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不動産屋的リノベ

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新築でも中古でもなく、自分の住まいをリノベーションによって手に入れる人が増えている。

選択肢として一般的になってきた中で、リノベーションを手がける会社の中にも様々な個性が生まれてきた。

udatsu01 株式会社ウダツは東京都心の物件を中心に、仕入れから設計、施工、そして販売まで、すべてを一貫して行うリノベーション会社。

不動産業界出身や未経験のメンバーで構成されています。そのことが特色となって、不動産屋的視点でリノベーションの事業を展開しています。

今回は不動産屋的視点からスタートした会社に、建築系の視点をプラスできる人を求めています。

また、働き方も多様です。ウダツで働く人たちは仕事とライフワークの両立に取り組んでいます。

そんな働き方に興味がある人や建築の経験がある人は、ぜひ読んでみてください。

 
東京都・渋谷区。

渋谷駅から10分ほど歩くと、住宅街のなかに趣のある古民家が佇んでいた。

udatsu02 案内札の矢印に従い、正面玄関ではなく勝手口からウダツのオフィスがある2階へと向かう。

古民家ながら意外に広い。白の塗り壁に、無垢の木の床。正直羨ましいほど素敵なオフィスだ。

「1階は私が住んでいるんですよ。面白い物件だから借りて。築60年以上の古い木造家屋だったのを、自分たちでリノベーションしました。」

迎えてくれたのは、代表の宮島さん。

udatsu03 2階は3つの部屋に分かれていたのを、壁と天井をとって広くした。古い泥壁を白壁に塗り替え、床には無垢材を張った。

「自分で設計して、施工も難しいところは職人さんにお願いしたけど、なるべく自分たちでやって。すべて自分たちでやらないと気が済まない会社なんです。」

そんな宮島さんは建築出身かというとそういうわけではない。

これまで大手不動産会社や外資系不動産投資ファンドの会社で、仲介業や収益改善の不動産再生業を担当していた。

リーマンショックを機に独立し、以前から思い描いていたことをはじめたという。

「家といえば新築を買うのが、今の日本の常識だと思います。だけど人口が減って家はたくさん余るなかで、今あるものを長持ちさせるリノベーションが必要とされている。使えば使うほど味わい深くなるものをつくって、陳腐化しない中古不動産として再生してゆくことを自分でもやりたいと。」

まずは分譲マンションの1室を買い、ひとりでリノベーションすることからはじめた。

はじめはいろいろなデザインを試してみた。たとえば壁にタイルを貼ってみたり、食卓にもなる真四角なアイランドキッチンをつくってみたり。

ところが自分がよかれと手を加えたデザインが、必ずしも住む人にとってプラスになっていないことがだんだんと分かってきた。

「たとえば、内装やインテリアをがっちり格好良く決めすぎるほど、人を選ぶデザインになってしまう。だったら、どんな好みにも合うように余計なものをなくして住む人に色をつけてもらう、キャンバスのような部屋にしようと。」

もしリノベーションをデザインの手段として考えているとしたら、この発想はなかったかもしれない。でも宮島さんは、あくまで利用者のニーズを考え、事業としても成立する形をとことん考えた。

そうして2011年にはじめたのが、“WHITE BOX ㎥(ホワイトボックス)”というコンセプトのリノベーション住宅販売事業。

udatsu04 マットカラーが基調の飾り気のない空間。無垢材を床に張り、天井は抜いたままなので広い。

「リノベーションというと、普通は施主の希望を実現させる革新的な改装が多いです。けどうちでは、誰が住むかも分からないのに先に物件を買って、つくって、売っています。買う人の間口も広げるためにも、できるだけシンプルにしています。」

施工に関しては職人さんに発注する部分はあるけれど、できる限り自分たちですべてを手掛けている。

「人に任せっきりだと、どういうところにお金がかかったり大変なのか分からないんですよね。実際に施工の経験があるからこそ、限られた費用の中でよくなる物件を選ぶことができる。」

そういった判断やマーケットの情報から、売れそうな値段で買える物件を選んでいる。

「これをいくらで売りたいっていうデザインありきの発想ではないですね。マーケットで売れる値段からリノベーション費用を引いた値段で物件を買う、という不動産屋的発想です。」

買主がいない状態で物件を仕入れるのは、リスクが高くないのだろうか。

「その認識はあります。ただ都心のいい場所で20~30代の人にも手が届く価格帯の住宅には、これからも堅実なニーズがあり続けることが実績からも分かっています。だから自信を持ってやれています。」

物件情報を掲載してから平均3ヶ月で買い手が決まっているという。

WHITE BOX ㎥から派生して、昨年より“OnCo(オンコ)”という1棟をまるごとリノベーションする事業をはじめた。

udatsu05 OnCoは、WIHTE BOX ㎥の客層より若い人に賃貸で味わいのある空間を楽しんでほしい、という考えからはじめたもの。

部屋のコンセプトはWHITE BOX ㎥と同様で、仕入れから施工、部屋の引き渡しまで行う。そして安定稼働の状態になると、大家になりたいという個人資産家に1棟を売却する。

すでに荻窪にある1棟目の契約が進み、東砂で2棟目のリノベーションがはじまっている。

「こちらは1棟売れたら次にいくようなスピード感でやっていきます。買って住む人と借りて住む人では年代も趣味趣向もだいぶ違うので、まだまだいろんなアイディアを探しています。」

