕事を一人前に覚えるまでは、出勤時間よりも早くきて、作業するスタッフも多いそうだ。
岩間さん自身は、リペアの仕事が一番好きとのこと。けれども、事業の広がりとともに、現在は各部署をつないだり、リペアスタッフの家具の修理手順の相談などを主に行っている。
そして今年の4月からは工房の横にハウススタジオを併設する。
これからどんなことをしていくんだろう。
「今は、『ラフジュ工房』と『和音』というサイトで家具を販売しています。一つひとつ見てもらって、お客さまに気に入ったものを選んでもらう形なんです。」
「けれど、服でもそうですけど、自分で決められない人っていると思うんですよね。『こういうものが欲しいんですけど。』とコーディネートしてもらうような。そんなことを家具でもしていきたいと考えています。」
いいなと思う家具はあるけれど、どう組み合わせだらいいのかわからない。特にアンティーク家具には、家具ごとの個性があるからこそ、組み合わせが考えにくかったり、部屋にあるイメージがなかなか湧かなかったりすることもある。
「このサイトを見れば、自分の部屋をイメージしながら買い物ができる。そして、家具だけでなく、空間がどうなるのかまでイメージできる仕組みをつくっていこうと思っています。」
スタッフの方にもお話を聞いた。カメラマンの瀧さんと、工房長の遠藤さん。
瀧さんは、学生時代、写真を勉強していた。地元で就職先を探していたところ、ライジングプレナーを見つけたそう。どうしてここで働こうと思ったのでしょうか。
「たまたま新聞で、カメラマン募集していたのを見つけて。そこに、年功序列関係なく、若い人が活躍してるって書いてあったんです。その一文にピンときて、面接を受けにきました。」
働きはじめてもうすぐ2年。『RAFUJU ROOM』にのせる写真や、サイトの家具写真などを撮影している。
働きはじめてどんなことが大変でしたか?
「『RAFUJU ROOM』のはじまりから関わっているんですけど、最初は2人ではじめたんです。冬の寒い中朝早くに来て、家具をコーディネートしたり、雑貨をどう置くか考えたり、どう撮るのか、撮影に関しては、一人でやってたので、すごく大変でした。」
けれど、それをみていた別のスタッフの方が途中から『コーディネートをやりたい!』と手伝いはじめてくれたそう。
今回募集する広報コピーライターは、『RAFUJU ROOM』で扱っている家具の紹介や空間の雰囲気などを、サイトを通して伝えるための文章を書いていくことになる。
「スタジオができたら、毎日部屋の家具を入れ替えて撮影していきたいです。そして月に1回は、お客さんに来てもらって、家具を直接みてもらえる仕組みもつくっていきたいですね。」
次にお話を聞いたのが、リペア部門の工房長の遠藤さん。
遠藤さんは山形出身で、長野で家具づくりの勉強をしてきた。普段から工房スタッフに説明をしているからか、話しやすく、説明がとても上手い。
アンティーク家具って、古いものを直すこと。新しいものをつくるのではなく、古いものに興味がわいたのは、どうしてなんだろう。
「おばあさんの家に古いものがあって、こういう家具って、だんだん味が出て長持ちするんだ、と感じたことが原点だと思います。この先おばあさんが亡くなっても残っていくんだなって。」
家具の修理というと専門的な経験が必要そうに思えますが、経験は必要ですか?
「経験はいらないです。むしろ未経験の方がいいくらい。一つひとつ教えますよ。でも、ある程度したら、自分から聞いてこないと教えるってことはしないですかね。こちらから手取り足取り教えるという感じではないです。」
ここに入る人はどういう人が向いているんでしょうか。
「自分で考えて、話ができる人。上からの指示でこうしてって言われても、ほんとはこっちの方がいいんじゃないかなって思うこともあるじゃないですか。そういう時にちゃんと言えたり、しっかり話を聞ける人。でも就業時間に雑談したりする雰囲気はないですね。」
けれど、もくもくと作業をするだけではなく、自分で考えて、こうしたらもっとよくなるのではないか、という意見があれば、積極的に取り入れてくれる環境がある。
家具のリペアスタッフに関しては、買い取りでは重いものをもつことも多く、力持ちだと嬉しいそう。
みんな自分の専門分野を日々高めながら働いている。職人さんが集まっているような雰囲気がありました。
代表の岩間さんは、事前に知っておいてほしいことがあるそう。
「うちは働く時間は長いんです。休みも少ない。なので仕事の優先順位があまりにも下に来てしまう人や、趣味をするために仕事をしているような人では、続かないと思っています。」
スタッフの方も、半分は自分のための勉強だと思っていると話している人も多かった。
家具を一点一点修理する。カメラマンはその家具の個性を引き出しながら写真を撮り、インテリアコーディネーターは、コンセプトをもとに、暮らしの中でのアンティーク家具の空間を提案していく。文章などを通してお客さんに伝えるのが広報コピーライター。そして買い取りから販売の一連の流れを支えるのが、カスタマーサポートの仕事。
お互い尊敬しあい、高めあいながら働きたい人には集中して仕事ができる環境だと思う。仲間と切磋琢磨しながら、まっすぐに仕事をしたい人は、まず工房を訪れてみてください。
(2014/05/09 吉尾萌実)