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ひとつながり

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表参道駅を降りて青山通りを歩いていく。するとスパイラルのロゴが目に飛び込んできた。

建築家の槇文彦さんにより設計されたスパイラルは、30年近い月日をかけてこの場所から生活とアートを融合させてきた。ギャラリーに多目的ホール、レストランやショップで構成されており、常にその時代を切り取ってきた場所だと思う。

今回募集するのは、スパイラルの中にある生活雑貨のお店「スパイラルマーケット」で働く人です。

もしかしたら「そんな場所で働くなんてちょっと敷居が高いかも」なんて思う人もいるかもしれないけれども、まずは読んでもらえたらうれしいです。

温かくて品があり、自然体に働く人たちがいます。

正面の入口から入って、カフェやギャラリーの横を通る。いつも興味深い展示があるので、よく訪れる場所。

青山通りを眼下に眺めながら、ぐるっと大階段をあがっていくとスパイラルマーケットの入口に到着した。今は青山以外にも丸の内や二子玉川にもお店があるそうだ。

店内にはいると、なんだかきもちいい。

spiralmarket02 テーブルウェアやステーショナリー、バスグッズなどの生活雑貨がきれいに並んでいる。どれも美しく洗練されていながら、一つひとつを手に取ってみると、自分の暮らしに馴染んでいくようなものが多い気がした。

店内にいるスタッフのみなさんは手際のいい仕事ぶり。ただ、どことなく所作がゆったりとしているようにも見える。せかせかしているような感じはしない。

エレベーターに乗ってオフィスのある4階へ。

天井の高いミーティングルームでお話を伺うことになった。

仕事を中断して参加いただいたのは、スパイラルマーケット全体を統括している河井さん、入社3年目にしてバイヤーやプレス、ディスプレイを担当している岡本さん、そしてもうすぐ働きはじめて1年になる久世さんの3人。

ちょうどベテラン・中堅・新人というみなさん。

まず紹介したいのが中堅である岡本さんだ。明日締切の仕事があって、ちょっとそわそわしているとのこと。

まずはどうしてスパイラルマーケットで働くことになったのか聞いてみた。

「小さいころから絵を描いたり、ものをつくるのが好きだったんですよ。けれども大学では文学部に入学することになり上京しました。」

spiralmarket03 ところが1年生の終わりになって「将来どうしよう?」と考えたそうだ。

「このままだと自分がやりたい仕事ができないと思ったんです。だから大学を辞めて実家に帰りました。しばらくアルバイトをしながら学費を貯めて、服飾の学校に入ったんです。でも私は計算ができないから、パターンがうまくできなくて。」

「そんなときにスパイラルマーケットのアルバイトをはじめました。就職活動もしていなかったですし、卒業のタイミングで二子玉川店もできるということで入社しました。」

入社するまで、お店に対してどんなイメージがありましたか?

「そうですね。いい意味で品があって。デザインが意識された商品は多いんですけど、生活にとけ込みやすくて、永く愛用できるものが多いように思います。あとはお店の人が素敵なところかな。」

spiralmarket04 「この人たちが選んでいるからこそ、という空気感があるんです。働いている人たちに温かい印象がありますね。」

温かい。そうですね、ぼくは自然体な人が多いように感じました。

「自然体という言葉を聞いて、すごく納得しました。すごく自然ですよね。」

ところで岡本さんは、今はどんな仕事をしているんですか?

「今はちょうどディスプレイのテーマを考えているんですよ。だいたい数ヶ月前から段取りを決めてやっています。今は次の春のディスプレイですね。」

そのほかにも年4回発行しているシーズナルペーパーでは、季節ごとに提案をしたり、オススメの商品をご案内しているそうだ。

テーマ決めて、テキストを書くところまで、いろんなことを任されている。想像以上にお店のことはスパイラルマーケットのスタッフが考えて決めているようだ。

たとえば取材したときのディスプレイのテーマは「Letter from Flowers」というもの。

spiralmarket05 「春になる手前の、冬の気配を残しつつ、これから咲き始める、花々からの便りを感じられるようなもの」をイメージして、岡本さんが考えた。

どういうことに気をつけて仕事をしているのか聞いてみる。

「私はなるべく単語ではなく、センテンスとして伝えたいと思っているんです。」

センテンス?

「お客さまの暮らしにどうつながるのか、とか。」

なるほど。文脈を伝えるというか。

商品がただポンっと置いてあるのではなくて、どういう商品で、生活のなかでどう活きるのか共有する。

ちゃんと作家さんと売り場がつながっているように感じた。

spiralmarket06 さらに働く人たちと作家さんの存在も近いそうだ。作家さん自ら店頭に立たれることも多いし、作家さん同士もこのお店を介してつながることも多い。

本当に作家さんや商品、そしてお店やスタッフがつながっているように感じる。マニュアルやコンセプトに合わせて、ただ商品を売っているだけじゃない。

「自分もバイイングを担当しますが、別のバイヤーから新しい商品の説明を受けるときもワクワクしますね。そのときに感じたワクワクをお客さまにも伝えたいです。そのためには自分もその商品についてよく知らないといけなくなります。深く知っていくと、自分の中でも新たな興味が生まれます。趣味が増えていきますよ。」

