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不思議な魅力のグッズを生み出しているケンエレファントは、デザインもするし、企画もする会社です。ゼロから企画をたち上げるやりがいが得られる、プランニングディレクターと、デザイナー職を募集します!神保町の閑静な一画にあるケンエレファントは、創業15年を迎える企業。15人ほどのスタッフが、ゆったりした広さのオフィスで働いている。
玄関ではオリジナルで企画したフィギュア「マイスイートモンスター」がお出迎え。あちこちにフィギュアや玩具、カラフルなグッズがあふれている。これらすべてケンエレファントが関わってきた商品だ。
社長は、石山健三さん。ケン・ゾウだから、ケンエレファント。
北海道の大学で酪農を学んだ後、東京のデザイナーズブランドに入社。その後、大手商社の子会社へ転職する。時代はバブルまっ盛り。
「超満喫した世代ですよ。 普通の商社マンがひと晩で何十万円も派手に使うのに便乗しました。雲の上の絨毯にものったし、一流の会社の中身も体験できたし。日本経済の表と裏をすみからすみまで見られて、たのしかったです。」
ほどなく夢の時代は終わり、飲料メーカーとボトルキャップによる販促キャンペーンなどでコツコツと仕事をしてきた。
その10年後、独立の機会がやってくる。大きなビジネスチャンスを見つけたんですか?
「逆ですよ。『キミのやっていた業務、もう仕事ないからつぶしますよ』と。商社というのは、こうやって事業ごと清算していくんですね。『自分でつくった商圏は持っていっていいよ。資金面は支援しないけどね』と言われ、やむなく独立しました。」
それでも、すぐにチャンスがめぐってくる。独立直後に知りあったのが、後に大ヒットするフィギュア入り菓子「チョコエッグ」で有名になった、造形集団「海洋堂」だったのだ。
有名なSF映画のキャラクターを使ったボトルキャップは、買い占めが起きるなどの社会現象になった。
「チョコエッグが大ブームになって、自分のところは海洋堂のボトルキャップで新しいジャンルを築ける! と。うまく軌道に乗っていたんですが……」
うまくいきすぎたのかもしれない。公正取引法が変わり、事前に中味のわからないオマケが禁止されてしまった。
きっと山ほど在庫をかかえて、大変だったのでは?
「飲料メーカーの一括買いとりなんで、在庫はなかったんです。あぁ、そうか! 生きのびれたのは、在庫なかったからか。いま気がついた!」
大きなビジネスを失ってしまったにも関わらず、語り口は明るい。
その後、新しい可動関節のフィギュア「リボルテック」シリーズがヒットしたり、最近では「NEWSED(ニューズド)」という廃材を使ったプロジェクトも注目されたり、さまざまなものを手がけてきた。
企画はどうやってたち上がるんですか。
「最初はね、なーんにもないんです。だから、なんのしがらみもない。あるとき、僕は『フィギュアで観光PRができるんじゃないか』と気づいたんですよ。立体化したリアルなフィギュアでバーンと見せれば、PRがカンタン。こうしたアイデアを最初の武器にして、なんのツテもないところに飛びこんでいくんですね。」
石山さんは、こんな「ゼロ」の状態を何度も経験しているんだろうな。そこに仕事の面白さをたまらなく感じているんだと思う。
「みんなが気づいていない『見かたを変えればこんな面白いコンテンツになる!』というものを世の中に提示するんです。自分たちで『これはいい』とか『こういうライセンスだったらほしい』というものを発掘して、権利をとってきてグッズにするとか。」
いまのイチオシが「蜜猟(みつりょう)」。出版社の漫画や雑誌のコンテンツを、新しいデザインと掛けあわせたオリジナルレーベルだ。
ドラァグ・クイーンの学習ノートとかもあって、本当に自由な感じ。
ここからは、現場の青山雄二さんにうかがう。今年入社9年目の34歳。肩書きは「スーベニア課」のプランニングディレクター。
今回募集する職種の1つが、青山さんの業務をサポートするプロジェクトマネージャーだ。
「いま、新千歳空港で『フィギュア土産』というガチャガチャを展開しています。ご当地の情景や建造物をフィギュアにして、空港などの施設限定で販売するんです。8月末からは羽田空港版の『東京フィギュア土産』も始まります。」
全国に広げられそうですね。
「ええ。京都、奈良、沖縄と続ける計画です。機械の設置場所からお金の回収、商品の補充、現地での盛り上げ役までやってもらう人を見つける必要がありますが、キーパーソンが地元に必ずいるんです。」
「ただ営業するんじゃなく、コミュニケーションを密にとって、こちらの主張を通しつつ。なんとか実現できるよう、突破していかなければならないのが大変です。」
隣りで、石山さんが「突破力!!突破力!!とデッかく書いて」と叫ぶ。
それを慣れた感じで流す、青山さん。
「うちの会社の『世界を面白くしていく』という経営理念のもと、自分で事業をつくる、仕事をつくるのが役割だと認識しています。」
「無謀に行ってもダメですよ。この人に会いに行けば機械が置ける、というプランは組めないと。出張から帰ってきて『なにもなかったッス』とか、もってのほか(笑)。地方によって商慣習が違うし、こちらの顔を立てなきゃいけないとかもあるし。そういうものを含め、全体を動かす仕事です。」
企画して組み立てる。ほとんど映画のプロデューサーみたいな感じですね。
「近いですね。たとえば、1000万人くらいの観光客数があって、ちゃんとその統計に基づいてガチャガチャを置いたらお金が回るか、という判断ができないといけないから。」
もう1職種、同じスーベニア課に配属されるデザイナーの募集もある。手がけるのは、主にグラフィックデザイン。デザインアシスタントとしての業務から始まる。
先輩となるのが、樽見 純さん。
「新卒で前の会社に3年間ぐらいいて、9カ月ほどフラフラした後はもうずっとここです。24で入って今36歳なので、干支を一周しました。」
どんなお仕事をしていますか?
