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場所をなめらかにする

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

三人寄れば文殊の知恵、という言葉がある。一人よりも二人、二人よりも三人集まったほうが、いいアイデアが生まれるというもの。

それじゃ集まったらいい知恵が生まれるのかと言えば、必ずしもそうではない。

今回募集するのは、集まった人たちをファシリテートして、新しいプロジェクトやコミュニティをつくっていくひと。

colab21 co-labは11年前に誕生したクリエイター向けのシェアード・コラボレーション・スタジオ、いわゆるシェアオフィスです。ここでは、入会したメンバーが日々の業務を行うオフィスとして使う他に、インディペントなクリエイターや地域で活動する人たちが集まることで、様々なプロジェクトが生まれたり、社会課題の解決に向かう活動をしています。

co-labではコミュニティ・ファシリテーターとイベントスペースを企画運営する人を募集します。日々の業務もしながら、人や場所、企業、アイデアなどをファシリテートして、編集して、生み出していく仕事です。

渋谷から東急線に乗って10分ほど。二子玉川駅のホームに降り立つと、目の前には多摩川がひろがっていた。河原にはジョギングしている人。緑も多くて気持ち良さそうだ。

改札を抜けると、ショッピングセンターの数々。人の往来も多い。

colab02 そんな二子玉川ライズという駅前複合施設の一角、駅至近にオフィスエリアがある。

立派なエントランスを抜けて、co-lab二子玉川のあるビルの8階へ。中に入ると、円形の広場のような空間が真ん中にあって、そのまわりにはオフィスやミーティングスペースが広がっている。一番奥の大きな全面窓からは多摩川の河川敷がよく見えた。天気がいい日は富士山や横浜の街も見えるという。

colab11 ここを訪れるのは今回が3度目。ぼくがこの場所に感じていたことは、多様な人が集まっていること。クリエイターはもちろん、沿線に住むオフィスワーカー、地元の商店主、若手の起業家、それにリタイヤメントした方まで。

そういった方たちがなめらかに混ざっていることで、気持ちよくコミュニケーションできる場になっている。さらにそこから様々なプロジェクトも生まれている。

なぜそんな場所が育ってきたのだろう?

多摩川が眼下に見えるミーティングスペースで、まずはそんな疑問をco-labの企画運営代表、田中陽明さんに聞いてみる。

「ここが単に集まって働く、という場所ではなくて、一緒に何か活動する、そしてそれを支援する場所だからだと思いますよ。」

colab12 単に場所としてのオフィスをシェアしているわけではないんですね。

「そうです。コスト削減や利便性が目的だった『レンタルオフィス』のようなものしかなかった時代に、co-labは生まれました。日本においてアーティストやクリエイターが活動するのに環境が整えられておらず、社会的地位が確立されていないな、と思っていたんです。だからまずは自分たちで、彼らの制作環境やサポートシステムをシェアオフィスというかたちでつくっていこうと考えたんです。」

まずは必要に迫られて場所をつくった。

「つくってみると、いろんなところに影響が及んだんです。コミュニティやプロジェクトが生まれたり。地域の住民たちと話したり飲んだり、そうやってはじまっていくんですよ。」

「そういうつなぎ役ができるのは、ぼくらが単なる『シェアオフィス』じゃなく『コラボレーションオフィス』だからなのかな、って思っているんです。人と人との関わりって、どんどん大切になってきていると感じます。」

たとえば、メンバーにスペースを提供してコミュニケーションを促すだけでなく、co-labとして請け負ったデザイン業務を、メンバーの内外から編成したプロジェクトチームで取り組み、新しい制作代理店のような機能を担うことも。10年以上積み上げてきた実績によって、最近増えているシェアオフィスやコワーキングスペースとはまたひと味違った場所になっていると思う。

colab04 だからこそ、コミュニケーションが活発化して、人がつながり、結果としていろいろなことが生まれているんだと思う。

その中心は、ここにいる「人」。彼らのファシリテートがあるからこそ、この場所は成り立っている。

中安さんもそんな一人。田中さん曰く、「もともとプロダクトデザイナーで、絵も描けるし写真も撮れる、さらに文章もかける」というマルチな方。

実は今回は中安さんの後任の募集となる。

まずはなぜここで働くことになったのか聞いてみる。

「もともと、ある公的な施設で、全体の運営に関わりつつ、ギャラリースペースのキュレーターをしていたんです。その後、運営体制も変わって辞めることになったので、自分でデザインの仕事などをしていたんですよ。」

colab05 「ただ、もっと人と関わるような、場所をつくっていくような関わりもできないかな、と考えていたんです。」

その後、co-labに興味を持って、二子玉川で働くことになる。

実際に働いてみてどうでしたか?

