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居場所をつくる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

九州の玄関口、小倉。

小倉では、まちで働き、暮らすひとが増えはじめている。

その流れが生まれたきっかけは、このまちに本当に必要なことを考え、気づき、行動してきた人たちがいるから。

滞在的にまちに必要とされていたことを、リノベーションや不動産オーナーをサポートすることを通して実現してきた人たちがいます。

それが北九州家守舎

1 たとえば、小倉のまちでビジネスをはじめたい人のニーズにまちが応えきれていないと感じたら、用途や賃料をオーナーに提案し、環境を整え、さまざまな人が気軽に使える場所をつくったり、不動産をまちで必要とされている形に合わせて蘇らせている。

先端的なリノベーションで全国から注目を集めるこのまち。その立役者となっている北九州家守舎が、飲食店に特化した新たなスタッフを募集します。

日本仕事百貨でも何度か募集をしている北九州家守舎。ご存知の方も多いと思う。

今回募集するのは、家守舎が新たに夏にオープンさせる飲食店で、お店の中心となり働くメンバーと、アルバイトスタッフ。

飲食店というより、飲食を通して人が集まる場所をつくる、と言ったほうがあっているかもしれない。

飲食店での経験は問わないそう。話を聞いて、ピンときて、飛び込めるかどうか。そのくらいの行動力がある人ならば楽しめる仕事だと思う。

家守舎の拠点となっているのが、まちの中心街にある魚町銀天街と魚町サンロードという2つの商店街に挟まれた中屋ビル。

2 1階、2階は、小倉のクリエイターや商店主が集まり活動しているスペース。ここは家守舎代表の嶋田さんが、家守舎設立前にオーナーと掛け合いながら、どうしたらまちにとって有効で、魅力的な場所になるか考え、賃料とスペースを小分けにして、小倉で商売をはじめたいクリエイターに向けた場所にした。

新しくできる飲食店はこのビルのすぐ横のスペース。

どういった流れでの中で、この飲食店が生まれることになったのだろう。

家守舎の事務所でお話を伺った。こたえてくれたのは、小倉駅でフリースペースを併設した「café causa」を運営し、家守舎の創設メンバーである遠矢さん。

3 「この土地のオーナーから、『ここをどう使っていいかわからない』という相談を受けていました。一度、火事になって更地になっていた場所なんです。またビルを建ててテナントをいれるのも非現実的だし、せっかく商店街にあるのだから駐車場にしてしまうのももったいない。」

この場所は魚町サンロードという商店街に面している。並列に延びる魚町銀天街とくらべて華やかさはないけれど、長く続いてきた場所という雰囲気がある。

「家守舎のこれまでの事業実績と、監査役が商店街組合の理事長であるといったことから家守舎を信頼してもらい、オーナーさんと、この土地とまちにとって価値のある活用方法を考えていきました。」

そこで、飲食店へ?

「魚町サンロードって、中心街と比べると、ちょっと暗い印象を感じてしまう通りなんです。それは、アーケードによって日光が遮られてしまっていることが大きいのですが、実はアーケードを維持管理することも大変。将来の明るい通りづくりのために、商店街の方々と話し合い、アーケードを撤去する計画が動き始めました。日光降り注ぐ明るい通りになったら、印象も大きく変わるはずです。」

人の流れを変えて、笑顔あふれる通りにしたい。そのためにも人が集まる場所として飲食店にすることになっていった。

そして、土地のオーナーと話を重ねる中で、この土地を商店街が借り、建物を整備。その建物を家守舎が借り、設備投資をし、運営を担当する仕組みをつくった。

4 「普通は間に人がたくさん入ると、経営上成り立たないことがありますが、ここはオーナー、大家、家守、みんなが歩み寄っていってるんです。信頼関係に基づいて、運営する側は運営リスクを抑えることができ、大家が損をしないという仕組みをつくっています。盛り上がれば盛り上がるほど、みんながちゃんと潤う、そういう仕組みです。」

オーナー、商店街、家守舎の三者の協力があるからこそ生まれることになった飲食店。

どうしてまちの人たちが結びつき、日々どこかで何かが起きているような場所になったのだろう。

5 同じく家守舎の創設メンバーであり、北九州市立大学の准教授でもある片岡さんに話を伺った。
このまちにはどういう人たちが集まっているんですか?

「ここは、高層ビルが少ない場所です。なので、事業者数がある程度限られていました。その割に広いスペースしか貸し出されていない。そこでスペースを小分けにして、たくさんの人が入りやすい環境をつくりました。そうすると、その人たちって自然と顔見知りになっていくんです。なので、知ってる人がいるまちに、今変わっているところ。このまちでなにかやると、どんどんみんな仲間になっていく。」

飲食店は、どういう場所になっていくのでしょうか。

「コンセプトは『人の居場所をつくる』こと。この通り自体のリノベーションも北九州市と一緒に進めているのですが、アーケードを外したあとのこの通りは、公園のような場所になる予定です。緑を増やして気持ちのいい、子どもも含めていろんな人が集まってくる場所にしていきたいです。」