「ライセンスのグッズをあつかう仕事では、まず使える素材や絵を選んで、デザインの方向性を確認します。具体的にどう落としこむか決まったらデザインをして、OKが出たら入稿です。その後、パッケージや取扱説明書などをつくります。」
一般的なデザイン事務所と同じですね。
「そんな作業に加えて、うちでは『どういう仕事内容をつくっていこうか』というところから考える場合も多いです。『店舗でこんなイベントをやったらどうだろう』とか。」
どんなデザイナーが向いていますか。
「Mac、イラレ、フォトショが使えて、グッズのデザインや、アイテムの企画、商品企画をやりたい人なら。扱うのは、真面目なものから不真面目なもの、アニメファン向けのものまで幅広いです。『そのときいちばん面白い』と思うことを見つけていきたい人には向いていますよ。会社が常に変化を続けていますから。」
決まった仕事だけこなしたいタイプは、しんどいですね。
「そう。変わっていく作業が楽しいと思う人がいいです。あとは意外と、これが好きって言わない人のほうが向いてると思う。もともと好きじゃなかったキャラクターも、デザインを手がけるうちにカワイイ!と思えてくることがあるし。」
樽見さんのデスク周りも拝見。デスクトップの壁紙は「私が好きないい男コレクション」がテーマだそう。
地層のように資料がたまっている人、よく整頓されている人、性格がよく出ているけれど、どの机もグッズが多いのは共通している。
強烈なこだわりはないミーハーな感じでも、楽しいモノに囲まれて仕事するのが好きなら、居心地がよさそうなオフィス。
シャイな社員が多いけれど、レンズを向けるとノリがいい。
帰りぎわ、ちゃんとタイムカードがあることに気づいた。制作会社にありがちなフリーさはなく、キッチリしているところはキッチリしている。
石山さんにその理由を聞く。
「以前、ノベルティを中心にやってるときはB to Bの仕事だから、納期がシビアで、みんな死ぬほど終わるのが遅かったんですよ。いまは自社がB to Cのメーカー的な動きになっているので、あるていどは仕事の時間がコントロールができているんです。」
ただし催事やイベントも多いから、そんなときは休日出勤がある。
こんな人に来てほしいというのは?
「明るい人じゃないとね。明るくて元気ならいいかな。明るくてしゃべらないと、うちでは辛いから。明るくて元気、あとは真面目ならいい。それから、好奇心旺盛で……」
どんどん増えてますけど。
「ははは(笑)。そのうえ、行動力があって素直!素直さは大事だなぁ。落ち着きはなくていいです、全然。マルチプレイヤーはまったく必要ないですね。」
どこか1つに秀でていれば。
「そうです。『直感に生きる!』みたいな人が必要です。青山くんは、それに秀でてるんですよ。」
入社前の青山さんは、バックパッカーだった。沖縄に1年住み、その後は半年間アジアを中心に世界を回り、帰国してからこの会社に来た。
青山さん、どうやってこの会社へ?
「普通に就職サイトを見て入りました(笑)。入ってみると、上司がいて課長がいて、という感じではなく、同僚だけど1つのチームみたいなんですよ。普通の雑談から仕事につながったりとか。」
いちばんの仕事のやりがいは、どこに感じていますか?
「僕は知らないところに行って、初めての人に会ったり、話したりするのが好きなので、そこでしょうね。」
「旅先で楽しそうな人たちがいっぱいいて『いいなぁ』ってなるじゃないですか。でも、自分は最初入っていけずに『どうしようかな』となったとき、『いーれーて♪』と言えるかどうか。その葛藤をした末に『やっぱり行こう!』となれるかどうかが大事だと思うんですね。」
なにもないところからの突破力を持つ人。そんな自信がある人は「いーれーて♪」と面接の門を叩いてみては。
(2014/7/24 神吉弘邦)