工事だけを依頼したいというお客さんの声が増えたことから、最近ではWHITE BOX ㎥の内装工事のみを請負う“My+U(my house + UDATSU)”のサービスもはじめた。

今後は自社物件に加えて、お客さんの所有不動産のリノベーションも増えていくので、専門的に施工と現場監督を任せられる人が必要になった。

もし物件の不動産売買や設計にも関心があれば、将来的にそういった仕事も担当することができるという。

「好奇心旺盛な方がいいですね。たとえば、設計などの建築系の仕事をやっていたけど現場にも興味があるとか、リノベーションの将来性にすごく関心があるとか。もちろん現場監督一徹でやってきた方もいいです。あとは、うちのプロジェクトを面白いと感じてくれる人であればいいですね。」

ウダツに所属しているのは、不動産経験者と未経験者。

もし建築系の人が加わるならば、単に専任としてその仕事を担うというより、自分のスキルを共有しながらその分野で会社を引っ張っていくイメージになるとのこと。

udatsu06 杉並の物件。引き渡しから1年後、住み手の方に感想をヒアリング。
宮島さんは、ウダツでの働き方についても話してくれた。

「やっぱりいい人に来てほしいと思ったときに、来る人にもメリットがないと。だからうちは、やりたいことがあれば、仕事と両立できる会社ですって打ち出してます。」

仕事と両立できる会社。

「ビジネスはリスクがありながらもすごくうまくいって生産性が高いので、働く時間を凝縮することが可能です。だから10あるうちの3はやりたいことやライフワークに振り向けてくれてもいい。それがモチベーションになって残りの7の時間で生産性を上げてやってくれるはずだと。」

 
実際にそんなふうにして、やりたいこととウダツの仕事を両立している横井さんに話を伺う。

udatsu07 右が横井さん。左は同じくスタッフの岡本さん。
横井さんはウダツでの仕事をしながら、“NPO法人アトピーを良くしたい”の代表も務めている。

NPOを立ち上げた頃、普段の仕事とのタイムマネジメントに悩んでいた。

前職で一緒に働いたことがあった宮島さんが「ウダツで仕事をしながらライフワークを両立させることにチャレンジしていこう」と話してくれたという。

転職して1年半。実際には、上手くいかないことが山ほどあった。

「好きなことができるってことだけを聞くと、楽って思う人がいるかもしれない。けど現実はそうじゃなくて、両方をバランスよく進めていくのは難しい。」

「ウダツであまり納得のできる成果を出せていないとしたら、NPOに時間を使おうって気持ちになれない。でも本来はNPOの活動をするための働き方だから、本末転倒ですよね。そんな悩みは今でも続いてます。」

毎月1週間は地元の島根に帰って活動しているスタッフの岡本さんも「よっぽど両方がやりたいことでなければ続けられない」と話していた。

時間を7:3に割けるとはいえ、気持ちとしては2つに10を注ぐような働き方なのだろう。

udatsu08 横井さんが主に担当しているのは、物件の仕入れと施工と現場監督。

入社して2ヶ月で経験のない現場監督を任された。

「難しいことでも諦めずに、どうやったらできるかを考える風土がありますね。そうやって会社としていろんなことに挑戦していける反面、たとえ僕が未経験でも『できる』前提で仕事を任される。それを大変と思うかチャンスと思うかは、その人次第だと思います。」

一緒に施工をする職人さんたちは、他とは一風変わったWHITE BOX ㎥の仕事を楽しんでくれている。

そんな職人さんたちに質問をして教えてもらいながら、施工と現場監督の仕事を覚えていった。

「職人さんと設計の間に入るのが現場監督なので、コミュニケーションが大切ですね。『仕事なんだから、やってよ』って言うんじゃなくて、うまく場が進行するように考える。でも言いなりじゃなくて、ちゃんと主張もする。現場で愛されるのが重要だと思う。」

あるときドアを設置する箇所にある梁を見落として、ドアがはまらないことがあった。これまでに積み上げた信頼関係ができていたのか、職人さんがなんとか対応してくれたという。

「1年半やってきて、現場監督は苦労する仕事だと思いました。でもやっぱり完成した瞬間はすごく嬉しい。僕の手掛けた物件が売れたって話を聞くと、そこでもまた嬉しいです。」

どんな人と一緒に働きたいですか?

「自分の軸があって、聞く耳をもっている人であれば、どんな癖があってもマッチすると思います。現場のスペシャリストが入社してくれたら教えてもらいたいことがいっぱいあるし、逆に僕が伝えられることもあるんじゃないかな。」

udatsu09 茅場町の物件。引き渡しから1年後、住み手の方に感想をヒアリング。
すべてを自分たちでやるというのは、喜びも大きいけれども大変なことも多い。

きっと働くうちに分からないことや難しいことに直面すると思う。

そんなときは宮島さんや横井さんに、素直に助けを求めればサポートしてくれるはず。

はじめはその連続でも、建築のスキルがあればすぐにでも役立てる環境だと思います。

自分にもこんなことができるんじゃないかな。そう思ったら、ウダツを訪ねて勝手口の戸を叩いてみてください。

(2014/9/5 森田曜光)