6 (リノベーションスクール提案時のパース)
居場所をつくる。

インタビュー前に、飲食店が建つ予定の場所をみたけれど、日当りがよく車が5、6台は停められそうな広さがあった。

お店の雰囲気などを教えてもらえますか?こちらは飲食店の経営もしている遠矢さんにふたたび答えてもらった。

「お店自体は、バルのような雰囲気の場所になる予定です。土地をめいっぱい使うのではなく、手前は芝生が広がるフリースペースにします。日当りのいい空間なので、芝生の奥にウッドデッキをつくり、外の空間に客席を30席ほどつくります。その横には厨房機能をいれた魅力的な外観のコンテナ店舗になる予定です。」

通りに面し、日当りのよいこの場所。アーケードが取れるのはまだ先だけれど、アーケードがとれたら通り一面にも日差しが降り注ぎ、緑も増え、気持ちのいい場所になるだろう。きっとこの店は魚町サンロードの“顔”になると思う。

「そう、あとはこの場所を自由に楽しんで欲しいです。みんながここを使いたくなるようなことを一緒に考えていきたい。たとえば、仕事百貨がやっているリトルトーキョーのコクラ版をやるとか、しごとバーをやるとか企画してやっていってほしい。」

7 美味しいものを提供することは当たり前だけど、寿司の職人さんがきて、最高に旨いものを極めていく店というのとは少し違う。それよりも人が集まりたくなる仕組みをつくって、それを推進していく役割の大きさがある。

もう一人、ここで働く前に知ってほしい人がいます。

家守舎で働きはじめて、8ヶ月の東郷さん。

話すとその場がぱっと明るくなるようなそういう雰囲気を持っている人だ。

8 (写真左:片岡さん 右:東郷さん)
今回は地域を問わず、「このまちで働きながら暮らしていくっていう人がきてくれると最高に嬉しい」とのこと。東郷さん自身も以前住んでいた東京から、家守舎で働くにあたってはじめて小倉に来た。

この場所での生活について。小倉はどんなまちなのだろうか。

「地元は大分で、東京で建築の仕事をしながら働いていました。小倉には、都会のイメージを持っていたんです。そのときのイメージできたら、そんなに都会じゃないなっていう感覚を持ちました。なんというか、無骨なまちです。」

無骨?どういったところが?

「旦過市場っていうバラックみたいな市場を背景に、モノレールが走っていて、その後ろにタワーマンション。めちゃめちゃな景色は、このまちならではだと思います。古いものも新しいものも混在しています。」

インタビュー前に、他の家守舎メンバーからフットワークが軽いと紹介されていた東郷さん。日々、どんな風に働き、暮らしているのだろう。

「会社の中でも、アートプロジェクトやリノベーションスクールなどがあって、面白い人がたくさん集まってくるんです。自分の仕事とは直接関係はなかったりするんですけど、その人たちについていくと面白いことが起きそうだなと思って小倉を案内しながらついていくんです。」

「それと、建築をやってきて、自分で住むところは自分でリノベーションして住みたいとずっと思っていて。いまは仕事を通したリノベーションをした古民家に住んでいます。そういった意味でも、仕事のオンとオフはほとんどない生活をしていますね。」

9 仕事と暮らしが密接に関わった生活になるんだと思う。もし今回入る方が希望すれば、リノベーションした古民家に住むことも可能だそう。

どんな人と一緒に働きたいですか?

「いま僕は27なんですけど、20代で面白い人と、このまちでそこまで出会っていないんです。30代はたくさん面白い人がいるので、20代でそういう人が増えて、一緒になにかできたらいいなと思うんです。個人的には、年齢の近い人が来てくれるといいかな。」

クリエイターたちの入居しているビルのすぐ横に位置しているからこそ、ランチではそんな彼らのものづくりの話を聞いて、イベントを企画していったり、夜は家守舎のプロジェクトの打ち上げやパーティーするときに利用される場所になることも想像つく。地元の人との結びつきもある場所だからこそ、商店街をつかってのイベントを企画したり、マルシェをしてもいいかもしれない。

片岡さんにも、どんな人に来てほしいか聞いてみる。

「人が好きで、わいわいやることに対して抵抗のない人であればいいな。」

こんな企画をしたいと考えたら、家守舎の人たちのネットワークを頼ることもできる?

「そう思ったころにはもうネットワークができてるような人だといいな。うちのメンバーもいつの間にか勝手にネットワークができてるような人ばかりなんです。」

遠矢さんはどうですか?

「僕はもう単純に、夢を諦めないというか、家守舎は、なにかをやりたいという人たちの応援をするためにできた会社だと思っています。飲食店をやりたいでも、場所をもって活動したいということでもいい。そういう思いがあるなら、諦めずにこれをチャンスだと気づいてほしい。」

10 北九州家守舎は自分ではじめたい人のための居場所をつくり、そのエネルギーでまちの新陳代謝を高め、まちに化学変化を起こしている。

躍動しはじめたこのまちのこの流れに乗ってみませんか?チャンスだと思ったらぜひ飛び込んでみてください。

(2014/05/30 吉尾萌実)