「ここはco-lab以外にもカタリストBAという顔も持っていて、一言で説明するのが難しいんです。いろいろな人たちが関わる場所なので、思った以上にややこしいところはありました。でもだんだん企画もまわりだしてきて、コミュニティも育ってきました。」

普段はどんな仕事をしているんですか。

「日常の運営管理業務と、あとは制作物もつくっていますね。紙ものとか、入居者を紹介する棚をつくることとか。イベントの対応もしますし、入居する方がいれば契約業務も発生します。」

colab06 「あとは、場や人の雰囲気をよく感じながら、合いそうな人たちを紹介して、いい距離感を保ちながらサポートする、ってことも大事な仕事ですね。」

ほかのco-labにくらべて、二子玉川はクリエイターに限らず、いろいろな人が関わるそうだ。

たとえば、コピーライターやエディトリアルデザイナーなどの、いわゆるクリエイターもいれば、クリエイティブワーカーとco-labで呼んでいる研究員や企業に属しながら企画的な仕事をしている人、ソーシャル・アントレプレナーのような人たちも多く所属している。

郊外ならではの人たちが集まっているし、だからこそ地域に溶け込んで面白い場所になっているように思う。入居者もほとんど口コミでひろがっているそうだ。

中安さんに、具体的にどのようにして人と人がつながっていくのか聞いてみる。

「プレゼン大会などを定期的にやっているんですが、お互いにどんなことをしているのか紹介し合うっていうのは必要だし、みんな興味があるので参加してくれるんです。話すきっかけにもなるし、あとはほぼ自動的につながっていくんですよね。」

「あとは、普通のことですが、立ち話ですかね。」

立ち話?

「コネクティブキッチンという名前のカウンターがあって、そこでみんな休憩しているんですけど、何人か集まると自然に会話がはじまるんです。」

colab07 雑談するにはいいですね。

「すぐ隣には冷蔵庫があったり、ゴミ箱があったりして、ちょっとした用事で集まりやすいんです。そこで人が集まると、会話がはじまります。」

なるほど。もし話に入っていない人がいたらどうしますか?

「まだ入ったばかりの人とか、ちょっと声かけたりしますね。でも声をかけにくそうなときはほっとくこともあります。その辺りは様子を見ながらですかね。」

「ただ、この仕事はそうやって、今まで関わったことがない人と話す機会も多くて面白いんです。ぼくはデザインやものづくりの仕事をしていたので、ビジネス的な視点とか『ああ、なるほどな』と思うことがあって、よかったです。」

ほかのco-labよりも二子玉川は多様な人たちが集まる場所のようだ。

そんな話をしていると、co-lab二子玉川で働くもう一人のスタッフ、佐中さんもどんな人がいるのか教えてくれた

「人によってタイプは違うんですよ。おしゃべり好きな人もいれば、作業に集中して1時間で帰ってしまう人もいらっしゃるし。自分がどう関わるかは雰囲気を読むというか。」

colab08 佐中さんも中安さんと同じように、もともとはクリエイターを目指しつつも、人と人の間に入ることに興味を持って自分の仕事にしようと考えた方。

大学ではグラフィックデザインを勉強していたそうだ。

「在学中から、自分は制作するよりも、人をサポートしたり、裏方が向いていると思ったんです。だからそのまま大学に残って、学生や先生のサポートをしていて。しばらくしてから、co-labの募集を知って入ることになったんです。」

なぜco-labに入ることにしたんですか?

「そうですね、2年半前、どんなふうに思っていたかな… こういう仕事って、そんなにない気がするんです。ここはクリエイターさんだったり、新しいことをはじめている方が多くて、その人たちをサポートする仕事って、やりたくてもそんなになかったんですよね。」

「でも大変なこともあって。いろいろな人たちが関わっているからこそ、すべてを飲み込んで、全体を俯瞰して見る目も必要なんです。どういう立場で関わっているのか知ることで、コミュニケーションも変わってくる。それがわかるようになったのは、働きはじめて結構たってからですね。」

colab09 大変なところってありますか?

「そうですね。いろいろな人が出入りする場所なので、なかなか顔と名前をおぼえるのが大変です。でも、じきに慣れますよ。」

この場所に、多様な人たちが集まってくるのは、やはりファシリテーターによるところが大きいのかもしれない。

ちょっと気づいたことがあれば声をかけたり、間合いをはかったり。地道なところから場所は育っていく。

最後に代表の田中さんはこんな話をしてくれました。

「単なるシェアオフィスじゃなくて、これからは集まる目的をよりはっきりしていこうと思っています。さらにそれがどのように地域に還元されるか試しているところです。これからはそういう傾向が強くなっていくのかなって思って。」

そうですね。集まる目的がはっきりすれば、よりコラボレーションも進みそうです。

「ぼくらって、いろいろな人や企業と関わることが多くて。一緒になって並走していく役割を求められているんです。だからこそ見えてくることって結構あるんですね。メンバーだけじゃなく、地域や外部の人と関わるからこそ、できることがあるんです。」

colab10 間に入る。隙間を埋める。外から見る。人と人をつなぐ。組み合わせて編集する。

ここで働くことは、この場所に集まってくるヒト、モノ、コトの間に入って、なめらかにしていくことなのかもしれない。

一つひとつは地味なことだったりして、縁の下の力持ちだけれども、大切な仕事です。

あとクリエイティブな仕事をしている人じゃなくてもいいそうですよ。どんな経験も役に立つと思うので、人と関わることが好きな人は、ぜひ応募してみてください。二子玉川だけではなく、千駄ヶ谷などほかの拠点でも募集しています。

(2014/7/22 ナカムラケンタ)

※千駄ヶ谷のco-labは個室(ルーム)単位での会員制度もあるため規模が大きく、メンバーの数も100名程度と多いため、50名程度の二子玉川とはまた違ったコラボレーションの形やスペースの雰囲気が作られています。こちらは週2日か3日勤務するコミュニティーファシリテーターを募集しています。