さて次に紹介するのは新人の久世さん。まだ働いて1年という彼女もまた、いかにして商品や売り場をお客さまとつなげるか考える人だった。

もともと美大出身で、ファッション造形学科に通いながら、服よりも小物や雑貨をつくることが好きな自分に気づいたそうだ。

「もともとスパイラルマーケットが好きでよく行っていたんです。それで青山に本店があることを知って、求人募集をしていたので応募したのがきっかけです。学生のころは、ただ『きれいに見せる』ことだけを気にしていましたけれど、どの商品が売れるのかわかるので、結果がでるとやりがいあるなって思います。」

spiralmarket07 今は食器やインテリア雑貨のカテゴリーを担当しているそうだ。自らディスプレイも考える。

「はじめは要領もわからなくて、すごく時間がかかっていたんです。でもチームで協力し合ったり、先輩に教わったりしながら回数を重ねていくうちに、だんだんわかってきてすごく楽しいです。」

久世さんの話を横で聞いていたのが、ベテランの河井さん。青山店で働きながら、すべての店舗を統括している。

ちょうどこの日は各店の店長さんたちとランチを食べていたそうだ。

どういう気持ちで仕事を任せているのか聞いてみる。

「みんなを信頼しているんですよ。私がやっても正解があるわけではないし。もし間違っていたら、直してみればいいよ、って思っています。何度も何度も繰り返していくと、だんだん感覚は合ってくるんです。でも完璧はないです。久世であっても、岡本であっても、私であっても。」

spiralmarket08 そんな中でも何か大切なことってありますか?

「そうですね。1番大切なのは、ものをしっかり伝えることですね。」

ものをしっかり伝える。

「作家さんや職人さんにより過ぎてもいけないし、お客さまとの中間の目線が必要になります。たとえば、商品をたくさん見ていると目が肥えてきちゃって、何を見ても新しいと思えなくなったり。でも中間の目線は何年経っても忘れてほしくないです。」

そんな河井さんも、前職では外回りの営業をしていたそうだ。どうしてスパイラルマーケットに?

「自分の人生を考えていたときに、『自分の興味があることを仕事にしよう』と思ったんです。でも自信がなかったから、まずは1年間学校に通ったんです。」

「いろいろなお店を見ていて、スパイラルマーケットで働きたいと思いました。小さなお店もあったんですけど、しっかり働きたかったんですね。上を目指していきたいというのがあって。それは偉くなる、ということではなくて、責任をもって働きたかったんです。」

店長を経て、今ではスパイラルマーケット全体を統括する立場になっている。

話を聞いている中で、スパイラルマーケットには「長く働く方が多い」という話になった。なぜなのだろうと思って、河井さんに聞いてみた。

「なぜなんでしょうね… 」

「うーん」と少し考えてから、河井さんはこんなことを話してくれた。

「自分のやりたい仕事をしていても、人間関係が原因で辞めてしまう人っていると思うんですよね。でもここにはそういうことがびっくりするほどなくて。それも極端だから、どうなのかなー、と思ってしまうけれど(笑)。」

spiralmarket09 「ただ、よくよく考えてみると、人間関係がいいのは、この職場では当たり前のことのように思います。」

どう人間関係がいいのだろう。

新人の久世さんの話にヒントがあるかもしれない。

どんな人に来てもらいたいか久世さんに聞いてみると、こう話してくれた。

「私はやわらかい人が来てくれたらいいと思っています。」

やわらかい人。

「私はすごい田舎で育ったんですよ。田舎ではやわらかい接し方をする人が多くて。でも東京はがつがつしているんですよね、自分にとっては。」

spiralmarket10 やわらかいって、どういうものですか?のんびり仕事をする、というものではないのでしょうけど。

「ふわふわしているやわらかさ、というより、コミュニケーションの取り方です。」

ものすごく伝えたいことがあっても、声を荒げることがいいとは限らないですものね。

「お互いに気持ちよくコミュニケーションを取り合うことだと思います。そうするとチームワークがよくなって、その場が楽しくなる。気を使いすぎて伝わりづらいときは反省するのですけど。」

ほんとうに働いている人も温かくて、自然体なんだな、と思いました。作り手とお店、そしてお客さまともつながっているし、スタッフ同士も風通しがいい。

そんな背伸びしない感じがお店にも表れている。

最後に河井さん。

「スパイラルマーケットで働くことに興味がある方もぜひお店に来て欲しいですね。もともと知ってくれていたらもっとうれしいですけど。」

もしスパイラルマーケットに興味があれば、ぜひお店を訪ねてください。

spiralmarket11 ちゃんとつながり、つなげること。

それがスパイラルマーケットで働く人の基本的な姿勢だと思います。さらにもっと知りたくなったら、ぜひ応募してください。自分もお店も作家さんも、ひとつながりになる職場だと思います。

(2014/5/10 ナカムラケンタ)