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就職を変える

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

岐阜駅前に広がる、さびれた繊維問屋街。一見寂しげなこの通りを歩きながらも、「この街はこれからどんな風になっていくのだろう」という予感が感じられました。

G-netのみなさんと歩いていたからだと思う。

住む人が変わることで、地域は変わっていきます。

名古屋から岐阜までは電車で約20分。思っていたよりも近い。駅から直結しているコンコースを歩くと、すぐにオフィスへ到着した。

G-netは岐阜を拠点として、インターンシップ事業を中心に、若者と中小企業をつなぎ、地域を元気にしていくNPOです。

仕事百貨とのつながりも深いです。パートナーとしての事業提携、そして多くの人が仕事百貨経由で入社をしています。

「『中小企業がいきいきすることで、その地域が元気になる』という思いから2004年にスタートしたインターン事業もここ2、3年でやっと軌道に乗り、今はさらにタテヨコ展開しています。ようやく社会や中小企業、学生を変えていけるスタートラインに立てたところです。これからほんとうに面白いと思いますよ。」

そう話すのは代表の秋元さん。

今回はそのタテヨコ展開に向けて一緒に働く仲間を募集します。

中小企業を紹介する冊子制作、大学での講義づくり、新卒採用支援など、様々なかたちで関わることになりそうです。

早速今後の事業展開について聞いてみる。

ヨコとは、他地域への広がりのこと。実際に三重、岡崎といった地域で事業をはじめてほしいという依頼が来ているそう。

「岐阜を元気にするしくみがつくれたら、日本全国の地方都市も元気にできると思っていました。ただ、G-netがフランチャイズのように拡大するのではなくて。あくまで地域を盛り上げるのは、地元の人です。その人がG-netで研修して地域に帰り、独自色のある組織を立ち上げてほしいと思っています。」

タテへの展開についてはこう考えている。

「僕らの足場である岐阜をどうやって元気にしていくか考えたときに、インターンの前と後にも取り組むことが必要だと思ったんです。」

前と後、ですか?

「前については、もっと多くの学生にインターンをしてほしいんですよ。僕らの基本は半年間の長期インターン。でもいきなりはじめにくいでしょう?そこで、夏休み・春休みのプログラムをはじめました。今後は1日の超短期の濃縮版インターンのようなものも考えています。」

「それから後。インターンってそれ自体が目的ではなくて、その経験をどう活かしていくかが勝負なんですよね。」

秋元さんは最近、インターンOBとこんなやりとりをよくするそうだ。

「インターン先のような企業に就職したいけれど、どうしたらいいかわかりません。」「どうして?」「中小企業の探し方がわからないんです。」「インターン先には就職は?いいんじゃない。」「いいとは思ってるんですけど… 」

「OBたちは不安なんですよ。インターン先には魅力を感じているけれど、他の会社を知らずに、本当にいい会社と言いきれるのか?もう少し周りを見てから決めたいと思うのはごく自然なことじゃないですか。」

そこでまずは、中小企業と新卒採用の実態を知ることにした。けれど県庁にも大学にも情報がない。それならば自分たちで調べよう!と、岐阜の大学生106人に調査してまとめあげたのが、『岐阜「中小企業と若者」就職白書』だ。

結果から見えてきたのは、意外な事実だった。

「大学生の約90%が中小企業への就職を視野に入れながら、実際にはほとんど就職していませんでした。なぜか。岐阜にある企業約83,000社のうち、リクナビに掲載している岐阜県本社の会社は200社たらず、1%にも満たなかったんです。ほとんどの会社を知らないまま、学生は就職活動をしているんですね。」

「さらに学生が仕事で大事にしたいのは、やりがい、会社の雰囲気、仕事に対する思いということも見えてきました。それって実はG-netが関わる中小企業経営者がすごく心がけている点なんです。つまり、求めるものはお互いに一致しているのに、出会う機会がないから就職できなかったんですよ。」

その気づきから生まれたのが、『キミはまだ99%の会社を知らない』という冊子だ。

担当しているのは、2012年6月に仕事百貨経由で入社した小堀さん。

「この冊子はあくまで学生目線なんです。読者層でもある学生が記者となり、自分の視点で感じた中小企業の魅力を伝えていきます。」

小堀さんは愛知出身。これまで東京や名古屋で情報誌の編集・ライターやライフスタイル誌のウェブ制作などに取り組んできた。

「東京で働いていたときは、趣味の延長線上に仕事がありすぎて、コントロールしきれなくて。終電帰りの毎日でした。暮らし方を紹介している自分がこの生活?という思いがあって。東日本大震災の後も、生活そのものが揺らいでいるのに、仕事ばかりしている自分がどんどん離れていく感じがしたんです。この先ずっとは続けていけないなぁと思って、居場所を地元に近いところに移すことに決めました。」

「それまでの転職では常に次の場所を探していて。ちゃんと、3年後に自分がそこにいることを想像できる仕事がしたいと思いました。そのときにG-netと出会って。自分が新しいことを知れるだけではなくて、編集を通して人や地元が変わっていける。その切り口がいいなと働きはじめました。」

小堀さんは、学生との関わりにおいて心がけていることがあるという。

「私から学生に視点を伝えることも大事だと思っています。学生を見ていると、『この技術はどうすごいんですか?』とか表面的な部分に目が向きがちなんですね。どうしてその技術を開発したのかという“思い”にも焦点をあてられるようになってほしいなと思っていて。」

たしかに、「相手の思いに触れて自分がどう感じたか」を大切にすることでその人の仕事観は育まれていくもの。

色々な人の働き方に触れて手本を増やすことで、自分はどんな風に働いていきたいのかが次第に見えてくる。

「かといって私が『思いを聞きに行きましょう』と先回りするのも違う。学生が自分で問いに気づけるように見守りつつも、伝えることは伝えていく。今は日々そのバランスを試行錯誤しています。」

G-netで働くうえで大切になるのは聞く姿勢だと思う。

学生に対してどんどんアドバイスをしていくのではなく、気づくきっかけを与えた後はむしろ学生の声に耳を傾けること。そして言葉になるまで待つこと。

植物にきちんと水と肥料をやり、日なたに置けば芽が出てくるように。学生も環境を整えることで自ら変化していけるのだと思う。

インターンの前と後についても、さまざまな展開をしていく予定だ。

たとえば地元中小企業への就職を望む大学生に対して企業紹介を行う“新卒採用支援事業”。

あるいは制作した冊子を教科書にしたり、中小経営者がゲストスピーカーとなって、大学で仕事について考える講義を開催したり。

冊子についても、第2弾の制作を進めているという。

様々な活動を通してG-netが目指していることを、秋元さんが話してくれた。

「“こんなに面白いのにみんな知らない中小企業への就職”をカッコいいことにしていきたいんです。就職観のパラダイムシフトをしたい。その先には、地域が元気になっていく姿を見ています。」

どんな人と働きたいですか?

「僕らの取組みは岐阜をよくするためにやっていることであり、日本を変えていくんだとわりと真剣に思ってるんです。その思いに共感する人と働きたい。色々な人がいてくれたらと思います。」

G-netの事業は、行きたいところは決まっていて、そこへたどり着く道は日々自分たちでつくっていくもの。

自分の強みがどう活かせるのか、提案していけるとよいと思う。

将来的に自分の地元に何かしたいという人も学ぶことは本当に多いと思う。

いずれの仕事においても軸となるのが学生との関わりだ。

そこで、インターン生と中小企業をつなぐコーディネーターの2人に同行してみる。インターン事業を統括している南田さん、そして2012年仕事百貨経由で入社した田中さんに同行してみる。

この日は、大学2年生鈴木さんのインターン初日。

インターン先は大丸松下食品株式会社さん。お惣菜をつくる100年以上の歴史を持つ会社だ。すでにインターンを実施している企業からの紹介で、今回がはじめての受け入れとなる。

人前で話すことにニガテ意識のある鈴木さんは、インターンシップ説明会の場で、堂々と話すOBの姿を見て「自分もこんな風になりたい」と思い応募を決意した。

そんな鈴木さんをコーディネーターとして見守るのが、田中さん。

「インターン希望の話を受けて、どうしてインターンしたいの?どんな風になりたい?ということをじっくり相談していきます。話をふまえて、色々な受入先を提案して、大丸さんでのインターンが決まりました。」

インターン中も関わりは続いていく。定期的な三者面談の機会もあるし、学生がG-netの事務所に相談に訪れることもあるそうだ。

大丸松下食品に到着すると、代表の松下さんが出迎えてくださった。

コーディネーター立ち会いのもと、鈴木さんは、なぜインターンをするのか、この半年間をどう過ごしたいのかという意思表明を行い、誓約書に押印をした。

印象に残っているのが、南田さんのこの言葉だ。

「これからの半年間は言われたことをうのみにするのではなくて、一つ一つの行動をきちんと考えて行動してほしい。それがインターン生になるということ。そのスタートとして、誓約書をきちんと読んで、印鑑を押してほしい。」

帰りの車中、南田さんはこう話してくれた。

「すごく勉強させてもらえる仕事だと思います。中小の社長はやり方こそ違うけれど、根本には共通するものがある。『こんな仕事があるんだ』『この人のようになりたい』と思える人たちと日々関われるんです。一方、劇的な学生の変化を間近で目にするのは、新しい仲間がどんどん増えていくようでわくわくします。」

「コーディネーターは、経営者に一目置かれる存在であり、学生のカッコいい先輩という両立が求められます。どんどん変化する学生に負けられない一方で、上には尊敬できる社長がいる。G-netには頑張れる環境があると思うんです。」

今年に入り、インターン生と話す機会が何度かあったのですが、本当にみんないい顔をしていました。

人って短期間で驚くほど変わるものです。その瞬間に立ち会える仕事がG-netにはあります。

経営者そして学生と向き合い、自分自身も日々変化していく。そうして人が変わり、地域が変わっていく。

これからG-netで働く人も、半年後には違う自分が待っている。そんな予感がしています。

(2014/9/2 大越はじめ)